スクラップ・ヘブン


  • 2005年/日本/117分
  • 配給:オフィス・シロウズ=シネカノン
  • 監督・脚本:李相日
  • 製作:オフィス・シロウズ
  • 企画:佐々木史朗
  • 出演:加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明

まるで70年代の長谷川和彦作品のようだ。もちろん『青春の殺人者』には迫力も作りこみもかなわないと思うけど、それ以上に時代が感じ取ったものに差があるのだろう。国家や組織、家族からの、もろもろのしがらみから解放され、別な新しい何者かになる。そんな本質的な人間像を追い求める1976年の作品とは明らかに違う。

けれど「クソどもに想像力を植えつけてやろう」とテツ(オダギリジョー)が提案した復讐の代行業へと向かう二人の像は、どこか水谷豊の苛立ちと重なっていくようだ。現代の殺伐とした空気に意味もなく苛立つ像は、それがどんな理由を与えられても解決するような単純なものではなくって、幾重にもからんだ矛盾からか、一体なにが狂ってそうなったのか説明の放棄、思考の停止を呼ぶものである。

苛立ちのなかに生きる二人は、元々が思考の停止からはじまった莫大な矛盾であるこの世界から、なんの解決も見出せるわけもなく、ただ危険な遊戯へ無邪気に溺れていくだけの自分をせせら笑うだけだった。一人は死に、一人は死ぬことすら出来ず。2006-04-09/k.m

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  • haru−chon>この映画観たばかりです。テツの取った「世界が一瞬でなくなる方法」がなんだかなぁーって思いました。その後を追えないシンゴの運命の悪戯というか生かされている感じが切ないというか。サキが怖いです。あの後彼女はどうするのかを想像すると・・・2006-04-10 (月) 07:27:06
  • k.m>haru−chonさんようこそ!。観られていましたかー。栗山千明、はまり役でしたねw。不思議・コワイ系って感じ?。オダギリジョーって「はかなさ」を持っていて、そこが彼の魅力なのかとも思いました。(ところで、このシステムは誰でも簡単に書きこみ編集できちゃうんです。なので、ちょっと直しましたw。)2006-04-10 (月) 22:44:13
  • haru−chon>お手数お掛けしました☆有難うございます☆この作品皮肉な結果に終わったように思えたんですが、最後にサキの存在がこの作品の中で何度も言われている「想像力」で締めくくられたのは、モシカシテ一本取られたかッ?と思ってしまった訳です☆中々楽しめました☆2006-04-11 (火) 13:11:27
  • k.m>反体制的でありながら政治的描写の不可能さをも表現していて、日本文化ならではの演出なんだけど、そこは監督がうまくアレンジしているってことなんでしょうね。想像力とはいったいどの様に働かせるのかの「想像」をこの映画で実践させているのでしょうか。2006-04-11 (火) 21:00:34
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最終更新:2008年04月11日 08:04