k.m えー久しぶりの映画館でした。渋谷のプライム。開演30分前であわてて入り込みましたが、2番目のお客でした。拍子抜けしましたが、上映も来週までだし、ミニシアター系ではよくあることです。
ひかりのまち。原題はwonderland。不思議の国。主人公の兄弟に生まれた子供の名が、アリス。そこから取っているのでしょうか。けれど放題のタイトルのほうがしっくりきている作品です。
まあ日常を淡々と描く映画と言ってしまえばそれまでなんですが、このようなジャンルがヨーロッパ映画に多いこと、そしてその演出が見る側へ様々な現代的情景を見せ、そしてこのありきたりの日常のなかにこそ人間の生活が描かれていることを感じさせる、ひとつのリアリズムであること、けっして美しいといえない容貌の主人公たちの描く生活が、映画へのヒロイックな入り込みを避け、BGMのように流れるささやかな時間を作っていて、そういった生活が遠い国ヨーロッパのものとも思えないように、どこか自分の中と繋がっていくようであること、粒子の荒い映像にどこかロンドン街を幻想化させるものがあること、そしてそれが、いつも煮え切らない天気のあの街の雰囲気によくあってもいること、カメラアングルにウォンカーウェイのブエノスアイレスを感じさせてもいること、だからといってそれが、それほどストイックな雰囲気でもないこと、ウィンターボトムのねらいはこれらのこまかな断片の集積体ではないかと思った。
上映まえに、ロビーの掲示板にあったこの映画を取り上げた切り抜き記事のなかで、一つだけ読んでみた。フカワリョウのもの。愛とかの大きなテーマを日常の中に描こうとした作品。(もっと書いろいろ書いてあったが・・。)みたいなことが書いてあった。彼も映画好きのようだし。
i.m実は、マイケル・ウィンターボトム監督の作品は結構好きなんです。(2作品しか観てないんですけど・・・)
一言でいうと、淡々としたロンドンの一家族の話なんですけど、見終わると家族っていいなぁ、大切だなぁといったあたたかい気持ちになります。
この映画で、一番印象に残るのは終盤の、ひとつ、ひとつのあかりにそれぞれの家族の物語があるんだという事がわかる、集合住宅のあかりが遠回きで撮られているところではないかと思います。
最近、心が渇いている人にオススメです。(ちなみに、上映は10月27日までです。)
2000.10.15k.m カテゴリー-映画
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