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「ファンタジスタ」(2011/06/21 (火) 13:28:06) の最新版変更点
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**ファンタジスタ [#sf0b2709]
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-星野智幸(著)
-集英社
-2003年3月発行
-価格: 1,785円(税込)
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星野智幸の「ファンタジスタ」を読んだ。先日読んだ小説が気になっていたのでさっそく他の作品にも手が伸びたのだが、同時に著者のサイトを覗いてみたら日記がまるで共同通信記者のブログのように政治的な内容だった。
この作品は3つの中篇がまとまっているのだけど、やはり政治色の強い言葉が多い。「目覚めよと人魚は歌う」にはあまりなかった色だ。どうやら最近の作品はこの色が強いらしい。それでも目覚めよ・・にあったような幻想的な描写とキレのよい文体はそのままだ。
これは難しい小説だと思った。素直に面白いと思える部分と、すごく啓蒙的なメッセージが入り込んでいることへの戸惑いとが交互に訪れてきた。私は幻想的な小説はどちらかといえば苦手だった。おとぎ話のような世界は、それをイメージさせることに使う思考力がなぜか負担になってしまうのだ。
星野智幸の小説は確かに幻想的な描写が多いのだが、同時にリアルなのだ。日常のなかに潜んでいる幻想性というのだろうか。なにげなく済ませてしまうことの中に含まれる感情をたくみに言葉ですくい上げた姿が小説だとすれば、そのやり方にとても共感を覚える文体なのだ。
今回著者の作品を読んで幻想的と言われている小説が、そのメタファーが与える見通しの良さを楽しむものだということがなんとなく分かった。気持ちの処理はレイヤーのように重なったままで分離作業をしていると感じることがある。いまムカついたことはいったん保留にして、昨日からの問題を少し処理して、その間に生まれた新たな感情を背景にムカつきを処理するような。
複雑な感情のフットワークをユニークなメタファーをもちいて記号的に解釈させることは、複雑さをもったまま共感させる力になっていると思う。それは私が「刹那」の中へ落とし込んでいたものを再発見させる。拾い上げられた感情は寂寥だったり驚愕だったりするのだが、なぜかそれらを愛しく思えるのだ。
感情とは自らが創り出したモノでもあり、クリエイトであり、署名された存在であって、当然そこへ親心を生むのだ。星野智幸の小説にはそれを覚醒させる効き目があるようだ。2004-11-17/k.m
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カテゴリー-[[小説]]
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-集英社
-2003年3月発行
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政治色の強い言葉があって、素直に面白いと思う部分と、すごく啓蒙的なメッセージが入り込んでいることへの戸惑いとが交互に訪れて来る小説。そして幻想的な表現が多い。これを読む前、幻想的な小説はどちらかといえば苦手だった。おとぎ話のような世界観は、それをイメージさせることに使う想像力がなぜか負担になってしまっていた。
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星野智幸の小説は確かに幻想的な描写が多いのだけど、同時にすごく現実的でもある。日常のなかに潜んでいる幻想性というのだろうか。なにげなく済ませてしまうことの中に含まれる感情をたくみに言葉ですくい上げた姿が小説だとすれば、そのやり方にとても共感を覚える文体だ。幻想的と言われている小説が、そのメタファーが与える見通しの良さを楽しむものだということがなんとなく分かった。
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複雑な感情のネットワークをユニークなメタファーをもちいて記号的に解釈させることは、複雑さをもったまま共感させる力になっていると思う。それは私が「刹那」の中へ落とし込んでいたものを再発見させる。拾い上げられた感情は寂寥だったり驚愕だったりするけど、なぜかそれらを「愛しく」思える。感情とは自らの創造物でもあり、クリエイトであり、署名された存在であって、当然そこへ親心を生む。星野智幸の小説にはそれを覚醒させる効き目があるようだ。2004-11-17/k.m
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