ピストルオペラ



この作品を見たとき、本当に清順の作品なのかと疑った。それほどに清順的というものが「ありあり」としており、それがパロディー的にも感じられた。70-80年代の作品を見てきたプロデューサー達に捏造された「清順的」ではないのか。そんな疑いと共にやや興ざめしてしまった。けれどそれは見るモノの浅はかさというものだろう。

しまった。 見終わってしばらくしてからちょっと後悔した。鈴木清順の作品をまだぞんぶんに見込んでいない故にやってしまうこどだ。普通の映画として観てしまったのだ。この膨大な細部をもつ世界を。奥行きの無い世界を。単調なくらいシンプルな世界を。「間」が支配している世界を・・。清順監督にとっては67年に製作し、日活を解雇されるきっかけとなった因縁の作品「殺しの烙印」の続編的なものだ。思えばあの映画だって普通ではなかった。単純にストーリーを追っていたのなら、当時の日活と同じ心境にしかなれなかっただろう。あのばらまかれた記号の渦に当惑してしまうだけだ。

黒い和服にブーツという奇抜な服装の江角マキ子は妙に清順世界にはまっていた。ただすべてが「はまっていた」という印象を与える役柄が多いこの映画は、「ツィゴイネルワイゼン」を観たときからはじまっている、色彩美の恐ろしさ、生きているのか死んでいるのか分からない、あの浮かんだような妖艶な感覚を超えられないのかも知れない。

それにしても上映後の監督のトークショー。「お爺ちゃんの日向ぼっこ。」って感じでした・・・。2001.12.26k.m

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最終更新:2008年04月11日 08:08