光の虚人――ひかりのきょじん


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「貴方はがんばった。素直に称賛しましょう。ですが、ここまでです」

半分機械でできているサンダルフォンはチャイルドやオーファンとは違い、その最後も幻想的とは程遠いものだった。
爆発したのだ。
その爆風に煽られて、感電もまた地に落ちる。
読んでみたところ、彼のMPはもう0だ。
ライフも一桁あるかないか。

チェックメイト。

『デュワッ!』

カオスロイドU。
ミニサスペリアより回収した予約被りに定評のtu4氏が最後に習得した没ネタを統べる力。
元が同一存在とはいえ別人であるwiki管理人には使いこなせはしなかったが、最強の番人を呼び出すくらいは可能であったのだ。

「あのスパロボ最強と名高いフォルカでも一人では勝てなかった闇の巨神。勝てるはずがありません」

奇跡でも、起きない限りは。

「……ふん、ばかばかしい。私まで読み手様に侵されてしまったというのですか?」

ただ、このまま終わってしまってはつまらないと、そう思ってしまっただけだ。

「私は、読み手です」

結果が分かり切った戦いでも、読むことを放棄するつもりはない。
自分は読み手だ、どんな話でも最後まで読み明かすまで。





「ざ、ケル!! デ、イン!! でんき、ショック!!」

呪文をどれだけ唱えても、初級すら発動してくれない。
魔力は完全に底をついた。
wiki管理人に怪しまれることを避けて、支給品の類は一切ラピュタからは持ち出していない。
だから、最後の頼みの綱は、一つだけだ。


――ヴァルセーレの剣


ラピュタロボ同様、アニロワ2ndにおいてリュシータ・トエル・ウル・ラピュタの主力を担った剣。
自分を殺しにきたプー太氏が使っていた武器。

そんなアイテムに全てを託さなければならない数奇な巡り合わせに苦笑する。

余裕の表れか、それとも自身の攻撃や行動でゲートを壊しては元も子もないからか。
カオスロイドは走ることなく、ゆっくりと俺に向かって歩を進める。
おかげで何とか口だけでデイパックから剣の柄を咥えて引き摺り出すことができた。

大丈夫だ。

魔力の無い筈のシータでも一回限定だが発動できたのだ。
魔力切れした自分にも使えるはずだ。

「――ヴァルセレ・オズ・マール・ソルドン」

カタカタと手に握る剣が震え、次の瞬間にその刀身のぼやけるようにダブる。
否、刀身がダブったのではなく、刀身と重なるように半透明の刃が出現したのだ。
そしてそれは留まる勢いを知らず、彼女の命令通りに千の刃となって放出――ゲートを狙う。

「届ええええええええええええええええええええええええ!!」

千の刃が空間を歪めゲートを覆うかのように出現し、殺到する。
直後。

信じられないものを見た。
カオスロイドだ。
カオスロイドがその巨体には似合わない速さで、残像だけを残し、剣の渦に突っ込んだのだ。
拳のラッシュで剣の雨を打ち落としにかかるカオスロイド。
さらに紫の輪が帯のように体からにじみ出る。
剣に光がぶつかると、それは拘束具へと変貌。
刃や柄をつたって他の何十もの剣を一括りに拘束する。
カオス・キャッチリングでバラバラに降り注いでいた剣を数グループに纏めたカオスロイドは後ろに手をゆっくりと引く。
その腕が、光の粒子にほどけていく。そして、先ほどサンダルフォンを引き裂いた輪へ。
腕全体を一般の刃へと変換するカオス・ウルトラスラッシュ。
それはオリジナルの八つ裂き光輪や、3人目のウルトラスラッシュのように手のひらサイズではない。
断頭台のギロチンのように巨大なそれが再び放たれ、上空の剣の束を迎撃。
一つ目の束を壊せば二つ目へ、二つ目の束を壊せば三つ目へ、三つ目の束を壊せば四つ目へ……。


こうして、千の刃は、一本も届くことなく、全て、砕け散った。


「ジュワッ!」

奴の声が勝ち誇っているように聞こえて耳に障る。
あれもまた心なき存在だとは知っている。
それでも、憤らずにはいられなかった。

ちっくしょお、こんなの、ありかよ……。
ゲートは、すぐそこなのだ。
目に見える位置にあるのだ。
目算で、十メートル。

その十メートルがやけに遠い。
奴になら一秒もかからずに埋められる距離だというのに!

ご丁寧にカオスロイドは両腕を発光させ、止めの一撃を撃つ気が満々だってことが嫌でもわかる。
円を描きカオスロイドの腕が十字に組まれる。
使えば、エネルギー消費で自分の存在が危なくなるとか、そんなことは考えもせずに。
ヴァルセレ・オズ・マール・ソルドンを使ったことで、俺に対する警戒レベルが上がったのかもしれない。

そんなもんがあったら、とっくに使ってるさ。

形だけを真似られたカラータイマーから、両腕に力が流れていく。
黒い神の、究極の力………カオス・スペシウム光線。
交差した腕が、前へと突き出される。
漏れ出す力が、コントロールを失い暴れるが、それが強引にまとめあげられていく。

今度こそ万策は尽きた。

あるべきでない力を、暴れる力を一つにすることで、強烈な不協和音が、カオスロイドのいた場所から放たれる。
視界を染め上げる黒い極光。
光を拒否する神に相応しい絶望をもたらす闇。

なのに

「真理の雷!!」

俺は

「ボルテッカアアア!!」

なんで

「ミナ・デイイイイイイイン!!」

出ないと

「シン・ベルワン・バオウ・ザケルガアアア !!」

わかっていても

「天光満つる所に我はあり」

唱え続けちまうんだろなあ!!

「黄泉の門ひらく所に汝あり」

んなの決まってる。

「出でよ 神の雷」

諦めきれないからだ。

「インディグネイション!!」

諦めちまうにはもったいなすぎるからだ!!
無明の闇はもう目の前で。
怖くて怖くてガタガタ身体は震えちまっているのに。
口は一向に閉じる気配を見せずに力ある言葉を放ち続ける。

誰かの声が、誰かの顔が浮かんでは消えて行く。

そうだ。
俺は、
俺は、あいつらを!!
護るんだあああああああああああああああああああああああああ!!


『……get set』


声が、した。

「……あ?」

俺しかいない筈の世界で、たった今闇に呑みこまれようとしている世界で。
そこだけは、光ってた。
違う。
場所じゃない。
宝石だ。
三角形に近い、黄金色の宝石が己が存在を知らせるように点滅していた。

「バルディ……シュ?」
『Yes, sir.』

元はジョーカーである◆6/WWxs9O1sに支給されたカオスバビロンが財宝の一つ。
閃光の戦斧、バルディッシュ。
登場話で666の手によってリストブレイカーと融合したそれが、確かにそこにあった。
一発の、カートリッジをその身に残したアニロワ1st出典のバルディッシュが。
手を伸ばし、掴もうとして、腕が動かないのを思い出す。
と、宝石が姿を変え、斧となる。
俺の身体状況がわかっているみたいで、口付近に柄を投げ出す形になった。
その心遣いに心の中で礼を言い、口で咥える。

カートリッジはたったの一発。
どれだけ強力な魔力が込められていても、それだけでこの闇をゲートごと吹き飛ばす魔法は撃てない。
だったら、借りればいい。

目を閉じて精神を集中、前面に魔法陣を投射。
同時に、周囲から光が集い出す。

『9……8……7……』

そう、アニロワ1stにおいてバルディッシュは本来の主であるフェイトが使う前に、
彼女の親友にしてライバルであるなのはに運用され『あの魔法』を使用したのだ。

スターライトブレイカー。

威力だけならばあらゆる魔法を凌駕する、高町なのはの切り札!
術者がそれまでに使用した魔力に加えて、周囲の魔導師が使用した魔力をもある程度集積することで得た強大な魔力を、一気に放出する攻撃魔法。
これなら、元の魔力がカートリッジ一発分でも、なんら問題は無い。

『6……5……4……』

だがその声を遮るかのように、魔力収束が完了するよりも僅かに速くカオス・スペシウム光線が着弾する。
地に這いつくばっている俺に、それを回避するのは不可能。
チャージに全力を注いでいたバルディッシュも障壁を張ることができなかった。

身体が原子レベルにまで分解されていく。
全ては、一瞬のできごとで。
痛いとか、苦しいとか、感じる間も無かった。


『Don't worry』


ただ。
終わる世界で。
バルディッシュのそんな声だけが聞こえて。

「そっか。安心した」

俺は――




K.K.は、呆然としていた。
なんなのですか、この展開は?
奮戦空しく感電は敗れ、カオススペシウム光線の闇の中で溶けて死にました。
それはいい。
そこまではいいのです。
では、何故戦いが感電が死んだ後も続いているのですか!?
今バルディッシュを手に取り、カオスロイドUに立ち向かっている人影は何なのですか!?
カオスロイドと相反する光の巨人を思わせる、あの光る人型は!!

わからない、わからない、わからない!

あまりのパニックに空気を読み禁じていた『あらゆる事象を読む力』を躊躇なく使用するも、
導き出された解答が彼女を更に困惑させるものだった。

『光る人型の正体は感電ことR-0109、及び焦ったドラえもんとは別個体だが、
 紛れもなく感電と呼ばれた書き手がSSに残した思念が寄り集まって生まれた存在である。
 他の書き手とは違い、参加ロワに選ばれたロワ、またはその後継以外の非常に多くのロワにおいて書き手であった。
 その彼の選外ロワ作品の残留思念が、ミナデイン、シン・ベルワン・バオウ・ザケルガといった仲間の力を借りる呪文に応え、
 ダイダルゲートを通じて感電の基に集まったのだと思われる。
 ただ、外枠になる身体を与えられ無かったのにも関わらず、固体として一つの形を取るに至った理由は不明』

不明。
あらゆる事象を読めるはずの彼女にあってはならない言葉だ。
だが、何度試しても結果は変わらない。

不明、回答不可、読解できません。

「そんな! そんな馬鹿な!! 私には、あらゆる事象が読めるはず!! なのに、何故わからない!?」




罅割れたバルディッシュは仰ぎ見る。
自らを振るうその人物を。
DG細胞の力でエネルギーを補給されたカオスロイドと対峙するその人物を。
いや、それを人と定義してもいいのだろうか?
確かにその輪郭は人間の物に近い。
サイズもだ。
しかし、人と呼ぶにはあまりにも他が違っていた。
まずは顔だ。
つるつるなのだ。
のっぺらぼうと言えば分りやすいかもしれない。
目も、鼻も、髪も、耳も、口も無いのだ。
髪と言えば、髪どころか全身に一切の毛が見当たらない。
代わりに全身が発光していた。

そう、光、だ。

人の型を取り、そこに光を詰め込めばこんな感じになるのかも知れない。

そんな怪人物の手に収まりながら、バルディッシュの心は落ち着いていた。
伝わってくるからだ。
握る掌を通して、強く、優しく、温かい思いが。

――護りたい

それは彼の束の間のマスターであった男が抱いていたのと同じ願い。
バルディッシュは思い出す。
あの時、黒い光線がマスターを消滅させた時。
彼が目指していたゲートから幾つもの光が溢れだして来たのだ。
その光からは感電と名乗っていたマスターと同じ魔力の波長を感じて。
不思議とバルディッシュは光の正体を理解した。
他の全てが分からない中、そのことだけは理解できた。

だから、消え逝く感電に告げたのだ。

心配はいらない、と。

安心した、と答え、マスターもまた光と消えた。

『3……2……1……』

今にも機能停止しそうな自身を奮い立たせカウントを続ける。
きっと、この人型なら、そうすることを望んでいると信じて。





その人型に恐れは無かった。
その人型に迷いは無かった。
その人型には幾つもの記憶があった。
その人型が叶えたい願いはたった一つだった。

俺は――護る

彼を。彼女を。あの人を。

この世界で培ったのではない、『あっち』の世界に由来する思いだからこそ、感電のSSにはその思い出が何らかの形で根付いていた。
一つ一つは微々たるものだ。
ラジオに込められた思念産の感電には到底及ぶものではない。
現に焦ったドラえもんは彼らのことを遂に思い出すことが無かった。

けれども。

塵も積もれば山となる。
感電が掲げた友情の炎は、感電と呼ばれた書き手がロワに刻んだ思念を引きつけるだけのものだった。
アケロワから。書き手1から。FFDQ3rdから。サガロワから。文房具ロワから。ヒップホップロワから。etc。
SS、感想問わず、彼が古今東西ロワに残した全ての想いが集ったのだ。
友を守る、その一心で。
願うことが同じだったからこそ、それらは一つになり形を得た。
そして、それらは、その願いを叶える為に、ゲートへと黒き杖を向け、唱える。



「スターライト・バオウ・ミナデイイイイイイイイン!!」






「はは、ははははは、あはははははははは!!」

読み手は笑っていた。
狂ったように笑っていた。

光の人型の身体が解け、桜色の雷を帯びた龍となり、ゲートを庇ったカオスロイドを喰らった。
『聖』属性として時に扱われるデインの前にはゴムの身体も用をなさず、
苦し紛れで撃ったカオス・スペシウム光線ごと噛み砕かれた。

そこで、終わりだった。

イレギュラーを許容しないはどこの世界も一緒だ。
巨龍の顎はゲートを捉えることなく、消滅した。

「はははははははははははは!! そうですよ、私に分らないことが、看過されて良いわけが無い。
 読み手に理解されないSSは、NGなんですよ!!」

自らに分らないものがあるという事実から逃げるように、K.K.は笑い続ける。

彼女は気づいていない。

自分が口にしているのが、読み手様の理屈と大差無いということを。

彼女は気づいていない。

龍の牙は届かなかったが、閃光の戦斧は届いていたということに。

彼女は気づいていない。

『事象』に含まれない想いや願いといった心を読めないということに。

「もう読む必要もない!! 全てが終わったのですから!! 感電の物語は、全て!!」

諦めを選んだ少女は立ち向かわずに逃げ続ける。
その行く末は、誰にも、わからない。





【R-109(感電)@画鋲ラジオ 死亡】





【2日目 深夜】【亜空間内】
【読み手(K.K.)@書き手ロワ2nd】
【状態】:健康、錯乱、動揺
【装備】:核鉄『シークレットトレイル』@武装錬金、IMIデザートイーグル(8/10+1)@ギャルゲロワ1st
【道具】:IMIデザートイーグルの予備マガジン×5、ボタン、???
【思考】:
 基本:wiki管理人に協力する。自分の力に若干の不審。
 1:最後までロワの表の主催者としてロワの結末を見届ける。
 2:自分の考察を信じて、wiki管理人との取引を履行する?
 3:ボタンを使うか使わざるか。



※あらゆる事象を読む事ができます(でも空気を読んでその時に応じて読んだり読まなかったりします)
 事象外である思考・想いといった心に関することは読めません。
※ボタンを押すとフィードバックが始まります(あまり気乗りしない)
※自分の存在意義を揺さぶられる(と思い込んでる)事態に直面したため、冷静さを欠いています
 また分らないことがあったら嫌なので、能力の使用頻度が更に下がっています



【備考】
※ダイダルゲートにバルディッシュ・アサルト(待機モード、機能停止)が突き刺さって(むしろ埋め込まれて)います
 かなり近くまで近づかなければ気づかないでしょう。
 影響はお任せします。
※ダイダルゲート守備軍:デスラピュタロボ×∞
※カオスロイドは没パワーで呼び出したため、一回きりの使用であり、再召喚はできません。破壊済み。


ぱちり。

ダイダルゲートに一瞬だけ紫電が奔る。

――俺の番は終わりだ。続きは頼むぜ、対主催さん。

まるで、そう言い残すかのように。

297:I,wish 投下順に読む 298:幻魔大戦(前編)
297:I,wish 時系列順に読む 298:幻魔大戦(前編)
297:I,wish R-0109(感電)
297:I,wish 読み手(K.K.) 301:THE GREATEST BATTLE
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