第二次スーパー書き手大戦 第183話 了承!!


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『テイルズ オブ シンフォニア』
書き手ロワ2ndの住人の中には、このゲームを知っている人も多いだろう。
その名の通りかの『鬱ロワ』『全滅ロワ』として名高く、晴れて主催者側の護衛として、
『アンチ対主催』という独自のスタンスで登場した『テイルズロワ』の参加作品である。
さてそのゲームの主人公ロイド・アーヴィングは、RPGでは珍しい二刀流の主人公である。
「100+100=200だろ?」
彼がこのスタンスを選んだのは、そんなどこかのマッスルな超人漫画的な理論によるものである。
当然だが、剣を二つ持ったとしても、単純に攻撃力が2倍になったりはしない。
使い手の技量により100+100は200にも150にも70にも300にもなるのである。
だがしかし、漫画やゲームの世界では、使い手の技量の他に武器の性質によっても100+100は変化する。
共振、対消滅、二対一刀などなど、武器同士がその性質により相乗・相克することが多々あるからである。

ならばもし、一振りで天と地と海を分かち、有象無象を塗り替えた創世の剣を2本装備したとしたら?
100どころか那由他と無限を掛け合わせたとしたら?
その答えが今眼前に広がっていた。

「ONEE-CHAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNN!!!!」

横薙ぎに振るわれた赤き暴風がビルを灰燼へと帰し、
縦に振り降ろされた白き竜巻が空と大地に大きな亀裂を残す。
あまりにも圧倒的すぎる様だった。
さらにその担い手は不死の酒による再生能力と酢飯細胞による様々な肉体強化をなされている。
とてもではないが一人で立ち向かえたものではない。
チートとされるバトルマスターやtu4氏クラスでも負けないのが限界であろう。

それでも、その漢はただ一人でこの怪物に対峙し続けていた。

漢の名は承、結果的に仮面ライダーに救われたスパロワの書き手である。


「信じてくれ!俺はお前の敵じゃない!!」
承を守るかのように、それでいて全てを受け入れるかのように、
ビッグ承が承と怪物の前で手を広げ続ける。
その手にゴルディオン・ハンマーはない。
この戦いが始まってすぐ承が放棄させたのだ。
以来漢は訴え続ける、敵ではない、信じてくれと。
まるでかって彼の仲間が描いたヴィンデル・マウザーのように。

「ONEE-CHAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNN!!!!」
再び螺旋が巻き起こり全てのものを消し飛ばす。
破壊と復讐。怨みと呪い。苦痛と悔恨。
余りにも強すぎる負の念故に狙いが定まっていない現状において、
なんとかビッグ承はジョジョ補正とサポートツール:プロテクト・シェードの併用で、
余波を逸らしつつ気合いで踏みとどまっているものの、
全身に負った傷がそう長くは持たないことを無言のまま語っていた。
言うまでもなくスタンド:ビッグ承のダメージは使用者にかえる。
勇者王が混ざっている分ダメージのフィードバックは本家の半分ほどだが、
承自身にも相当のダメージがいっていることは間違いない。

だが、それでも。
彼に目の前の怪物を倒す気はさらさらなかった。
それどころか何としてでも救おうと考えていた。
正気の沙汰とは思われないだろう。
全てを飲み込み、全てを滅ぼし、全てを恨む怪物を救おうといったいどれだけの人間が思うだろうか?
かっての少女の姿だった時ならともかく、酢飯細胞を取り込んだことによりエクスフィギュアと化したその姿は、
怪物と化したその心にふさわしいものだった。
彼からすればデビルガンダムと形容するのが一番ぴったりくるくらいだ。
早々少女―――コ・ホンブックは心身ともに怪物としか言いようがない。

だというのに。

「怪物な、もんかよ」
彼にはわかるのだ。
形は違い、規模も違うだろうが、思い通りにならない体に絶望し、意思に反する役を押し付けられ、
怪人と見なされ、考えることをやめていた彼にはわかるのだ。
どうしようもない痛みに対する苦しみが。
化け物たれと定められた絶望が。
救い手に見放された悲しみが。
心を閉じるほどの諦めが。
だから彼は手を伸ばす。
読み手の誰もがチートなマーダーと見なしても、
書き手の誰もが彼女に人を殺させ、彼女自身を滅ぼさせようとしても。
ただ一人、救おうとあがき続ける。

「ONEE-CHAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNN!!!!」
なによりも、まだ、彼女は間に合うのだ。
諦観と絶望の果てにただの殺人機械となったはずの自分ですら、仮面ライダーに救われたのだ。
ならば。
「ONEEEEEE--------CHAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNN!!!!」
「怪物が、こんなにも悲しそうな声で、誰かを求めたりするもんかよおおお!!」

一つ、怪物は言葉を喋ってはならない。
二つ、怪物は正体不明でなければならない。
三つ、怪物は不死身でなければ意味がない。

なんだったか、どこかで聞いたことがある言葉だ。
目の前の誰かは、確かに知らない人物だ。
攻撃を放つごとに自壊し再生する様は不死身と言えるだろう。
だけど、そいつは声をあげているのだ。
かっての自分とは違い、まだ言葉を口にするだけの、してしまうだけの心があるのだ。
怪物は、泣かない。怪物は、憎まない。怪物は、呪わない。怪物は、悲しまない。
だったらこいつは人間だ、人間なんだ!!

「ビッグ承、もう一度ハイパースキャンだ!!」
決意を新たに己が力に命を下す。
承はなにもただただ防戦にまわっていただけではない。

スパロワの書き手、承。
彼はいわゆる繋ぎ作家である。
他の起・転・結等と比べればどうしても地味な印象がぬぐえない。
しかし繋ぎ作家ほど書き手の力量が問われる役職はない。
彼らは事前に起こった事態の影響やそれに対するそれぞれのキャラの動きや心情、
更には伏線への考察の第一歩や事態の後始末など、ぶっちゃけかなり手間のかかることを力技に頼らず、
前後がうまく繋がるよう対処しなければならないのである。
故に彼らは求められる、あらゆるものをきちんと把握する力を。
スタンド・ビッグ承は、まるで主催者のお遊びで支給されたかのようなネタ装備だが、逆に考えると承専用装備ともとれる。
そして専用装備の定番に従うかのように装備者たる承の把握能力を全開に引き出すことに特化していたのだ。
さらにはビッグ承のモデルである承太郎は元々能力者ものでも考察・知略で有名なジョジョの奇妙な冒険の主要キャラである。
よってその眼光から放たれるハイパースキャンは、時間さえ掛ければ能力・性質・感情を読み取れるのだ!
……目を光らすビッグ承が、ガンを飛ばしてているようでものすごく怖いという欠点はあるが。

彼はこの戦いにおいてその能力を今までに度々使って解析を続けてきた。
最後のスキャンを終え、その結果が遂に身を結ぶこととなる。

(読み通り、あれは元は書き手。その体が酢飯細胞で変容したっつうことか。さらにあの再生能力。不死の酒か、やっかいだな。
 永遠に痛み続ける胸や腹の傷。これが根源なのは間違いないが、そのうえさらに憎悪や悲しみや懺悔が上乗せされてる。
 くそっ、誰がこんなひどいことを!! いや、今は私情は捨てろ。加えて大切なのは、あの少女の中に三つの意思が滞在している点だ。
 関わるもの全てを滅ぼし数々の読み手の怨嗟の声を浴びたが故に、
 いつしかそれ自体が破壊の意思を持つようになったアニロワ2nd版『乖離剣・エア』。
 同じく歪んだ愛が暴走した果てに、その身が朽ちようと他者に寄生し乗っ取るといった悪魔じみた少女の想念を宿した、
 テイルズロワ原案『酢飯細胞』。
 あの攻撃衝動はこの二つによるところも大きいみてえだが)

「ONEEEEEE--------CHAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNN!!!!」

原作からも考えて、彼女は恐らく姉のような人物をなくしたのだろう。
だがそれはただの姉だったのだろうか?

酢飯ことシャーリーが、兄セネルに求めたのは愛だ。
ならばこの少女が姉に求めたものはなんだ?
それを叶えることこそがこの少女を救うということならば。
思い出せ、かっての自分を。
諦めきる前に何を望んだ、何を願った、会う人々になんと言った?
そんなのは、決まってる。

止めてくれ、助けてくれ。

ただ、それだけの、切なる願い。
きっと少女の姉は少女を助けようとしてくれたのだろう。
けど、届かなかった。
少女を助けようとして、もしかしたら少女自身に殺されたのかもしれない。
かっての自分のように。

俺は、ライダーを殺して、そこで、救われた。

あの子は、姉を殺し、どこまでも、救われなかった。

だったら、俺が引き継ごう。
俺を助けてくれたライダーのように、少女の姉の意思を引き継ごう。
神ならぬこの身では、今あるものしか見通せない。
ハイパースキャンでも、過去の出来事はわからない。
だから少女と姉の関係は、推測にしか過ぎないことだけど、それでも。

少女のいう姉が、彼女を救おうとしたことは、間違いないのだから。


「ONEEEEEE----------------CHAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNN!!!!」

なかなか倒れないビッグ承に業を煮やしたのか、先ほどまで別々に放たれていた二本のエアが、
一点に向けられ同時に発動する。
『紙砂嵐』
グオングオンと唸りをあげる二本の螺旋剣から生まれた破壊の小宇宙が、ビッグ承を蹂躙する。
さすがの最強クロスオーバースタンドも遂に膝をつく。
それでも承はひるまず少女へと歩を進め、声を届ける。

「俺は、お前のお姉ちゃんには、なれない。けどお兄ちゃんにはなってやる! お父さんでもいいぞ!!
 少し自信はないが、まあ、なんとかしてみせる!! 弟は、あーっと頑張るから!!
 もうやけだ、じーさんでもおじさんでもどんと来い、だ!!」
自分でもわけがわからなくなってきた。
なんかすごく脱線した気がするが、しかしそれが思わぬ効果を生んだ。

「ONI、ICHAN?ONI、ICH、AN」
酢飯細胞がお兄ちゃんという言葉に反応して活性化し、少女の意識との合一に混乱が生じたのだ。
続いてエアがビッグ承を倒したことによりその破壊衝動が一時鎮静化する。
少女の本来の意思が起きるとしたら、今をおいて他にはない!!

「だから言え!! おまえの本当の願いを!! お前の味方はここにいる。
 俺は死なない、負けない、放っていかない。ずっと、一緒にいてやるから!!」
どこまでも強い訴えだった。
例え他の誰が同じセリフを叫んでも、これほどの誠意を感じさせることはなかっただろう。
度重なる未完の危機を乗り越えたスパロワの書き手であり、
ロワ内で似たような苦境にあい、それでいてそこから救われた承の言葉だったからこそ、
本当にどうにかしてくれるように思える力を持っていた。

だから、届いたのだろうか?

「あ……う、た……す、……け、……て」
確かに、声がした。
囁くかのような、小さな声だった。
もしかしたら錯覚だったかもしれないとさえ思える。
それでも承は応えた。
初めて己が意志で口にするその言葉を以て。
ただ一人、泣き続ける少女へと。


第二次スーパー書き手大戦 第183話 了承!!


自分では、目の前の怪物は殺しきれない。
だが幸いにも少女を救う力はある。
「ゴルディオンハンマー、発動、承認!!」
ゴルディオンハンマーが光を帯びるも、担い手であるはずのビッグ承は動かない。
当たり前だ、紙砂嵐の直撃を受けたばかりなのだから。
むしろ消滅していないことが奇跡である。
そんなことは承本人だって百も承知だ。
ビッグ承はもう十二分に戦ってくれた。
それに彼(?)にはまだ役目が残っている。
ここからは承自身の戦いなのだ。

(なんとかビッグ承の能力使用権限は了承によって俺に移行することができた。
 つまり、ゴルディオンハンマーを俺が使用することも可能っつうことだが)

誰が何処をどう見ても、承とハンマーにはサイズ差がありすぎる。
片やただの人間、片や勇者系では小さい方とはいえ30メートル前後を誇るロボットの巨大武器。
普通の人なら扱えるとは考えまい。
そもそも手で握れる大きさではない。

なのに、彼の顔には笑みが浮かんでいた。

(普通?常識?は、そんなもん俺の無茶でいくらでもぶっ飛ばしてやんよ)

「クラッシャアアアアアアアア、コネクトオオオオオオ!!」
それは目を疑う光景だった。
承が自らの拳でゴルディオンハンマーの柄の装甲を貫き、無理やり腕の先に固定してハンマーを掲げてみせたのだ。
驚天動地、何がなんやら。
「ゴオオオオルディオン」
その上そんな重そうなハンマーをぶんぶん振りまわしながら天高く跳躍までしてしまうのだから開いた口がふさがらない。
あ、なんかハンマーの先が光って展開した。
原作に沿っているようで盛大に無視してるじゃねえか。
「クラッシャアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

           だが、そんな非常識がまかり通る世界こそが、

「ONEEEEEE----CHAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNN!!!!」
「うおおおおおおおお、不屈、根性、ド根性!!」
再び酢飯細胞がコ・ホンブックの意思と混ざりきる。
頭上の光の鉄槌を危機と感じたのか、はたまた浸食衝動に駆られただけか、
体からいくつもの触手を出し、承本体を貫いていく。
「無駄、無駄、無駄ーーーーーーーーー!!」
その痛みを文字通り気合いと根性だけで無視する。
ってか、なんか体が緑に光だし、触手が蒸発しちゃったりしている。
ありえねえ!!

           彼が、彼らが、愛した世界なのだから。


「ONEEEEEEEEEE----------------CHAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNN!!!!」
敵が果てきっていないのを感知し再起動するエア。
廻る、廻る、廻る。くるくると、狂狂と。
天地を分かつ創世の剣が二本掛かりで唸りをあげる。
対するハンマーもといクラッシャーがいかに太陽一つを消し去る力があるとはいえ、数の不利は覆せまい!!
「そっちが2倍なら、こっちは2.5倍だああああ!!」
え、嘘、そんなのアリ!?どうやって!?

           そして、その世界の一つの担い手である彼らを、

「この“魂”の炎、限界まで燃やし尽せば」
また精神論かよ!!うわっ、本当に威力がすんげえ増したあ!?
その上なんか緑から金色に光の色までかわってるう!?
なんなんだよ、なんなんだよ、あんたはいったい!?
「救えぬものなど何もない!!」
なんで、なんで、なんで、なんで、そんなに、

           世界やその住人もまた、愛していることだろう。

「クラッシャアアーーーヘル!!」
赤と白の力の本流を文字通り黄金の光の巨鎚が叩き伏せ押し返す。
地獄軍神コ・ホンブックVは出せるだけの触手を出し防御にまわすが、
そんなものでふさぎ切れる筈がない。
白きエアが元の紙へと戻りすぐさま燃え尽きる。
怪物に身をやつした少女が光と化す。
本来の4.5倍もの力を受けた赤きエアが力を失う。

「お、ねえ、ちゃ、ん」
それほどの力を受けても、例え光に昇華されようとも、
不死の酒と酢飯補正による鉄壁の生命力が少女に死すら許さない。
さすがに速度は遅いが光が集まりだし、今まで同様に少女をかたづくる。
周囲では酢飯細胞がやはり怪物の体を再構築し、生体コアを待ち構えている。

そうだよ、無駄なんだよ、相手がすごすぎるんだよ。
なのに、なのによう、

           故に誰よりも愛されている彼らは、

「クラッシャアアアアーーーーーーーーーーヘブンッ!!!!」
時が、止まる。
承の眼前には人間として再生寸前のコ・ホンブック。
少女を回復にまわしていたビッグ・承のスターフィンガーで怪物の体から引き抜く。
同時に承は最後の支給品を取り出し、了承のソフトともども今あけた空洞に投げ入れる。
二面作戦によりJUST二秒!

「光に、なああれええええええええええええええええええええええええええ!!」
時が動き出し、抜けた部分を補おうと少女と再び合一する前に、
返すハンマーを受け地獄軍神の体がまたもや光と化す。
ゴルディオンクラッシャーによる覚醒・補給での二連攻撃。
あまりの乱用に耐えかねたハンマーが砕け散る。
ありがとう、と心の中でずっと一緒だった武器に礼を言い、
承はコ・ホンブックに手を伸ばす。
勇者王ガオガイガーの最終回を再現するために。

           多くの素晴しい世界を紡げる

「クーラティオー!」
紡がれるは一つの呪文。
痛い、痛いと口にしようとした少女は、そこで一つの事実に気づく。
「テネリタース」
傷が、消えていく。
呪いのようにその身を蝕んだ二十二の星が呪文に合わせるかのように塞がっていく。
「セクティオー」
それだけではない。
あれほど身を蝕んだ憎悪の念が鎮まっていく。
「サルース」
今ならきっと、自分も他人も責めることなく、命を奪った人たちに謝れる。
今ならきっと、自分も他人も責めることなく、助けようとしてくれた人にお礼を言える。
「コクトゥーラ!」
ありがとう。
ごめんなさい。

「うまくいった、みてえだな」
彼の最後の支給品名を継“承”石という。
最近のRPGやSRPG必須の二週目引き継ぎを具現化したアイテムである。
元ネタはテイルズオブイノセントにおける転生石のよくある名前間違いからだろう。
まだロワに参戦していない作品の道具のさらにパチモンを支給するとは、
そこまで“承”ネタにこだわりたかったのか、主催者は!と思わず叫びたくなる。

「だがまあ、おかげでこの子は助けれたんだしな」
死と再生を繰り返す少女。
そのさまはまさに何周も何周も人生を繰り返しているかのようだった。
壊しては死ぬ、死んでは生き返る、生き返っては壊す。
同じ物語をたどり続ける彼女にならこの支給品も効果をなすのではと彼は考えたのだ。
結果は見ての通り。
少女がその身に負っていたありとあらゆる呪いは継承するのに成功した。

「一度死なないと効果が発揮しないなんて、意味あんのかよ、これ」
実は持ってるだけで力を発揮するこの支給品の為、
その余波であっちこっちで同一人物だった書き手が色々覚醒していることを彼が知る由はない。

「ああ、そういやもう一個欠点あったっけ」
「……お兄ちゃん?」
どうしよかなあと自嘲していると、助けた少女に声をかけられる。
(あっちゃあ、もう少し寝ていてほしかったなあ)
「ああ、どうした?」
「アタシは、コ・ホンブック。お兄ちゃんの、名前、教えて」
いまさら気づく。そういえば少女の名前すら知らなかったことに。
それがなんだかおかしくて、声をあげて、笑う。
「あははははははははははは!」
「お兄ちゃん?」
キョトンとする少女を見て、救えてよかったと心底思う。
でも、だからこそ、心苦しい。
「悪い、俺の名前は承。仮面ライダー・シザースに命を救われた男だ」
よくよく考えれば、恩人であるあの男の名前さえ知らない。
だからか知らないがせめて彼女にも覚えていてやってほしいと思った。
「承ね。承お兄ちゃん、あたしを助けてくれて、その、ありがとう!」
少し照れたようにお礼を言う少女。
なんとなくまだもとの人格に戻り切っていないような、ちぐはぐさを感じるが、
そこらへんのことは後の書き手に任せるしかない。
「俺は、どこまでいっても、繋ぎ手か」
そのことは俺の誇りでもあるんだが、さすがに今回はきつい。
どっちかというと起や結の野郎の丸投げじゃねえか、はは。
……もう、あいつらの無茶の後始末をすることもないんだな。
「お兄ちゃん?」
どうも様子が変なことに気付かれたらしい。
まあ、そろそろ読み取りも終わって頃合いだろう。
ブックの奴が再生しきったから、不死の酒の能力も完全に継承されたことだろう。
だから。

「ごめんな、ブック。お兄ちゃんな、嘘ついた」

俺の一言にブックは表情を失う。
まったく、なんて残酷なんだ俺は。
「一緒には、行ってやれない」
「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」
「え?」
そう、これが答え。
継承石はあくまでも能力を同キャラに継承させるものにすぎない。
今回の件も了承の無理やり承諾パワーを使い、
ブックと一体化していた酢飯細胞の意思に強引に継承させたにすぎない。
本来なら細かい調節も利くのだが、おあいにく様、
裏技みたいな手段ではそんなに細かい選択はできないんだな、これが。
まあ、つまりだ。
本来ブックの初期状態に含まれていなかったもの全部、
二十二の傷はともかく不死の酒の効果まで受け継いでちまったてわけ。
幸運にもエアが使えないんで攻撃力は落ちてはいるが、
チートなのには変わりはない。
「まあ、そういうこった。行け、ビッグ承!!」
スターフィンガー後ずっとブックを掴んでいてもらったMYスタンドに指示をだす。
「お、お兄ちゃん、待って、お兄ちゃんが!! あんた、近接型のスタンドなんでしょ。
 使用者から離れすぎることなんて……」
おお、そうだったのか、初めて知った。
う~む、大丈夫だろ。
なんせあのBIG-Oだからなあ。
我がロワ内で最も熱いロボ!
イングラムの意思に応え出典のスパロボDじゃ使えないラストステージぶっ放したり、
リュウセイの望みの為に勝手に動き続けて死亡表記まででたロボのなかのロボだし。
承太郎も相当の漢だっていうし、きっと根性でどうにかしてくれるだろ。

「ずっと、ずっと一緒にいてくれるって、言ったじゃない!! もう一人は嫌なの!!」
耳が痛い。ん、でも聞き捨てなんねえな、これは。

「なあ、覚えておいてくれ。世界には結構ヒーローがいるもんさ。
 言ったと思うが、俺は仮面ライダーに助けられたし、お前は俺に助けられた。
 さすがにこのロワほど破天荒なことはそうはねえが、基本は同じだ」

ブックだったものが動き出す。面倒だから命名デビルシャリダム。

「わからない、わからないよお」

本能からかKYなデビルシャリダムが触手をブックに向ける。
それをこの時の為に温存しといたザ・ワールドで止める。

「パロロワはリレー小説だってことだよ。
 俺たちは一人でSSを書いてるんじゃない、みんなで書いてるんだ。
 今回のようにどうしようもなさそうなチートが生まれてしまうかもしれない。
 伏線のばら撒き過ぎであとあとすんげえ苦労するかもしれない。
 誰も書こうとしない空気が生まれて扱いに困るかもしれない。
 けどな、そんな俺たち一人一人じゃ打破できないような問題を、
 誰か一人がスパーンと片付けてくれるかもしれない。
 五人がかりで少しづつ問題を解きほぐして解決してくれるかもしれない。
 それがリレーするっつうことなんだ。
 んでもってその誰かには俺やお前だってなれるんだ。
 そしたら俺らは一躍ヒーローだぜ? みんながすごく喜んでくれるしな」

まあ、待てシャリダム、最後くらい俺にもまともなセリフ言わせろ。
もう一回時止め。

「でも、わたしは知ってる。世の中いい人ばかりじゃないって」
「はっ荒らし?
 んなもんこっちにはそれ以上の絵師やMAD職人や地図書きや読み手がついてるだろ!
 最強勇者ロワ軍団だ!お、うまいこと言うなあ、俺」

自画自賛しつつさらに時止め。やべえ倒れそう。
でも妹の前で兄としてかっこ悪い姿さらしたくねえし。

「それでも、そこに、お兄ちゃんはいない!」
「……いるさ」

すまん、もっと大きな声で話してくれ。
ちょっと考えて間が空いちまったぞ。

「え?」
「俺だけじゃねえ、スランプになった奴も、書き手引退した奴も、骨折しちまった奴も、書き逃げした奴も。
 一度でも書き手であったなら、俺らの作品はずっと残る。
 DAT落ちしようが、まとめサイトがつぶれようが、没作品になろうが、誰かが覚えていてくれる。
 みんな死んじまったらおしまいかもしれねえが、それは永遠なんかの何倍も価値のある完結だ。
 だからもう、諦めるな!! お前はずっと一人なんかじゃなかったんだ」

今よく考えたらこのGGGパワーって、ロボロワ補正もあるんじゃね?
スパロワには全く参加してねえし、感謝だな。

「ほんとに?」
「ああ、なんせ一度壮大に詰まってぶっつぶれかけたとこから、
 立て直した経験のあるスパロワ書き手の俺が言うんだぞ?
 本当に決まってる」

我ながら悲しいやら誇らしいやらの超説得力。
でもだからこそ言いきれる。

「俺は、俺たちはずっとお前と一緒だ!!」
さすがに離れすぎたんだろう。
ブックの声はもう聞こえない。
んじゃま、いつもどおりできるだけ後始末しますか。
「ディバイディング・ドライバー!!」
あらわれた巨大マイナスドライバーを大地に打ち込む。
これで万が一にもブックは戻ってこれねえだろうし、
エアを使えないデビルシャリダムがいくら攻撃しても脱出不能。
これはこれで30分しか持たないという弱点があるのだが。
そこはもうシャリダムを打倒できる奴らを妹が連れてきてくれることを祈るしかない。
仕込みはバッチリだ。
きっと俺のセリフを聞いたあいつは兄を助けようと仲間を集めてきてくれることだろう。
「やれやれ、俺もどこまでいっても書き手ってことか」
さてと、ブックにああ言ったのだ。
兄である俺が諦めるわけにはいくまい。

「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」
「ああ、待たせたな」
とはいっても、こいつの兄貴なんてまっぴらごめんだが。
手にはウィルナイフが握られている。
幸運にもこいつはジェネシックではない人間サイズ。
とりあえずは俺にも扱える。

「さあ続きを始めようか?」
シャリダムの劣化には成功したのだ。
なんとかなるかもしれない。
今ある手持ち、今ある力でなんとか自分が望む形に持っていく。
なんだ、SSを書くのとちっとも変らないじゃないか。
いつもと同じじゃ仕方がない。
俺がうまくいかなかった時は他の奴らに言わなきゃな。














「あとはまかせた」



















【承@スパロワ 死亡】


【放送直前】【E-7/市街地】
【コ・ホンブック@アニロワ2nd】
【状態】:不明 
【装備】:ビッグ承
【道具】:なし
【思考】:
 基本:もう諦めない
 1:仲間を集める

※不死者化、酢飯細胞の効果が切れました。
 また、浄解により負の感情も治まりました。
 ただ新生したことにより、能力変化などが起こったかもしれません。
 お任せします。
※首輪は外れたままです。文字どおり全裸です。


【日中】【E-6/戦闘フィールド内】
【デビルシャリダム】
【状態】:酢飯細胞侵食中、不死者化、胸に12の傷(※)、腹に10の刺し傷(※)
【装備】:乖離剣・エア@Fate※
【道具】:なし
【思考】:
 基本;ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!
  1:全てを飲み込む

※不死者化する前に出来た傷は治りません。ずっと、痛いままです。
※エアは取り込まれていますが、過負荷により機能停止中です。
 このままでは再起動しません。近くにウィルナイフが深々と突き刺さっています。
※外見はどう変化したかお任せします
※E-6に戦闘フィールドが形成されました。
30分の間は、いかなる手段を使っても脱出・介入不可能です。
また30分後のフィールド消滅時に、デビルシャリダムは空間融合に巻き込まれます。
シャリダムが邪魔ならこれにより活動不能にして下さい。
無論他のフラグに使ってくれても構いません。








いつも思うんだ。
登場人物多すぎだろって、フラグ建てすぎだろって、話長すぎだろって。
なのになんで諦めないんだろおなあ、書き手って奴わよお。
今回も同じだよ。
ぜってえ勝てねえ戦いだったんだ、化け物相手にナイフ一本なんて滑稽な姿のはずなんだ。
なのに、なんで、なんで、なんで、あんなにも、あの笑って死地に向った漢の背中はかっこよかったんだろおなあ。

                   とある読み手の手記より

182:シゴフミ 投下順に読む 184:学園に行こう!
182:シゴフミ 時系列順に読む 184:学園に行こう!
178:シリアスの次に来るのがシリアスとは限らない コ・ホンブック 194:熱血と奇跡
161:仮面ライダーよ永遠に/THE FIRSTは二度死ぬ。 250:扉の向こうへ
デビルシャリダム 220:さよならは言わないで。だって――(前編)
ツールボックス

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