オペラシティーのダニエル・リベスキンド展を見に行った「ついで」のつもりが、よっぽど興奮した。昨年の「JAM:Tokyo−London」展といい、NTT-ICCよりもコチラのギャラリーのほうが活気があるようだ。
アジア7ヶ国から参加した43組のアーティストのうち半数以上が来日し、夜遅くまで続く展示作業でギャラリー内は文字通り「アンダー・コンストラクション(工事中)」といった様子。 アンダー・コンストラクションというタイトルには色んな思いが詰まっていそうだが、建築的な響きなので勝手に共感。特に興味を惹いたものを箇条書きに・・。
各国で若い女性に「野菜の銃」を持った姿を撮影した後、それらの食材で「鍋料理」を作るというもの。なによりも野菜の銃が生々しい。まるで内臓が体から出てきたのを抱え込んでいるようにも見え(かなり勝手にグロテスク化してる)、とてもショッキングだった。女性がみんなきれいな方だったのも、写真にインパクトを与えている。ユニクロやギャップなどのCMにも見え、ある意味でパロディーとしての効果がある。それがショッキングさを増している原因なのか?。
中国の新しい家族像を、家族のメンバー、リビングルームの家具などをさまざまなメディアから切り取ってコラージュした写真作品10点。いわゆる飛び出す絵本的な演出。ひとつのケースに切り取られた人まとまりの写真が並んでいるのだが、どれもその家庭のカラーをあらわしていて興味深い。インテリアへの配慮がうかがえる。自分の部屋もこうして再現してみたくなった。
オペラシティ会場のギャラリー1に、ゆるやかなスロープ付きの展望デッキを作る。天井高6メートルの空間に展示された他の作品を、地上レヴェルとは異なる視点で鑑賞させるというもの。これは「展示空間へのコンセプチュアルな取り組みを視覚化したものであり、空間を本来とは異なる文脈で扱うための手段。」であるらしい。なるほどメタ的なこころみで面白い。さらに感動したのは、この方のつくったデッキの下でも別の展示があるのだが、そちらを見ていると上を歩く人の「ミシ、ミシ、」という臨場感がすごい。
徴兵中の作家自身が、軍隊施設のなかで小さなオブジェクトを作り、その環境から編み出される物語を、写真を通してみせるというもの。兵隊のミニチュアがかわいい。しかもリアルに軍隊施設とかかわっている臨場感があり、これを徴兵中にやっている姿がスゴイと思う。中には結構ショッキングな写真も多い。なかなかに奥深いアート。
写真家。同い年のよう。中国で氷の張る寒さの中、市内の湖で水泳を楽しむ中年男女のグループに1ヶ月近く同行しその姿を収めた写真。言語ではなく写真が築くコミュニケーションの可能性にチャレンジした試みだそう。すごく大きい。タタミぐらいに引き伸ばされた写真。ドキュメンタリー映画の一場面を、さらに昇華させたようなおもむき。不思議な魅力がある。ちょっと注目したい写真家。
2003.02.14 k.m
カテゴリー-展示