トーク・トゥー・ハー


  • 監督:ペドロ・アルモドバル
  • 出演:レオノール・ワトリング/ハビエル・カマラ/ジェラルディン・チャップリン/パス・ベガ、ピナ・バウシュ
  • 配給:ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ

オール・アバウト・マイ・マザー』もよかったが、こちらもシブくてクールな作品。

この映画に流れているエッセンスは、どこか仏教的なもののようでもある。それは、固定した実体ではないというあの「空」を思わせる。すべての事物や現象は、ほかの事物や現象が原因となって、そこに何らかの条件が働いた結果として成立しているのであって、決してそのものだけで独立しているのではない。相対的な存在として世界を認識していく方法だ。

それは宗教の世界だけでなく、普通に生活を送っていく上でベースになっているような考えでもある。前半部分ではむしろ不条理な現実として、受け入れることを強いてくる残酷な連鎖だった。

主人公の男性マルコ(誰が主人公かは、いろんな見方があると思う)はTVを見てその女闘牛士リディアを知り、取材を通して恋愛関係となり、女性は昔の恋人を忘れるように彼を慕い続け、その矢先に事故に遭い・・・。もうひとつの連鎖で同様な昏睡状態の患者アリシアとかかわる男性ベニグノと病院で出会う。

二人の男性は既にあるバレエの公演で隣に座っていたつながりがあって・・。そんな因果を連鎖していったドラマが静かに流れていく。このあたりはの演出は出来過ぎているというよりも、「つながり」そのものが重要なテーマとして見えてくる。そして後半では様々な苦悩が主人公を襲っていく。その残酷さは、つながっていたが故に起こさせたものばかりだ。

失われたものの大きさとその現実に打ちのめされたマルコが、最後にちらっとみせる希望があった。またしても「つながり」である。それは終わりの無い残酷さであるのかもしれないが、一方で苦悩を乗り越えていく知恵が与えられているようでもあった。世界を相対的なものとして悟っていく強かさのようなものが、主人公の表情には見いだされたので。2004-02-22/k.m

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最終更新:2008年04月11日 08:06