マグノリア


  • 99年アメリカ作品3時間7分/
  • 監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
  • 製作:ジョアン・セラー
  • 出演:ジェレミー・ブ ラックマン、トム・クルーズ、メリンダ・ディロン、フィリップ・ベイカー・ホール、フィリップ・シーモア・ホフマン、リッキー・ジェイウィリアム・ H・メイシー、アルフレッド・モリーナ

え?いつ落ちるの?で、これが?

やっぱり映画の魅力は一筋縄でないかないなーなんて思う。出だしの引用からしてなにかを誘うつかみがある。そして音楽にのせてドラマのはじまりを演出するのですけど、これがまた長い。普通の長さを越えて、このまま続くのかと思わせておいてそうでもない。いくつものストーリーが交錯し、どこかで繋がって行くようで、そうでもない。けれどもそれぞれの調子が妙に共時的で面白い。小さな山場を迎えていくと次の話が連続していて、気が付くと3時間近い時間が過ぎている。この長さを見せるのは至難の業ではないと思うが、十分に退屈しない。

少年がTV局に入っていくシーン。カメラの追う人物が次々と変わっていく間もカットのない長回しが続く。一人称の物語が様々にバトンタッチされていく、この映画を象徴しているシーンだ。5つくらいの物語があった。そのうちの2つ3つが時に繋がり、また違うストーリーが生まれ、突然オペラのように皆が一人で一つのうたを歌う。不思議な共時性が生まれ、それぞれのアイコンが常に頭の後ろで控えていて、一つずつピックアップされていくようだ。どれもみな等しく垣間見ていく。ある一人が大きく前へ出てきたかと思うと、しっかりとほかのアイコンも前へ進められていく。すべてのコマがゆっくりと前進していくなか、突然予想外の展開。裏切りと無意味さのパワーが炸裂し、呆気にとられながらエンディング・・・。

新しい映画の魅力にとりつかれながらも、それらがみな記憶の断片を集積したような安心感に包まれていたことが、この映画の特徴ではないか。それぞれにドラマがあり、それぞれに面白く、密度の高い人間性の渦を見せられているようなダイナミズムを感じる。ポール・トーマス・アンダーソンの映画ならタダでもいいと言ったトム・クルーズは、一番元気で、そしてまた心に空洞を持つ男を演じている。彼の啓発は映画全体にリズムを与え、荒唐無稽なアジテーションは現代社会への痛烈なパロディーを感じさせる。個人的な苦悩を逆に啓蒙へと変えていく姿は、現代のカリスマを生むシステムをそこへ映し出している。2001.08.28k.m

コメントなど

  • jun>最近知り合ったゼミの人が、この監督の作品がすごい好きだという話しをしていました。新作の日本での公開も控えているみたいですね。恵比寿ガーデンプレイスでまず独占で公開されることになっていたのに、ボウリング・フォー・コロンバインの上演が延長されているためにのびのびになっているとか。2003-05-10 (土) 13:55:18
  • k.m>P.T.Aはアメリカの若手の中でも評判高いですねー。中原昌也もパンチ・ドランク・ラブは必見みたいなこといっていたなー。恵比寿はほんと天狗だけど、いい映画ばかりゲットして・・そこがまた・・。2003-05-10 (土) 14:47:21
  • jun>福田さんも、作家の値打ちの使い方の対談(中野翠さんとのかな?)で、マグノリアについて語っているそうです。・・・そう、中原も勧めているらしいですが、先の書き込み中の友人は、中原、もっとちゃんと紹介しろーと言っていました。2003-05-10 (土) 14:56:07
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最終更新:2008年04月11日 08:10