なのDeath☆(後編)


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

その光景は、冗談以外の何物でもなかった。
機関室、客室車両、貨物室、片っ端から真っ二つに切断されていく。
鬼神の剣閃にて最後の一両までを貫かれ、二つの機関車となったトミーは別方向に進み最後にはビルにぶつかって沈黙した。
剣を鞘に収めて、名無しはぼそりと呟く。
「……死体だろうが確保は確保か」
じゃり、と瓦礫を踏む足音が名無しの耳に入る。
そちらを振り向けば、湧き上がる蒸気の中から二つの影があった。
「いきなり現れるなんて、あいつ一体……」
「首輪を外したAAAの参加者……と期待するのは流石に甘いでしょう。
 ジョーカーの一人ですね。wikiに載っていなかったことを考えると、おそらくは残るテイルズロワの一人」
若干咽せ気味に言葉を吐く蟹座氏の横でバトルマスターは舌打ちをする。
ほとんどの参加者が病院に集結した今、F3からG9までの一直線の間に障害物は無いと思っていた。
だが、彼は天空の城から一気に降下し奇襲のできるジョーカーという存在を考慮するべきだった。
「蟹座氏、ここは様子を伺ってから……ってちょっと!!」
相手の出方を見ようかとバトルマスターが思ったときには、蟹座氏は既に鉄塊鉈を携えて走っていた。
「ジョーカーだろうが関係ないね! もう、僕の前で仲間を殺させない!!」
元々苛めて来る書き手ならば誰だろうが敵認定の蟹座氏だ。
そして孔明やブックの死、ここ最近の連続した悲劇が蟹座氏に焦りを呼ぶ。
(つーか、あの触手はお前らのとこの酢飯だよねあははははは♪)
だいぶ古い話を思い出して少し凹みレベルを上げた彼女は鉈を大きく振り上げ、その首を圧し潰しにかかる。

反応した名無しの刀がそれを打ち上げで防ぐ。
だが、振り下ろされた鉈はあのガッツのドラゴン殺しに匹敵する重量。
流すな捌くなりするならばともかく、唯の刀一本で防げるのは一秒も無いだろう。
唯の刀ならば数センチも刀身に入り込むなど不可能だ。こんなふうに。
(嘘!? この鉈に切り込むなんて!?)
蟹座氏がその異常事態に戸惑い、一気にバックステップで距離を開ける。
「退くな!」
バトルマスターの声に反応するも、名無しの踏み込みが僅かに早い。
その巨大な重量故に、若干残してしまった蟹座氏の手首が名無しの射程に収まる。
「虎牙破斬!!」
テイルズでもっともポピュラーな二連撃が名無しから放たれ、巨大な鉈を支えていた彼女の手首から血が噴出す。
「いてえ!」
鉈を支える左の手首の腱を狙われ、彼女は堪らず鉄塊鉈を落としてしまう。
「蟹座氏ィィィィ!!!!!!!」

――ADVENT――


舞い散るガラス片から仮面ライダー王蛇となったバトルマスターが三匹の契約モンスターを全員出現させる。
「こうなっては仕方ない…蟹座氏を援護しろ!!」
主の号令に三方向から一気に襲い掛かるミラーモンスター。
剣は一つ。例え一匹がしとめられたとしても、残りの二匹が必ず仕留めるという安全策だ。
だが、目の前に出現したのはクレス=アルベインではなくあの薬中クレスである。
足で地面を切り飛ばし、梃子の原理で鉄塊鉈を拾う。
「ひぐらしWだ。惨殺で死ね」
両手で振るう斧や両手剣で易々と二刀流を行うそのイカレた腕で謎の刀と鉈を振るう。
サイが刀に両断され、蛇が鉈にて欠片と一変する。
半ばにて屠られた二匹の敵を取ろうとしたのか、生き残った蝙蝠が頭上より急襲しその翼の刃にて名無しの刃を切断しようと迫った。
「時空剣技、虚空蒼破斬」
クレスを反則マーダーたらしめる時空剣技の一つが発動、クレスから再び青い闘気が溢れ出し盾となってクレスを守る。
その波動を真っ向から受けてもなおダークウイングは止まらない。同胞を殺された怨念だとでもいうように、じわじわと近づいていく。
呆れたように名無しが鉄塊鉈を落とし、その刀に手をかけたその瞬間だった。

『――――――突き穿つ死翔の槍<ゲイ・ボルグ>!!』

バトルに関しては右に出るものの無いバトルマスターが、ミラーモンスターをこのように無駄遣いするはずも無い。
蟹座氏を安全圏まで逃がすと同時に、敵の動きを封じながら必殺を狙った策だった。
「ぐッ!!」
体全体に言い逃れられない負担を感じながら、本来のゲイボルグを放つ。
軍をも吹き飛ばす投槍。しかも、そのホーミング性能は折り紙つきである。
動きの取りようの無い名無しに弾着した周囲の瓦礫が再び空中浮遊し、周囲を煙で包んだ。


「が、グア…!」
「ししょー、大丈夫!?」
膝を突くバトルマスターに撤退を完了させた蟹座氏が傍に寄った。
「ごめんなさい、ボクが勝手に先走ったせいで……」
「いいんですよ。少し向こう見ずなくらいが萌え……じゃなくて蟹座氏らしいですからね」
(やっぱり、人体練成のツケですか……体内の魔力量が落ちてますね。ゲイボルグの出力が落ちていた)
バトルマスターはその違和感を薄々と感じ取っていた。
エロコンビとの闘いで連発した固有結界、さらにはリミットブレイクによる限界突破。
人体練成によって肉体は再構成されたが枯渇した回路と魔力そのものはどうにもならない。
ズタズタになった魔術回路では固有結界展開も満足に行かないのだ。
故に、ある程度カードを使い切ってでも一気に殲滅してしまいたかったのだが。
変身が解除され、二枚のアドベントカードが消滅したデッキの最後のアドベントカードごとデッキが消え去る。
二人が向いた煙の晴れた先には、心臓にゲイボルグを受けたダークウイングが名無しに首を掴まれていた。
「嘘……絶対当たるのがあれの取り柄だよね……?」
「(魔力が足りなかったのが一番デカいですが)……投げる方を使ったのが裏目に出ましたかね」
最後のミラーモンスターが消え行く目の前の光景に蟹座氏が絶句する。
何遍も死に掛けながら何度も対主催を切り伏せ終盤まで生き残ったクレスの幸運値は、
魔力不足のゲイボルグの因果を打ち破るに十分だった。


「中々の生きの良さだな。殺し甲斐がある」
物騒なことをいいながら、名無しが再び剣を構え直す。
「お前……ポッと出がイキナリ調子に乗ってるなよ!!」
そういいながら、黄金聖闘衣とカードデッキを取り出す蟹座氏。
カニであることを徹底的に厭う彼女がこれらを真っ当に扱うはずは勿論無い。
そう、奥義『蟹座じゃないもん』の触媒である。
タイムベントや天舞宝輪が発動すればTHE Firstのように地獄コンボ炸裂である。
ふっきれた蟹座氏の攻撃はエゲつないのだ。
(孔明戦では使われませんでしたが、その能力は知っているはずならば何故…)
一抹の不安を拭えないが、あの接近戦の鬼神を前にして有効な手段であることも事実。
魔力がそこを尽きかけて肉体にまで影響を及ぼしているバトルマスターはただ見守るしかなかった。

「だが、任務は遂行させて貰う。異能――――『投下早撃ち』」
名無しが刃を納め、居合いの構えを見せた。
しかし蟹座氏は怯むことなく、その言霊を放とうとした。
「そんな唯の攻撃でボクの小宇宙を止められると思うな! k」

『投下しました』

あたりに静寂が包む。夜気に冷やされた木枯らしがビルを下り、蟹座氏の髪を泳がせた。
「え? あれ?」
何が起こったのか分からないと言った感じで蟹座氏がきょろきょろと辺りを見回す。
バトルマスターも同様に唖然とした。蟹座氏とは別の意味で。
(何が起こった……違う、そうじゃない。『何も起こらなかった』んだ)
そのバトル鑑定眼力でバトルマスターは目を皿にするが、やはり何も感じ取れない。
蟹座氏の『蟹座じゃないもん』は未だ発動していない。
だから何も起こっていなくて当然なのだが、その為に名無しが行ったであろう技が感じ取れない。
孔明のようにマホトーンで声を潰すなり、何らかのアクションがあるはずなのだ。
(それが分からないとは……『世界』とも違う…奴の能力は、まさか)
そんなバトルマスターの考察を余所にして、蟹座氏が再び攻撃を仕掛けようと試みる。
「くっそー! 孔明のマホトーンがまだ残ってたかな。今度こそ気を取り直して、k」

『投下しました』


しかし、結果は同じ。
一切発動しない蟹座じゃないもんという事実に対し、蟹座氏は恐怖が凝縮した唾を嚥下した。
「嘘……なんで? k『投下しました』!k『投下しました』!k『投下しました』!
 なんでなんだよォォォォォッ!!!!!」
まるで蟹座じゃないという否定をこそ否定されたような気がして、彼女が取り乱し欠ける。
「止めろ!!」
ケリュケイオンを翳し、魔力をありったけ叩き付けようとしたが、バトルマスターの叫び声がそれを止めた。
「し、ししょー」
「もういい。種は分かりました。それ以上使えば、喉に傷となります!!」
その言葉に蟹座氏はハッとし、思わず喉に手を当てる。指先がほんの少しだけぬるりと湿っているのが分かった。
恐る恐るそれを目に入れると、指の腹が紅く染まっている。
本人も気付かない皮膚一枚の部分で、蟹座氏の喉が切られていた。
「貴方の能力は、その速度ですね」
バトルマスターの言葉に、名無しは満足そうに笑った。
「嘘、だってアイツ、確かに攻撃は速いけど最速の人や速筆魔王に比べたらそんなに」
蟹座氏が当然の疑問を呈する。確かに名無しはテイルズロワにて猛烈な投下速度を誇るが、
それだけならば色んなロワに最速の人が存在する。この奇っ怪な状況を説明する理由としては弱い。

「確かに、俺の速度は決して全ロワ中最速な訳じゃない。だが、俺は『テイルズロワの書き手だ』。
 トリップも予約も存在しない、弱肉強食の世界の住人。意味が分かるか?」
「…………割り込み!」
「ご明察だ。殺したいほどに回る頭だな」
テイルズロワには予約がない。故に投下権利は常に先着順である。
そしてその風土上、よほどの問題作でない限り修正要望はあってもNGになることはない。
それが何を意味するか。

「例え超大作を書いていたとしても、先に投下がなされれば唯の没作だ。
 俺の速度の前に、通せるSS(行動)など無いと知れ」

相手の行動(投下)の前に自分の行動(投下)を割り込ませることで
相手の行動そのものを強制キャンセル(没)にする異能『投下早撃ち』。
例え10000kbの大作を書いたとしても5kの繋ぎに涙を呑むことだってある。
テイルズロワのルール上どうしてもついて回る闇ルールそのものである。
「僕達予約制ロワ相手なら、予約時点でパート(行動)が分かるから先んじて防ぐのも容易いという訳ですか」
「そ、そんなのアリかよ!! そんな書き手同士が傷つけあうだけじゃん!!」
蟹座氏がかぶりをふって否定する。
書き手同士の結束にて合作最終回まで到達したギャルゲロワの人間として、その行為は信じたくない物だった。
「俺たちはそういう闇を抱える覚悟をしてでも自由を欲した。だからこそこんな風に殺せる」
名無しの剣が煌めき、再び鞘に収まると同時にビルが無数の鉄筋と細切れにされる。
序盤のラッシュを駆け抜けた神速の書き手達。
それがあったからこそ今のテイルズロワがある。
というよりも、時間的保障が一切無いのだから長文など気軽に書ける場所ではない。
常に先を越されるかもしれないという焦燥と、書き手として譲れることの出来ないクオリティの板挟みになって藻掻く。
テイルズロワが、書き手間が殺伐としていると揶揄される一因である。


「ですが、解せません」
バトルマスターのその一言に、残りの二人が息を呑んだ。
「確かに割り込みが可能な貴方の能力は認めますが、テイルズロワの超速投下は過去の話のはず。
 そんな技、今の貴方達が振るえる技じゃない!! いい加減、その種を明かしたらどうです」
その怒声に名無しはニヤリとして鞘ごと剣を突きだした。
さっきから謎謎と書かれていい加減しつこいこの刀。
本来のクレスならば魔剣エターナルソードだが、紛れもなく日本刀である。
「エターナルソードで殺すは芸が無い。ニコニコの連中から手に入れた特注の一振。
 本当の姿を見せてやるさ。起きろ『羽入』」

――――――――あうwwwwwwwwあうあうwwwwwwwwwwww神wwwwwwwwwwwシュークリームwwwwwwwwwwww

突如刀が光り出し、当たりを変な…というより馬鹿っぽい言葉が包む。
しかし、ギャルゲロワの二人にとってこれは聞き逃せなかった。
「ししょー、この声ってもしかして……」
「成程……ディーがこっちですから、あのヘボ神はあっちでしたか」
光が収まったその先には、刀身がとちゅうで何本も枝分かれしたような黄金の刀が出現する。
古手家の禁宝にして、雛見沢の鬼を討ったとされる罪の禊。
鬼狩柳桜――――――ぶっちゃけ羽入殺しの魔剣である。
「羽入のループ能力でかつてのテイルズの投下速度をここに復活させた。
 そこに俺の本来の速度を付加すれば、2日で24本……E2の悲劇すら不可能じゃない」
「羽入が、僕達の敵に回るなんて……」
「しかもニコニコの出典となると、まともな人格は期待できないでしょうね。今も草生やしっぱなしですよ」
ヒグラシストである名無しにとって強力な武装である。
そして、自分達とも無縁ではないアイテムを前にして、二人は複雑な感想を持つ。
「話は終わりだ……斬り伏せる。死ぬ気で避けてみろ」
そういって、名無しは再び攻撃を開始する。
標的と定められた蟹座氏が、あわててバリアジャケットを展開しアクセルシューターを放った。


(くそ……どうすれば……)
バトルマスターが焦燥に唇を噛んだ。名無しの能力は予約殺しである。
最低72時間の絶対時間を持つ彼らにとって、24時間後には投下可能な名無しは鬼門。
発動しなければ効果を発揮できない『蟹座じゃないもん』は圧倒的に相性が悪い。
現に蟹座氏はひたすら自分に能力ブーストの魔法をかけながら距離を作ってアクセルシューターに徹している。
真正面からの大技は全てあの能力によって封殺されてしまう。
蟹座の黄金聖闘衣やシザースのデッキを使えばいいのだが、それをするくらいなら彼女は死ぬだろう。
閃光弾はともかく、まふうじの杖は剣士には役に立たない。畢竟、残る攻め手は永遠神剣とデバイスしかない。
距離を詰めて戦う名無しと距離を開けたい蟹座氏、しかも彼女は片手が使えないとなれば結果は自ずと見えてくる。
今は6;4で抑えているが、遠からずその均衡も破壊されるだろう。
(何がバトルマスターだ……なんて僕は無力なんだ!!)
この状況下で何を成すべきだろうか? 決まっている。冥加を持って、蟹座氏を援護すればいい。
そうすれば蟹座氏が後方で魔法に徹することが出来る。そうすれば勝ち目も見えてくるだろう。
だが、それは『闘争制覇者』を発動せずに突っ込むことになる。
冥加を破壊すれば回復は出来るかもしれないが、それでも『投下早撃ち』で阻止されれば意味が無い。
tu4氏のエンジェルアームと意図的に解除した蟹座氏戦を除けば初めて『負け』の目を含んだギャンブル。
しかも、二回死にかけて起き上がったその身体はベストコンディションからほど遠い。
負ければ死、今まで絶対の不敗を約束されていたバトルマスターは初めてのバトルにおける不利を味わっていた。
(僕は、結局バトルに負けないという安心の上に胡座をかいていただけじゃないのか!!)
ネガティブスパイラルのどん底に拳を叩き込もうとしたその瞬間、声が舞い降りた。

『大丈夫ですよ、ご主人様……あなたはそんなラッドに殺されるようなヌルイ人じゃない』

その懐かしい声に、当たりを見回すが周囲には見当たらない。
『ご主人様、貴方のその固有結界は貴方の心象風景そのもの。
 貴方はバトルを書くとき、その決まった結末に安堵しているのですか?』
その言葉に首を横に振って応じる。
確かにプロットを決める時点でその勝敗は決まっているかもしれないが、
それを戦い抜くキャラ達の意思は文字の中で生き物のように流動している。
そんな彼らの熱い意思を出来レースなんかで汚すことは出来ない。
『ね? だから、ご主人様は誇っていいんです。その在り方を、その生き様を。
 固有結界があるからご主人様は負けないんじゃない。ご主人様がバトルマスター<闘争を制覇する者>だからこそ負けないんです』
「だが僕にはもう、魔力が……」
バトルマスターが項垂れようとしたとき、彼の左腕が光った。
『ならば吹かせましょう、東南の風を。ご主人様が進む覇道へ、すこしでも追い風を!』
その左腕に、少しずつ文字が刻まれる。紛うこと無き彼女の名前がその腕に。
『もう直ぐこの戦闘区域にも風が吹きます。その一瞬の逃さないでください』
「孔明……孔明!!」
抱きしめようとした魔力の光が淡雪のように消えてうせる。後に残されたのは、彼の腕に刻まれた六画の文字だけだった。


名無しの鬼狩柳桜と蟹座氏の『誓い』がぶつかる。
既に両者に幾つもの傷が刻まれていたが、どちらが酷い有様かと言われれば蟹座氏の方が圧倒的だった。
「斬殺、斬殺、斬殺……好きな死に方を選べ」
「どッれッもッ、一緒じゃねーかよ!!」
片手ではどうしても剣戟で押され、何とか反撃の糸口を掴もうとすると
「いm『投下しました』またかコラーッ!」
要所要所で技を止められてしまう。死なないように身を庇い、距離を開けるのが精一杯だったがそれはもう限界に達していた。
「飛燕連脚!!」
「しま……」
ダメージと疲労によって生まれた一瞬の隙を衝かれ、蟹座氏の右手首にキックが炸裂する。
誓いを落とした蟹座氏がそれを拾いにかかる前に、名無しの一閃の方が早かった。
「斬首だ。跳ねて落ちろ」
蟹座氏が本能的に眼を瞑ってしまう。断頭の一撃が今まさに振り下ろされ―――

「クロスミラージュ、ヴァリアブルシュート!!」

突如として名無しの真横から一つの銃弾が飛来する。
反射的に虚空蒼破斬を展開するが、外装のバリアが蒼破斬と対消滅し中の弾丸が名無しに直撃した。
「誰!?」
デバイス魔法ならばバトルマスターではない。
予期せぬ援護火砲に蟹座氏が驚きと共にそちらを向いた。
ビルの屋上に立つのは、オレンジのツインテール。
正当なバリアジャケットに身を包んだその姿はティアナ・ランスターそのものである。
「エロスの鐘の煩悩寺……義によって貴方達に助太刀するわ!!」
今までSSを読んできた読み手ならば考えられないセリフを吐いて、
煩悩寺は手持ちのデバイス・クロスミラージュの銃口を名無しに向けて連射する。
名無しは黙ってそれを凌ぐ。
いかに『投下早撃ち』で割り込み可能な速度であろうとも、剣閃の間合い外の発動までは止められない。
威力はさほどではないと断じたのか、名無しが再び剣を蟹座氏に向けようとする。
煩悩寺の援護は正しく突如吹いた一陣の風に等しかった。風が人を驚かせるのはほんの一瞬のことだけ。
「また!? こ、こっちくんなよッ!!」
しかし、既にその風を受けて火が燃え盛る炎と化す準備は整っていた。

「SSはバトルで出来ている―――――――――開け、闘争制覇者!!」


左手を高く掲げるバトルマスター。
彼のその腕には「したらば孔明」と書かれた赤い痣が刻まれていた。
これこそ触媒と化した孔明が人体練成の際にバトルマスターに遺した罠。
ギャルゲとアニロワ2ndを繋ぐ「ことみ」をキーワードにした魔力パスの代用品。
自らの残った魔力の全てを六画の令呪に変えて彼の腕に宿したのだ。
「し」の字が消えていく最中、バトルマスターは孔明とパスを繋がる感覚を思い出していた。
主に尻に。
「……例えそうだとしても、もう私が、俺が怯むことはもう何も無い!!」
彼の熱い叫び声と共に空間が一変していく。
形・色こそ違えど既にここは彼の領域なのだと、この場にいた誰もが本能で悟っていた。
「ゲームセットだ。名無し、これでこちらの『負け』は……いや、俺達の『勝ち』は決まったぜ!!」
『冥加』を携え蟹座氏の前に出るバトルマスター。
その後で彼に補助魔法をかける準備を整える蟹座氏。
遠距離から火力支援を万全に構えるエロスの鐘の煩悩寺。
完全な布陣を敷かれた名無しはその眼を更にギラつかせて笑った。
「いいだろう。其処まで死にたいのであれば、ここで全員刀の錆に……グッ!!」
剣を構えようとした名無しの口から血が漏れる。
大きな飛沫を地面に作りながら、名無しは確かめるように口を拭って不満気に言った。
「もうじきクスリが切れる……任務と依頼は果たした。殺すのは次の機会だ。『羽入』」

――――wwwwwwwwwwwwwwwwwあうあうあうwwwwwwwwwwwww神の世界wwwwwww展開なのですwwwwwwwwwwwwww

その言葉と共に世界が灰色に凍る。
「オヤシロ・ザ・ワールド」で時を止められた三人が再び認識した世界には、名無しの姿は無く、
結界の一部が切り裂かれた痕が残るだけだった。


「逃げ、たのかな……?」
「恐らくは。アインソフオウルを使えば逃亡もバトルと認識出来たんでしょうが……抜かりましたね」
そういいながら、バトルマスターは五画に減った令呪を見ながら思った。
あれを使うとなれば確実に複数画をまとめて消費しなければならないだろう。
そして、現在孔明の魔力だけで生き残っている自分が令呪を失えばどうなるのか想像もつかない。
(ですが、それを後悔する気はありません。君が残してくれたこの力……大切に使わせてもらいますよ)
「そうだ、ししょー! さっき僕達を助けてくれた人は……」
蟹座氏がそのことをバトルマスターに伝えようとしたとき、丁度彼女がその場に舞い降りた所だった。
バリアジャケットは解除され、セーラー服を纏ったティアナ・ランスターだと彼は認識する。
(この人が、孔明の言っていた『風』? 『風』のランスター……は流石に出来すぎですか)
「貴女が蟹座氏を助けてくれた人ですか。貴女のおかげで助かりました。ええと……」
バトルマスターが若干警戒気味に感謝の意を述べると、彼女はにっこりと笑って言った。

「ええ、アニロワ2ndのエロスの鐘の煩悩寺よ。『はじめまして』」
握手を求めた彼女に向かい、バトルマスターは若干戸惑いながらもその手を握り返す。
少女特有の柔肌の感触が、圭一としての感性を励起する。
「ししょー……」
微妙にデレたのが面白くないのか、蟹座氏がジト目で彼を睨む。
「え! あ! いや!! あははは、申し訳ない!! 何処かで会ったような気がして!!」
「お上手ね。でも口説き文句としては二流よ、それ? 『私と貴方達は初めて出会ったんだから』」
まるで念を押すような言葉に戸惑いつつも、二人は煩悩寺の話を聞く。
彼女はどうやらシーツ一枚でこのロワに参戦させられたらしく、
上半身裸の明智やらヤッてやるZE!などに危険に晒されそうになり、今まで動くに動けなくなかったらしい。
エリアの隅でガタガタ震えていたが、終盤に近づき留まってもいられないと意を決して建物に服を探しに行ったのだそうだ。
そうして半壊したラブホテルを見つけてやっと服を手に入れ、汽笛を追って追いかけてきたのだそうだ。
(……確かwikiにもそう書いてあったな。『エロスの鐘の煩悩寺は変態三人に襲われかけたあたりで更新が止まってる』)
「でもどうしてバリアジャケット着なかったの? 見た感じフツーにティアナのジャケットみたいだし」
「ああ、それはね」
蟹座氏の疑問に、煩悩寺はクロスミラージュを取り出す。一見なんでもないデバイスのように見えたが、
いきなり『俺はレ○プがしたい!』『パンツめくりたい!』『セクハラしたい!』
などと連呼しだすと直ぐに事情が把握できた。
どうやら彼女のクロスミラージュはアニロワ2ndではなくニコロワのエロ仕様らしい。
(ああ、だからか……さっきから妙にフェロモンがあふれてるのはこのデバイスのせい)
バトルマスターはひとりごちながら、その違和感を少しだけ納得させる。
今まで空気キャラをやってきたおかげでキャラへの侵食もほとんど無く、首輪も簡単に外せたらしい。
若干腑に落ちない点はいくつかあるが、彼女の言っていることに間違いは無いと彼は判断した。
助けられた恩もあるし、戦力として申し分も無いだろう。味方は多いほどいいのだから。


「ししょー、これからどうしようか?」
蟹座氏の問いにバトルマスターは当座の問題を考える。
「機関車は壊れてしまいましたか……F6、いやに中途半端な位置で止められましたね。しかも……」
バトルマスター達は当たりを見回す。
名無しとの戦闘でF6に点在する殆どのビルが根元から切断ざれて堆く積み上げられ、
あちらこちらの道を塞いでいた。これでは手持ちに飛行スキルの無い自分達ではF6からの脱出が時間がかかるだろう。
「ジョーカーの目的は直接の殺害じゃない……時間稼ぎでしょうね」
となると一体何に対しての時間稼ぎなのか。孤城の主に対してか、あるいはもっと別の要素に対してか。
「とりあえず、一刻も早くこの瓦礫のビル山から抜け出すことです。手遅れになる前に」
そういって三人は頷きあい、この迷宮を突破しにかかった。

その中で煩悩寺は微かにほくそ笑んだ。
(……ふふっ、やっぱりバレてない。結構危険な賭けだったけど、上手くいったわ)
魔法少女デザイア・ベルの零式幻術『M・Yデザイアベルはティアナ・ランスターなのか?』。
変身前の魔法少女は変身シーンを完全に見られるまでは変身後の自分と認識されないという、
嘗ての魔法少女モノの黄金律を利用した禁断の幻術である。
最高のエロフィールドであるラブホテルを名無しの手によって破壊させたことで一気に発生したエロパワー。
その全てを用いて会場全域に放たれた幻術によって、
『魔法妖女デザイア・ベルに変身中に行った全ての行為をデザイア・ベルという一個人が行った行為として認識させた』のだ。
三人をミイラに変えたのも、エロ師匠と組んだのも、バトルマスターに攻撃したのもデザイアベル。
エロスの鐘の煩悩寺としては一切関係が無いという壮大な法螺話が真実として認識されたのだ。
一歩間違えれば二重人格の逃避にすら思えるこの技で全ての悪行を一時封印し、
サスペリアを脅迫して首輪を解除することで煩悩寺は自由を獲得した。
あとは名無しが二人を襲っている所に何食わぬ顔で現れ、助太刀に来た自分を演出するだけだ。
残る支給品であったクロスミラージュを使って、自身のエロオーラをごまかすことにも成功している。
tu4氏が目立ち始めたことによってこちらにも流れてきた空気オーラもそれを助ける一因となっている。
これならば幻術解除のスイッチである『変身シーンを見られる』ことさえなければ余程のことがない限りはバレないだろう。
流石に戦ったバトルマスターは少し疑いを持っているだろうが、なに、問題は無い。

(バれる前に、オトしちゃえばそれで済む話だしね……)

淫靡に舌をくねらせる煩悩寺の策略は、まだ月の光も差さない闇の中に潜んだままだった。

そして、彼女のデイバックの中で唯のベルと化しひっそりと出番を待つデバイス『エロスの鐘』。
その中で体育座りをしながらサスペリアは顔を埋めてすすり泣いていた。

ガンバレサスペリア! 次の出番は何時だろうサスペリア!!


【夜中】【F6・崩壊したビル街】
【バトルマスター@ギャルゲロワ】
【状態】:健康、キュレイ種のような身体、首輪解除 魔術回路にダメージ
【装備】:永遠神剣「冥加」、ゲイボルグ@アニロワ2nd、孔明の令呪(残り五画)
【道具】:支給品一式×2、コイン、名簿、孔明のメモ、スタンガン@アニロワ1st、 首輪(まとめキング)、不明支給品×2
【思考】:
 基本:コインの表が出た――だから徹底的に抗う。
 0:仲間と協力して主催者を打倒!!
 1:このビル山を抜けて…どこにいこうか?
 2:対主催として仲間を探し、殺し合いに乗った輩を倒す。

※容姿は前原圭一@ひぐらしのなく頃にです。
 ※自身の精神が、キャラの影響を受けている事に気付きました。
 ※【闘争制覇者-Battle Master】
   発動させることで、決して『バトル』に負けない固有結界を張る事ができます。
  【闘争制覇者-Battle Master アイン・ソフ・オウル】
   バトルマスターが生涯描きうるありとあらゆるバトルの世界に敵を放り込む技。
   物語内のキャラの攻撃を全部くらわせます。
   この技が発動した時点で、敵味方の全行動が『バトル』として定義されます。
   故に、発動すればどんな状況でも、バトルマスターは不敗です。
 ※影の繋ぎ師からディーの話を聞きました。
 ※王蛇のカードデッキにある”ADVENT”のカードはベノスネーカー、メタルゲラス、ダークウイングの3枚です。
 ※孔明のメモにはこのロワに関する孔明の知り得る限りの情報が記載されています。
 ※孔明の令呪を使うことで魔力を補充することが出来ます。二画以上まとめて使うことでアインソフオウルを使用可能。
  ただし、全ての令呪を使い切ると……?



【蟹座氏@ギャルゲロワ】
【状態】:蟹見沢症候群発症(ただいま沈静中)、へこみLv1→3、顎部に痒み、
     『蟹座じゃないもん』覚醒、大程度の疲労、首輪解除 左手首に傷
【装備】:体操着(ブルマ)、鉈、ケリュケイオン@リリカルなのはStrikerS、永遠神剣『誓い』
【道具】:支給品一式×2、蟹座の黄金聖闘衣、最高ボタン、カードデッキ(シザース)@ライダーロワ、
     閃光弾、まふうじの杖、 バッド・カニパニーの甲羅
【思考】:
 基本:ししょーと共に!
 0:ししょーと共に対主催。
 1:『あいつ』に逢ったら殺す。
 2:ギャルゲロワの仲間とはできるなら会いたくない……けど。
 3:敵とは戦う。ギャルゲロワ以外でいじめてくる人はみんな敵。

 ※容姿は蟹沢きぬ(カニ)@つよきすです。
 ※最高ボタンを押すと、『いやっほぉぉぉおおおう、蟹座のONiぃ様、最高ーーーーーっ!!!!!』という台詞が、
  ハクオロの声で流れます。シークレットボイスにも何かあるかも?
 ※自分の心がキャラに影響されていることに気付きましたが、キャラに抵抗するため無駄な努力をしています。
 ※身体能力は本気を出せば倉成武ぐらいの力が出ます。通常はカニ。
 ※蟹見沢症候群について。
  へこみのLvが5になったとき、発祥します。発症した場合、自分を苛めたり辱めたりした者を優先的に殺します。
  基本的な症状は雛見沢症候群と同じです。発症中は蟹座氏のチャット状態の特徴により、語尾に♪がついたりします。
 ※言霊『蟹座じゃないもん』に覚醒しました。
  強い意志で蟹座であることを否定することにより、文字通り蟹に縁のあるアイテムから、
  『蟹座じゃないもん』つまり『蟹座じゃないもん(者、物)』の力を引き出せます。
 ※蟹座氏のバリアジャケット姿がどのようなものかは以降の書き手に任せます。


【エロスの鐘の煩悩寺@アニロワ2nd】
【状態】:精気満々、魔力全快、体力全快 首輪解除
【装備】:エロスの鐘、ミニ・サスペリア(欝) クロスミラージュ@ニコロワ 不明支給品(0~1)
【道具】:竜宮レナのセーラー服
【思考】:
 基本:エロスの限りを尽くす
 1:この二人と行動を共にして対主催に取り入る
 2:やばそうになったらエロでごまかす

※容姿はティアナ・ランスター@なのはstsです。
 【エロスの鐘】
 大人向けデバイス。魔法妖女デザイア・ベルへの変身アイテムでもある。
 その音色を聞かせた者が隠し持っている欲望を引き出し、暴走させてしまう。
 暴走した欲望からエロスを吸い取ることで相手の精気を自分のものにできる。
 【ミニ・サスペリア】
 掌サイズのメイドさん。闇のメイド・サスペリア@アニロワ2ndの姿をしている。
 魔女っ娘に必要なマスコットキャラで、ご主人様に色々とアドバイスをしてくれる。
 WIKI管理人の端末だった。主催陣と交信できる。ほぼ謹慎状態で今は鬱病気味。
 ※幻術『M・Yデザイアベルはティアナ・ランスターなのか?』によって地上の参加者全員に、
  『エロスの鐘の煩悩寺≠魔法妖女デザイア・ベル』という認識が植えつけられました。
  変身シーンを見られるまでは判定が続きます。但し、自分よりランクの高い存在に対する効果は不明。


※名無しとの戦闘でF6のビルが軒並み倒れました。普通に歩行して移動するには時間がかかります。


【???】

【名無し@テイルズロワ】
【状態】:薬物中毒 小ダメージ
【装備】:鬼狩柳桜@ニコロワ
【道具】:不明
【思考】:
 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺
 1:帰還してクスリを飲む
 2:強い奴を殺したい

※容姿はクレス=アルベイン@テイルズオブファンタジア
 ※【異能・投下早撃ち】
   圧倒的な投下速度で自分の攻撃を決め、先んじて相手の行動をキャンセルさせる能力。
   キャンセルするかどうかは名無しの任意で決められる。射程外からの攻撃には対応できない。
 ※鬼狩柳桜の力で初期のテイルズロワの早さを獲得しています。
  また、刀から羽入の力を幾分引き出せるようです。


254:なのDeath☆(前編) 投下順に読む 255:戦え三人ライダー!
254:なのDeath☆(前編) 時系列順に読む 255:戦え三人ライダー!
254:なのDeath☆(前編) バトルマスター 264:新訳・これより先怪物領域
254:なのDeath☆(前編) 蟹座氏 264:新訳・これより先怪物領域
254:なのDeath☆(前編) エロスの鐘の煩悩寺 264:新訳・これより先怪物領域
254:なのDeath☆(前編) 管理人・したらば孔明 257:最終二部作1 孤高のスタンドプレイヤー
254:なのDeath☆(前編) 裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~ 257:最後の刺客
254:なのDeath☆(前編) 愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました 257:最後の刺客
254:なのDeath☆(前編) 人外アドベンチャー~OZbjG1JuJMのウォーゲーム~ 257:最後の刺客
254:なのDeath☆(前編) C.M.超展開はデフォなのか? 266:主催者ジョーカーの事情
254:なのDeath☆(前編) ナナシ
254:なのDeath☆(前編) 名無し 260:貫き通すは『ギャグ』と『愛』
254:なのDeath☆(前編) 七氏 266:主催者ジョーカーの事情
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。