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『少女は踊る暗い闇の中踊る』(講談社ノベルズ/2006)


作品の情報

  • 第34回メフィスト賞受賞作。帯の文句:第34回メフィスト賞受賞!子供たちのダークサイドを抉る青春ノワールの進化型デビュー!凄惨だけど、爽やかです。

あらすじ

  • 連続乳児誘拐事件に震撼する岡山市内で、コインランドリー管理の仕事をしながら、無為な日々を消化する北原結平・19歳。自らが犯した過去の“罪”に囚われ続け、後悔に塗(まみ)れていた。だが、深夜のコンビニで出会ったセーラー服の少女・蒼以(あおい)によって、孤独な日常が一変する。正体不明のシリアルキラー“ウサガワ”の出現。過去の出来事のフラッシュバック。暴走する感情。溢れ出す抑圧。一連の事件の奥に潜む更なる闇。結平も蒼以もあなたも、もう後戻りはできない!!(カバー裏引用)

得点(10点満点)

  • 5 (K2)

良い点

  • 狂気と猟奇の世界に踏み込んでしまった主人公の焦燥感と彼を含む登場人物のたがが外れたような狂い方はそれなりに鬼気迫るものがある。(K2)

悪い点

  • 舞城の影響が大きいのか猟奇描写や方言を駆使した会話などにオリジナリティがあまり感じられなかった。
  • 物語のカタルシスに欠ける。
  • 文章がまだ洗練されていない。(K2)

ここがポイント!

  • 「若さ」(K2)

総評

  • 疾走感と情感に欠ける舞城と評するのは流石に斬り捨てすぎであろうか。しかし、パーツパーツがどこかで見たような感がぬぐえなかった。どこか自家中毒的なじめじめとした描写は好き嫌いが分かれそうであるが、酷く気になるほどではない。むしろ、猟奇シーンになると突如としてリアリティがどこかへ失せてしまうのが、妙に浮いていて気になる。例えば舞城の『煙か土か食い物』の場合、全体的な禍々しさや非日常感、そして畳み掛ける文体でリアリティを吟味すること自体をナンセンスに見せていたと思うのだが。

  • 「若者(というか未成年)の秘めた絶望」や「病んだ社会」を描きたいのかもしれないが、今ひとつ中途半端で幼い。駄作ではないのだが「がんばりましたね」というレベルで落ち着いている。メフィスト賞ならではの衝撃や青春ノワールの進化型といった煽りにはまだ早すぎるだろう。

  • ここがポイント!に「若さ」と書いたが、「若さゆえの蛮行」というよりは、舞城・エルロイ好きの高校生がつい作品を書いてみましたという迂闊さが大きい。「19歳がこれを書いたのか!」という驚きは0ではないが限りなく少なかった。採点は5点とする。(06/06/13 K2)