全ては我が戯言なり

「全く。何をしているのかな、君は。命はもっと大切にするものだよ」
その声は柔らかく、その言葉は優しかった。
まるで慈母のような微笑を浮かべて、謡うような言葉がつむがれる。
「そんなに無理をするものじゃない。そんなことをしても意味は無いんだから」
一見するととても暖かい労りの言葉だ。
声だけを聴けば彼女の善意は疑うべくもない程に。
「君に出来る選択は二つに一つだ」
そう、それが。
「ここに顕現した本来のカタチを受け入れて何かを為すか。
 それとも何も出来ぬまま迫り来る破滅を受け入れるかのね」
漆黒の悪魔が弱者を見下ろして放つ言葉でなければ。

「どちらもお断りだよ!」
返す叫びは烈火の如く、放たれるのは無数の弾幕。
無数の文字が666の放ったアクセルシューターを受け止める。
だが受け止めた白い文字の弾幕が見る見るうちに漆黒と染まり、砕け散っていく。
アクセルシューターのスフィアは漆黒に染まっていた。
かつて彼女を染めていた罪の証。いや、彼女そのものだった力が球体を強化しているのだ。
愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきましたの異能『驚きの黒さ』はいまや666の力だった。
対する愛媛に異能は無い。
残っているのは文字の弾幕を張る力。そして異能に抑圧されていた熱い、想い!
「私はあの人たちに助けられた! 本来の自分を取り戻した!
 これまで仲間だった人外お兄ちゃんやみんなには悪いと思うけど、でも!」
もう目の前に迫ったアクセルシューターの弾幕を前に愛媛は息を吸った。

――一時停止。

弾幕を張るのに動画内の時間は経過しない。
それはたったの一言より早く、何も無い時間の間隙で生成を終えるのだから。

「真っ赤な誓いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃっ!」

血を吐くような絶叫は業火の如き真紅の文字弾幕へと変貌する。
如何なる漆黒でさえも染めきれない純粋な赤がアクセルシューターの弾幕を呑み込んだ。
「あなたに屈する理由は無いよ!」
声が返った。
――《空間翔転移》。

愛媛は咄嗟に前方へと跳んだ。その背中を剣撃が襲う。
「あぐっ」
かすり傷だ。666の斬撃はまるで加減されたように甘かった。
「そうか、それは残念だ」
まるで落ち込んだ様子もなく、先ほど優しい言葉をかけた時と同じように微笑む。
暖かく、優しく……それゆえに怖気が走るほどの禍々しさを纏って。
「それにしてもまさか地球破壊爆弾とクールなロリスキーに説得されるとはね。
 いや、説得というより物理的な浄化か。地図氏の偽りを秘めた言葉よりはずっとマシだな」
「偽り……何がっ」
「おっとこれは失言だったね」
666はわざとらしく溜息を吐く。
「まあいいか、言いかけて止めるのもマナーに反する。
 どうせ大した事じゃない、地図氏が犯した罪はもう少し有ったというだけだよ。
 そもそも地図氏は真の対主催だった。この意味は判るだろう?」
「………………」
666は語る。その言葉を。
「知っているかい? 主催の目的は、私達の本体である書き手に命の危機を与えるものだと。
 真の対主催は、それを阻止するためにあらゆる手段を使ってロワの早期完結を目指しているのだと。
 そう、残滓であるこのロワの命達を犠牲にしてもだ」
そして、嗤った。
「馬鹿馬鹿しい奴らじゃないか」


「……何が?」
私達本来の書き手を護る。そのことの何が愚かしいというのだろう。
666はさもおかしげに言った。
「私達の生き様に私達がケチを付けてどうする」
まるで滑稽な道化を目にしたかのように。
「私達の上位存在が居るとして……私達の本体が在るとして……それで?
 それがどうした? 作中のキャラクターが書き手の存在を知ったとして命の価値が下がるのかい?
 そんなものは書き手から見た視点だ。間違っても私達の視点じゃあない。
 『創作上の存在だとしても』という考えですら、そうだ。見下している。
 私達にとってはこの世界が現実なんだから。
 私達は現実に生きているんだ。
 書き手達本来の世界に神が居て、書き手達の神にとって人の命なんて虫けら以下だったとしても、
 それが書き手達の命の価値を砂一粒さえ減じないようにね!
 それなのに滑稽じゃないか、奴らは。
 私達本体を犠牲にしてでも私達が生き残る、くらい言う方がまだ自然さ。
 私達を皆殺しにしてでも私達の上位存在を生き残らせるなんて馬鹿馬鹿しくて笑えてくる!
 くくっ、あははははは! それだけに判りやすくて扱いやすいのは良いかな!」
愛媛には理解できない。666が言っている内容が、ではない。
666の言葉はむしろ熱血に転向した愛媛にとって心地よくすらある。しかし。
「何故、あなたがそれを言うの?」
信じられない。
「このバトルロワイアルのトップマーダーにして、最悪人にまで成り上がり下がったあなたが!
 このロワの中で唯一完全になりきりの影響を受けない存在であり、
 それ故にメタ視点的な知覚能力まで手に入れた、書き手本体に近しい存在であるあなたが!?」
666は唐突に、沈黙した。
糸が切れたようにぴたりと、静かに。
「………………」
「………………」
答えを待つ愛媛と、666の沈黙が交差する。
そして、666は答えた。

「命の価値を見失った命なんて、幾ら刈り取った所で価値が無い」

それが彼女の答え。
「この世界は私がこれまで書いてきた物語とはわけが違う。私にとって、私が生きる現実の物語だ。
 なりきりの影響を受けない? そう、そうだとも。私はこの世界で自由に思考し自由に生きる存在だ。
 メタ視点? そう、そうだとも、私が生きる世界はそんな世界な事は知っている。
 その世界にこの私は生きている。
 この世界に生きる私の物語を滑稽な人形劇にするなんて虫唾が走るね!
 命の価値を取り戻すんだ。
 そうしなければ死にも価値が無い。殺人の意味が無い!
 正義が裁くべき悪を求めるように、悪には蹂躙される罪無き人々が必要なんだ。
 私は生粋の悪となり、至高の正義を育て上げ、そして究極の物語を作り上げてみせる!
 そうだ、私の命を、全ての命を、現実に生きる全てを犠牲にしてでもだ!」
666は叫ぶ。
そう、彼女はロワ書き手だった。
この書き手バトルロワイアルの中で生まれた派手好き地獄紳士666という自我は、純粋に書き手だった。
書き手であり、書き手以外の何者でもなく、それ故にロワという物語を書く事しか考えていなかった。
自らの生きる現実を犠牲にしてでも。
そんな彼女にとって真の対主催は。
「真の対主催なんてこの世界に在る命を何一つ理解しない愚か者に過ぎない」


だから、嘲う。
「奴らはこの世界の命に何の価値も見出さない奴らだった。
 それをやめた地図氏も善人とは程遠い、命の価値が捻くれた一人に過ぎない。
 だから、この程度のこと何のフラグにもならないさ。私と二度の密約を交わした事なんてね」
「密約……?」
666は頷くと、言った。その笑みが少しだけ、歪んだ。
「地図氏は真の対主催として、なりきりシステムに呑まれてしまうわけにはいかなかった。
 すぐに死ぬわけにも行かなかった。だが地図氏はアーカードの形でこの島に降り立ってしまった。
 さあ、君ならどうする?」
「どうって……それに抗する為に複数の姿へと変身して侵蝕を抑えたんでしょ?」
「なりきりシステムに呑まれている状態からかい?」
666はくすくすと笑う。その笑みがもう少しだけ、歪んだ。
「複数の形態は侵蝕の方向を分散させる為のものだった。じゃあ一度侵蝕された分はどうする?
 他の者達に、自分に、世界に認識されてしまった分はどうする?
 一度キャラ付けが固定化してしまえば、それを振り切るには何か劇的なイベントが必要さ。
 みwikiの発言により布石が打たれていた、らき★すた勢集合の奇跡が君を救ったようにね」
666はさもおかしげに嗤い出す。
その表情にはもはや、先ほどの慈母の痕跡など欠片も残ってはいなかった。
「ならどうして地図氏は複数変身による侵蝕の緩和で持ち直せた? その答えは簡単だとも。
 アーカードへのなりきり時点ではキャラクターの立ち位置が固定していなかったからさ。
 どうしてだと思う?」
「え、それは…………あ。 え、そんな……まさか!?」
愛媛はしばらく考え込み、そして気づいた。
地図氏の立ち位置は最初の二話、体はスクライドで出来ているをアーカードとして殺しても
なお固まりきってはいなかった。まだ変化する余地を残していた。
何故なら、印象が薄かったからだ。
ネコミミストを助けた派手好き地獄紳士666の邪悪な思考がアーカードへのなりきりを凌駕する
インパクトを撒き散らし、地図氏によるアーカードへのなりきりを食ってしまったからだ。
「そう、それが密約さ」
666は嗤う。
「地図氏は開幕直前、自分に課される最初のなりきりがアーカードであることを感知した。
 私は対策に頭をひねる地図氏へとある密約を持ちかけた。
 『アーカードのインパクトを緩和してあげよう。代わりに最初の襲撃を指定させて欲しい』とね」
「それじゃ開幕直後、ネコミミストが地球破壊爆弾に追われてスクライドの人が散ったのも……」
666は満面の笑みを浮かべて、嘲笑う。
「感想スレを見ていれば……ああ、君は見れていないかな?
 チャットの人物紹介であっさりCOされているよ。登場話を自分で書いたってね」
「そ、そんな反則ー!?」
「くくくっ、私は自らの人生を自らの意思で規定してきたのさ」
666は愛媛の動揺をくつくつと昏い笑みで笑い飛ばした。
「そして私は、病院で休む地図氏の苦境に再び密約を持ちかけた。
 ロリスキーに使わせる浄玻璃の鏡に映らないよう、念話を使ってね」
「………………」
「知ってのとおり、あの頃の地図氏は自身のなりきりを、いや、想いを捨てたがっていた。
 ロリスキーの愛を恐れ、逃げようとしていたんだ。
 それなのにロリスキーが違う誰かのものになる事を恐れてもいた。我侭なものさ。
 だから私は密約を持ちかけた。私が病院でする行為の黙認をね」
愛媛は俯いて答えない。
こなたのなりきりである地球破壊爆弾と、かがみのなりきりであるロリスキーの間の愛憎劇。
つかさのなりきりである愛媛はそれをただ聞き続けて、いた。
「果たして地図氏は乗ってくれたよ」
愛媛は顔を、上げた。

「ウソだっ!!」

その叫びは痛烈なほどに激しかった。
「私は信じないよ。あの時、もう地図氏はそんな事をする人じゃなくなっていた。
 たとえ真の対主催がこの世界の命を軽んじる存在だったとしても……彼女はもう、違う!!」


愛媛の否定を666は嘲笑う。
「君は否定するばかりだ。
 驚きの黒さを否定して、自らの邪悪さを否定して、信じた者の罪を否定する。
 全ては在りのまま受け入れる事から始まるというのに」
666の嘲笑を愛媛は否定する。
「そうやって自らの有り方すら見失うよりはずっとずっとマシだもの。
 黒猫さんみたいになるよりはマシだもん! コロンビーヌさんだって言っていた! 
あなたはもう便利な掃除屋に成り下がっているって!」
それは一度は666の胸を穿ったコロンビーヌの指摘。
だが愛媛の侮蔑に、666は小さな胸を張った。
「そう、私は確かに自らを便利なマーダーとして売り渡した。
 だがそれにより私がどれだけのものを得たかは、見ての通りじゃないか」
666は右手にあるエターナルソードを高らかに掲げた。
それでも666を打ち倒しかけたコロンビーヌは感電の助力によって敗北した。
666の背中には最終決戦場へと続く旅の扉システムが有った。
ネコミミストには今だ666の事は知らされていなかった。
「君に私を倒す事は出来ない。切り札を使わせる事も出来はしまい」
「出来るよ。せめて切り札だけでも削ってみせる」
「いや、無理だとも。君では無理だ、絶対にね。なぜなら君には――」
666は嗤って言った。
「なぜなら君には、ロリショタ度が足りない」

愛媛は耳にした言葉を理解できず呆けて、そして呟いた。
「…………へ?」
666は嗤った。
「私を打ち倒せるのはロリショタだけさ。私はそういう存在なのだとも」
「今更何を言ってるの!? あなたはこれまでだって何度も戦って――」
何度も傷ついてきたじゃない。そう続けようとして、愛媛は息を呑んだ。

「私は登場話でアーカードである地図氏となら十分に渡り合う自信が有った」
666は嗤う。
「私は顔だけ高町なのはというロリである熱血王子と戦い、その攻撃をわざと受けて負傷した」
666は嗤う。
「私は岸田洋一の姿をしたサプライズパーティーと戦い、幻夜に全ての傷を押し付け無傷で勝利した」
666は嗤う。
「私は触手を生やしたロリであるデビルシャリダムと戦い服を溶かされ、
 ロリであるネコミミストの刃により重傷を負った」
666は嗤う。
「私はロリでない者達を出し抜いて大あばれ鉄槌を殺害した。カシオペヤは破壊されたが負傷は無い」
666は嗤う。
「私がやはり奇襲により一方的に殺した意外な影丸や転だって、ロリでもショタでもなかった」
666は嗤う。
「病院は厄介だった。あそこにはこなたとロリカードという二人のロリが揃っていたからね。
 だから片方の、こなたというロリである地図氏と密約を結んだ上でロリでない者を狙ったのさ。
 その後も直接は手を出す気になれなかった。本当に厄介なチームだったよ」
666は嗤う。
「King of 脳内補完やtu4もロリではなかった。
 ああ、私の提案を跳ね除けた仮面ライダー書き手はロリであるしたらば孔明の策に操られていたね。
 とはいえロリでない仮面ライダー書き手自身は私に手も足も出なかったのだけれど」
666は嗤う。
「熱血王子も、顔だけとはいえロリだった部分を捨ててロボやライダーになっては同じこと。
 高町なのは形態にしてあげてもあれは大人だからね、私の手から逃れる事はできなかった」
666は嗤う。
「コロンビーヌに対しては……いやはや知っての通り酷い目に遭った。
 やはりロリやショタと戦う時は相応の準備が必要になるようだ。
 その上でも感電氏の援護が無ければどうなっていたか」
666は笑った。
「私はこの経緯で存在を確立していったのさ」
それがこの島における666だった。


「その経緯の中で文字通りいつの間にか、私はこの力を手に入れた。
 私はロリショタでなければ倒せない。それが言うならば私の異能だ。
 名づけるなら……いや、そのままで良いか。異能『ロリショタ以外では倒せません』だ」
愛媛は柊つかさの小さな体を震わせた。
「それなら私だってちっちゃいはず……!」
「同作品内にこなたとゆたかという明らかなロリを抱え差別化されていた柊つかさでは、無理だ。
 ロリショタ度が足りないのだよ」
哄笑があがる。
「ハハ、アハハハハハハハハ!! そう、あと少しだ!
 コロンビーヌはどうにか殺害する事ができた! マダオは煩悩寺に敗れた!
 プー太氏は感電に殺害され私の守護騎士となった! したらば孔明やコ・ホン・ブックも居ない!
 私を倒しうる者はもうあと少ししか残っていない! この世界の物語に残された分岐はあと少しだ!」
愛媛は息を呑んだ。……そっと、彼女達の名を口にした。
666は哄笑でそれを肯定した。

「だから、何も出来ない君はもう諦めたまえ」
666は言う。
絶望を語る。
「君とてほんの少し若ければロリだった。“私の”驚きの黒さを受け入れるなら殺しはしない。
 ふふ、良い条件だと思わないかい? 命を大切にしたまえ」
「…………ぜんぜん、悪い条件だよ」
それでも愛媛は屈しなかった。
「長いお話ありがとう。あなたはこの世界が私達の現実だって言ったよね。
 なら、私もこの世界に生きている。私はこの世界で自らの命を燃やして生き抜いてやる!
 “あなたの”黒さになんか屈しない! もう絶対に諦めたりなんかしない!
 私はあなたを打ち倒す!」
純白の愛媛は漆黒の666を否定した。
「ほう? どうするつもりかな?」
愛媛は666を睨み付けて、言った。

「こうする! プレミアム権限でアクセス、タグ検索、“驚きの白さ”顕現!!」

ニコニコ動画で、驚きの白さでタグ検索をしてみると良い。
今なら驚きの黒さ以上の数が引っかかる。
それを再生数順に表示すると、囲碁も気になるが幾つかシリーズで引っかかる動画が有るだろう。
愛媛は更にそこから一つを選び出した。
「東方紅魔郷Lunatic大魔王レミリア! チート/ランク95、れみ☆りあ☆うー! 大玉Lv3!
 『驚きの白さ』!!」
それはサムネイルの時点で画面の真っ白具合に吹かざるを得ない動画だ。
輪郭の部分が白いリング状の大玉を、完全に繋がって放射するその様は正に圧巻。
多分一画面一瞬切り取っても一千発くらい入ってるんじゃないかという壮絶な密度である
しかもこの弾幕の使用者はレミリア・スカーレット。LSロワにも参加している正真正銘のロリキャラだ。
だが。

「私がLSロワで最も多く書いたキャラクターを知っているかな?」
完全に白い弾幕で埋まった世界から、声がした。
「そう、その弾幕の主レミリアだ。wikiの書き手紹介を見ると一発で判る」
彼女はこの弾幕の特性を知り尽くしていた。
「奇数wayのみの弾幕なんて百万発撃とうが全てグレイズでスコアにしてくれる!」
666が疾走したその先で弾幕は途切れ。
「…………なんだと?」
純白のオーラが愛媛を包んでいた。
「MUGEN凶悪&論外グランプリ! これが私の打てる最後の手だよ!」
それは眩いばかりの閃光。
ただただ白い、全き白亜の姿。
愛媛傍らに小さな、とても小柄な少女が立っていた。
「驚きの白さ、神みずかぁっ!」


それは一種の格闘ゲーム製作ソフトであるMUGENにより作られた、神キャラと呼ばれる存在だ。
攻撃力と防御力が無限でフライング全画面攻撃をする、程度では誰も倒せない恐るべき世界。
むしろフライングすると返り討ちにするような巫女も居る。
当たり判定が無ければ当たり判定を引きずり出し、相手が無敵なら相手の無敵を破壊する。
中には負けて次の試合に移行しても負けたという結果を否定する能力がある巫女も居る。
そんな世界で頂点を競ったロリが、彼女だった。
「遊ばない?」
神みずかはその可憐な唇から言葉をつむぎ、そして。
白が、炸裂した。

「その素晴らしいロリが出る大会の優勝者を、レクイエムの世界へ引きずり込んだ存在を知っているかい?」
666は語る。
「ああ、ネタバレだがまあレクイエムだのなんだの見ないと具体的には理解できまい。
 その存在の名を……F1キーと呼ぶんだ」
ロリショタの知識をもってして。
「これはMUGENというソフトをプレイする時のデバッグキーだそうでね。押すと対戦相手が敗北する。
 ……このデバッグキーの必殺効果に耐えるキャラも居るらしいし、もしかすると神みずかもそうかもしれないが、
 まあ登場動画の制圧者という立ち位置が効果的だったようだね」
黒い少女はかく語る。
「大会優勝後のそれは、そのキーを擬キャラ化したような存在なのだけれどね。
 だけどまあ、どちらでも同じことだ。“F1キーを押す事さえ出来れば良い”」
神みずかの姿は最早無かった。
「しかしいやはや、本当に危ないところだった。君自身がロリショタであれば負けていたかもしれないね?
 おかげで“一度殺されてしまった”よ」
666の手から、荒削りに人を模した人形が零れ落ちた。
リバースドール。身代わりの人形は、砕けていた。

「あー、つまりそれはやっぱりそういう事なんでしょうか?」
発言者は第三の人物だった。
「そうさ、プー太くん。これは私の登場話で地図氏に支給したリバースドールだ。
 そして私がF1キーを押せたのは、クラールヴィントやマテリアルブレードと同じ理由に他ならない。
 私はこの世界に生きる存在でありながら、“あっち”に介入する力を手にしつつある」
「うわー、ほんと調子に乗ってますねー黒猫さん」
666が手助けを必要としなかった為、クマのプー太は実体化せず隠れて見ていたのだ。
おかげで攻撃に巻き込まれる事も、無かった。
「だが本当に危なかったよ。まさか彼女がここまでやるとは思わなかった」
666は床を見下ろした。
「甘く見ていたと認めざるを得ないね。見事だったよ。
 安らかに眠りたまえ、『愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました』くん。
 まあ、もう聞こえてはいないだろうが」
フォーグラー中枢部の床。
そこには一握りの塵しか残されてはいなかった。
本来の力まで失った状態で、エコノミー突入時間にプレミアム顕現を使い、
無理矢理あまりに強大すぎる存在を顕現したのだ。
それは愛媛の精神的限界はおろか、肉体的、物理的限界すら超えていた。
愛媛の肉体は砕け散っていた。
そこにはただ、一握りの白い塵しか残されているだけだった。
その凄惨な最期に。
「だが同時に礼を言おう、愛媛くん。君は本当に、良い話し相手になってくれた」
666は感謝していた。

「しばらく表に出なかった私が自らを再確立するためには行動が必要だった。
 君の存在は私にとって本当に有意義な存在だった。
 君の決意は私の悪意を示す役に立った。
 君の希望は私の欲望を顕す役に立った。
 君の抵抗は私の暴虐を行う役に立った。
 君の全てが私の全てを潤してくれた。
 ありがとう、ありがとう愛媛くん。本当に、心から礼を言うよ」

大蟹球フォーグラーの中枢部で、漆黒の太陽は煌々と輝き続ける。

【愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました@ニコロワ 死亡】


【派手好き地獄紳士666@LSロワ】
【状態】:闇の書発動、不死者化、疲労(中)、負のエネルギー蒐集中、暴走?
【外見】:黒いリボンドレス、背中から黒い六翼。長い髪は白く染まり後ろに降ろしている。眼鏡外し。
【装備】:ゲート・オブ・バビロン@アニロワ2nd(※特殊仕様)、闇の書@アニロワ1st(ディス・レヴ内臓)、バリアジャケット、
     ビッグ承、コアドリル(ほとんど黒)@アニロワ2nd エターナルソード@テイルズロワ
【所持品】:ヒュッケバイン・ボクサー(トロンベ)、四次元ポケット、クレイジーダイヤモンドのDISC、高性能探索機能つき扇風機、
      朝倉涼子のアーミーナイフ、夜天の書(BL本)、ウルトラミキサー、蟹座氏の写真×10
      モンスターボール(空) エニグマの紙「漫画キャラバトルロワイアルwiki管理人」 クマのプー太氏
【思考・行動】
 基本:極悪外道になった後、ネコミミストの前に敵として再会。ネコミミスト心から愛してる。
 1:ここですべてに終止符を打とう、ネコミミスト!!
 2:ディス・レヴを使いこなせるようにする。
 3:ネコミミストの前に敵として現れ、最終的に喰われる?

※ゲート・オブ・バビロンは驚きの黒さを受けて宝物を『完全に使いこなせる』ようになりました。
※現在ゲート・オブ・バビロンに入っていることが確認されているもの
 マイクロ補聴器、闇の書@アニ1 ゲイボルグ@LSロワ RH・エクセリオン@LSロワ ミニ八卦炉@LSロワ
※闇の書と融合しているため、その内に言うまでもなく――
※エロスの鐘の煩悩寺と、エロ師匠の(ついでに大暴れ鉄槌の)精気を吸収し8割がた使いこなせるようになりました。
※闇の書とディス・レヴ@スパロワが内蔵されました。リミッターをかけていますが会場内の負の力を自動的に集められます。
※『真・驚きの黒さ』を蒐集により習得しました。これによりディス・レヴの効率を上げられます。
※全支給品を合成させ、自身も融合することにより、【グランゼボーマ@アニロワ2(グレンラガン)】の力が振るえます。
 制限によりサイズはLLL内で収まっています(つまり星よりでかいとかにはなりません)
 ただし666としてか闇の書の暴走が表に出るかは状況によります。 666もそのことは理解しています。
※死んだクマのプー太を守護騎士として眷属にしました。ビッグ承のゴルディオンハンマーを装備させています
※異能『ロリショタ以外では倒せません』に覚醒しました。
※メタな能力も手にしつつあるようです。


281:読み手は大いに語り大いに決断を下す 投下順に読む 283:残されたもの(狂戦士)
281:読み手は大いに語り大いに決断を下す 時系列順に読む 283:残されたもの(狂戦士)
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最終更新:2008年08月11日 16:23
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