スパイダーマン


  • 2002年
  • 監督:サム・ライミ
  • 出演:トビー・マグワイヤ、ウィレム・デフォー、キルスティン・ダンスト

孤独なヒーロー。

オープニングのクレジットから伸びやかなCG。少し長いくらいの「凝りよう」で、期待をそそる。日本版・実写「スパイダーマン」の記憶はおぼつかない程度だったが、そんなのを抜きにして、普通に楽しめる映画だ。

うだつの上がらない主人公が突然未知の力を持ってしまうという典型的なヒーロー物。そして学園でのあれこれ、幼なじみへの憧れ。どれも在り来たりなドラマを見ているような展開。よく言えば安心感?。

ただ主人公は屈折したヒーローの道を歩む。自分が特別な存在であるという興奮から、育ての親である叔父と叔母の助言すら耳に入らずに舞い上がっていた矢先に出会ってしまう叔父の死。どんなに力を持ってしても意識の壁はのりこえられず、憧れの彼女へ気持ちを打ち明けることも出来ない。そして親友へうばわれても暖かく見守る素振りをとってしまう。さらにスパイダーマンとしてヒーロー姿を演じつつも、なぜか憎まれ役も買ってしまうという悲劇。

このあたりは「普段そばにいる人が実は特別だった」というリアルを表現しているのではないか。それは言い換えれば「自分も特別かもしれない」という期待感にもつながっている。そう、この映画はみんなが「特別である」ことを目指して生きている様を描いている。悪役のオヤジも、憧れの彼女も、友人も、叔父も叔母も。みなどこかで今ココにしかいない特別な自分を探している。そして主人公は一人でそれらをみな背負ってしまったかのように疲れてもいるし、それ故に充実感を表してもいるのだった。

ドタバタな感じも好感度を上げる。クモの糸にぶら下がる姿はかなりグダグダであるし、「変身=着替」えというアナログ感もよい。スーパーマンのマイナーバージョンを見ているようだ。さらにヒロインがあまり美人系でない所がB級っぽいが、それもこの映画のご愛敬だと思えば納得。そういう意味でも一貫性のある分かり易い作品で後味もよいのでは?。(いや、でもハリウッドの技術力はスンゴイですよ、もちろんそこは別格です)。2003.02.04 k.m

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最終更新:2008年04月11日 08:05