六 章


僕がこの高校に入学して初めて彼女に出会った。そして、驚愕の事実を知らされ
『ヨーグルト』の研究を手伝うようになったのが6月。
その日からは休みの日も毎日彼女の家に通った。
おかげで期末テストの結果は散々だったけど、僕は大して気にならなかった。
中学生の頃はただ「やらなければいけない」というだけで、目的もなく学業に精を出したが、
今にして思えばそんなに大事な事だったのだろうかと、不思議に感じる。
彼女の側で一緒に研究や実験をしてると、その思いはますます強くなる。
今あるこの瞬間がいかに有意義なものなのだろうかと。

季節は夏になり、ほとんどのクラスメートは部活動に専念したり、
学習塾の夏期集中講座に参加をしていたが、僕と彼女は変わらずに研究所に籠もっていた。
むしろ学校がないぶん朝から晩まで研究に没頭出来た。
長時間の作業やデータを必要とする実験が出来ることから、夏休みは実に好都合だった。
僕は彼女と研究所にいるこの時間が楽しかった。と、言っても彼女は根っからの無口で、
1日の会話が全くない日もあったが、一緒に実験をして(僕は助手だが)予測通りのデータが得られた時は、
僕の方を向き「この理論は実証されました」と、いつもの無表情と抑揚のない声で言うのだ。
でも、僕にはそれがとても嬉しそうに見えた。
私見や感想を一切交えず、淡々と事実だけを語っていく彼女だが、長い時を一緒に過ごすと、
なんとなく彼女の中の極端に幅が狭い感情の揺らぎを、感じることがあった。
それもまた、楽しかった。

それに、僕が作る料理を黙々と口に運ぶ彼女をみるのも、楽しかった。
特に「美味しい」だの「不味い」だの料理対する評価を下すわけではないが、
僕が作ったものは残さずに食べてくれた。
そして作り置きしていった料理も、次の日にはキレイに平らげ、鍋を洗ってくれていた。
今では駅構内スーパーマーケットで食材の買い出しに、彼女も付き合っている。
「私の食費なので」と、お金は全て彼女が出してくれる。
一緒に買い物をするのが、楽しかった。
時々、僕が持つ買い物カゴに鶏肉や魚、お菓子などを無言で入れていく彼女を見るのが、また楽しかった。
僕はこの数ヶ月間、まるで夢のような時間を過ごした。
彼女と一緒に実験をするのが楽しかった。
一緒に食事をするのが楽しかった。
一緒に買い物をするのが楽しかった。
一緒に居るだけで、楽しかった。
ずっとこの時間が続いてくれればと、心の奥底でそっと願った。
永遠なんてありえないと知りつつも、そう願っていた。
短い夏が過ぎて、暑さが徐々に涼しさに変わっていくにつれ、実験回数がだんだん減ってきて、
論文作成の為にパソコンに向かう時間が増えてきた。

彼女曰わく、『ヨーグルト』は完成していた。



夏休みも終わり、学校も二学期が始まった。久々に見るクラスメートの顔が違ったように見えた。
みんな部活動や塾に精を出していたが、それだけではなく健全か不健全かわからないが
それぞれ充実した夏休みを過ごしたのが、会話の端に触れただけでわかった。
夏祭りや海、女の子、果てはナンパなんて単語も飛び出して、僕は友人の会話を聞いてドギマギした。
僕もそれなりに充実した夏休みだったと自分では思っていたが、どうやらみんなとは違った夏休みを過ごしたらしい。
僕は友人の会話に混じれず、話の内容に目を白黒させていると、友人の一人が急に
「で、おまえはどうなんよ?またあの無口っ子とデートしてたん?」
と、話を振ってきた。僕は驚いて返答に困ったが、周りの友人達は僕を見ながらニヤニヤしていた。
「オレ、あの無口っ子と結構近所でさ、おまえ等がスーパーで買い物してるの、何回も見てるんだよね~」
と、その中の一人が額に指を立てて、ワザと考えるような仕草をした。
そういえば、こいつも末広町方面だった。他の友人達も
「その話、かなり有名だよな!」
「で、結局おまえ等ってどういう関係なん?」
と、騒ぎ立て始めた。他のクラスメートも、いつの間にかクスクス笑いながらこっちを見ている。

僕は正直焦った。僕達が一緒にいたのが、知らない間に噂になっていたなんて。
まぁ、いつも一緒に下校をしてたんだから、それは当然だろう。ただ、どういう関係だと言われても、困る。
なにせ、僕自身がその質問に答えられない。まさかみんなに研究のことを話すわけにはいかない。
そもそも信じてくれるわけがない。それに、彼女自身も僕の事をどう思っているのかすら知らない。
多分覚えが悪い助手か、はたまた便利な家政婦か、はたまた単純に発酵抑制物質としか見ていないのではないか。
僕がほとほと悩んでいると、そこにタイミング悪く、彼女が登校してきた。
みんなの好奇の目が、一斉に彼女に向けられる。
それを待ってましたと言わんばかりに、友人の一人が弛緩した顔で彼女に訊ねた。
「お前、こいつと付き合ってるの?」
周りの友人達が目を爛々と輝かしている。他のクラスメートはヒソヒソしたり、固唾を飲んで見守っている。
僕は赤い顔をして呆然と彼女の答えを待った。
この場から逃げ出したかった。

彼女は常と変わらず、無表情だが相手をその場に張り付けるような力強い瞳を、不躾な質問をした友人に向け、数秒静止した。
本当に僅か数秒だったが、クラスメートはしばらくの長い休みのせいで忘れていた、
彼女が作る重い沈黙の効力を思い出し、黙り込み顔を伏せた。
同時に思い出した友人は、調子に乗りすぎた自分をたしなめるように、ツイと顔を背けたと同時に彼女は沈黙を破った。
「質問に対する的確な返答内容が該当しません。」
これまたいつもと変わらず抑揚のない声で答えたが、それで充分だった。
クラスメートは更に沈黙し、友人もそれ以上何も言えなくなった。
そのクラス全体の無言を彼女は、またもや返答に対する了解を得たと判断したのだろう。
視線を離すと自席に座し、一学期と変わらずノートにペンを走らせる作業に没頭した。
きっとみんなは、今の質問が彼女の逆鱗に触れたと思ったのだろう。
確かに彼女の返答は、言い換えれば「なんであんたに答えなくちゃいけないの?」と捉えることも出来るだろう。
でも、僕には彼女の言っている意味がそのまま理解出来た。
彼女は余計な揶揄や皮肉を混ぜて話さない。
さらに個人の感想や主観も挟まない。ただ、誰に対しても事実のみを伝える。
つまり彼女にもわからないのである。

多分、さっき僕が聞かれた「どういった関係?」といった質問だったら、
彼女ならば研究のことや僕の中にある特殊物質のことも、事細かに説明しただろう。
でも、今回の質問は「付き合っているか」否かである。
答えられるわけがない。
彼女には恋愛感情が理解出来ないのだから。
彼女が「付き合い」という単語を知らない訳がない。
ただ彼女にしてみたら「僕と彼女が付き合っている」という状態に、僕達とは齟齬が出てしまうのだ。
故にあのような答えしか返せないのである。
僕は騒ぎがうやむやのまま終わってくれた事にホッとしつつ、少し残念に思っていた。
やっぱり彼女にとっての僕は単なる協力者らしい。
わかっていたことだったけど、改めて実感してしまうと寂寥感が胸を占めていく。
それに多分、そう遠くないうちに研究は終わる。
彼女との繋がりが消える日がきてしまう。



二学期が始まり約一カ月がすぎた頃。いつもは多種多様な回転音を響かせていた実験道具は今は鳴りを潜め、
変わりに研究所にはパソコンのキーボードとマウスを操作する音だけが響いていた。
夏休みが始まって6日目。僕の体内から摘出し続けた『ヨーグルト』に必要不可欠な抑制物質の無限増殖に成功した。
それからは実験がスムーズに進行していった。
きっと彼女の頭脳の中には、既に『ヨーグルト』の構築式が完全に出来上がっていたのだろう。
彼女にしてみれば、実験なんかはいわゆる確認作業なのである。
そうとしか思えない程、実験結果は彼女が言い表した数値と誤差がなかった。
彼女と僕は夏休みのうちに出来る限りの実験をし尽くし、数々のデータをはじき出した。
学校生活に縛られる今、その莫大なデータの集計に追われつつ、論文作成を手掛けていく。
彼女と僕は、並んでパソコンの前に座り、彼女は論文の作成。
僕はデータの整理やグラフの作成をするのが、最近の作業だった。
「しかし、僕にはどうにも不思議だよ」
「何が、でしょうか?」
僕達は目線はデスクトップから離さず、声だけで会話をした。
「だってさ、この『ヨーグルト』ってさ、普通に考えたら世紀の大発明じゃん。
そんなのが僅か、えーとだいたい四カ月で出来ちゃうんだもん」

「現在、多数の科学者が行っている余たの実験など単なるジグソーパズルのピースをはめているだけだと言われています」
「?どういうこと?」
「相対性理論なとが良い例でしょう。
アインシュタインが件の理論を世に排出するまでは科学者は古典力学を元に研究を重ねていました。
しかし相対性理論が真理に近いとなれば今度はこぞって相対性理論を元に研究を重ねる。
結果理論の証明をより確固たるものにしていく。
つまり一摘みの科学者を除けばその他の科学者は既存の理論の枠でしか研究が出来ないのです。」
「なるほどね。でも『ヨーグルト』は違うでしょ?君が独自に開発した研究だろ?」
「以前説明した通りにこの研究を最初に着手したのは今は無き健康食品会社と一部の団体です。
私もジグソーパズルをしている者の一人なのです」
「そうだっけ。でも、僕の抑制物質や君の分解因子を考えついたのは君じゃないの?」
「私の父です」

前に聞いた不慮の事故で亡くなった彼女のお父さん。
そうか、彼女はお父さんの研究を引き継いでいたのか…。
今更ながら、ここに色んな実験道具があることや、彼女がここで寝る間も惜しんで研究をしている理由がわかった。
ちょっと考えればわかったようなことなのに。自分の浅はかさに嫌気がさしてくる。
しばらく考え込んで黙っていたせいで、僕と彼女の間にイヤな沈黙を作ってしまった。
彼女は気にしないと思ったが、僕はわざと話題を変えようと違う質問を投げかけた。
「この論文が出来たらさ、勿論学会に発表するんだろ?その後はどうなるの?」
「どうもしませんが」
即答だった。
「弱小ですが『ヨーグルト』を学会内で認めさせようと躍進している団体があります。
そこにこの論文を父の名前で提出し、後は団体の活躍に期待します」
「それは…それじゃあ君が頑張ったことが、世の中に認められないじゃないか…」
「単なる一介の女学生が発表する研究なぞに学会が興味をしめすとでも?各々が各々の得意分野で合理的に努力するべきです」
僕は何も言えなくなった。

彼女の言うことは確かに正しいと思う。
でも僕は今まで彼女の頑張りをずっと見てきたつもりだった。
朝、学校に来てから帰るまで机にかじりつく彼女。
食事もろくに取らずに実験を繰り返す彼女。
徹夜をしたのがすぐに判るほど目の下にクマを作っているときもある彼女。
それを思い出すと、彼女が何一つ認められることなく『ヨーグルト』が世の中に認められるなんてことがあるのなら、
あまりにも報われないのではないか?
僕はやるせない気持ちになり、手を止めて下を向いてしまった。
彼女はちらりと僕を一瞥すると、また淡々と作業に戻った。

次の日。いつものように放課後彼女の家に着くと、僕に論文作成の課題を言い渡した彼女は研究所の奥へと消えていった。
少し不思議に思ったが、昨日まで手を着けていたデータ整理を思い出し、僕はパソコンの前に向かった。
一時間程作業に集中し、そろそろ夕飯の準備でもしようかと思い、僕は冷蔵庫の中を点検するため席を立った。
そして立ち上がり振り向くと、すぐ後ろに彼女がいた。
僕はびっくりしてたたらを踏むと、彼女は相変わらず抑揚のない声で
「あなたにお見せしたいものがあります」と言うと、くるりと振り返り奥へと向かった。
いつもながら、まったく後ろにいるなら声くらい掛けてもいいじゃないか、
と心の中で文句を言いながら僕は彼女の後に続いた。
彼女から招かれた場所は、二畳くらいのガラスで囲まれた部屋。
いつしか『ヨーグルト』がこの目で見たいとせがむ僕に、渋々了解した彼女が実験を行った部屋だった。
結局、エンジンを木っ端微塵に破壊して度胆を抜かれた苦い経験だけが残ったが…。
ガラス部屋の内側には、あの時と同じようにエンジンがポツリの鎮座していた。
ただ以前と違うのは、動力部にだけ複雑に導線が絡んでいたが、その他の配線は見当たらない。
どうやら今回は測定するための実験ではないらしい。

彼女は何を僕に見せたいのだろう?疑問に思っていると、乳白色の固まりが入ったシャーレを持った彼女が僕を見つめていた。
なんだろう?カリフラワーにも見えるような気もするが、少し違う。
それにもっと近くで見てみると柔らかそうな、僕が嫌いなこの臭いは…。
僕はシャーレの物体を凝視して「ヨーグルト」と呟くと、彼女は「いいえ。ケフィアです」と短く反論した。
これがケフィア…。初めて目にする。
「これより原動機を用いた突発性過発酵エネルギーの検証を行います」とだけ言うと、
彼女はガラス部屋の中に入り、エンジンにセッティングを始めた。
僕は前回の実験を思い出していた。
目を離していたスキに突然爆発して終わった実験。
今、思い返しても恐ろしい光景だった。
耳を裂くような爆発音。
ガラスに叩きつけられた金属の破片。
またアレが起きるのかもしれないと思うと、身震いがする。
セッティングが終わり操作盤の前に戻ってきた彼女は「では始めます」と、短く開始を告げた。
そしてレバーを無造作に引くと、ガラス部屋の中でエンジンが静かに稼動を始めた。

最初はゆっくりとピストンしていたエンジンは次第に動きを増し、10秒もしないうちに安定した動作を保っていた。
ホッと胸をなで下ろし、決まったリズムで稼動するエンジンを眺めていると、彼女もガラス部屋に視線を向けながら語り始めた。
「あなたもご存知のように突発性過発酵エネルギーは小資源で高効率なエネルギー供給が得られますが
バイオエネルギーのような一般生活での使用には向いていません」
「えーと、熱量変換効率が良すぎるんだっけ。だから発電所での活用が最も適している、だよね?」
「そうです。ただしこのケフィア菌ヨーグルトに関してはご覧のように
何故か突発力が抑えられた安定感あるエネルギーが得られます。」
「それについては研究しないの?」
「真理の探求を生業とする科学者ならばさらに追求すべきでしょうが…」
何故か彼女はそこで言葉を区切り、小さく溜め息をついた。
「今後の課題にしましょう」
普段の彼女からは想像出来ない弱気な仕草だったが、僕は触れてはいけない部分と思い、相槌を遠慮した。
そしてまたしばらく静かに稼働するエンジンを眺めていたが、いつの間にか隣で彼女がこちらに体を向けているのに気付いた。
僕も彼女に向き合うと、彼女はペコリと頭を下げた。

「あなたのご協力のおかげで私の目的が完遂することが出来ました。多大なる感謝を申し上げます」
急にお礼を言い始めた彼女に戸惑ったが、僕は彼女の真意を悟った。
「研究の完成を祝しあなたが以前要望した実験を完全版でご覧頂きました。
あなたには実験だけではなく食事の面までお気遣い頂き、本当に何度お礼を述べても足りないくらいです。
今日で研究は終了です。どうぞ明日からは普通の生活をお過ごし下さい」
もう一度深く頭を下げ、小さくありがとうございましたと彼女は呟いた。
僕はこの時が来るのをわかっていたのに、いざ彼女に面と向かって告げられると、ただただ頭が真っ白になった。
何も考えられず立ち尽くす僕に、彼女は無表情に力強い瞳で見つめていた。
どのくらいの時間、そのまま見つめ合っていただろうか。
僕はようやく口を開き、
「夕飯だけは作っていくよ」
という言葉だけ、絞り出した。

外はすっかり薄暗くなっていた。顔に当たる風が少し肌寒い。
いつものように、玄関まで見送ってくれた彼女は、
「明日からはしばらく学校を休もうと思います」
と小さく呟いた。大きく目を開けた僕をそのまま見据え、
「研究所の整理をしたいですし学会や団体から連絡があるかも知れませんし…なにより…」
そこまで話すと、さっきのガラス部屋の実験室で見せた弱気な顔を下に伏せて、
「私は少し疲れました…」と、消え入りそうな小さな声で呟いた。
それはそうだ。
二年前に両親を亡くして精神的にも辛い状態だったろうに、誰にも頼らず黙々と研究を続けてきたのだ。
彼女にしてみたら、やっと今になって束の間の安息を得たのだろう。
僕も小さな声で「わかった」とだけ呟くと、後は何も言えなくなった。
こんな時はなんて言ったらいいんだろう?

伝えたいことや話してみたいことはいっぱいあったのに、いざとなると何も言葉に出来ない。
ありがとうと言いたかったのはむしろ僕のほうだった。
これまで味わったことがないような楽しいことをくれたのは、彼女だった。
今日で終わりなんかじゃなくて、明日からもここで一緒に肩を並べて研究をしたかった。
彼女に食べて欲しい料理だってまだたくさんある。
そして…一番伝えたいことだってある。
彼女と一緒に「これから」をもっと作っていきたかった。

…でも、僕の思いは何一つ言葉にすることは出来なかった。

そしてやっとの思いで顔を上げ、精一杯の空元気を作り
「ご飯はちゃんと食べるんだよ」とわざと声を弾ませて言った。
すると彼女はゆっくり顔を上げ、いつもの無表情に不似合いの強い光を宿した瞳を僕に向けて「考慮します」と短く告げた。

そして、明日にでもまた会うような短い挨拶を交わし、僕は思い出がたくさん詰まった研究所を後にした。
しばらく歩いてから振り向くと、彼女はまだ僕を見送っていた。
またしばらく歩いてから気になって振り向くと、彼女はまだそこにいた。
少し歩いて振り返りまた進み、それを何度も繰り返したが、彼女はいつまでもそこにいた。
僕の姿が見えなくなるまで、見送ってくれた。
帰りの電車に揺られながら、僕は明日から何をしようか思案していた。
まずは遅れがちだった学業を励み、みんなに追いつかなくちゃ。
自主学習だけでは不安だからいっそのこと、塾に行こうかな。
明日学校に行ったらクラスメートに良いところがあるか聞いてみよう。
そんなことを考えていたが、頭の中は彼女のことでいっぱいで、勉強のことは浮かんでは消えてまた浮かんでは消えた。
そして最後には何も考えられなくなり、不意に彼女の感情に乏しい顔にそぐわない力強い瞳を思い出した時、涙がこぼれた。
電車の中、人目もはばからず僕は泣き続けた。


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最終更新:2008年03月04日 14:05