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ランド・オブ・プレンティ


  • 監督:ヴィム・ヴェンダース
  • 出演:ミシェル・ウィリアムズ、ジョン・ディー
  • 2004年アメリカ・ドイツ

ヴェンダースのロードムーヴィというだけで見る前から満足なんだけど、やはり良かった。『パリ・テキサス』での美しく哀しい荒野をまた見ることが出来た。音楽も素晴らしい。両者の組み合わせが、ヴェンダース映画特有のカタルシスを与えてくれる。けれど浄化できない苦悩の大きさを思い知る映画でもあった。

亡き母親の伯父への手紙を預かって10年ぶりにアメリカに帰ってきたラナ(姪)。伯父ポールは911事件から、ベトナム戦争のトラウマに悩まされながらテロを未然に防ごうと実生活全てを犠牲にして個人パトロールを行なっている。という設定。

ちょっと極端なくらい伯父の人間像はヒステリー化されていたが、きっとアメリカはそれぐらい「おかしい」状態であって、世界に対して自身の姿を自覚できていないことの比喩なのではないか。反面、アフリカ、イスラエルと外の世界を見てきた姪は、あきらかに温度差が違う。視点の違う「他者」を、血のつながりによって対話へと向かわせる演出はこの映画の重要なテーマとなっている。

アラブ人はみなテロリストだとする伯父の視点は極端なようだが、それに近い実状もあるようだ。エドワード・サイードの著作では、アメリカ映画の極端な偏見を指摘していた。登場するアラブ人にはセリフはなく、あっけなく米軍に屈してしまう。しかも「間抜けなアラブ人」を演じているのは、イスラエル人が多いのだと・・。

スキャンダラスなテロ行為のみ報道し、(ヨルダン川西岸地区などの)悪夢のような実態についてはほとんど触れられていない。これはイラク戦争についても同じようだ。つまりメディア操作は日常的に行われていて、アラブ人にたいする適切な理解どころか、惨劇への関心すら皆無なのだ。日本もそれに近いと思う。

もちろん状況に気付いている人も、危機感を抱く人も、様々な運動へ向かう人も、多くいる。アメリカは多様なのだから。けれど一方で、ここまで後戻りの出来ない状況に追い詰めてしまった。今、映画には何ができるのか。ヴェンダースはきっとそれをも引き受けているのではないか。2006-09-24/k.m

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カテゴリー-映画