やっぱりこの監督はすごい。怪獣系パニック映画をハリウッドのそれとは随分と違った描き方で、しかも面白いエンターテイメントとして作れるんだから。
そんなに怪獣系映画を見てきたわけではないけど、パニックの発端が何も考えていないアメリカ人の仕業っぽいところや、根拠のない事実を捏造してしまうあたりなど世相へのニヒリズムを感じた。
スローモーションのタイミングやカット割りの鮮やかさは他の作品同様にレベルの高いものだし、徹底して怪獣を不可解な化け物のままに描ききる潔さ。それは内面を写す説明的なカットを排除していく人物の描きにも表れていた。
ヒロインは絶対に救われるという希望、またそこへ向けた家族愛も丁寧に描いているのにあのラストなんだから、分かりやすいエンターテイメントを装ったB級ホラー映画の貫禄すらある。2007-02-01/k.m
カテゴリー-映画