イーサン・ホーク、ユマ・サーマンの夫婦共演。ワン・シチュエーション映画。登場人物も3人、ホテルの1室という閉塞感あるシチュエーションで繰り広げられる90分弱のドラマ。「12人の怒れる男」(1957年)など。
実時間でつくられる映画というのは珍しい。それは芝居と変わらない。実際この脚本も芝居のものらしい。では違いとはなんだろう。視点だろうか。芝居は正面から常に全体を見ているが、映画は作り手の恣意性あるカット割りの連続だ。この映画はまさに視点がめまぐるしく変わるカット割で、狭い部屋を最大限ゆたかに見せているのと、人物の気分が変わっていくのを肌で感じられるような臨場感がある。
1時間半ぶっ続けでセリフが飛び交うさまは、まさに芝居を見ているようでもある。しかし視線の変化が伴うことで、その場に居合わせたような気まずさを感じる。それは一種の閉塞感となって伝わってくる。2人の訪問者がどちらも帰りたがるように、見ているこちら側も終わらせたい気分になる。
じわじわと責め立てられフラストレーションのたまる中、ラストシーンの一幕。それはある意味オチのついた「型通り」でもある。けれど「どう着地する」かがこの場合重要ではなかった。着地してくれることをここまで望ませるその閉塞感がすごいと思った。2003-01-12/k.m
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