ダンサー・イン・ザ・ダーク


  • 2000年・デンマーク・松竹=アスミック・エス
  • 監督; ラース・フォン・トリアー
  • 出演; ビョーク,カトリーヌ・ドヌーヴ,デヴィッド・モース,ピーター・ストーメア,ジャン=マルク・バール,ジョエル・グレイ
  • 2時間20分

今年の初映画には、ダンサー・イン・ザ・ダークを見に行ってきました。

2000年カンヌ国際映画祭でパルムドール賞と主演女優賞を獲得した話題作です。 ラース・フォン・トリアー監督の「奇跡の海」も静かで感動的な作品でした。

デジタルビデオカメラで撮影されたという映像は、手ぶれが多く、ちょっと見るのに疲れることもありました。けれども、やがて映画へ入り込んでいくうちに、気にならなくなっていきましたが。

チェコからの移民で、ある資産家夫婦の庭に建つコンテナハウスを借りて住んでいるなんて、その設定からしてとても寂しい感じです。工場で働き内職もし、視力が不自由で、失明の日も近い。昔見たマッチ工場の少女だったか、フィンランドの映画を思い出しました。

けなげな生き方には不運だとか、可哀想だとかの気持よりも、ただその生活を全うしていこうとする、力強い生命力のようなものをむしろ感じる。ビョークの歌声にもそのような印象を抱く。彼女の小さな体から発せられる、力強い歌声は、人生の不甲斐なさだとか、不条理ないきさつから、見ている僕らまでを救うかのようだ。

その悲しみを伝えてくるものが、彼女の演技であって、同時にそこから励まし救っていくのも、彼女の歌声の中にある。2時間ものあいだ、ビョークの魅力に振り回されていくような感じだ。 前半はもっぱら、静かにドラマが流れて行くだけなのだが、そのペースは悪くない。背景や描写へ無駄にカット数をさいている感じもなく、むしろ断片的に日常生活が繰り広げられている。ささやかだけど、幸せそうな日常である事へ、すっかり安心して観ていた頃から話は思わぬ方向へ転んでいく。

後半は力強い歌声ですら、悲劇をより強調するものへと感じられるほど、闇の中へと運ばれていく。見終わってほどなく、主人公ビョークの一生を、ともに旅をしたかのような、ロードムーヴィー的な感じもした。


2001.01.05k.m カテゴリー


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最終更新:2008年04月11日 08:05