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デジャ・ビュ


  • 桜井亜美
  • 幻冬舎
  • 2001.12

生まれついた階級が全てを決定する世界。これはイーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウらが出演した映画「ガタカ」を思い出す。あれはとても切ない物語だった。実際に、あとがきの対談で著者も「ガタカ」の影響を語っていた。

主人公のツバサは「Cマイナス」という出自を持つように、この物語世界はA/B/Cという階級で仕切られている。近未来という設定と、今の社会をデフォルメしたような描き方が「ガタカ」との共通点でもある。だがより大きな命題はやはり、「こんなに美しい世界に囲まれているあたしたちが、お互いの感じている苦痛や絶望を共有することも分かり合うこともできず、一人一人、深い孤独に耐えるしかないのだ・・・」という主人公の言葉があらわすものだ。人間以下の扱いを強い、生涯越えられない階級の壁を死守し、屈辱を与え続けるAプラス。

彼らが実は完璧さという呪縛によって、永遠に平坦で真っ白な虚無の未来しか見ることが出来ないという孤独をもっていること。それが絶望という死にいたる病となること。このように、階級が生み出したものは、敗者の悲劇ばかりでなく、勝者の絶望でもあった。

いまの社会がこのような極端な場所へ来ているとは思わない。けれど確実に向かっているのではないかという危惧はある。だからこそ僕らは無名の者が勝ちあがる姿へ感動し、裕福でも引かれたレールをなぞる人生を拒否したりする存在なのではないか。

そして世界にはもっと越えられない階級がある。それは民族だったり貧困だったり、あるいは道義的暴力による困難だったりする。

昨年のあの「テロ以降」に、SFというスタイルによって、現実の世界を「美しく」も「皮肉」にも描いた作品。2002.01.14k.m


  • ガタカ
  • 1997年度/ソニー配給
  • 監督・脚本/アンドリュー・ニコル
  • 撮影/スワヴォミール・イジャック
  • 音楽/マイケル・ナイマン
  • 出演/イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ

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