君の言葉を聞かせて欲しい

戦闘開始から数分。戦況はエロス組に傾きつつあった。

「ふはははははは!!溢れる、力が漲ってくるぞお、カズキいい!」
「フィールド魔法、ラブホテルが発動していることにもっと早く気付いておくべきだったわ!!」

ラブホテル。人々の性欲の象徴たるこの建物の戦いはエロス組に予想外の恩恵を与えていた。
消費した魔力・精力が常に回復し続けるのだ。

故に本来ではあり得ない技すら可能となる!

「っく、二階にも居ない!となると後はエントランスか。早まるなよ、蟹座氏、孔明!」
「ふむ。孔明に会わせたのでは私達の株が廃るというもの。名残惜しいがフィニッシュとさせてもらうぞ!」
「「奥義エロスの鐘あなたと合体したい、アーッ!!スペシャル!!」」

エロスの鐘に二人分の精気を込めて振り鳴らす。
バトルマスターは耳を塞ぐも抗いきれない。
それどころかどうしたことか、この鐘の音に無性に心が打たれるのだ。
感動作のSSを読んだ時のようなジーンと来てしまい涙が一向に止まらない。
ジーン?ま、まさか!?

そのまさかであった。
バトルマスターが涙に霞む視界を総動員し捉えたのは、鐘を鳴らし続ける煩悩寺。
そしてもう一人の女エロ師匠が何かマイクのようなものをエロスの鐘に向けている。

間違いない。あれはドラえもんの秘密道具だ。
あのジャイアンの歌ですら名曲へと変えてしまう恐るべき最終兵器。名を――

「ジーン、マイクだと!?」
「「ごめいと~~う」」

エロスの鐘+ジーンマイク。
考えうる限りで最悪のコンボである。
エロスに抗おうとする意思をジーンマイクで溶かされれば後は欲望の暴走の一途だ。

それがわかっていてもバトルマスターには耐えられない。
度重なる固有結界の酷使でもはや魔力どころか気力すら注ぎ込み尽していたのだ。
疲れ果てた彼にとって、欲望を望むままに解き放てという誘惑はなんとも甘いものだった。

「あ、あぐ、うああ」

もう休んでしまえばいい。
元から闘争心と熱い心を満たせればマーダーと対主催のどっちでも良かったじゃないか。

どくん。

その方法がエロスに変わったのだと思えばいい。
そうさ、どうせコイン一つで決めた行動方針だ。そこに正義なんてありはしないさ。

どくん。
どくん、どくん。

そういえば、そうだったなあ。だったらここで休んだってどうってことはないか。
疲れたよパトラッシュ。お休みなさ~い。

どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。
どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん、どくん。



は、ははは、ははははははははは!
そう思えたら楽なのに、熱き鼓動が煮えたぎり眠れやしない。
コイン一枚で決めた行動方針?上等!!
例えそこに正義は無くとも、書き手としての信念がある!
私はまだ生きている。なら、最後まで戦い続けろ、バトルマスターーー!!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「な、馬鹿な!?合体エロスを跳ねのけるだと!?」
「そんな、魔力も気力もとうに尽きた筈!?」

二人の動揺が伝わってくるが、正直驚いているのはバトルマスターも同じだ。
先程までエロスの鐘が鳴り響いていた空間はガラリと趣を変え戦場と化していた。

冥加を手に熱き想いを叫び続ける圭一がいた。

罪を償おうとネリネに立ち向かうオボロがいた。

愛に全てを捧げ制限すら突破したネリネがいた。

武人として想いを残し散らんとするトウカがいた。

協気に呑まれ汽車すらもちだして笑う名雪がいた。

最後まで打開策を導き出そうと諦めなかった瑛理子がいた。

継ぎし思いと誇りを胸に己の義務を果たそうとする千影がいた。

静かに笑みを浮かべ金の光となって空へと帰る悠人がいた。

退くことなく神へと立ち向かい続ける武達がいた。

戦う以外の意味を見つけ大切な人を守りきったアセリアがいた。

強き想いを胸に秘め戦い続けるまだ見ぬ誰か達がいた。

「固有結界リミットブレイク。闘争制覇者-Battle Masterアイン・ソフ・オウル!!」

中央に立つバトルマスターの周りに展開されるは、
過去・未来・現在を問わずバトルマスターが書きうる全てのバトル。
抱える属性は多岐に渡るも、どれもこれもがキャラクター達の心のぶつかり合いを描いていた。
当たり前だ。人は己の想いを貫き通すために戦うのだからバトルほど有言なものは無い。

銃声が、打撃音が、主義主張が、雄たけびが、悲鳴が、鉄の打ち合う音が、
何よりも魂の声がエロスの鐘の音を打ち消していく。

「「認めん、認めんぞ!エロスがバトルに敗北するなぞ!」」

何もエロスコンビが書き手としてバトルマスターに劣っているのではない。
書き手として完璧な状態であれば拮抗することもできたであろう。
だが不幸にも彼女達は分身に力を割かれてしまっていた。
そのことが全力を行使できるバトルマスターとの間に大きな差を作ってしまった。
そしてもう一つ。
尽き果てた筈の魔力がどこからか湧き出てきたのだ。
身体の奥からではない。まるで、繋がっている誰かが力を貸してくれるかのように。
誰かが――

 ご主人様……

ああ、そうか。俺、ほんとにやっちゃってたんだ。
それで孔明と魔力の供給パスが繋がっちゃって。
じゃあこれは彼女の力なんだな。

まるで孔明が背中を押してくれているように思えて、
事実は微妙に違うが大まかには正解な推測にバトルマスターは笑みを浮かべる。

助けられてばっかりでは、かっこが着きませんね。
ですから、急がせてもらいますよ、マーダー共!

「ブロークン、オーガニズム!!」

冥加を一閃する。瞬間、エロスコンビは幾百ものバトルを一遍にその身に受けることとなった。





「さよならです、蟹座氏」

隠し持っていた最後の支給品――まふうじの杖で見事に『蟹座じゃないもん』を封殺した孔明。
自分と同じでそろそろライダーの変身時間は切れる筈だ。
顔面を含めあちこちに隙間のある黄金聖衣では焼死は防げはしない。

チェックメイトだ。後はメタモルフォーゼが切れるまで、とことん遠くへ逃げればいい。
バトルマスター達は黒こげの蟹座氏の死体に気を取られるはずだ。
喜べ孔明。自分は助かったのだ。嬉しいことなのだ。なのに。

「は、はわわ。どうして私、泣いちゃっているんですか」

悲しみを堪え、無理やり平常心を保つバトルマスターの顔が脳裏に浮かぶ。
ご主人様は、強すぎるから、とっても悲しんで、それでも涙一つ流しはしないだろう。
たまには声を出して泣いたっていいのに。
あたふたするご主人様も可愛くて魅力的でしたから泣き顔だって。

「っつ、何を考えている、したらば孔明!私が、キャラに引きずられてどうする!」

頭を抱え本来の目的であった逃走すら忘れてうずくまる孔明。
築き上げてきたキャラクターとしての想いと一書き手としての使命との間に揺れる少女は、
焼け跡から出てきた人影に気付くことは無かった。


(……なんで、みんなボクを生かそうとするんだろう)

炎が鎮静化し、視界が回復した蟹座氏が見たのは、自分を覆う千余りの甲羅であった。
バットカニパニーの熟れの果て。彼らは母と慕う蟹座氏を守るため一匹残らず劫火へと飛び込んだのだ。
鎧の隙間を補うように、少しでも体液で炎の威力を弱めるように、
最高の強度を誇る甲羅を盾にしようと、己が命を賭したのだ。

悲しかった。予期せず授かったとはいえ自分を慕ってくれた子達の死に声を張り上げて泣きたかった。
でもやっぱり喉は役立たずなままで、声を出させてくれなかった。

(だったら別の方法で、あの子たちに報いたいなあ)

カニパニー達を焼殺した孔明は何やら頭を抱えてぶつぶつ言っている。
きっと宇宙人とでも交信しているいるのだろう。
ん、やばい、太一まで混ざってきた。この敵討だけは、蟹座氏としてやらなければ意味がない。

(自業自得だよ。泣かせてくれたら気づけたのに)

言霊が切れ、元の大きさにもどった鉈を振り上げる。
刃に移る自分の顔はきっととっても怖いから、見ないように顔を背けて一気に振り下ろした。

それが、失敗だった。

「ダメーーーーーーーーー!!」
(あ……)

突然隆起した床が盾となり孔明を守ったのだ。
失策だった。孔明は知っててボクの攻撃を誘っていたんだ。
そう思ったのも束の間、孔明の方も少女の姿に戻り心底呆けているのに気づく。
そういえばさっきの声は聞いたことのないものだった。

(じゃあ、誰が?)

偶然にも同じ疑問を抱いた二人が声のした方へと振り向く。
そこにはエドワード・エルリックの衣装に身を包んだ一人の少女が立っていた。





「ブックさん?」

蟹座氏の生存とコ・ホンブックの乱入という立て続けに起こった予想外の出来事に放心し、
バカみたいに意味も無く名前を呼んでしまったが、すぐに状況を理解する。
蟹座氏は殺しきることができなかった。
カニパニーが庇ったのだと思われるが、思い返せばやけに魔力の消費量が多かった気がする。
そのせいで調子が狂ったのだろう。コ・ホンブックの方はもっと簡単だ。
蟹座氏と同じく自分の変身も既に解けている。
アドベントされたモンスター達も吊られて送還されたということだ。

でも一つわからないことがある。
コ・ホンブックは監視室で私の凶行をモニターしたはずだ。
なのにどうして私を助けたのだろうか?

「ブックさん、どうして私を助けたのですか?」
「私は、ずっと助けられてばっかりだった。
 ボマーお姉ちゃん、承お兄ちゃん、書き手お兄ちゃん。
 だから、嬉しかった。孔明さんに、私にでもできることを教えてもらえて」

完全に読み違えていた。
ブックはただ自分を守ってくれる存在に依存しているだけの少女だと思い込んでいた。
その最たる対象が仮面ライダーなんだって。
けれど、真実は少し違ったみたいだ。

コ・ホンブックは仮面ライダーに依存していたのではない。
いつかこう成りたいと憧れていたのだ。
ライダーという存在を盲目に信じているという点では同じだが、
憧れは依存とは違い自身の存在をも高める。
書き手として、人間として、あれだけの生き様を見せた承の背中が、
今でもブックの心に熱く焼き付いているのだ。
彼女の心が弱いままであるはずがないではないか!

ハハ、ハハハハハハハ!笑いが止まらない。
孔明の名が聞いて呆れる。さっきから読み違えてばっかりだ。

「ブックさんでいいんだよね。どいて、そいつ殺せない」
「そんなのはだめ、蟹座氏さん!孔明さんは悪い人じゃないよ!」

そんなブックの強さを感じ取ったからか、はたまたシンパシーでも感じたからか。
蟹座氏はブックに対しては殺意は無いようで、何故だか安堵する。
とはいえ逃げる機会は完全に失ってしまった。
蟹座氏は声を取り戻し、セイントに一度見た技は通じない。
こうなったからには仕方がない。
私達の目的はあくまでもロワ完結であって、自身の生存ではない。
感電氏・ジョーカー達の介入、666の暗躍、着々と進行する孤城の主。
脱出エンドの可能性は限りなく低い。
最悪対主催だけが残るも、主催者の目的がわからず、でっちあげることもできずに、
更新停滞、はい打ち切り等という展開に成りかねない。
だったらここで命懸けで対主催をできるだけ道連れにした方がよっぽどロワ完結の為になる。



「蟹座氏さんの言うとおりですよ、ブックさん。私は悪者です」
「そんなことない!」
「あるっつってんだろ、雌ガキがあ!
 良いかあ、てめえに永遠の苦痛を与えた上で人殺しを教唆したマスク・ザ・ドS。
 あん野郎と俺はグルなんだよ!」

水滸伝の孔明の声色を元にできるだけ怖そうな声で脅しつける。
内容から察したのか蟹座氏がブックを守るように立ち塞がるも、
当のブック本人は一歩も引かず真正面から叫び返す。

「だったら、もう少し悪者らしくしてよ!どうして本当のことを言うの。
 嘘をついて私を騙して蟹座氏と同士討ちさせればいいじゃない!」
「そ、それは……」

ブックの言う通りだ。蟹座氏とブックを殺し合わせさえすればいくらでもチャンスは生まれた筈だ。
なのにどうして躊躇った?どころか私は明らかに安心した。
あの二人が生きていてくれて……。

ブックを殺したくないのは同じアニロワ2出身だから。

そんなことない。

二人をドSや地球爆弾の件に巻き込んだのを気に病んでいるから。

弱さなんて、とっくに捨てた!

じゃあやっぱり、バトルマスターに嫌われたくないから。

違う、違う、違う!あんな、あんな奴のことなんて、私は、私は!

「私には、あなたが罰して欲しがっているようにしか見えないよ!
 私達はどこかで人との繋がりを求めているからこそ、リレー書き手をやっている。
 あなたは嫌なんでしょ、その絆を自ら壊している自分が。
 私、間違えてる?応えてよ、本音で話してよ孔明さん!!」

「黙れ、黙れ、黙れ、黙れ!私は選んだんだ、この道を!
 書き手ロワ2を完結させるためならどんな汚い手段も使ってみせると!
 そんな私が、悪以外の、あなた達の敵以外の何だと言うんだあああああ!!」

これではまるで図星を突かれた駄々っ子みたいじゃないか。
気持は嬉しいけど私はブックや蟹座氏とは違い、操られたのでも錯乱したのでもなく、
確固とした自分の意志で人を殺めたのだ。
だから、許されるはずはないし、許してほしいと思ってなんかいないはずなのに。

「敵かどうかは……俺が決める!」

エントランスに飛び込んできたあなたの言葉が堪らなく嬉しかったのです、ご主人様……。





エロスコンビを辛うじて撃破した俺を待ち受けていたのは凄惨たる光景だった。
柱は切り裂かれ、床は変形しており、天井は焼け焦げていた。
影の繋ぎ師による建物全体の強化が為されていてこれだ。
つくづく彼が居なければどうなっていたのかは考えたくもない。

元凶たる三人の少女の反応はバラバラだった。
ばつが悪そうに顔を背けるのが蟹座氏。
我に帰り恥ずかしそうに俯くのが知らない少女。
そして――

「ご主人様。あの二人を倒してここに来てしまったんですね」

涙を流しながら訴えかけるしたらば孔明。

「来たとも。私はバトルマスターだ。勝負から逃げはしない」

だから俺も距離を詰めつつ強く応える。後100メートル位だ。

「勝利条件はなんなんです、ご主人様」
「バックれてしまったメイドさんを連れ戻す事です」
「はわわ、私ってメイドさんというには無理ありません?」
「大丈夫ですよ。圭一曰く、『萌えるのは正義!』だそうですから」

ぶっちゃけ今考えたセリフなんだが。キャラ的に間違ってはいまい。
ついでに言えば光射すロワに泣くロリ救わぬ書き手なし!だ。
……うん、元のセリフはいいのに、すんげえ嘘くさいな、アニロワ2だと。
まあギャルゲロワなら完全には的外れじゃないさ。

今で70メートル切ったかな。

「無理ですよ。私は沢山罪を犯しました。人だって殺しましたし、孤城の城の引き金にも関わりました。
 ねえ、ご主人様。あなたと同郷の歩く頭脳戦。彼を殺したのも私なんですよ?
 それだけじゃありません。今からいっぱいいっぱい、人が死ぬんです。私がそう仕向けたんです。
 主催者側とも繋がっているんですよ。だから、私は」

もう一つぶっちゃければ俺武闘派だから口車で説得するのは苦手なんだよな。
かといって黙っていればむっつりスケベと噂されたり。
良識人ですよ~、私は!っと40メートル。
でも圭一ほどお人好しでもなければ、武以上に自分勝手なのも事実。
だからあなたの事情になんてなりふり構わず一方的に言わせてもらいますよ、孔明さん。

「それがどうした!」
「は?」
「それがどうしたって言っているんだ!」
「え、えっとご主人様?」
「孔明さん。私――俺は、お前に俺の傍で生きていて欲しい。
 罪を背負っても、誰かの恨みに押し潰されそうでも、役目を捨ててでも生きていて欲しい。
 俺はもう誰も失いたくはないんだ。お前の罪は許せないけど、一緒に背負うことならできる。
 頼む、孔明。俺からお前を含めて誰一人、これ以上奪わないでくれ!」

二人の距離は、後10メートル。





自分勝手甚だしい理論だった。
普通は殺人は悪いことだ~とか、一緒に脱出しましょ~とか言う場面じゃないのか。
更に聞き様によっては告白に聞こえなくもない。
ってか告白以外の何だと判断すればいいのですか、ご主人様!

「……なんですか、それは。かっこ悪いにも程があります。最悪です。プチ最悪です。
 思わず孔明に関係ないキャラまで混ざってしまったじゃないですか。
 ずるいですよ、ご主人様。告白ならもっとかっこよく言ってください。
 そんなんでなびく女の子なんていませんよ?」
「なら記念すべき一人目になってくれ。俺は孔明を信じてる」
「勝手です、卑怯です」
「お互い様だ。俺のこと、未だにご主人様って呼んでくれてるじゃないか」

とどめの一言だった。
心が揺れるのを止めることができなかった。
いいかもしれないって、思ってしまった。
この人やブックや影の繋ぎ師なら、脱出エンドでロワを完結させてくれるかもしれないって。
……いや、認めてしまおう。私は、ご主人様ともっと一緒に居たがってる自分を、
今まで見ないようにしてきて、それでも繋がりを捨て切れなかったんだ。
なんて、無様。これでは地図氏のことを笑えないじゃないですか。

「ご主人様!」

思わず残り一メートルを、自分から詰めに掛かっていて。
だから、次に訪れたのは当然過ぎる報いだった。

私の影から再びボロボロの熱血王子が姿を現す。
顔はへしゃげ、左腕は変な方向に折れ曲がり、何でも切れる剣は刀身を失い、ミニ八卦炉は消滅していた。
されどただ一つ無傷で守り抜いたのは、右目に嵌め込んだお姉さまの瞳。
愛しそうに眼を撫でつつも、口から吐き出すのは呪詛の言葉。

許、さない。一人だけ、救われようなんて、許さない!!

「……全力全壊……《破棄すべき全ての首(ネック・ブレイカー)》唖あ亞ア啞ぁ阿蛙吾aぁaAAA!!!!」

短刀が怪しく光り、孔明の首という首を吹き飛ばす。
不死者であるが故に本来なら恐れるまでもない攻撃だ。

――アニロワ2基準で制限されていさえしなければ。

ポーンと軽い音を立てて、孔明の首はいとも簡単に宙を舞った。

「ひ、う」

喉が、熱かった。風が、痛かった。
空を飛んだはいいものの、重力からは逃れられない。
さっきまで視界に映っていたご主人様の代わりに、このままでは栄えて私は冷たい床にアイラブユー。
それは、ちょっと、御免こうむりたいなですー。

ぽこり。
どうやら願いは中途半端に届いたらしい。
床とのゴッチンから私を救ってくれたのは、勿論ご主人様。
何時の間にやら金色の鎧なんか纏っていらっしゃって最悪の抱かれ心地です。

「蟹座氏さん、ここはご主人様が、抱きとめて、くれるところ、ですよ」
「……蟹座じゃ、ないもん」

あれあれ、もしかして泣いていらっしゃるのですか?
神様ならぬ蟹様に届いたのは大いに不満だったのですが、涙に免じて許してあげましょう。

「孔明!」「シャイニング・ライダーキイイイック!!」

今度こそご主人様に抱きかかえられる私を尻目に、
影の繋ぎ師が熱血王子に蹴りを打ち込む。って、ちょっと待て。
まさか30階から床をぶち抜いて貫通してきたあ!?強すぎでしょ!
流石に影渡はできず、熱血王子には逃げられたようですが。

「しっかりしろ、孔明!」
「ししょー、駄目だよ、治せない!」

ご主人様に蟹座氏、ブックの声が聞こえる。
治癒能力は致命傷に対して以外は効果があるはず。
つまり私はここまでということですか。
首スパなんで当たり前っちゃあ、当たり前ですが。

「ご、主人、様……」

首だけでは声を出すことすら一苦労です。
だったらその僅かな時間で何を残すべきでしょうか。
ああ、そうだ。携帯電話のことは話しておきませんとと。
『柿テロ猥・R2‐ND』はきっと彼らの力となってくれますから。

「私は、」

ロワの完結を託すのもいいかもしれません。
私が知っている範囲でのWIKI管理人の目的を彼らに伝えれば、
打ち切りによるロワ未完を防ぐことができるでしょう。

「あなたのことが……」

言わなければいけないことは他にも沢山あるのに。
殺した人にも、傷つけた人達にも、孤城の人たちにも、
迷惑をかける同志にも謝らなければいけないのに。

「大、好き、です」

わたしは、なんで、こんなことを、言っちゃたの、でしょうか。

――それが、愛だよ。

はわわ、何故か今、ドS氏の声が聞こえた気がしました。
どっちにせよ、私は、孔明、失格です、ね。

「孔明、返事をしてくれ、孔明!」

すいません、ご主人様。
最後位、私の方からもわがまま言っていいですか?

ぎゅって抱きしめてください。それから、もう一、度、な、前を、呼ん、で、く……。

「孔明ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」





少女は『孔明』としては失格だった。されど、一人の少女としては胸を張れる最後だったのかもしれない。


【したらば孔明@アニロワ2nd 死亡】
【バッド・カニパニー@書き手ロワ2nd 全滅】

※王蛇のカードデッキ(黒)@仮面ライダー龍騎、 
 スタンガン@アニロワ1st 支給品一式×2、ゲイボルグ@アニロワ2nd、閃光弾、
 オールオーバー@ライダーロワ、携帯電話@現実、首輪(まとめキング)、まふうじの杖が

 孔明の首なし死体の近くに落ちています。

※王蛇のカードデッキにある”ADVENT”のカードはベノスネーカー、メタルゲラス、ダークウイングの3枚です。
※バッド・カニパニーの甲羅×1000くらいがエントランスに散乱しています。

【夜】
【G-4/ホテル『キャッスル・満漢全席』エントランス】


【バトルマスター@ギャルゲロワ】
【状態】:胸に抉り傷、内臓の一部に破損、頭部に切り傷、(以上回復中)、両腕に削り傷(処方済)、尻に猛烈な痛み
     度重なる大技の連発で精神力を使い切りつくしました。ぶっちゃけこのままでは気が抜ければいつでも死ねます。
【装備】:永遠神剣「冥加」
【道具】:支給品一式、コイン、名簿、不明支給品×2
【思考】:
 基本:コインの表が出た――だから徹底的に抗う。
 0:孔明ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!
 1:蟹座氏を落ち着かせたい。
 2:ブックに話を聞きたい。
 3:対主催として仲間を探し、殺し合いに乗った輩を倒す。

 ※容姿は前原圭一@ひぐらしのなく頃にです。
 ※自身の精神が、キャラの影響を受けていることに気付きました。
 ※【闘争制覇者-Battle Master】
   発動させることで、決して『バトル』に負けない固有結界を張ることができます。
   孔明が死んだため、アイン・ソフ・オウルverは使用不能です。

  【闘争制覇者-Battle Master アイン・ソフ・オウル】
   バトルマスターが生涯描きうるありとあらゆるバトルの世界に敵を放り込む技。
   物語内のキャラの攻撃を全部くらわせます。
   この技が発動した時点で、敵味方の全行動が『バトル』として定義されます。
   故に、発動すればどんな状況でも、バトルマスターは不敗です。

 ※影の繋ぎ師からディーの話を聞きました。


【蟹座氏@ギャルゲロワ】
【状態】:蟹見沢症候群発症(沈静しだしてます)、へこみLv2→5→4、顎部に痒み、『蟹座じゃないもん』覚醒 、疲労
【装備】:体操着(ブルマ)、鉈
【道具】:支給品一式、蟹座の黄金聖闘衣、最高ボタン、カードデッキ(シザース)@ライダーロワ
【思考】:
 基本:どうしようか……?
 0:………… (複雑)あの子たちのついでに埋葬してあげる
 1:……ししょう……
 2:『あいつ』に逢ったら殺す。
 3:ギャルゲロワの仲間とは会いたくない……けど。
 4:敵とは戦う。ギャルゲロワ以外でいじめてくる人はみんな敵。

 ※容姿は蟹沢きぬ(カニ)@つよきすです。
 ※最高ボタンを押すと、『いやっほぉぉぉおおおう、蟹座のONiぃ様、最高ーーーーーっ!!!!!』という台詞が、
  ハクオロの声で流れます。シークレットボイスにも何かあるかも?
 ※自分の心がキャラに影響されていることに気付きましたが、キャラに抵抗するため無駄な努力をしています。
 ※身体能力は本気を出せば倉成武ぐらいの力が出ます。通常はカニ。
 ※蟹見沢症候群について。
   へこみのLvが5になったとき、発祥します。発症した場合、自分を苛めたり辱めたりした者を優先的に殺します。
   基本的な症状は雛見沢症候群と同じです。発症中は蟹座氏のチャット状態の特徴により、語尾に♪がついたりします。
 ※言霊『蟹座じゃないもん』に覚醒しました。
   強い意志で蟹座であることを否定することにより、文字通り蟹に縁のあるアイテムから、
   『蟹座じゃないもん』つまり『蟹座じゃないもん(者、物)』の力を引き出せます。

【コ・ホンブック@アニロワ2nd】
【状態】:仮面ライダー書き手への依存、仮面ライダー(救い手)への憧れ
【装備】:ビッグ承 、エドワード・エルリックの衣装@アニロワ2nd 、賢者の石@アニロワ2nd
【道具】:なし
【思考】:
基本:もう諦めない。
0:孔明さん……
1:バトルマスター達と情報交換
2:書き手お兄ちゃんに恩返しがしたい。
3:仮面ライダー書き手と共に仲間を集める。
4:自分の恰好に一抹の不安。


※不死者化、酢飯細胞の効果が切れました。
 また、浄解により負の感情も治まりました。
 その影響で錬金術が使えるようになりました。
 他にも何かあるかはお任せします。
※首輪は外れたままです。



【影の繋ぎ師@ライダーロワ】
【装備】:サタンサーベル@ライダーロワ、リボルケイン@ライダーロワ
【道具】:カラオケマイク@現実
【所持品】:支給品一式
【状態】:月光で全快済み、WIKI管理人へのぶっちぎりな激しい怒り
【思考・行動】
基本:殺し合いには乗らない。
1:どこまでも ぶ っ ち ぎ る ぜ !!
2:他の参加者にもディーから聞いた事を伝える。
3:次こそは熱血王子を倒す。
4:逃げたWIKI管理人の手下を見つけて倒す。

※変身体が仮面ライダーBLACK SRX@書き手ロワ2に進化しました。
 キングストーン二つの融合により更なる可能性を得たかもしれません。
※RXの全変身系統の能力が二倍以上にアップし、シャドームーンの武器と技も使用可能です。
 何より性能差をももろともしないシャドームーンの卓越した戦闘技能を強化されたRXが得たことが一番大きいでしょう。
 加えて太陽光・月光の両方を取り込めるようになったので、昼夜問わずぶっちぎれます。
 名前からしてスパロボのSRXの技も使用可能かもしれません。詳しい能力・技は以降の書き手にお任せします。
 原作設定すらぶっちぎるぜい!
※ついでに首輪が取れちゃいましたが、どこまでもぶっちぎりです。

246:蟻地獄な僕たち 投下順に読む 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち 時系列順に読む 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち バトルマスター 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち 蟹座氏 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち 管理人・したらば孔明 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち コ・ホンブック 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち 影の繋ぎ師 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち エロスの鐘の煩悩寺 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち エロ師匠 246:胎動するは二つの悪意
246:蟻地獄な僕たち 熱血王子 246:胎動するは二つの悪意

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年04月07日 07:24
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。