人間は大地の上をひたすら車で走っていて、荒野の中へ小さくある賑わいが街で、何かへ動かされるままに失踪したり再開したり、そしてぶつかり合ったりするのがまた人間なんだということ。
この映画に描かれている全てへ「ロードムービー」はみなぎっていて、それは人生を旅にたとえるとか移動の中へ心の葛藤を見るとかの「抽象さ」ではなくって、動くもの、あるいは「動かなさ」の視覚的な確認であり、フレームへ納まったままのアメリカを受け入れる行為なんだということ。
そんなニュアンスを見終わってから感じた。つまりストーリーとか物語などの前に、全体として心を動かされる映画で、ヴェンダースのような作家が映画を作っている限り、もっと面白い作品へと向かう渇望のような期待感をもらうことが出来る。
そうやって映画を見続けられることが一番うれしいというか、見続けていないと映画は楽しめない。実際こんな映画ほど疲労感は大きい。しばらく離れたくなる気もする。
ところで主演のサム・シェパードは『パリ、テキサス』の脚本、ミケランジェロ・アントニオーニらと『砂丘』の脚本・共同執筆、そしてこの作品で脚本・原案。やばい、好きな作品ばかりにかかわっていた。2006-10-25/k.m
カテゴリー-映画
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