熱血対熱血~正義の系譜~


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時間は、放送直後にさかのぼる。

(パンタローネが死んだか…。対主催として覚醒したからには、あの時のことを謝っておきたかったが…。
今となってはそれもかなわないか…。)

かつて敵として対峙した同じロワの書き手のことを思い、熱血怪人は切なげな表情を浮かべる。

(シルベストリ、おぬしも命を落としておったか…。惜しい男を失ったものよ。
そしてフラグビルドも…。Chain-情はさぞかし悲しんでいるであろうなあ…。
あれはフラグビルドにたいそう好かれておったから…。)

すでにその目で死亡を確認していた焦ったドラえもんとうっかり侍。
それに加え二人の部下(将軍から見て)の死を告げられ、ギャグ将軍も苦渋の表情を見せる。
場に流れる、よどんだ空気。しかし、それも長くは続かなかった。

「さて、いつまでも悲しんでおったところで状況は変わらぬ。続きといこうか。」
「そうだな…。」

言葉少なめに、二人は作業に戻る。今彼らが行っているのは、暮れなずむ内面描写の支給品であったノートパソコンの分析である。
分析を始めてすぐに見つかったのは、参加者の顔写真入り名簿のデータだった。
すでに生存者が全体の半分以下になった今では若干価値は落ちるものの、それでも貴重なデータであることには間違いない。
次に、二人は各参加者の支給品のデータを発見した。
しかしこちらは名簿と違ってプロテクトがかかっており、参加者ごとにパスワードを入力しないと閲覧できないようになっていた。

「むう、名簿はタダで見せておいて、こちらにはパスワードを設定しておくとは…。
やっておることに一貫性がないわ!」
「まあ外見は一目見ればわかるけど、支給品はそうはいかないからな。情報としての貴重性の違いじゃないのか?」

憤るギャグ将軍に対し、熱血怪人は冷静に諭す。

「む、まあいい。こんなパスワードなどすぐさま解き明かしてくれようぞ!」

ギャグ将軍はまず、自分の項目から手を付ける。

《gyagusyougun》
―ERROR―

《◆s.0z/S/80k》
―ERROR―

《riderrowa》
―ERROR―

《kamenriderbattleroyale》
―ERROR―

「ふむ、個人名でもトリップでも所属ロワでもないか。あとは何があるかのう。」
「まあ、そう焦るな、将軍。こういう時こそコーヒーブレイクじゃないのか?」
「それもそうか。熱血怪人よ、貴様も言うようになったではないか。」
「フン、ほめても何も出ないぜ。」

そんなわけで、二人はコーヒーブレイクに突入することとなった。
もちろん分析の手を休めたわけではなく、コーヒーを飲みながらもああでもないこうでもない、とお互いの意見を交わす。
そうして、どれだけの時間が経っただろうか。
状況に変化をもたらす第三の男が、その場に現れた。


「何だ、おまえは…!」

その男の姿を見た時、熱血怪人は思わずそんな言葉を口に出していた。
身につけたものはすべて、黒一色。それだけでも、普通ではないという印象を相手に与える。
だがそれ以上に、その男の肉体的損傷が熱血怪人の心を乱していた。
片腕は折れ、全身至る所がボロボロ。そして顔は、もはや原型がつかめないほどぐちゃぐちゃにつぶれている。

「その制服…。色は違うが、GUYSのものだな。たしか、ヒビノ=ミライの外見を持った参加者がいたはずだが…。」

ギャグ将軍は冷静にキーボードを叩き、自分の望む情報を探す。

「有ったぞ。名前は熱血王子。漫画ロワの書き手だ。」
「何!?俺と同郷か!」

自分と同じ漫画ロワの書き手。しかも同じく「熱血」のフレーズを冠する者。
それを知り、熱血怪人の中で一気に熱血王子への親近感が芽生える。

「しっかりしろ!ひどい傷だが、気をしっかり持つんだ!」

立ちつくす熱血王子に駆け寄り、激励の言葉をかける熱血怪人。

「………なさい。」
「何だ!何が言いたい!」
「ごめんなさい。」
「え…?がああああ!!」

熱血怪人は、最初何が起きたのかわからなかった。
数秒の間を置いて、ようやく熱血王子が手にした青龍偃月刀で自分の腹を刺し貫いたのだと気づく。

「熱血王子…。貴様、マーダー…!」
「ごめんなさい。」

吐血する熱血怪人の体から、青龍偃月刀が抜き取られる。
床に倒れる熱血怪人には興味を示さず、熱血王子は刃をギャグ将軍に向けた。

「…この余の前で部下を葬るとはな…。いい度胸をしているではないか。」
「ごめんなさい…。」
「口先だけの謝罪など要らぬわ!その命を持って償うがいい!」

珍しく怒りをあらわにし、ギャグ将軍は杖を構える。熱血王子もその殺気を感じ取り、青龍偃月刀を構え直した。
そして両者が激突するかに見えたそのとき…。

「待てよ、将軍…。俺はまだくたばってないぜ…。」

小さいながらも、力のこもった声が室内に響く。その声の主は、熱血怪人。
おびただしい流血を見せながらも、彼はゆっくりと立ち上がっていた。

「おお、生きておったか、熱血怪人!」
「当然だろ…?俺は仮面ライダーとアンデルセン神父の能力を併せ持った男だぜ…。
腹をぶっ刺されたくらいで死ぬかよ…。」

不敵な笑みを浮かべながら、熱血怪人は震える体でポーズを決める。彼が愛し、日本中の無数の男が愛するヒーローの変身ポーズを。

「変…………身ンンンンンン!」

一瞬の発光。それが収まった時には、もうそこに先ほどまでの熱血怪人の姿はない。
悪に生み出されながら、その悪に反逆した男。現在まで受け継がれる正義の系譜の、偉大なる原点。

「仮面ライダー………1号!!」

最古の英雄、仮面ライダー1号がそこにいた。


「あ、ああああ…。」

熱血王子は、自分の中に芽生えた恐怖を抑えきれなかった。
手応えはあった。確かに殺したはずだった。なのに、この男は何故生きている?
影の繋ぎ師といい、仮面ライダーとはみんなこのような化け物なのか?自分は手を出してはいけない相手に出してしまったのか?

「ああああああ!!」

恐怖に負け、作戦も何もなく青龍偃月刀を振りかざして突っ込む熱血王子。
しかし、そんな考えなしの攻撃が通用する相手ではない。

「ライダァァァァァァァァ、パァァァァァァァァンチ!!」

熱血怪人の拳が、カウンター気味に熱血王子にヒットする。
直撃をくらった熱血王子は吹き飛ばされ、壁を突き破ってすっかり暗くなった屋外へとはじき出された。

「がは…あっ…。」

痛い。痛い。痛い。
何故自分がこんな思いをしなければならないんだろう。
何故?何故?何故?
もう嫌だ。もういいだろう。
楽になりたい。早く俺を楽にしてくれ。

(何言ってるのかなあ、熱血王子さんは。
そんなんじゃ私もみんなも許してくれるはずないじゃない。
それでもいいの?)
「がああっ!!」

熱血王子の脳内に、ここにいるはずのない愛媛の声が響く。
むろん、それは幻聴だ。だが今の熱血王子では、そのことに気づくことなど出来ない。

(嫌だ!嫌だ!嫌だ!誰からも許されないのは嫌だ!)

痛みを強迫観念で押し殺し、熱血王子はふらふらと立ち上がる。
そして両手のウルトラリングを合わせ、変身体である高町なのはに姿を変えた。
その視線の先には、彼を追って旅館から出てきた熱血怪人とギャグ将軍の姿がある。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…。」

まるでその言葉しかしゃべれないかのように同じ語句を繰り返しながら、熱血王子は得物を持ち替える。
青龍偃月刀から、本来の自分の武器であるリスト・ブレイカーへと。

「あの男、まだやる気か…。体もボロボロだというのに、いったい何を支えに…。」

沈痛な面持ちで呟く将軍。その将軍に向かって、熱血怪人は言った。

「将軍、あいつとは俺がけりを付ける。あんたは手を出さないでくれ。」
「しかし…いや、わかった。くれぐれも、無理はするでないぞ。」

一瞬ためらいつつも、熱血怪人の目に宿る熱さを感じ取りギャグ将軍は素直にその言葉に従う。

「わかってるさ。俺も死にたいわけじゃない。」

そう答え、熱血怪人は熱血王子へと向かっていく。熱血王子は、未だに同じフレーズを繰り返している。

(あれはおそらく、キャラへのなりきりじゃない。ミライにもなのはにも、あんなネガティブな要素はない。
つまり、誰かがあの男をあんな風にしてしまったってことだ。おそらくは、そうとうえげつない手段でな…。)

たとえば、暗闇大使が斗貴子の目の前でカズキの死体を蹂躙したように。
ハヤテにマリアの生首を見せつけたように。

(あいにく、俺にはアカギやパピヨンのような頭脳はない。頭を使ってあんたを救うのは無理だ。
本郷さんのIQ600の頭脳が有れば、また違ったかもしれないがな…。
とにかく、俺に出来るのは戦うことだけだ。だが、それでいい。
俺も熱血、あんたも熱血。だったら、拳で語り合うのが一番手っ取り早いだろうが!)


大地を蹴り、熱血怪人が跳ぶ。

「武装錬金!」

空中で、熱血怪人が吠える。それと同時に、彼の脚にはバルキリースカートが装着された。

「熱血王子ィィィィィ!!その心の闇を、ぶち撒けろォォォォォ!!」

空中から、4枚の刃が熱血王子に襲いかかる。しかし熱血王子は、すんでの所でそれを回避。
着地直後の隙を狙い、熱血怪人の顔に蹴りを叩き込む。

「なんの!」

だがその蹴りは、熱血怪人の腕にガードされる。その反動でバランスを崩した熱血王子に、熱血怪人の反撃の拳が突き刺さる。

「があっ!」

血反吐を吐き、熱血王子は再び地に伏した。

「もうやめよう、熱血王子。おまえはもう休んでいい…。休んでいいんだ!」
「おまえに何がわかる…。俺は休めない!休むわけにはいかない!
休んだら、誰にも許してもらえなくなるんだよおおおおおお!」

正気を感じられない叫び声をあげ、熱血王子は立ち上がりざまリスト・ブレイカーで突きを放つ。
熱血怪人は、その突きを蹴りで払う。だが、結論から言えば彼の対処は誤りであった。
宝具、リスト・ブレイカー。その効果は、相手にほんの少しでも当たれば発揮されるのだから。

「破棄すべき全ての手<リスト・ブレイカー>…!」

「な…なにぃッ!」

予想外の事態に、熱血怪人は動揺を隠せない。何故、自分の右手が切り落とされている?
今の攻撃のどこに、そんな要素があった?
混乱がもたらすのは、わずかな隙。それを、熱血王子は見逃さない。
ウルトラマンレオのパワーによる蹴りが、熱血怪人の腹部に空いた穴に叩き込まれる。

「ぐあああっ!」

先ほどまでとは逆に、熱血怪人が大地に倒れ込む。
熱血王子はその上に馬乗りになると、リスト・ブレイカーを熱血怪人の顔面に向かって振り下ろした。

「ごめんなさい。」

もはやこれまで。熱血怪人がそう覚悟を決めかけたそのとき…。

「ぐあっ!」
「え…?」

何者かが、熱血王子を突き飛ばした。

(何だ…。何が起きた?)

状況が飲み込めないながらも、熱血怪人は急いで体を起こす。
最初はギャグ将軍が何かしたのかと思い彼のほうを見たが、将軍もわずかに驚愕の表情を浮かべ固まっていた。
そして彼の視線を追ってみると、そこには宙に浮かぶ黄金のカブトムシがいた。

「コーカサス…ゼクターだと…?」

そう、そこにいたのはギャグ将軍の支給品であるはずの、コーカサスゼクターだった。
ご丁寧に、自らの体にブレスを引っかけている。

「おまえが俺を…助けたのか?」

思わずそう呟く熱血怪人。だが、当然答えは返ってこない。

「俺に…おまえを使えというのか?」

やはり返事はない。だが熱血怪人には、ゼクターがそれを肯定しているように思えた。
彼はゼクターからブレスを受け取り、それを片手で四苦八苦しながら装着する。

「なんだかわからんが、とにかくやらせるか!」

立ち上がった熱血王子がそれを阻止しようと襲いかかるが、時すでに遅し。
熱血怪人の姿は、仮面ライダーコーカサスへと変化…していなかった。

「なんと…!」

ギャグ将軍は、思わず感嘆の声を漏らしていた。

それは、熱血怪人の強い思い入れがなした業なのか。
姿形は、1号そのまま。しかし、コーカサスの能力とシンボルカラーは、確かに受け継がれている。
そこには、金色に輝くライダー1号がいた。

「仮面ライダー…ザ・ファースト・コーカサス!」


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