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監督: ベルナルド・ベルトルッチ
原作: ジェームズ・ラスダン
脚本: クレア・ペプロー/ベルナルド・ベルトルッチ
出演:デビッド・シューリス/サンディ・ニュートン/クラウディオ・サンタマリ
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アフリカから亡命したメイド、シャンドライと、彼女の夫を救うためにすべての財産を投げ打つ音楽家、キンスキーの「無償の愛」を描いたもの。
無償の愛というのも、難しいテーマだ。描かれる人物が、あまりに出来過ぎていても入り込めないし、かといって宗教的すぎる慈悲愛にもリアリティーを感じない。ヨーロッパの人なので、キリスト教的慈悲の愛かと思うが、アジアへのこだわりを見せるベルトルッチなので、やはりブッダの唱える仏教的な慈悲なのだろうか。
個人的に、「リトル・ブッタ」は、西洋からのオリエンタリズムにしか見えず、まだジャン・ジャック・アノー監督の「セブンイヤーズ・イン・チベット」の方が、中国共産党をリアルに描いていて、共感出来る面が多かった。
叔母の遺産を受け継いで裕福な暮らしをする音楽家キンスキー。シャンドライとは、メイドという設定での出会い。確かに人種の差を描くのに、これぐらいの、ちょっとわざとらしい設定の方が、かへって伝わるものがあるのかもしれないが・・。
アフリカの独裁政治を物語る背景、医学部に通うシャンドライなど、ちょっと中途半端な背景描写の気になる映画でしたが、「リトル・ブッダ」や「シェルタリング・スカイ」を通じて、アジアを情熱的に描いていたベルトルッチの、本国イタリアでの描写は、切なく魅惑的でした。
キンスキーがひかれたいった、シャンドライの魅力。それはオープニングでのアフリカ海岸沿いを俯瞰で捉えたダイナミックなショットのような、広大な「大地」を思わせるものなのか。ここにもちょっと東洋へのオリエンタリズムに近い印象を感じた・・。
随所に、無垢さをみせるキンスキー。彼の仕掛ける思いは、悪戯じみたものばかりだ。荷物用のエレベーターを使ってのそれは、螺旋階段(とても美しい階段!)とならび、この映画の中心的存在にまで感じられる。ここらあたりの小道具には、ベルトルッチの無邪気さを感じる。
しかし、2人の間に存在する、大きな生涯の差、それを埋めるものは、そんな無垢な気持ちであったのだろう。ラストシーンの、夫がタクシーでやってきて、ベルを押す手のアップ。・・なんだかどうにもならないもどかしさへ、かえってジーンときてしまいました。
映像美と音楽のバランスの良さも、なかなかグッドでした。00.02.13/k.m
***コメントなど [#x603e14c]
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-カテゴリー-[[映画]]