ananへ掲載されていたエッセイ集。最近はまっている作家です。しばらく続きそうだ。
抽象的な誘惑。そう、僕らは何時だって誘惑に駆られている。目に見えない抽象さで。都市にばらまかれた様々な記号。仕事中のj-wave。本屋での散策。自宅でのTV。そしてインターネット。しかしもはやそれらから免れることは出来ない。いや、誰もそんなことは考えてすらいないのでしょう。
ではより積極的に誘惑されてみましょう。誘惑のなかには、きっと色んな発見があるでしょう。誘惑は交通かもしれない。消費のただ中へどっぷりと浸かって生活しているのだから。
このエッセイを読むに至る道のりも、様々な誘惑だけが頼りでもあった。時には誘惑のなかから、いろんな事へ無自覚だった自分を発見できる。あるいは小さな誘惑から人生を棒に振ってしまうかもしれない。その時はその時だ。
著者が同時代に生きる一人の作家として、僕らに示してくれる誘惑のバリエーションはとても興味深く、そしてとてもありふれている。その汎用さがたまらなく日常的で面白い。日常的だということが、これほどに誘惑的でもある。僕らは今様々な、ありふれた日常を消費しているのだ。そしてそれはインターネットを通して、第三者へ消費の機会を与えている。実はありふれたモノこそが、何度でも消費に耐えられるのだ。もはや世の中にある最大で、最強の現実なのだから。2001.03.25k.m
カテゴリー-エッセイ
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