イノセンス


  • [監][脚]押井守
  • [原]士郎正宗
  • [プ]石川光久 鈴木敏夫
  • [作監]黄瀬和哉 西尾鉄也
  • [音]川井憲次
  • [美]平田秀一
  • [歌]伊藤君子
  • [声]大塚明夫 田中敦子 山寺宏一 大木民夫 仲野裕 竹中直人
  • [制作データ] 2004東宝
  • [上映時間] 99分

前作をあまり覚えていないが、まあ何れにしろこまかい理解を目指しても無駄なのだろう。どおせ何回も見た人が難解な解釈を重ねてしまう作品なのだろうし。それってコアな魅力をもっている証拠なのだろうが、素直に感じればいいじゃん。っと、あらかじめ誰に対してなのか分からない自己防衛的姿勢で見に行ったのだった。

構えたのがばからしいほどに「すごい映画」だった。オープニングの格好良さ、絶妙な音楽の入り方。多くの名映画がたどってきた王道をふまえた、とても正当な演出。そして今現在、これ以上「切実なSF映画」はないのではないだろうか。近未来都市という視覚的なデザインと、近未来社会という人文的なデザインの両方に対してそんな風に思った。

監督のフェティシズム的なこだわりは、それ自体が「生き方」を示しているようだ。動物化という言葉が知性の後退を示しているようで、実は高度化したそれの反作用として進行しているように。無意識化した行動に突っ込みを入れてネタにしてしまうように。この作品のこだわりは、知性を過剰に消費してくれる商品を要請するフェティシズムの先へ位置しているように思う。

そして「切実なSF映画」という印象は内容の僭越さの中にもにある。当初アメリカ資本を考えていたそうだが、少女を密輸入してその魂をセクサロイドにダビングするという、ロリータ系のエロスを表現している時点でアウトだったようだ。しかし結果的に視覚的な表現力で確実にハリウッドをしのぎ、タブー的内容を押し進めるという表現の幅においてもそれを超えていく作品となった。そしてこの超え方が、ハリウッドに対抗する日本映画全般に通じる切実さを示しているようでもあった。

とは言ってみたものの、見終わったときの素直な感想は「引用がクドイ」、「特に漢詩についてはセリフきどりすぎ」、「海外うけオリエンタリズムねらいすぎ」、「最後だけ妙にはかない恋愛もの」というグレー部分。そして「都市を描く画像は圧巻」、「人物までCG的リアルでない所が良い」、「お決まりの道徳観などにおさまらず、ハードボイルドに徹している」などがプラスだった・・。

コアなファンが何度もこの作品を咀嚼し、多くのエッセンスの中から小出しにネタを再生産するだけで、また「マトリックス」のような巨大作品を生むのだろうか。2004-03-13/k.m

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  • ふじた>私も好きです、Goost in the shell 続編 になってて賛否両論だけどね、アニメじゃないよね2004-08-13 (金) 01:35:57
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最終更新:2008年04月11日 08:01