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-2003日本/東北新社=リトル・モア
-監督・脚本:[[豊田利晃]]
-製作:竹井正和/瀬崎巌/石川富康/菊地美世志/小西啓介
-撮影:藤澤順一
-音楽:dip
-出演:松田龍平/原田芳雄/千原浩史/鬼丸/板尾創路/KEE/マメ山田
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個人的に現在日本の若手で一番期待している映画監督の一人である豊田利晃さん最新作。公開2日目。混雑を予想して午前中の回へ行く。会場は日曜日だが半分も埋まっていなかった・・・。
刑務所の中はどうも共同体的なぬるい空気なものか、殺伐としたいじめのそれか、どちらも門切り型でありきたりに感じてしまうのだが、この映画は前者のタイプだった。けれどほんの数分後には脱走のシーンとなり、得意の大音量バックのスローモーションという阪本順治監督ゆずりなオープニングにはやくも鳥肌。ああ、またこの感じに出会えた。撮影が[[笠松則通:http://www.jmdb.ne.jp/person/p0062950.htm]]さんでないのが残念だが。
9人という大人数の場合、キャラクターをどう立たせるか、またどう絡まっていくかが見所だが、この映画の場合それは「消え方」にあった・・。これは破滅へのロードムーヴィではないか。脱走して駆け抜ける冒頭のシーンから、悲劇は始まっていたように思う。
9人にはそれぞれ会うべき人がいて、同時に彼らを映し出す鏡にもなっている。再会や出会いと共に破滅の序曲となり、直前のユーモアがとぎれる瞬間まで明らかにされない。笑いながら顔が硬直してしまうのだ。この絶望的なまでに残酷な一瞬が豊田監督の打ち出してくる映像にはある。
その一瞬とは時間的にはある一定の連続した長さで、音楽とスローの組み合わせにより引き延ばされた一瞬だ。映画は時間を自在に体験させてくれるメディアだと思うが、引き延ばされた一瞬は、同時に密度の濃い刹那として印象に残る。
想像以上に悲惨な結末となるのだが、心温まる場面も多い。これが豊田作品だという安心と、さらなる裏切りもある作品。
***コメントをぜひ [#l0a1dfde]
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カテゴリー-[[映画]]