今年、非常に多くの著作を出している東浩紀。今のところ全て購入しているものの、『ゲーム的リアリズムの誕生』でちょっと挫折。それから遠ざかっていた。けれどこの本は分かりやすく(対談なので)、久しぶりに「面白い」と感じた。この勢いで残りも読み進みたい。
オタク文化を捉えてポストモダン社会全般に通じる「動き」を見出す『動物化するポストモダン』は鮮やかだったけど、次第にライトノベルとかゲームなど細部の話しに入ってしまうと分からなくてつまらなかった。この本ではそんな細部よりも一般性のある話題が中心になっていてよい。
(自分が好きだと感じられる)批評とは「今」を切り取る作業で、普段漠然と感じていることなどを明確な形でしかも角度を変えた鮮やかな像となって提出され、それにより「現在」を捉える認識が更新された実感を得られるもの。
そういった意味では映画も文学も同様に批評的であるほど面白くって、フィクションを通じてしか得られない臨場感ある「現在」には文芸作品固有の力がある。
東浩紀の描く批評にはある意味で文芸作品以上の力がある。いったいそのようにして得られる「今」という実感に興奮する欲求とはどこから来るのだろう。自分の生きている現在性を感じられることの先には何があるのだろうか。200-06-30k.m
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