集う黒い太陽、そして……。


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テッカマンデモンによるフォーグラー投擲より、時を遡ること数分前。


“巨大”という言葉で言い表すことさえおこがましく感じられるような人造の星の中、
操者たる少女――エロスの鐘の煩悩寺は生き延びてからずっと恐怖で震え続けていた。
自身を包む淡い緑色の光も、揺り篭にも似た穏やかな振動も、彼女を一向に癒しはしなかった。

先刻の戦いにおいて少女は全てを注いだ守りごとその心すら砕かれた。
あの四重防御は間違いなくエロスの鐘の煩悩寺と呼ばれる一人の書き手の全力だったのだ。
それを、ただの一撃で。
吸血鬼といえども死に損ないの。
業物といえども一切の神秘を宿さない剣に。
砕かれた。破られた。否定された。

柔らかな革張りの椅子の上でぼんやりと見上げた空は、全てを飲み込むかのような月も星もない闇一色。

「……ぁあ………ぁぁああ……」

今の彼女の心の色そのものの空。

月が消えた理由を煩悩寺は知らない。けれども、月が消えたことが導く一つの事実が、少女を更に打ちのめした。
ミスターマダオは、瀕死だったあの吸血鬼は、月の加護さえ失っていた。
そんな弱体化に弱体化を重ねた相手に負けた自分は一体何なんだろう。
今の自分はまさに空気じゃないか。
居ても居なくても変わらない存在。
誰にも、何にも影響を与えられず、物語の流れを変えることもできない、路傍の石。
間一髪でマダオを殺すことはできたが、果たしてあれは自分が殺したといえるのだろうか?
マダオに止めを刺したのは厳密には自身の力とは言えない支給品で。
自分で操縦したわけでもなく、オートメーション化されたフォーグラーが曖昧な意思を汲み取り勝手に動いたおかげな、あの一撃は。
別に煩悩寺だからこそ行えたわけではない。誰でも可能だったのだ。

ああ、だったら自分だからこそできることは何だろう。私だけの価値は?
煩悩寺は問う。何度も何度も自分に問う。
生きて居たいから。死にたくないから。自分の生を認めてくれる理由(フラグ)を探し続ける。

マーダーは駄目だ。
ならばいっそ自分が対主催に転向すればどうか――と、そんな考えが首をもたげる。
対主催として動けば、心持しだいで大した戦力の無い人間でも活躍しうる機会を得れられるのだから。
しかしやはりそれは一瞬で霧散してしまった。
告げたところで、彼らが注目するのは『エロスの鐘の煩悩寺そのもの』ではなく『主催者の同一存在であること』の方だけだ。
それなら何も自分である必要は無い。
予約被りに定評のあるtu4氏。
OPにも登場し、今は孤城の主という一大イベントに参加しているらしい一人の書き手。
聞いた話では彼女は自分の予想通り永遠神剣の力を、更にはフォルカやヴァッシュの力をも振るったらしい。

バトルマスター達から手に入れたその情報がより一層少女の心を蝕む。

エンジェルアーム。アニロワ2ndの力。
あろうことか煩悩寺が目標とした己が半身はギャルゲロワに止まらずアニロワ2ndの領域すら侵したのだ。

勝てると思っていた。
作品のバリエーションや投下量では継続時期の都合上、tu4に分があるのはわかっていた。
だが、質では決して負けていないと、そう思っていた。

本当に?

エロスの鐘の煩悩寺。
好きなアニメは舞-HIME。
好きな属性はヤンデレ。
得意なジャンルはエロ描写。

これのどこにtu4に勝てる見込みがあるというのか?

ギャルゲロワ2ndにおいてあいつは思う存分舞-HIMEのキャラを書いている。
ヤンデレキャラ代表の楓や言葉はギャルゲ出身でやはりギャルゲロワ1,2でも登場している。
エロ描写なんてやはり元が18禁であるギャルゲロワの方が、全年齢対象のアニロワよりも規制が薄いじゃないか。

「……あは、あはは。私が死んでも、代わりはいるんだ」

代わりなんてものじゃない。
どう考えても彼女の方が圧倒的に自分より優れているじゃないか。
対地球破壊爆弾戦、対熱血王子戦では対主催側と協力していたとも言う。
改心フラグもばっちりだ。
彼女がいれば、私は誰からも必要とされはしまい。


「やっぱり、私は、要らない子なんだ……」

嫌だった。
もう、これ以上チートな参加者やジョーカーに会って自分のちっぽけさを思い知りたくはなかった。
生きていくのも辛いが、死ぬのはもっと怖かった。
だから、彼女は逃げることを選択した。

激戦区であるのは明らかな病院とは対極の南東へとフォーグラーの全速力で。
フォーグラーの巨体が故に発見されるという考えはあえて見ない振りをして。
縋ることのできる最後の力を一時といえども手放せなかったから。

大丈夫。孤城の主といえばロワにおける一大集団戦イベントの象徴だ。
10人前後の書き手達が参戦しているに違いない。
第三回時の放送時点で生存者は残り25名。
度重なる情報交換に加え自身の体験も合せた上で、それ以後の死者もある程度は把握している。

静かなる ~Chain-情~、管理人・したらば孔明、 エロ師匠 、蘇った現代の熱血怪人、King of 脳内補完、
仮面ライダー書き手、コ・ホンブック、漆黒の龍、ミスターマダオ。

ギャグ将軍と速筆魔王LX、彼らに情報を流したというコロンビーヌ、バトルマスターと蟹座氏。
神視点では無い、あくまでも個々の参加者視点での情報の為、いくらか漏れがあるかもしれないが、それでも計9人。
少なくとも9人も死んでいるのだ。
残り15人程度の大半が病院へと集結しつつある今、私は安全だ、安全に違いない。

都合のいい考察のもと、病院へと向かう参加者たちと鉢合わせる危険も考慮せず、ただただ強者達の巣窟から逃げ出して。



かくして少女は自らの甘えの報いを受けることとなる。











無限に広がる宇宙。
この表現は何も例えでは無い。
宇宙は誕生以後膨張を続けており、そもそもの誕生直後の宇宙すらその体積は無限大だとされている。
だが、今この世界に限って言えば多くの科学者達が打ち立てたこの理論は通用しない。
ビッグフリーズ、ビッグクランチ、ビッグリップ。
彼らが予想したどの理論とも違う展開で宇宙は終焉を迎え、崩壊したのだから。
無限をも薙ぎ払った有限たるマナの爆発で。

そのかって宇宙だった空間(便宜上『空白』と称しよう)と会場たるロワの星の境にに一人の男が漂っていた。
いや、違う。
流されるのではなく男は自らの意思で空白地帯を調査しているのだ。
彼の名前は影の繋ぎ師。またの名を仮面ライダーBLACK SRX。
宇宙崩壊を引き起こした少女の本来の標的であり、全ジャンル主人公最強スレにおいてさへ優勝できうる力を誇るチート戦士であった。

「どうやらロワの舞台への悪影響は今の所無いみたいだな」

影の繋ぎ師がtu4氏との決戦後即座に地上へと帰還しなかった理由は二つある。
一つはネオバスクを中心とした体の再生。
いかなSRXの再生力とはいえ世界を100回は滅ぼす攻撃を受けたのだ。
5分やそこらで傷を癒せはしない。むしろ1時間ほどで後遺症を残しているとはいえ全快しているのだから恐ろしい。

そしてもう一つが宇宙崩壊の影響を見定めることだ。
当たり前だがロワ史上前例がない事態な為何が起こるか分からない。
しかも繋ぎ師の『なりきり』対象は優勝による一人鬱エンドすら没ネタとして存在したあの光太郎だ。
自らの戦いの余波でロワが会場ごとズガンされるという最悪の展開が頭に過ってしまったのは仕方のないことであった。

ところがどうだろう。
確かに先程まで宇宙であった空間は今や侵入可能区域が僅かに残るくらいの空白地帯と化している。
しかし当の会場自体には太陽や月の消失により空が闇に覆われた以外に一向に変化が現れないのであった。

常識ではいくらなんでもありえない。まあ、このロワでは今更な感じもするが一応納得できる答えもある。

「この舞台や宇宙もWIKI管理人によって一から創造されたということか!」

ありえる話だ。
三大ロワ時代ならともかく、今やロワの舞台は基本異世界にあることが多い。
彼に力を貸したディーに至ってはギャルゲロワ本編の会場を世界ごと作り上げたほどである。
書き手ロワ2に於いては参加者ですらある意味でWIKI管理人によって生み出された存在だったのだ。
会場のある世界が主催者お手製であったとしてもなんら不思議はない。

「むしろそう考えれば今の状況も説明できる!」

まさか宇宙にまで飛び出して戦うとはWIKI管理人も予想していなかったに違いない。
故に、彼女が本腰を入れて創造したのはむしろ会場の方だ。
この世界がまずロワの会場として機能することを前提として作られていたのなら、
只の背景に過ぎない宇宙の消滅如きでそう簡単に揺るぎはしまい。

「とりあえずは一安心だ、待っていてくれ、みんな!」

いざという時はキングストーンフラッシュの万能性に賭けるつもりだった繋ぎ師は、ひとまずの安全を見届けるや否や大気圏へと突入する。
少しでもエネルギーの足しにする為に熱を力とするロボライダーへの事前の変身も忘れない。
ロワ会場を覆う確率変動結界も創生王の前には効果を為さず。
膨大な熱エネルギーを得た繋ぎ師は熱圏を抜け、中間圏へと至る。
一気に下がった気温への対処として素早くバイオライダーにフォームチェンジ。
マイティアイ改を以て雲を透視し、急いで眼下の陸地を確認しようとした影の繋ぎ師は、次の瞬間絶句することとなる。

「何だ、あれは!?」

視界を埋め尽くすのは巨大な、余りにも巨大すぎる黒い球体。
天才科学者フォーグラー博士によって造られた破壊と殺戮と略奪の化身。  
星と見間違うほどの規格外の大きさ。
中央に位置するマグマのように赤い眼。
地球を静止させる神如き機械――――大怪球フォーグラー。
F-5エリア上空。奇しくも、今ここに、二つの『黒い太陽』が相見えることとなった。







彼女を乗せて無軌道に大怪球は動く。
重力制御を持って地に触れず進行するため、内部に伝わる振動は非常に少ない。
その進路では重力に押しつぶされた木々たちの悲鳴が響いているが、それはそれ。
そんなことは彼女の知ったことではないし、知らない以上それはなかったことと同義である。

ここはひどく静かだ。
ここには誰もいない。
誰も彼女に関わらない。
誰も彼女の行為を咎めない。
誰も彼女を惨めにしない。

これまでのことも、
これからのことも、
先ほどモニターに映った光景も。
何も考えない。
思考を破棄し、何も考えず、すべてに対して目を閉じる。
そうすれば、いろんな恐怖はおさまり震え止まってゆく。

誰とも関わらず、何も考えない。
それが、彼女に残された唯一救いだった。

だが、その安息も打ち破られることとなる。

「俺は影の繋ぎ師と言うものです!殺し合いには乗っていません!黒い機体に乗っている人、どうか返事をして下さい!」

惨めな自分から逃げ出した先で、よりにもよって出会ってしまったのだ。
こと単純な戦力という意味ではこのロワ中最強の男と。

「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

上空からカラオケマイクを手に迫りくる青年。
語りかけてくる彼の声に煩悩寺の体が総毛立つ。
なぜこちらに向かってくるのか。
心当たりならある、自分は殺人者で、彼は対主催だ。
自分を裁きに来たのだと彼女は思った。
実際はそんな事実はない。
正確には彼が目指しているのは彼と彼女の間に位置する病院である。
だが、そんなことは彼女は知らない。
知らない以上それは真実と同義である。
だから、彼はやってくる。
少なくとも彼女の中では。

彼が来る。
彼女に向かって。
彼が来る。
彼女を殺しに。
彼が来る。
彼女を追い詰めるために。

いやだ。いやだ。いやだ。
最弱な自分を最強の彼に見られるのはいやだ。
これ以上惨めな思いをするのはいやだ。
死にたくない。
生き辛い。
どうか私を、これ以上追い詰めないでほしい。
独りがいいんだ。
独りなら、私は何も考えず穏やかでいられる。
だから、放っておいてほしい。
どうかここには、来ないでほしい。
かぶりを振って鬱屈とした心で、ただひたすらに少女はそう願った。
その願いに答えるように、

――――――シャガ。

眠たげだった大怪球の目が見開かれた。

オートメーションされているが故にフォーグラーは彼女の意志を忠実に汲み取り実行する。
与えられた指針は拒絶。
故に、フォーグラーは実行する。
より確実で強力な、影の繋ぎ師をこちらに近づけぬ方法を。

その手段を彼女は知っている。
この大怪球は何をしようとしているのかを彼女は知っている。
自棄になって思考を破棄してはいても、アニロワ2の書き手なのだ。
フォーグラーの力は誰よりも知っていると自負できる。
――だからこそ、恐怖した。

無機質な瞳から奔った一陣の閃光が。

波のように大地が沸き立ち崩壊させていく。
触れる全てが蒸発するように消えてゆく。
草原を薙ぎ払う。
平原を撃破する。
街道を粉砕する。
大地を蹂躙する。
大気を蹂躙する。
蹂躙する。蹂躙する。蹂躙する。蹂躙する。
抗いようのない破壊という名の理不尽が世界に振りまかれる。
この地上全てを薙ぎ払うかに思われた破壊の嵐。

それほどの攻撃が、

「天上天下、光王爆砕けええええん!!」

影の繋ぎ師がトり出した鮮血の思わせる濃い赤を纏った陽光の如き黄金の大剣に、一撃のもと斬り払われたのだから。

絶望に取り残された少女を乗せた大怪球。
この大怪球に助けられた時、彼女は最後の望みを託した。
この大怪球こそが、唯一安らげる場所だったはずなのに。

嗚呼、ここに来て、お前までもが裏切るのか。

「ぁぁ……、うああああああああああああ!!」

嘆きの時間は終わらない。







「っく、やめてくれ、俺は二度もあなたを殺したくはない!」

マイティアイ改。
影の繋ぎ師の誇るチート技能の一つであるそれは透視能力も兼ねている。
フォーグラーの装甲がどれだけ厚かろうと、コクピットまで丸っとお見通しなのだ。

びくりと、中の少女が震えたのが分かる。
無理もない。今の言葉で彼女も気がついたのだろう。
俺が予約被りに定評のあるtu4氏を殺したことに。

「君の考えた通り俺はtu4氏を救えなかった。いや、違う、そうじゃない」

今でもtu4氏のことはバカだと思う。
死んでしまったら終わりなのに。
空気キャラ達もきっとあなたほども愛してくれる人がいるだけでも満足だったはずなのに。
貴女が死んだあとに生まれる新たな空気キャラの為にも、生きる道を選ぶべきだったとそう思う。

それでも。
彼女は誰よりも誇り高く死ぬことを選んだのだ。
なら、救えなかったと嘆くのは彼女の死を侮辱するということだ。

失くしてしまったのが悔やまれるが、バトルマスターさんから譲り受けた携帯電話のWIKIで俺はコクピットに座る少女を知っている。
エロスの鐘の煩悩寺。
俺が殺したtu4氏と同一存在である書き手。
だからこそ知っていてほしいと思う。

もう一人の彼女であるtu4氏の死に様を。

影の繋ぎ師は語りだす。
WIKIで知り、その眼で見たtu4氏の生き様を。
彼女が成し遂げ、残した、生の証を。

そのことが煩悩寺を追い詰めるとは思いもしないで。
影の繋ぎ師。仮面ライダーBLACK SRX。
彼は、強かった。強すぎた。
故にわからない。力無き悪党の苦しみを。

煩悩寺の顔から表情が消え、再び重力レンズ砲が放たれる。

「っく、許せとは言えない!!怨んでくれても構わない!俺は君から目標と半身を奪ったのだから。
それでも、この道を俺は進むと決めたから。手荒な真似で行かせてもらう!!」

見当違いの謝罪とともに影の繋ぎ師が思い描くは一つの光景。
熱血王子との戦いで同郷の友である漆黒の龍と自分と共に、tu4氏が並んで戦ったあの時の情景。
今はもう取り戻すことのできない過去だけど。
せめて、せめて眼前の少女だけは助けてみせる!!

「力を貸してくれ、漆黒さん、tu4氏!!来い、ドラグブラッカー!!否」

SRXの力により生み出したカードを、デイバックより現れた黒龍へとかざす。

―― SURVIVE ――

「黒炎龍ドラグブレイザー!!」
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」

繋ぎ師は告げる。生まれ変わった龍の名前を。
ドラグブレイザーは応える。亡き主の願いを背負って。

黒炎龍の背に乗り、連射される重力波をかわしつつ、更なるカードをベントインする。
ファイナルベントのカードは『S』の字で始まらないが故に作れない。
様々な要因を束ねた奇跡のような必殺技である真覇猛撃ライダー烈破も使えまい。

十分だ。
バーッストサバイブの技が模写できずとも、『本来の』リュウガサバイブ及びその元となった龍騎サバイブの技なら使える。
フォーグラーを貫くにはそれで事足りるのだから。

―― STRANGE VENT ――
―― FINAL VENT ――

ドラグブレイザーが光に包まれ再び姿を変える!
エグゾートを吹かし大空を行く漆黒のバイクへと!!

既に煩悩寺の位置は透視能力で確認済みだ。
狙うはコクピットの真横の位置。
フォーグラーを貫くと同時に煩悩寺を抱きかかえ、爆発するよりも早く脱出する!
少々強引だが、これが俺の見出した最良の一手!!

「行くぞ!!ドラゴンファイヤーストーム!!」

バイクに騎乗しアクセルを強く踏み込む影の繋ぎ師。
だが、必勝を期した彼の突撃は。

「ちょおっと待ったあ!!」

割り込んできた速筆魔王LXの一声で不発に終わることとなった。







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272:1000%SPARKING METEOR エロスの鐘の煩悩寺 273:オーガは子豚を無思慮に蹂躙す
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