レイモンド・カーヴァーの短編や詩をモチーフにアルトマンの描く多彩なキャストによって織りなす一大人間喜劇。3時間という大作。22人という登場人物。まるで小説「シンセミア」や映画「マグノリア」のようだ。いや、どちらよりも昔。むしろ多くの群像劇に影響を与えてきたのはアルトマンのほう。
はじめの30分くらいにほとんどの登場人物が出てくる。どの家族が繋がっているのか分からない。頭が痛い。「ゴスフォードパーク」でもこんな気分だったような。次第に全員の関係がなんとなく分かってくる。さほど大きくない街に住む幾つもの家族。みんなどこかで繋がっているように見える。
話の連続もそうだが、シーンの連続にも絶妙なタイミングがある。だれかがドアを開ければ、別の家族が入ってきてシーンがすっかり変わっている。さっきまで話していた時間の間にこの家族ではこんなことになっている。まったく関係のないエピソードどうしが、まるで関係があるかのように見えてくる。
この視点は面白い。同時にいくつもの展開を意識しつつ、どこか俯瞰した所で見つめている。共通しているのは時間軸だけ。それすら忘れそうになるが、最後の地震ではっきりとする。
各々が自分にしか見えない世界をそれぞれ生きている(あたりまえか)。微妙に関わっている隣人達をそうとも知らずに(あたりまえだ)。みているこちら側だけが全てを知らされている。この場合、登場人物達が多いほど膨大な情報量であるほど、なにか得した気分になってしまう。見ているだけで満足感の出てくる作品だ。2004-05-04/k.m
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