快適生活研究


  • 著者:金井美恵子
  • 出版社:朝日新聞社
  • サイズ : 四六判 / 475p

これは連作短編と書かれていたけれど、自分にはもっと重いというか中篇くらいには感じられた。なにしろ句読点が少なくって一文が長いので息つくところがなく、入れ子状にどんどん話がふくらんでいくのでキリが悪い。

一方、辛辣さはとても歯切れが良いもんだから読めば読むほど引き込まれる口調というか文体で、こんな風に毒ついてくれるのってナンシー関とか斉藤美奈子とか上野千鶴子で、みんなユーモアに満ちている作家ばかりだよなって。

連作だけど登場人物が微妙に絡んでいて、例えば前に登場したAさんがここでも出てきて、けれどAさんと分かる前に長い長い前フリがあって、そういえばこれAさんぽいなと思って、ページをめくりAさんの描写された場所を探すのだけど、一文が長いもんだからそこへ行き着くまえにBさんとかCさんを読まなくちゃいけなくって、かといってそれらを飛ばしてもAさんが見えなくって・・。

イライラしながら読んでしまう。何しろほとんどが毒づいている内容だから本来スカっとさせる効果があるのだけど、イライラをリアルに伝えるべく前置きが長いので、結局カタルシス?も大きいのだけど。

建築家のEさんというのがたびたび登場して、そいつがまたイライラの根源みたいな役柄で、その嫌味っぽい口調は必ずしも遠からずというか、同業者からみてもかなりリアルだと思う。こんな風に見られるんだよな所詮建築家なんて自分にはなれないしさっw。2006-11-20/k.m

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最終更新:2008年04月11日 08:14