『必殺技は受け止めなければならない』


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鬱のエルは、すぐさま一枚のカードを抜き放ち、龍召機甲〈ドラグバイザー〉に収納する。

―SWORD VENT―

角張った厳めしい男の声と共に、その手には剣が握られた。
彼が選択したカードは、龍騎の最もよく使用した武器を呼び出すカード、「ソードベント」だった。
「ソードベント」で召喚されたドラグレッダーの尾を模した刀、ドラグセイバー。
突如現れた物質の重量を手で感じ、今の自分が本当に龍騎なんだなと仮面の裏で苦笑する。
厚さ40cmの鋼鉄をも切り裂く威力を持つ剣をしっかりとつかみ、アルレッキーノと対峙する。
アルレッキーノはというと、その様子を邪魔することなく傍観する。
あまつさえ、突如現れた剣に「ほぅ」と息をはいて見せた。とても、敵を前にしたという様子ではない。
「では、準備はいいか?」
リュートを軽くかき鳴らし、冷えた瞳で問いかける。
「……もちろんだッ!」
先に仕掛けたのは、鬱のエル。その手に握ったドラグセイバーを振り上げ、駈け出した。
100m5秒の走力が、人間3人分ほど空いていた距離をゼロにする。
大上段から勢いを肩から腕に乗せ、振り下ろす。もちろん、ライダーの力で振られた剛剣。
風を切り、アルレッキーノの頭に振り落とされる一撃。
だが、バトルメインの漫画ロワの最古の4人の一人である、アルレッキーノ。
体を半身にそらすだけで、それをかわす。紙一重の場所を剣は通り過ぎ、地面に鈍い音ともに突き刺さった。
「え? ちょ……」
アルレッキーノの掌が、鬱のエルの胸を打つ。同時に撃たれる緋色の手(レ・マン・スカラティーヌ)。
からだが2重の衝撃で浮き上がり、さらに体で覆い切れなかった炎がそこに流れていく。
「あちちちちち!!」
その勢いで、剣はどうにか抜けた。
自分の武器を手放さないで済んだことに微妙に安堵しつつ、冷や汗を流す。
ドラグレッダーが炎を司る巨龍だけあって、龍騎は、炎や熱に極端に強い。それでも、これだけ熱いのだ。
もしゾルダやナイトだったら……考えたくもない。
ライダーに全く劣らぬ脚力で、アルレッキーノが走る。
『読み手様を楽しませる』という条件ゆえに、相手が武器を持とうと目に見えない速度で動くことは禁じられている。
だが、自動人形の健脚はその条件下でも十二分。
起き上ったばかりの鬱のエルに、容赦や仮借ない猛打を打ち込んでくる。
相手は空手で、バトルの技量を武器に変幻自在の拳を繰り出してくるのだ。右左だけでなく、上下までも。
それに対して剣で対処はできない。まして慣れぬ得物となればなおさらだ。
その一発が剣をすり抜け、自動人形の長い腕が顎をたたいた。足を滑らせ、盛大に転倒する鬱のエル。
慌てて追撃を開けようと地を転がる。だが、まったくアルレッキーノは追撃しようとしない。
それを確認し……剣を構えながらもゆっくり体を起こす鬱のエル。
「……手加減してくれてるのか?」
肩で息をする。いくらライダースーツを身にまとおうと、基礎体力は上がらない。
体力をもっと鍛えとくんだったと思いながらアルレッキーノにいぶかしげな声を絞り出す。
アルレッキーノはさも当然といった調子で、
「倒れた相手を壊しても、読み手様は喜ばないだろう? 死力を尽くして抗い、倒れるからこそ感動を呼ぶ」
「……そういうもんですか」
「『鬱のエル』さん……」
背中にすがりつく『素晴らしきフラグビルド』の手に、安心させるように軽く自分の手を重ねる。
「隠れてるんだ、多分、きっと……すごく危ない」
自分でも微妙に確信を持てないだけに、おかしな言い方になってしまった。
そのせいで余計に不安にさせてしまったのか、悲しそうに顔をゆがめる『素晴らしきフラグビルド』。
その背をぽんぽんと叩く。アルレッキーノは相変わらず傍観している。
こういうシーンあってこそ、死にざまが映える……とか内心思っているのだろう。
だが、こんなところで死ぬつもりなどさらさらない。
やっと、後ろの木陰に入ってくれた、『素晴らしきフラグビルド』を最後まで見届けた後、敵に向かい合う。
「――終わったか」
その『終わった』というのは、おそらく自分の活躍と出番は、というのも含まれているだろう。
「おかげで、準備がね」
ベルトから、2枚目のカードを引き抜く。これが、自分の全力全開。龍騎の最強カード。
龍召機甲〈ドラグバイザー〉の上部カバーを開きそのカードを装填する。
人を人とも思わぬ態度。そしてその油断を命取りにしてやる……!

鬱展開の使者とか言われた自分が、熱血している。そりゃ、自分だって燃えるときくらいあるさ。
たまたま、そっちが目立ってただけさ。証拠に、最初は熱血してたろ?
……ちょっとすれただけ。それだけさ。

―FINAL VENT―

ペットボトルのわずかな鏡面から巨龍現れ、のたうつように螺旋を描き、舞いながら天へと昇る。
鬱のエルは腕を振って前に突き出す構えをとる。
「ハァァァァァ……」
何十mの跳躍。それはさながら天への飛翔だった。その中で前方宙返りを加える。
狙いは、睨下のアルレッキーノ。足を、ゆっくりと突き出した。

「……ハァァァッッ!!」

爆音、豪熱。ドラグレッダーの灼熱の火球の衝撃を受けて、赤熱化した蹴撃。
それが赤光をまとい、流星のように加速しながらアルレッキーノに迫る―――!
落下中も身体がどんどん加速していく。
緋色の手(レ・マン・スカラティーヌ)で、それを返り討ちにしようとしたアルレッキーノ。
自動人形のアルレッキーノが、初めて恐怖を覚えた。
即座に迎え撃つという判断を放棄しよけようとし―――

『読み手を楽しませねばならない』

――そのままその一撃を叩き込まれた。
隕石の落下を思わせる衝撃。地震となって大地を伝う。
ドラゴンライダーキックが、爆心地のようなクレーターを作り、轟音を響かせた。
その中心にいたのは………

「なああんた、今の一撃……かわせただろ? なんでよけなか……かった……んだ?」
息も絶え絶えに、膝をついたまま顔も見ずに鬱のエルが訊く。
「当然………『必殺技は受け止めなければいけない』。それでこそ燃える展開」
アルレッキーノは立っていた。顔の半分と、右胸から右サイド全てをえぐり取られていながら。
人間だったら即死のそれを受け止め、なお平然と無事だった両足で立っている。
だが、立っているだけだ。逆を返せば、それで精一杯。
「そうか……なら……」
最後の力を振り絞って、鬱のエルが立ち上がる。
別に大けがというわけでない、単純に疲労困憊、限界というだけだ。
手を握り、拳を作る。押せば倒れるようなアルレッキーノにとどめを刺すために。
「うああああああっっっ!!」
走りながら、拳を突き出した。
アルレッキーノは、最後の力で、緋色の手(レ・マン・スカラティーヌ)を放とうとする。
しかし、遅い。確実に鬱のエルの拳の到着のほうが早い。
最後の一撃がアルレッキーノの視界いっぱいに移る。その時、

――パキィィィン

鏡が割れるような音がした。
「え……あ……10分………――」
拳が止まる。
体を覆っていた龍騎の鎧が砕け、破片となって散っていく。
ライダーの俊敏な体から、力ない人間の体へ。そのタイムラグ。『――制限?』とつぶやく暇もなかった。
次の瞬間、緋色の手(レ・マン・スカラティーヌ)が、鬱のエルの体を貫いた。

「嘘……だろ……勝ったと思ったんだ……思った……の……に……」

こんなところで、心半ばに。

からだが、ドサリと倒れる音。 立てているのは自分のはずなのに、現実味がない。

――ああ、これが………

「鬱………展開………か…………」


【欝のエル@ライダーロワ】死亡




だが、これで終わらない。
ろくに動かないアルレッキーノの首も、次の瞬間はねられていた。
もちろん、はねたのは、
「せっかく、フラグを立てたのに……」
悲しみという感情の薄い声。ただ、フラグが折れたことだけを純粋に悲しんでいた。
目の前に転がる男たちには、ひどく無感動。

そう、素晴らしきフラグビルドだった。


【アルレッキーノ@漫画ロワ】死亡



【黎明】【A-8 森の中・川の傍】
【素晴らしきフラグビルド@アニ2nd】
【装備】無し
【所持品】支給品一式(本人確認済み)
【状態】全身軽い火傷。
【思考・行動】:フラグを立てて立てて立てまくる
1、目の前の青年(欝のエル)と素敵なフラグを立てる
1、1のためにアルレッキーノから欝のエルと共に逃げる。
3、ゆびぱっちんを使うか、否か……
※外見は小早川ゆたか@らき☆すた(ただし髪の色は緑色)です。
※ゆびぱっちんで真っ二つに出来ます。


032:海鮮鍋温泉(効能:やけど・外傷・打ち身・不妊症・空腹) 投下順に読む 034:ギャグ将軍の道標
090:吼える男 時系列順に読む 037:エンゲージ
031:森に咲く炎 素晴らしきフラグビルド 110:覚醒フラグ
031:森に咲く炎 欝のエル
031:森に咲く炎 アルレッキーノ



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