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オデュッセイヤ

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  • オデュッセイヤ(上)(下)

ギリシャ文学はソポクレスの「オイディプ王・アンティゴネ」スくらいしか読んだことがなかった。今まで迂回するように幾つかの解説本をよみ、自分の好奇心をお手軽に消費し、直接読むことをどこかで避けてきたように思う。そろそろ読んで見ようよと自分の中で励まし本書を手にした。


「イリアス」と並ぶ「トロイア戦争」の伝説にまつわるこの「長編」叙事詩は、読んでみればその大げさなまでの「レトリック」、「お話ぶり」にすっかりはまってしまい、楽しめる。なんたって夜が明けるのすら「朝のまだきに生まれ指ばら色の曙の女神が姿を現すと・・」なんて言い、しかも何度も繰り返し使われ、「話の節目」になっている。そのような飾りはホントウに多くって、言葉にも「翼」がついているし、オデュッセウス一人呼ぶのだって、「堅忍不抜の勇士」だとか、「知略に富む」だとか、「智謀に富める」だとか、ゼウスのなんたらだ・・など。それはそれは様々に飾って飾って。でもそれら一つ一つが積み重なって、この「ワンダーランド」が僕の中で構築されてもいくのだった。

電車で本を開けばとたんにこの叙情詩の世界にリセットされ、MDを聞きながらだってその世界は色ずくばかり。冒険は多岐に渡り展開さて、同時に進む話しも3つくらいある。とても長い物語なので、他に進行している話へ突然ふられてもしばらく思い出せないこともある。それでも一つ展開が増えたところで、いっこうにかまわない構成なのだ。

いくつもの歌(章)が綴られているこの構成には各歌の冒頭に「要約」されたものがあり、まず「全体」を掴んでから話へ入る事が出来る。こうしてストーリーというものを初めに明らかにすることはちょっと驚きだがそんな心配など無用で、内容というものをいくら要約しても実際の物語の刺激を失わせるものでもなく、例の飾り言葉の連鎖によって、まったく違う強度とともに引き寄せられ、読み進められる。

それにしても20年もの間故郷へ帰ることが出来ないオデュッセウスだが、帰ることを諦めない執着さはすごい。妻のペネロペイヤにしたって、諦めていないから、求婚者達をはぶらかし、表面的には夫を亡くしたと言いつつ、毎晩泣き続けるしつこさを表している。二人の深い愛情というよりも、再会することが生き様であるかのように、この夫婦は運命の告知なきまでは、神をも疑うほどに結ばれている。

しかし全てはゼウスをはじめアテネら神々に依存されていて、はじめから運命は「決まって」いる。物語の冒頭から無事帰郷出来ることは明らかにされており、いわばネタバレ状態でもあるのだが、先ほど述べたようにこの叙事詩にはストーリーへの執着はなく、レトリックの連鎖による強度が重要であって、いかに帰郷し、いかに求婚者達をこらしめ、いかに再会の衝撃を与え、いかに祝杯するのかという詳細な部分が緻密だ。

何度もじらしながらオデュッセウスの怒りを絶頂にまでのぼらせるアテネ、何度もだましながら正体を明かさないオデュッセウス。何度いっても夫であることを信じないペネロペイヤ。執拗に繰り返される登場人物たちの激情ぶり。冒頭に読み上げられた要約などすっかり忘れてしまうくらい、一つ一つが根深いドラマとなって迫ってくるのだった・・。

2002.05.03k.m


カテゴリー-戯曲小説


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