ピンポン



その宣伝を目にする機会の多いこと!。もうそれだけで完全に「見なければ気が済まない」状態にまで追いつめられていた。松本大洋の魅力に引き寄せられて沢山の才能が集結して出来上がったこの映画、それを追従するかのように「パルコ」やら「HMV」やら「ビームス」やらの渋谷カルチャーリーダー達を集合させたキャンペーン!。「勢い」に圧倒され・・さらに暑さに負け・・逃げるように「新宿」テアトルで観たのでした(3館上映です)。

夏休みとは言え、ロビーの賑わいと言ったらスゴイ。ココがこんなに人でいっぱいなのは初めて見た。座布団引いて、立ち見して、おじいちゃん、おばあちゃんまで、これって「スターウォーズ」と勘違いしてないよね?そんな戸惑いに近い疑問も抱くのであった。

冒頭「ペコ」が川へ飛び込み、それを「マトリックス」ばりに「グルリ」とカメラアングルが空中まで回り込むシーン、、ついに日本映画もこのレベルに来たんだ、と、鳥肌を立てつつ「ジーン」と見とれ、、そしてスーパーカーの音楽、、とてもハマっている、ああ、なんともオープニングからしてこんなに「時代性」を感じさせ、、この時代を「愛おしく」さえ思わせる。映画ってやっぱスゴイ!。

広告批評・6/7月合併号・「日本映画を面白くする7人」というインタビュー集によれば、曽利監督は現在もTBSの社員だという!。ピンポンの球がCGだというのは有名だが、なんと「あの」シーンも「あの」場面もCGだなんて!。さり気ない所にもの凄い労力かかっています、この作品。

「スポ根」ものはヒーローの「挫折」と「成長」を描く。けれどこの映画は廻りのキャラがとても強くって、それをやや見え難くもさせている。いいのか悪いのか微妙な所もある。しかしこの「強いキャラ像」が無ければ面白さは半減していただろうことは分かる。むしろペコを主人公だとこだわらずに、自分の好きなように自己投影させていけばいい。彼はそんな象徴的存在として描かれているし、スマイルを代表して彼をを取り巻く面々の「挫折」の方がむしろ「痛い」くらいにリアルだ。

この映画を観る人は、突き抜けた明るさの窪塚に共感する側、相手を傷つけるほどの優しさを持つARATAに共感する側で、大きく分かれるかも知れない(そんな好みなど本当はどうでもいいのだが・・)。それくらい2人にはハッキリとしたキャラの差がある。僕はむしろ佐久間や風間なんかに強い哀愁を感じた。そんな人もきっと多いだろう。とにかく出演者みなが「愛おしい」のだ。

時代性と言う「ラッピング」によって包み込まれた映画の中部には、むしろ誰もが懐かしむ「ふるさとの幻影」がある。それが原作の「ねらう」場所でもあったのだろうか。ならば映画の使命とは、そんな同時代性をいかに「演出」出来るのかにあるのかも知れない。そのためのCGであり、配役であり、脚本であり、まさに成功した作品なんだと思う。2002.07.22k.m

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最終更新:2008年04月11日 08:08