アマゾンの「おすすめ」機能を代表的に取り上げ、データベースが打ち出す予測に私たちは先回りされていて、意識せずにそれらの選択を受け入れているとし、「宿命的決定論」とまで言ってしまう。
便利さや安全性など目先の問題をクリアさせていくうちに、社会設計的な視野での狂いが生じてくる。ユビキタス環境に潜む危険性をそんな社会学的な視点で訴えている。
けれど情報に接するリテラシーの問題で、それほどでも。むしろ、「自己は自己について語る「物語」によって社会的に紡ぎ出される意味的な現象である」という研究をおこなっている浅野智彦氏の紹介が興味深かった。
ウェブ社会を捉えた個々の分析は面白いけれど、導こうとしている「懸念」にはなんだか無理を感じた。そんな著者の態度にかえって浅野智彦氏の指摘する「自己物語性」を欲求する姿をみる気がした。200-07-08k.m
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