不揃いな2人
かつて川島透が映画化した金子正次の原作を再映画化。昭和59年の川島版は、主演が柴田恭兵とジョニー大倉だったが、青山版は大沢たかおとダンカンの主演。
それにしても寺島進はなにか哀しい。人間の器としてやや希薄な印象を表現するのがウマイ。彼あっての大沢たかお、ダンカンだと思った。友情劇というものにも見れるが、それにしては特異な感じもする。はたしてダンカンと大沢たかおの間に友情があったのかというのも気になる。
不器用で社会に馴染めず、臆病でヤクザにもなれず、中途半端な生き方へリアリズムを感じるダンカンと、ヤクザに憧れ上京し、中途半端な存在を嫌い、真っ直ぐなとこでその成熟しきれない暴力性と若さを訴える大沢たかおのコンビ。
互いを結びつけているのは、どこか現実への焦燥感とそこに浸かる甘んじた姿勢だ。ただそれ故に希薄な仲間意識にしか見えず、いつでも裏切れるようなはかないものに思えた。
映画としての面白みといえば、青山作品に流れる独特のリズムと、そこにあるがままに、といった映像が生み出す即物性を全体に表現した、ヤクザ映画として見ると全然違う印象であることだろうか。ただ個人的には「ユリイカ」での感動を超えるモノではない、いち通過点といった印象だった。
2001.10.07k.m
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