くろいひとたちはこよいもたのしそうです。

「うぅん……ここは何処? 僕は……漆黒の龍だよな。うん。」
目を覚ますと、そこはなんだかシャボン玉みたいなのが飛び交う不思議世界だった。
わー、きれいな場所だー。楽しそう、とっても楽しそう☆うふふふふあははははははは。

……いやいやいや、さっきまで僕はロワの会場にいたでしょうが。
何で僕はいきなりこんな場所に飛んできているのか…………あ?
「……。」
あれれー? 何で僕が二人もいるのかなー?
……ちょっと落ち着こう。一旦眼を閉じるんだ、そうすればあんな幻覚なんて――――。
「……。」
「……。」
……えぇー、何で増えてるのー?
ババッ
二人の漆黒の龍がそれぞれ右手を挙げた。一体何をする気だ?
「僕は漆黒の龍二号!」
「僕は漆黒の龍三号!初代に二号、合体だ!!」
「いきなり現れて合体とかどういうネタふりだあああああ!?」
何なんだこれは……ボケ倒すにも限度ってものがあるだろう。これはその限度をはるかに超越している。
というか僕はロワの真っ最中。孤高さんさんも待っているんだし、さっさと戻らなければ……。
「……。」
「……。」
「……。」
「……。」
……もういいや、増えたことに関してはもう何も言うまい。
ババッ
新しいほうの二人が前の二人のように手を上げる。あれだろ? どうせお前達は四号だったり五号だったりするんだろう。
「俺は漆黒の龍?」
「俺が漆黒の龍!」
「今度はマークかよ!!つかマークがついても文面じゃなきゃ分からないよ!?」
駄目だ、どうしても突っ込まずには居られない……僕はこいつら相手に何をすればいいんだ。
……殴るか、殴ればいいのか?いや、人を殴るのは鉄槌だけでいい。あれはあれで問題があるけれど。
そもそもこいつらは本当に僕なのか?アーカードだって二人いるんだし城戸真司の姿の参加者だって何人居てもおかしくな……あれ?
そこまで思案して気付く。こいつらと僕には決定的な違いがある、服装だ。
こいつらは僕と違い、左右が逆の服装を……否。こいつらの服装は間違いなく城戸真司の物。
本当に左右逆の服装をしているのは、僕の方だ。僕の本当のなりきりは城戸真司ではなく――――――――リュウガ。
どうしてこんな簡単な事に気付かなかったのか。頭がどんどん冴え渡ってくる。
「この変な夢はあんたの仕業か……愛の伝道師!」
「……何処で分かった?漆黒の。」
四人の漆黒の龍もどきの後ろから現れた人影。あの目立つ紅いジャケットは忘れもしない、愛の伝道師のものだ。
以前あったとき同様、複雑な表情をしている。

「以前ここと同じような場所に呼ばれたからねぇ。そりゃ分かります。」
「言っておくが、今回は俺だけの力で呼び寄せた訳じゃないからな。」
「どういう事?」
一息おいて、愛の伝道師は遠くを見ながら呟く。視線の先にはさっきの僕もどき、まだ居たのか。
「さっき、イヤになるくらいの頭痛が来たろう?」
「あー……はい。」
「詳しくは分からないが、お前とあのでかいのが接近した時に死者スレの扉が開いたんだよ。」
でも死者スレの扉ってそんな軽々開くものじゃないだろう。前回会えただけでも奇跡だってのに二度目まであるなんて。
「しかし、今度ばかしは本当の最後になりそうだ。」
「……だろうな。死者の介入は本来あっちゃならない事、そう何度もおきるはずがない、だろ?」
「お前に言われなくとも分かってるよ。という訳で、さっさと要件を済ませるぞ。」
ああ、やっぱり何か用事があったのね、まぁ、死者スレ抜け出してくるようだし。
「『予約被りに定評のあるtu4氏』についてだが……彼女は先ほどお前が出会った偽者の姿をしている。」
「でも孤高さんは芙蓉楓がどうとか……」
「恐らくロワの中で姿を変えたんだろう。といっても、本当のところは本人に会ってからじゃなきゃ分からないけどな。」
ああ、ありがとう。次に会った時問いただしてみるさ。
……でも、用件はそれだけじゃないんだろ?

「もちろん。このロワ、前にも言った通りどこかが変だ。」
「うん……他のロワではご法度になる展開がこのロワではすんなり通る、間違いなく異常だ。」
「俺と同じしたらば管理人、したらば孔明や地図氏こと地球破壊爆弾……俺ことツキノ。
 この内二人が揃っているのにツキノとしての俺が参加していない、これは少しばかりおかしいんだ。」
「何処がおかしいのか良くわからないが……具体的に説明してくれるか?」
「駄目だ。まだ推測の域を出ないし、それを見つけるのは残されたお前らの役目だ。」
……肝心なところで微妙な情報だなぁ。まぁ、死者からの情報じゃしょうがないか。

「贅沢を言うな。余り情報が出すぎると、ロワ自体が成り立たなくなる恐れがある。」
「わかってるって。地球破壊爆弾……だっけ、会ったらよろしく言っとくよ。ツキノン♪」
その名前で呼ぶな、と愛の伝道師が意味深な笑みを浮かべる。
「よぉ!元気だったかァ!?」
突然会話の間に割り込む第三の声。
振り返るとそこに立っていたのは、ヴィータの騎士甲冑に身を包む☆ボイス。大あばれ鉄槌だ。
「鉄槌……そうか、ここに居るって事はお前ももう……」
「おっと、湿っぽい話はナシだ。」
漆黒の龍は事を察したが鉄槌がその言葉をさえぎった。
パチン、と鉄槌が指を弾くと、奇怪な形の蝙蝠が飛んで来る。てかもしかしてキバット?
「あんまり深いところには突っ込むなよ? 全くなんで死んでからもこの姿にならなきゃなんないんだよ……」
そう言いつつ僕の手に何かを落として去っていった……何か、変な感じ。何この玉?
「それは俺からの土産物だ。レイジングハート、名前くらいは聞いた事あるだろ?」
『Hello.My master』
「おー、動くのか。」
漆黒の龍は手の中の玉を天に透かすと、半透明の玉からは赤い光が漏れた。

『まぁ、バリアジャケットは出せませんけどね。』
「え、どういうこと?」
『壊れかけのものを無理やり回収してきたんです、そんな無茶な事出来るわけないでしょう。』
心なしか、レイジングハートは玉の状態なのに胸を張っているように見えた。でも威張れる事じゃないが。
「……何かやたらと気さくなレイジングハートですね。」
「ハハッ、まァ気にすんな!」
そういって鉄槌は肩を叩く。全く、死者スレに言っても変わらないな。
……っと、意識が薄れてきた、どうやら今度こそ別れの時間らしい。
「そろそろ、さよならだ。」
「らしいな、出来ればもう二度と会いたくないぜ。」
「全くだ。」
そういって三人は互いに固い握手を交わす。
以前愛の伝道師の手に嵌っていた皮手袋は、今漆黒の龍の手に嵌っている。
以前大あばれ鉄槌の持っていたレイジングハートは、今漆黒の竜が持っている。
「あんたらの意思、しっかり受け継いだぜ!」
「ああ、じゃあな。tu4氏の事……頼んだぞ。」
「俺たちは向こうでお前の事見てるからな!中途半端な燃え展なんか見せたら承知しねえぞ!!」
そろそろ本格的に意識がなくなってく……あれ、さっきの僕もどきが集まって一つに……?
「HAHAHAHAHAHA!!私こそは漆黒の龍だァー!」
「嘘付けェェェェェッ!!目つきが悪いしなんかネコミミも出てるぞォォォ!?」

嗚呼、やっぱりこの性格は治らないのか――――――最後の最後で大きな突っ込みをしながら、僕は夢の世界を後にした。


「……まったく、こんなことしてどうなっても知らないぞ。」
ネコミミつり目の漆黒の龍が呟く。厳密には、それに擬態している◆6/WWxs901であるが。
「そんなこと言って、手を貸してくれたのは何処のどなたかな?」
愛の伝道師の言葉にやるせなくなったのか、◆6/WWxs901はそっぽを向いてしまった。
「……どうせだから、聞かせてくれ。何でこんな事をした? tu4氏の事ならいずれわかるだろうに……」
「そっちはあくまでついで、本当の目的は――――キャラとしての覚醒だ。」
不意に声のトーンが変わる愛の伝道師。
「さっきまでの漆黒のはなりきりのキャラを、近いとは言え履き違えていたからな。
 本来の力が出せなかった……だからこそ覚醒させてきたんだ。」
一息で喋って、コーヒーを一口。ちなみに◆6/WWxs901はオレンジジュース。
「きっかけは恐らく……あの龍の接近だろう。漆黒の龍、そしてあの黒い巨龍……何か関係があると見て間違いない。」
傍から見れば洒落だろうが、当人達はいたって真面目だ。
「本当に分からないのはあの龍の怪人……漆黒のは北崎を執筆していないし、関連性が皆無。なのに一体何故……」
「決まってるじゃねぇか、燃え展開だからだよ。」
黙っていた大あばれ鉄槌がすぐさま脇から答えを出す。
彼なりに思うところがあるのだろう、少しばかり☆ボイスもシリアスモードになっていた。
「燃え展開ねぇ……回りまわって鬱展開にならないといいが。」
◆6/WWxs901は空になったコップを置いた。中に入っていた氷がカラン、と音を立てる。
「まァ、考えたって始まらねえよ。俺たちにできる事は見てる事だけなんだからよ。」
「……それも、そうだな。」
コーヒーをもう一口、すっかり温くなってしまった。
口に広がる苦味を味わいながら、愛の伝道師は背もたれに寄りかかって眠りについた。


「……さん! 漆黒さんしっかりして下さい!」
「うん……孤高さん? ってここは何処?」
夢から覚めたとき、辺りはもう暗くなり始めていた。
「ここは、さっき私が倒れたときに入った建物です。」
「ずいぶん長く寝ていたみたいだな……ごめん、僕のせいで……」
「いえ……何もなくてよかったです。」
漆黒の龍が謝ると、大きく被りを振って否定する黒き書き手。
「あ、そうだ。さっき気を失っている間に見た夢なんだけど、愛の伝道師……いや、ツキノが――――」

◆ ◆ ◆

「そうですか……tu4氏は兎も角、ツキノさんといい、地図氏といい……このロワには少なからず裏があると見て間違いないですね。」
「うん、しかも飛びっきり厄介なもののようだね。」
漆黒の話を聞き考え込む孤高。だが普段と様子が違う。
微かに上ずった声、小刻みに震える肩、時折漏れる嗚咽、そして――――その眼は、紅く充血していた。
「孤高さん、考えるところ悪いんだけれど、僕が気を失っている間に放送があったね?」
「……はい、ありました。」
時計も見ずに漆黒の龍が放送の事を言い当てる。リュウガとして覚醒する前なら考えられなかっただろう。
だが今の彼はリュウガとして幾分頭がクールになっていた。この程度のことなら十分推測は可能だ。
「……何かあった?」
「フラグビルドさんが……ドラえもんが……うっかり侍さんが……お姉さまが……」
放送で知り合いの名前が呼ばれたのだろう、その心理はよくわかる。自分もボマーが呼ばれた時はこんな風になった。
「大丈夫かい?」
「……えぇ、これぐらいの事じゃへこんでいられません。」
――――嘘、彼女は今我慢している。漆黒の竜が即座に嘘を見抜く。
出来れば、禁止エリアの事を聞きたいが、今はそれどころではない。
彼女の事を思えば、漆黒の龍は自然とその判断を下していた。
「えっ、あああああの漆黒さん!? なななな何をするんですかっ!?」
孤高の頭に手を回し、ゆっくりと引き寄せて包み込む。
もちろんの事孤高の黒き書き手は酷く狼狽し、涙目の顔をさらに真っ赤にした。
「孤高さん……泣きたい時は溜め込んじゃ駄目だよ。」

一言呟き、漆黒の龍はその華奢な体を強く抱きしめた。

「あ、あ……うわああああああああああああああ!! 」
緊張の糸が途切れたのか、とても大きな声で―――――ただただ、泣いた。
静かに、優しく。孤高の黒き書き手が泣き止むまでは、この体を抱きしめていよう。漆黒の龍は少女を眺めながら、そう思っていた。

◆ ◆ ◆

「……どう? 落ち着いた?」
「はい、思いっきり叫んだら、何かすっきりしました。」
「そう、よかった。」
はにかんだ笑顔を見せる孤高。今度は、漆黒の竜が顔を紅く染める番だった。
幾らリュウガと言えど、こういうことには弱い。めっぽう弱い。一番弱かった。
(あああああああの方法しか思いつかなかったとは言え何で何の迷いもなく実行に移すかな僕はァァァァァァ!?
だって何の許可もなく抱きしめるんだよ? うわああああ思い出すだけでも恥ずかしいいいいい!!)
今は、顔をさっきの孤高に負けないほど紅くして、そこに自己嫌悪を上乗せして転がりまわっていた。

ゴロゴロゴロゴロガツンゴロゴロゴロゴロ。悶え苦しんでいる内に頭が何かにぶつかった。

「ん?」
当たったのはデイパックだった。恐らくデイパック越しに物が当たったのだろう。
ジッパーを開き、中身を確認する……え、ソルテッカマン?何でここにあるの?てか何でここに入ったの?
「あ、それ漆黒さんが気絶している間に回収しておきました。」
「え、孤高さん一人でどうやって回収したの?」
「何言ってるんですか、私一人で運べる訳ないじゃないですか。私そこまで力ありませんよ!」
孤高の黒き書き手が軽く頬を膨らませながら鏡を指差す。
そこにはいつもよりウネウネしてるドラグブラッカーがいた。何かちょっとだけうれしそう。
「彼が手伝ってくれたんです。」
だから妙に嬉しそうだったのか……変身もせずにドラグブラッカーを使うなんて、よっぽど気に入られたのだろう。
まぁ、別に悪い事でもないしいいか。それより、遅れを取り戻せねば。
「さて、そろそろ行くかな。」
荷物を持って、漆黒の龍は外に出ようとするが、それを引き止めるのは孤高の黒き書き手。
「えっ……病院へ、行くんですか?」
「行くんですかって……当たり前でしょう。」
孤高が目線を下に伏せる。
「でも……またさっきみたいに気を失ったら……」
「大丈夫、次は――――倒れたりしないから。」
漆黒は孤高の心配をなんでもないといった風に跳ね除ける。
根拠などは全くないが、そこには不思議な説得力があった。これもリュウガの影響だろうか。
「分かりました……じゃあ急ぎましょう!」
「ああ!ドラグブラッカー!!」
漆黒の龍はもう一人の相棒を呼ぶ。
……おかしい、出てこない。鏡の前にはいるのに……
「おいドラグブラッカー、どうした?何で出てこないんだよ?」
鏡を直接ノックしてみるがやはり出てこない……てかなんか疲れてないかコイツ?
「あっ……まさかさっきソルテッカマン運んでもらった所為かも……」
黒き書き手の言葉に思わず納得する、って、じゃあこいつに乗って飛べないじゃん!?
「ちなみにソルテッカマンを動かそうとしたら多分真夜中になってしまいます……スミマセン!」
謝る孤高に対し、漆黒の龍はリアルorz状態になった。
じゃあこのまま歩いていくしかないのか?絶対間に合う物か。
ライダーに変身しても、カブトは僕しか変身できないしドラグブラッカーが仕えない以上リュウガには期待できないし……。
……って、在るじゃないか、もう一つ空を飛ぶ方法が……でも……。
「本当ですか!?じゃあ早くいきましょう!」
「いやでもあれは……そのなんと言うか……あれはちょっと……」
明らかに何かを隠している。すぐさま孤高の黒き書き手はそのことを察した。
十中八九知られたくない事なのだろうが、そうなるとやはり知りたくなるのが人情という物。
やがて決心したのか、漆黒の龍はデイパックに手を突っ込んで核鉄を取り出した。
……え、核鉄?と言いそうになったが、その前に漆黒の龍が次のアクションを見せる。
「ハッ!」
短く吼え、人の皮を脱ぎ捨てドラゴンオルフェノクとしての姿を現す。
巨大な手で核鉄を掴み、一瞬躊躇いを見せるも天高く核鉄を掲げた。
「……武装、錬金。」
一言、軽く呟いて核鉄を展開し、そこから眩い光を放つ。
孤高はその強い光に思わず眼を瞑ってしまうが、それも一瞬の事。すぐに光も収まった。
ゆっくりと眼を開けていき、目の前に立っていたのは―――――

「あ」
両者の口から漏れるあ、という声。だがそこに籠めてある意味は全く別のものだ。

―――――黒いドラゴンオルフェノクが

「あ」
漆黒の龍から漏れるのはしまったッ、という後悔。やる前にせめて一言断っておけばよかったと。
見れば彼女も口を大きく開けている。驚き?嫌悪?いや……これはまさか……?

―――――黒い蝶の羽を背中につけて

「あ」
黒き書き手から出るのはえ、何これ、という感情。他には一切何も出てこない。
確かに漆黒さんが変な姿になったのは驚きだけど、いや、それ以前にこの格好は…駄目だ…こらえるんだ…し…しかし…

―――――黒いパピヨンスーツを着ている姿だった。












「いやっ……もうだめ、耐えられな、あは、あはははははははははははっ!!!」
「ちょっ、そこまで笑うことないでしょフツーッ!?」












……数秒後、そこには笑いを抑えている黒き書き手と体育座りをしているドラゴンオルフェノクが居た。
パピヨンスーツはまだつけたまま。目尻には大粒の涙が溜まっており、最早恐ろしさもへったくれもなかった。
「ご、ごめんな、ふふふっ、ごめんなさあはははは!!」
一応謝罪の言葉らしき物はあるが、合間に挟まれる笑いにより全く意味を成していない。つーか、寧ろ逆効果。
一つ笑いが零れば漆黒の龍が落ちこみ、一つ噴出せば漆黒の龍が悶え苦しむ。さっきからこの繰り返しである。
「だからいやだったんだ! 勝手にこの服になるとかどんな制限だ!?」
漆黒の龍が涙目で訴えてくる。ドラゴンオルフェノクがパピヨンスーツを着て涙目、なんというか凄い光景だ。
腕の辺りが若干パツンパツンになっているのがまた愉快。もといへんちくりん。
核鉄の正体はニアデスハピネス。元ネタ武装錬金ではパピヨンが使用していた代物だ。
もちろんこのロワで制限がかけられている……見ての通り、勝手にパピヨンスーツに着替えさせられる。
どうやら、元の服装を錬金術を使って分解、再構成しているようだ。
その所為か魔人態の外装は衣類とみなされたらしく、現在の漆黒の龍は竜人態になっていた。
「えっと、えふっ、何で、わざわざ変身、あはっ、変身したんですか?」
必死に笑いを堪えつつ変身の理由を尋ねる孤高の黒き書き手。
わざわざ変身までする必要があったのか、漆黒の龍は体育座りのまま涙目でふりかえる。

先ほどまでとは泣いてる方と慰める方とがまるで逆の構図。肝心の慰め方に天と地ほどの差はあるが。

「……だって……」
「だって?」
耳に手を当て、消え入りそうな声を必死に聞き取った。
「……だって……元の姿でこの服を着るのは……」
「え、あ、あはははははははっ!!そ、そういうことではははっ!」
「だから笑うなってばー!!」
物凄く小さい声で呟く漆黒。そしてやっぱり笑い出す黒き書き手。
試しに想像してみる。ニアデスハピネスを展開したパピヨン姿のリュウガ……なるほど。これはイヤだろう。
「あ、ヤバ、つぼに入ったはははははははははははっ!!」
「ねぇ、本当に泣いていい?」
こんな楽しい時間がいつまでも続けばいい――――――――と、そう思った矢先。

ズグッ―――――ゴァァァァァァァァァンッッ!!

突如、響き渡る天を裂くほどの轟音が木霊した。距離は……遠く。
二人の目線が交差し、意思疎通が完了する。その間僅か二秒、先ほどまでの笑いが嘘のようだ。
ドラゴンオルフェノクは体育座りから立ち上がり、ニアデスハピネスを展開させた。
「ハッ!」
勢いをつけて飛び上がり、それにあわせてニアデスハピネスが着火して、推進力となる。
丁度いい高度――――会場全体が見渡せる高さで停止し、音の元を探し出す。
「ずいぶん大きい音だったけど……」
音の元を探している内に、とても恐ろしいものを見つけてしまい、思わず絶句した。
もうすぐ日が暮れるというのに、そこだけ光り輝いていた。なぜか?
それはそこに光を発する書き手が居るからだ。割と距離は離れているが、すぐに感じ取る。
なんなんだこのすさまじいまでの力は……しかもそれに加えてここまでの目立ちよう。そしてあの姿。
「間違いない……光太郎だ。RXだ。ぶっちぎりだーッ!?」
拙い、これは拙い。漆黒の龍は空中でそう確信する。
チート対主催。これは本当に主催涙目状態になってしまう恐ろしいもの。そして今回の相手は光太郎、しかも原作ぶっちぎり状態。
ズガンされてもおかしくないほどのチートキャラ。ある意味空気になるのは必定だろう。

なのに、何故彼はぶっちぎっているのだろうか。答えは簡単、光太郎だから。

なんだかウオオオオオ!!とか叫んで……最早原作どころか物理法則までぶっちぎってる。
とりあえず……病院へは来なさそうで、一安心。
ただでさえアーカードがいるところにさっきの龍みたいなのが向かうってのに、あんなのに来られたんじゃ……?

「ッとそうだ!!」
先ほどまでとは逆の方、目指すべき病院の方を向く。
予測通り、音の元はギャラドスだった。つかでか過ぎだろう。だけど問題はそこじゃない。
上に人影がある。片方は……かがみ?かがみが二人いる!?
「……いや、アーカードが二人いるんだ。かがみが二人いたって不思議じゃないな。」
残りのもう一人は……まさか。まさかまさかまさか!?
「あの銀髪、服装!予約被りに定評のあるtu4氏かッ!!」
思わぬところで見つけた。もしかしたら偽者かもしれないが……関係ない。
本物なら止める、偽者ならはったおすだけだ。よし決定。
……拙い、また頭痛がぶり返してきた。
地上に戻ると、すぐさま孤高が現状を聞いてきた。
「どうでした?」
「収拾がつかなくなってきたよ。病院が大変な事になってる。」
「ええ!?」
黒き書き手はたったこれだけの会話で今どうなっているのか把握した。たいしたものだ。
「兎に角、急いで病院まで飛ぶよ……掴まって!」
「あ、ハイ!」
漆黒の龍は叫びつつ手を差し出し、黒き書き手もその手をしっかり握った。
「ニアデスハピネス!飛ぶぞ!!」
黒死の蝶が爆ぜ、体が宙に浮く。
「痛くないかい?肩の棘とか……」
「えと、はい。大丈夫です。」
漆黒はドラゴンオルフェノクの姿だが、背中に黒き書き手を背負い、出せる限りの速度で病院へ飛び立つ。
この分だと病院についての残りは少ないだろうが――――――――構うものか。
手元にはカブトゼクターとリュウガのカードデッキ。ぶっちゃけtu4氏やあのギャラドスと戦うには手数が足りてないだろう。
だけど、不思議と負ける気はしない。というか、負けられない。
愛の伝道師と約束をした……だから、必ず止めてみせる! 心の中で闘志を燃やし、病院へと向かって行く。



もうすぐ始まる病院を舞台にした殺戮の宴。生きて乗り越えられるのは、果たして何人だろうか。



「……くふっ、ふふふ…」
「……人の背中で笑いを押し殺すのやめてくれないかな、本気で悲しくなってくる……」

【夜】【E-7上空】
※漆黒の龍達が向かったのは少なくともギャラドス組が病院でアクションを起こした直後です。


【漆黒の龍@ライダーロワ】
【装備】カブト装備一式(ハイパーゼクター付)@ライダーロワ、黒い皮手袋、カードデッキ(リュウガ)@ライダーロワ 、核鉄(ニアデスハピネス)
【所持品】支給品一式 、がんがんじいスーツ(頭部に凹みあり)@特撮ロワ、首輪の残骸(愛の伝道師) 、クルミ、レイジングハート(故障)。
【状態】疲労小、下半身と背中土塗れ、ドラゴンオルフェノクに変身中、パピヨンスーツ着用
【思考・行動】
基本:対主催。そして脱出。
1:笑うなーッ!!
2:病院に向かい、そこで色々とケリをつける。
3:他の対主催と合流する。
4:tu4氏を止め、共に脱出。
5:姿を変える参加者に対処。見つけたらはったおす。
6:生存者の確保、及び首輪の解析の出来る人物の捜索。
7:愛の伝道師の意志をついで愛を説き、この戦いについて調べる。
※外見や声は城戸真司ではなくリュウガでした。大して違いはないですが。
 またそのことを自覚した事により、若干頭が切れるようになりましたが性格的には変わってません。
※他ロワの知識は皆無です。
※ドラゴンオルフェノク@ライダーロワに覚醒しました(ただし黒色)。触れたものを灰にする能力はありません。
※『蘇った現代の熱血怪人』『派手好き地獄紳士』『予約被りに定評のあるtu4氏』を危険人物として認識しました。
※一人称が僕に変わりました。
※tu4氏の姿について把握しました。
※核鉄(ニアデスハピネス)は制限により、使用中は強制的にパピヨン姿になります。でも戻るので安心ですね。
※レイジングハートは故障していて喋るだけですが、もしかしたら変身できるかもしれません。機能(と性格)については、大暴れ鉄槌の登場話を参照のこと。
※脳内補完の接近により、とても奇妙な夢を見ました。これがどう関係するかは分かりません。


【孤高の黒き書き手@ギャルゲロワ】
【装備】防弾繊維のメイド服@カオスロワ2nd、悟史の金属バット@ひぐらしのなく頃に、
    クラールヴィント(呪)@リリカルなのはシリーズ、ギアス(ギャルゲロワ仕様)@コードギアス
【所持品】支給品一式 、ソルテッカマン一号機@アニロワ2nd
【状態】疲労小、頭部強打、通常モード
【思考・行動】
基本行動方針:ここからの脱出。漆黒の龍と協力する。
1:この衣装……wwww
2:一刻も早く病院へ向かう
3:ジャミングの主については保留。
4:漆黒の龍とともに仲間を探す
5:できればギャグ将軍と合流。
6:愛の伝道師との契約通り、tu4氏を止める
※外見は「D.C.P.S.」の朝倉音夢。
※クラールヴィントは主催者の嫌がらせにより全ての音声が釘宮理恵ボイスでランダム再生されます。
 おまけに呪われているため外せません。
※ギアス(ギャルゲロワ仕様)について:
 効果は『ギャルゲロワに参加したキャラが味わった苦痛のイメージを全て再現する』
 あくまでイメージなので物理ダメージはないが、精神ダメージはえげつない。
 普通の人なら精神が耐えられずに廃人か自殺だが、書き手の皆さんは多かれ少なかれタフなので死ぬ事はない……はず。
 『同じ人物にこのギアスを使用した場合、その威力は回数に比例していくが、同じ人物に2回目以降使用すると
 『自分にもその相手に与えた苦痛のイメージが再現される』という制限がある。孤高の黒き書き手はこの制限を知らない。
 その他に何かあるかは以降の書き手にお任せします。
※裏モード:基本的に自分のためなら他人を犠牲にするのも厭わない性格……のはずだが、なぜか漆黒の龍が気になる。
      どうやら気になるのは自分と同じ黒を名に持つ書き手である模様。
      若干小町つぐみの影響も受けているため冷酷になりきれません。
※tu4氏の姿について把握しました。
※クラールヴィントが感知した謎のジャミングは派手好き地獄紳士666氏のものです。



243:第三回放送 投下順に読む 245:イマ賭ける、コノ命
243:第三回放送 時系列順に読む 245:イマ賭ける、コノ命
240:集まるヒダネ 漆黒の龍 249:惨劇『孤城への帰還』(前編)
240:集まるヒダネ 孤高の黒き書き手 249:惨劇『孤城への帰還』(前編)
156:覚醒の黒き書き手 愛の伝道師
223:エロス頂上決戦終幕――そして。 大あばれ鉄槌
225:小さな愛の物語 ◆6/WWxs901

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最終更新:2008年04月08日 12:19
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