ジム・ジャームッシュ、スパイク・リー、ウッディ・アレンをはじめとするニューヨーク・インディペンデントの元祖。ジョン・カサヴェテスのデビュー作品。ドキュメントタッチの演出。実際すべて演技は即興で行われたと最後にうたわれていた。
印象的なのは会話の自然さに迫るアングルの不自然さだった。やや近寄り過ぎな(横長のフレームをTV用にしているせいもあるが)数名の会話シーンは、彼らが親密な関係であることを伝えるにはとても明快なのだが、ちょっと圧迫感もある。
ただ、ドキュメント番組ではそのような画面いっぱいの顔というシーンはよく見かける。役者ではない、人間としての対象を捉えるようなアングルだ。演出のない即興の芝居も逆に言えば「ドキュメント風な演出」ということになる。要するに「恣意性のなさ」を装った完全ドラマでもあるのだ。
阿部和重は確か「映画覚書」にて、今2度目のドキュメント風映画ブームであると。それはハリウッド資本の過剰テクノロジー作品がもたらした物語性の衰退と同様に、リアルさを装った怠慢であると書いていたと思う(たぶんそんな内容)。
ではそのような作品とカサヴェテスらの違いはどの辺りにあるのだろうか(←今後の課題)。2004-06-13/k.m
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