White Trick


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この世界の曖昧は論理によって包囲されている。
汝性別不明を装いて戯れなば、汝性別不明になるべし。

心せよ。君の前にも闇黒が現れよう。


進化とともに自然から見放された人類が生み出した生命のない木が幾本もそびえ立つ。
世界はそのビルで埋め尽くされている。
生きとし生けるものの気配が欠片もないこのゴーストタウンはまるで墓場の様だ。

既に落ちかけた日は空をこれでもかと紅く染め上げる。間もなく墓場は死者が統べる黒夜に沈む。
しかし、まだ日は落ちきってはいない。未だ尚ここは生者の領域、生きる者が命を賭けて戦っている。
そして墓場の静寂を破る者がここにいた。まるで夜の世界より一足先に出てきたような紫黒の闇が。
「はああぁぁぁぁあああぁぁぁ!!!」
「えええええぇぇぇぇぇいいッ!!!」
拳と拳がぶつかり合い、巻き起こった衝撃波が周囲のビルのガラスを片っ端から割っていく。
墓が生きる者に叶うわけがない。死者の怨嗟など生きる者に聞こえるわけがない。
ここはまだ生者の世界だと主張するように、二人は闘気を漲らせて自己を主張していた。
この墓場に眠るのは俺・私ではなくお前なのだと。
二人は弾かれるように飛び退き、構えを取り直す。
黒の仮面ライダー・お姉さまこと仮面ライダーオーガが銃剣『オーガストランザー』を取り出す。
銃口を眼前の敵に向けて構えるが、人を意識して撃つということに対する生理的な嫌悪が銃を震わせた。
「震えないで、私の手……決めたんだから! みんなで脱出するって……その為にあなたを倒すって!」
人として当然の怯懦を、意志の力で押さえ込み彼女は光弾を狙い撃った。
しかしその震えを抑えるまでの数秒は、彼女の敵にとって十分すぎる時間だった。

――STRIKE VENT――

光弾が敵に着弾し煙を天に巻き上げる。生身の人間ならばこれでも十分に殺傷能力のある一撃。
しかし、相対する敵には――紫の仮面ライダー・熱血王子こと仮面ライダー王蛇には届かない。


腕に装備された手甲が弾着を滑らせ、直撃には至っていなかった。既に先程契約したミラーモンスターは消えうせている。
「!?」
「オイオイオイオイ? 威勢の割には攻撃が緩いじゃねえか。痛い、痛いぜェェ…俺の頭もお前の頭も。
 アレか? 結局口だけだなあお前はよおおおお? ムカツクんだよなああああ!!!」
お姉さまの中途半端な攻撃に安堵することなく、寧ろそのイライラを高めて突撃する。
「しまっ……」
アニロワの外道牧師かくやといったイライラぶりのおかげか、今までとは比較にならない速度で突撃する王蛇。
手甲についた爪を前に突き出しパイルバンカーのような鋭い一撃に。
咄嗟のことにオーガは銃剣の短剣部分で心臓への杭打ちを防ぐのが精一杯だった。
「さっきの口振り……お前人を殺したんだろお? 言わなくても分かるぜ、臭いでなあ……」
しかし王蛇は突撃を止めない。オーガごと持ち上げて突進を再開した。
「クッ……」
「何でだよ? 何でなんだよう?」
オーガの背中がビルにぶち当たっても止めない。壁を突き破ってそのままビルに入る。
「お前みたいな甘ちゃんがなああああんんでキルマーク上げてんだよぉぉぉぉぃっっっっっ!!!」
オフィスなのだろうか平社員の机を軒並み吹き飛ばし、課長の机も窓際社員の机も平等にオーガの背中で破壊される。
「俺がメチャクチャなキャラ造形やチート対主催相手に撃墜数ゼロで苦しんでるのに、お前はァァァァ!!」
給湯室を破壊し、壁を抜いて再び外に出るがそれで止むほど王蛇…熱血王子に蓄積された鬱憤は軽くはなかった。
「俺はマーダーだ!」
二件目に入ったデパートの化粧品売り場ごと貫く。
「サラマンダーじゃねえ!!」
三件目の1階内蔵型コンビニエンスストアを押し通る。
「なのに、何でお前がそれ(撃墜数)持ってるンダヨォォォォ!!!!!!!!!!!」
四件目のメガネショップを潰す直前王蛇の体がグルンとねじ曲がり、その反動で生まれたエネルギーが投げに転換される。
斜め上に投げられたオーガは壁走りよろしくビルを縦に転がっていった。


その奇怪な光景を眺めることもなく、王蛇はハアハアと息を荒げて頭を抑える。
「くそ……俺はサラマンダーじゃねえ……俺はマーダーなんだ。
 あんなクソよりももっともっと殺害数を稼がなきゃいけねえんだ……じゃねえと、ピエロじゃねえか!!」
一刻も早く殺さなければならない。アイツよりも多く殺すんだ。まずはアイツで一人、その後…
ん? 待てよ。アイツを殺せばアイツが殺した分も俺の分。二人分で一人しか殺してないあの屑に勝てる。万々歳だヒャハハハハ!!!
ジャイアニズムと幼稚園児の計算の化学反応のような思考すらも、今の彼には喜びにしかならなかった。
だが、すぐにその喜びはさらなるイライラに掻き消される。王蛇は自らの武器を忌まわしげに見た。
「咄嗟にアドベントカードを使っちまったのは不味かったな。こいつじゃ仕留めきれないかもしれねえ。
 クソ……変身が解ける前に潰さねえとなんねえのによぉ!!」
本来の変身であるウルトラリングはオーガの手中にある以上、武装はともかく変身解除後の戦力は大きく減る。
いくら狂気に侵されているとはいえ、その場合の勝率が落ちることは疑いようがなかった。
「畜生! 俺はこんなもんじゃねえ!! もっと強い力さえあれば、俺はいくらでも殺せるんだ。
 殺せるんだよ!! どいつもこいつもそれが分かってないだけなんだよ!!」
癇癪を起こした子どものように喚く王蛇。
「力さえあれば、これよりももっと強い力……カードさえベントできればッ!!」


『またぁ~~~? もうしょうがないなぁ~~~かが……じゃなかった。熱血王子さんは~~~』


その時感じた悪寒を表現する術を熱血王子は持ち合わせていなかった。
背筋に鉄骨を通されたかのような、名前が指す熱い血潮を凍らせらかのような、と言ってもまだ足りぬ。
邪悪とも害悪とも言い切れない、不透明な密度。
形容不可能。書いてる本人すらも書き手として敗北宣言をせざるを得ない。
ただ、「黒い」そうとしか言うことのできない「何か」を王蛇は足下から認識していた。
はっと足下を見る。
王蛇の目には何も異質など無く、ただ日がさらに落ちて伸びた影が王蛇の足にまでかかっていただけだった。


「なんだ…驚かしやがって……ん?」
そこで王蛇は異変に気付いた。装備していた手甲が消えていたのだ。
数秒訝しんだ後、ある事実を体内から理解する。
「まさか………カードの使用制限が無くなったのか!?」
ベノザイバーとカードデッキを確認してみるが、どうにもそうとしか解釈ができなかった。
本来一回の変身で一度しか使えないカード、その使用制限解除。
あり得ないハズの事態を眼前にして、王蛇は、熱血王子はこの世のどんな動物より純粋に獰猛に笑った。
「いいじゃねえかヒャハハハハ!!!! 最高だぜ、これで殺しきれる。アイツを殺しきれる!!」
笑いながらビルの屋上を見た。そうとなれば急がなくてはならない。
まだそこにいるだろうオーガを変身が解ける前に殺さなければ。
体内より沸き上がる殺人コールを受けて、王蛇は一足飛びでビルを駆け上がった。

『―――――い……』

ただ、その殺人コールの中に微かに別の声が混じっていたことに気付かないままで。


ビルの屋上まで吹き飛ばされたオーガ……お姉さまは体を丸く埋めたままピクリとも動かなかった。
そのライダースーツ越しの背中には無数の打撲と多数の擦り傷、少数の硝子片が混じり血の涙を流していた。
しろがねの耐久性とライダースーツが無ければ耐えきることなどできなかっただろう。
そしてお姉さまもまた顔を床に突っ伏して嗚咽を響かせていた。
想像を絶する痛みと、そして自分の覚悟の弱さに泣いている。
(私は……私は、どうしたらいいの……?)
指の先までダメージと疲労と絶望に侵されて少しも動かない。
必死にマーダーとして自分を確立しようとしている熱血王子と、迷い惑いフラフラと悩む私。
正念場で賭ける意志の重みが決定的に違う。勝てない。私はどうやったって勝てない。
(だって、だって私は……それでもあの人を哀れんでいるから……助けたいと思っちゃったから……)


いくら非情系対主催のような腹括りをしたところで、一朝一夕に変わる物ではない。
決して望んでではないとはいえ、一人殺してしまった自分にそんなことを言う資格が無いのは分かっている。
だが、それでも願いは変わらないのだ。
ロワが、書き手が、読み手が、ロワに関わってくれている全てをこの人は愛しているのだから。
(でも、私にはこの人を殺さずに勝つだけの力が無い……かといって殺したくない……私も死にたくない…)
彼女は嗚咽を堪えるように唇を強く合わせた。動かない指をかろうじて握る。
「もう少し、もう少しだけ力を貸して……みんな……いつか届いてみせるから。
 どれだけ遠くても、きっとこの願いを、叶えてみせるから!」
志半ばに散っていった書き手達に希うお姉さま。
その様は卑しき物乞いのようにも何人たりとも侵せざる聖者のようにも見えた。

ドクン。

その時だった。お姉さまの体内に、それが起こった。
「何、あ――ああああッッッッッッッッ!!!!!!!!!」
胃の中に生ぬるいものが流し込まれる。液体だろうか、それにしては粘性が強く感じられた。
異物を直接体内に発生させられるという奇想天外の状況に、お姉さまはただ体をくねらせ足掻くより無い。
「う……うううんんん……やめ、流し込まないで……」
胃袋が宇宙並の大きさだ、という大食い自慢をふと思い出す。
これは正にそれに近かった。まるで自分の胃とどこか別の宇宙が回廊で繋がったかのような違和感。
彼女が侵略に耐える様はある種の小宇宙戦争だった。
遂に堪らずお姉さまが外に舌を突きだそうとしたとき、突如事態が進展した。
「くぅぅぅぅ…もう……え?」
先ほどまでの腹部の痛みが、すうっと引いていく。
それだけではない。先ほどまでの背中の痛みも引いていったのだ。
「私……まだやれるの? ……ううん、やる。今度こそ、やってみせる」
指を動かし、手を動かし、そしてお姉さまは肘を立てて上半身を起こす。
血潮が沸き立つように熱くなっていく。赤血球が懸命に体に酸素を運ぶ姿がありありと想像できた。
「私の本当の覚悟を、全力でとおしてみる!!」
膝を動かして、腰を持ち上げる。1㎝上に進むほどに、どんどん体が元気になっていくのが分かる。
臍の下に、丹田に言いようもない熱さを感じながら、お姉さまは、仮面ライダーオーガは毅然と立ち上がった。

王蛇がジャンプでオーガのいる屋上に舞い降りる。
あれほどまでに痛めつけたはずのオーガが立っている目の前の光景に、マスクの下で凶眼を細めた。
「チッ……手応えは合ったハズなんだがなあ……まあいい。どのみち今から殺すんだから関係ねぇ」
王蛇がベノザイバーにカードをセットする。
「もう一度だけ聞かせて。貴方は今までもそしてこれからも、書き手を恨み続けていくの?」
オーガは半身を前に突き出し、王蛇からみた自身の有効打突部を削減した。
龍騎系ライダーがカードをベントしたら用心すべし。幼子とて知らぬものはない鉄則である。

――SWORD VENT――

どこからか飛び出した、蛇の名に相応しい蛇の尾を彷彿させる剣を王蛇は手にした。
「ああそうだ。俺は恨む。復讐を果たさなきゃ俺は前に進めない。
 それに、お前らの言ってることは結局表面だけのキレイゴトだ」
王蛇が剣を構えオーガ目掛けて一直線に走り出す。
「――――――可哀想な人ね。でもその悲しさは、きっと私の中にもある」
オーガは銃剣を前に出して、祈るように腕を組んだ。
その後、ベルトのミッションメモリーを取り出し、オーガストランザーへと装着する。

――Ready――

オーガストランザーの刀身が伸びて、「冥界の剣」の異名に相応しい長剣へとモードを変えた。
王蛇とオーガ。二つの剣は真っ正面から打ち鳴らされた。
次第に剣戟戦へと様相を呈していく最中、王蛇が言う。
「書き手が好きだ? 反吐が出る。
 予約を取られて恨んだことはないのか? 自分の立てたフラグを次の話で潰されたことはないか?
 先に予約されたから仕方ないと筆を止めたら延長の末破棄されたことはないか?
 自分の書いたキャラ像が欠片も理解されなかったことは無いか?
 結局、人が二人いれば争うんだ。例え書き手だろうと、いや書き手だからこそ、この憎しみは一人になるまで止まらない」
猛毒の剣ベノサーベルを振って、王蛇はハッキリと言った。書き手達の心に巣くう闇を代弁するかのように明朗と。
「ええ。私も書き手だから、そういう闇を否定する気はないわ」
オーガは、斬撃全てを受け止めながらそれでもい一歩も退かなかった。


「でも、それでも私達はパロロワにいる。
 本当に一人でいいならネギまみたく一人でやってもいいし、もっと簡単に個人サイトでやればいい……。
 それでも私たちがリレーという形態を取っているということ。その意味を考えて。
 貴方は、本当に一人になってしまってもいいの!?」
まるで互いの剣が吸い寄せられるように打ち合っていく。
全てを愛する者と全てを憎む者。対極にありながらその根源に弄られキャラという同じ傷を持つ。
全く噛み合わない故に、鏡合わせにはこれほどまでに符合している。
「……うるさい!!」
王蛇が大きく振りかぶった。その間隙をオーガは見逃さない。
「私たちは――――――書き手である前に、人なの。人は、支え合わなければヒトでしかない!!」
ベノサーベルを剣で吹き飛ばし、オーガが一歩前に踏み込んだ。
カードは原則一戦闘に一回。屋上に来る前に一回リセットしたとしても、新たなカードは使えない。
ここが勝負所とオーガはもう一歩踏み込もうとした。しかし、
「なら俺はヒトでいい!! この身は既に復讐鬼、イライラと恨みさえ晴らせるなら、人間である必要もない!!」
オーガは、お姉さまはある事実に気付いて踏み止まり、半歩で踏み込みを抑えた。
(おかしいわ……いつからなの? 王蛇のライダースーツが、紫から黒になってる!?)
その空いた僅かな隙間で、オーガは王蛇がカードに手を出していたのを確認する。
「俺は殺人鬼! 現人鬼なり! 高々人の分際で、俺に勝てると思ったかああああ!!!」
オーガが目だけで剣の弾かれた方向を見るが、剣は見あたらない。
既に剣は失せ、大蛇が後方ジャンプを始めた王蛇の後ろに控えていた。

――FINAL VENT――
「ベノクラァァァァァッッッッッシュ!!!!!!」

召喚されたベノスネーカーの口元へ飛び、大蛇の力と自らの力の全てを足に込め、
オーガへと突進した。そこから繰り出される連続脚は無影脚に勝るこそ劣らない。
剣を失ったことに意識を集中させて、大技で屠る必殺の計略だった。


「勝つわ。ヒトが人であることの尊さを忘れた貴方の力なんかに、私は負けない。その怨念、ここで終止符を打たせて貰うわ!!」

――EXCEED CHARGE――

しかし、間一髪でその計を見切ったオーガは自らも虎の子を切った。
オーガドライバーよりエネルギーを注入された刀身が巨大化し、見事なまでの黄金の宝剣が完成する。
超特級の魔剣の扱いは永遠神剣でなれたものとばかりにその特性を理解し、剣を背負う。
「ここがビルの屋上で良かった……ここなら、地上を焼き払う憂いもないッ!!」
某騎士王のようなことを口走るオーガ。それも当然。
その極光は何よりも眩しく彼女の願いを遍く世界に徹す意志の具現。
例え偽善だろうとこの輝きがある限り、どこまでも真っ直ぐに行ける。

「オーガ……ストラァァァァァァァッシュ!!!!!」

オーガの叫びと共に巨大な黄金の輝きが夕闇を切り裂いていく。
光に包まれた王蛇の視界に、黄金のΩのマークが映りかける。
ベノクラッシュのエネルギーと相殺している今はまだしも、それが切れればこの身は灰と変わるだろう。
「くそ……クソクソクソクソッ!! なんでだ! なんでお前はそこまで俺の邪魔をするんだ!!」
「まだ分からないの!? 私は、ただ貴方を!!」
「うるさいうるさいうるさいッ!! ご託なんていらねえ!! お前の命だけでいいんだよおお!!」
イライラを極限にまで高ぶらせる王蛇。だかといって、王蛇には既に打開策が殆ど残っていなかった。
カードは無制限に使える以上、策が尽きたのではない。変身時間の終了が近づいていたのだ。
「まだ……手はあらぁ!!」
王蛇はダメージを受けながらも杖を取り出し、大分減ったカードデッキから一枚の黒いカードを引き、杖に入れる。
(また黒色…? 一体何が…いや、それよりあのカードは!!)
オーガが疑問を完成させる前に、その効果は発揮された。
突如宝剣の光が弱まり、効果が薄れていった。まるで王蛇を敵と思わなくなったかのように。
そして手に持つオーガストランザーが見えざる引力に引かれたように王蛇の元へ向かう。
「その剣…その剣さえあれば、俺はもっと、もっと殺せる!! それを寄越せええええ!!!」

――STEAL VENT――

他のライダーが召喚した武器、防具の奪取するアドベントカード。
実際には使われていないが、設定的には王蛇のデッキにも入っているのだ。
そして、その黒いカードの力かはたまた龍騎ライダーではないオーガ故か、効果はそれだけでは済まなかった。


「えッ? 嘘、変身が強制的に!?」
カードが定めた、防具のカテゴリに、ライダースーツそのものが組み込まれたのだ。
「武器だけじゃ意味ねえだろおが! ハッピーセットに決まってんだろ!!」
制限時間がまだあるライダースーツを奪えばいい、王蛇が考えたことは実にシンプルだった。
オーガが腕を自分の体に回し抱きしめるようにスーツを手放すまいと抱える。
ドクン。
(アアンッ……また、お腹の下が……一体何なの!?)
しかし、スーツの中で下腹部に妙な気配を感じたお姉さまの意識がそちらに揺らぐ。
かくしてオーガの健闘は空しくお姉さまとオーガフォンは分離された。
「寄越せ寄越せ寄越せ寄越しやがれえ!!」
そして未だ残留し暴れ狂う光の中で、ゆっくりとオーガフォンは王蛇の手元に進む。
王蛇もまた爪の端まで進めようと手を伸ばした。もう少しで手が届く。さらなる高みへ更なる力へ。
「は、はあ……そうやって何かを奪っても、貴方は満たされることはないんだよ!?」
しかしお姉さまの声が王蛇の耳に入り、反射的に指を曲げてしまう。
「しまった!」
時間は残酷なもの、指をもう一度伸ばす前に王蛇の変身もまた解けてしまう。
光が全て消え失せあとに残ったのは満身創痍のお姉さまと熱血王子、
そして暫くは使い物にならない携帯電話とカードデッキだけだった。

「ちっ、くしょうが!!」
血塗れの頭を振り被って熱血王子は立ち上がる。しかし、頭から大分その熱血を流しすぎたか足がふらついていた。
「どうして、邪魔ばっかするんだよ!! 大人しく俺に殺されればいいんだよ!!」
吼える王子の向こうで、フェンスに寄りかかって座っているお姉さまがいた。
座っているというよりは、立てないというほうが正しいことはその汗が物語っていた。
「だから、ハァ…私は、貴方を見てると辛いの!! 同じ、うぅん…弄られキャ、あん♪ キャラだから、分かるの。
 色んなネタを詰め込まれて、ンンンッ! い、いいように使われる気持ち、私にも、分かるよ……痛いくらいに……」
痛みで意識が朦朧としているのか、お姉さまの表情には陶酔にも似た恍惚が浮んでいた。
肌から玉のような汗を立たせスリットから伸びる美脚をすり合わせてモジモジする様はなんとも言いにくい感情を想起させる。
ただし、あくまでこれは一般的な見地からの感想であり当の両人にとってはそれどころではない。
今の熱血王子に殺人欲こそあれど性欲は欠片も見当たらず、
お姉さまにしてみれば文字通りの異常事態に他ならなかった。
「勝手に判った気になりやがって……そうやって他人の意見を善意とやらで駆逐するから、偽善者ってんだよお……」
「偽善でもいい……それでも、私は、自分を曲げたくぃぃうん♪ ……曲げたくないの……」
(本当に、どうしちゃったの、私の身体…お腹が、ううん…もっと下…が、熱くてたまらない……)
ようやく足の震えが収まった熱血王子と、フェンスをよじるようにして立ち上がったお姉さま。
仮面ライダーというある種攻防一体の万能アイテムを限定的に失い、互いに大幅に戦力を落とした両者。
既にある種の空気を両者は感じ取っている。隙を見て回復を狙えば確実にそこを殺される程の極限…俗に言う「次の一撃で決まる」だ。
一触即発のこの状況は五分五分の戦闘を演じきったものにしか至る事の出来ない境地である。


しかしこの拮抗は先程までの話。既に天秤は傾き、現在優勢を保っているのは、
「長かった…吐き気がするほど長かったがよぉぉぉ……この勝負、俺が殺してジエンドだ」
そう、熱血王子のほうである。
互いに残った手札の中で、唯一熱血王子だけが『確実に』勝利できる手札を持っていた。
熱血王子が持つPS2ソフト「スーパーロボット大戦OG外伝」に同梱されたシャッフルバトラーでいうところの「必中」系のカードである。
何でも切れる剣やファイナルスパークでは得られない貴重な特性をそれは持っていた。
「ブラスター…リミット1・解除!」
熱血王子が持つは宝具『破棄すべき全ての手』。
因果を超えて事実を改竄してでも手首を切り落とすことに特化した使えるんだか使えないんだか分からない武器である。
しかし、紛れも無くその武装特性は「必中」。そして攻撃力不足を補う手段は既に模索されている。
「ブラスター……リミット2・解除!!」
外見ルルブレのその短刀が怪しく黒に輝いた。
鍛錬の末に見出したリストブレイカーの殺人形態・ブラスターモード『破棄すべき全ての首』。
これこそが熱血王子の絶対にして不動の個性。
使えないネタ技だからと捨てることも無く初登場から一つも変わることの無いそれこそが、熱血王子が最後に頼むべき技に相応しかった。

「俺の憎悪よ…俺に力を。ブラスタァ…………ファイナルリミット・解除ォォォ!!」

そして彼は漫画ロワの書き手、死地にて限界を破ることを是とする熱血世界の住人である。
短刀が黒い影に包まれ、既に世界の殆どを支配した夜の陰を吸い込むようにして膨張する。
言いようの無い何かを感じ取ったのか、息を艶かしく上気させながらも青龍偃月刀を強く握りしめる。
しかし矢張りどこかふらついた様子で、内股になって腿を摺り寄せている有様では凌げるかどうか怪しい。
もっとも、たとえ万全でも因果操作系のネックブレイカーを青龍偃月刀で止めることはほぼ不可能だが。
そして何より、今より繰り出されるのはそれより上位の技である。


今更な話だが、リストブレイカーの元ネタはともかく基幹として使用されている設定はFateの宝具・ルールブレイカーである。
しかし、形こそルルブレではあるが実際の性能はどちらかというと別の宝具・別の技に近い。
因果を逆巻き、手首を切ったという事実を作ってから攻撃する『破棄すべき全ての手』は『刺し穿つ死棘の槍』。
七つの首を狙い下される高速無比の七連斬撃『破棄すべき全ての首』は『是・射殺す百頭』……といった具合にだ。
そして、『是・射殺す百頭』を超え、今ここに熱血王子が具現化するものは。
「ファイナルモード…『破棄すべき全ての節(ジョイントブレイカー)』……!
 もう首だけじゃ済まさねえ。ありとあらゆる関節をぶった切ってやるからなあ!!」
新技の名前と共に払拭された影より出でたのは真っ黒なルールブレイカー。
人体を構成する骨は個人差はあれど200以上。
それらを一つ一つ繋ぐ100を超える関節をこれを以って全て切り落とす神速百連撃「射殺す百頭」。
命を奪うのではなく破壊し尽くすことにまで特化された凶技。それこそが熱血王子の選んだ切り札だった。
ありったけの狂気を技に詰め込んで、熱血王子は獲物へと進軍する。

熱血王子の最終攻撃を前にして、お姉さまはそれどころではなかった。
既に満足に立つこともままならないほどに足は震え、握った青龍偃月刀の柄を地面に打ち立てることでかろうじて自身を支えていた。
(嘘……これって……もしかして、まさか……)
お姉さまは既にこの異常事態にある種のあたりを付けていた。
だが、首を縦に振って認めるなど彼女には少々酷な注文だった。
(ディーの仕業……じゃないわよね。アイツ今いないし。これマジでやばいって。乙女…つーか人間として越えちゃいけない線だよこれ)
心の中で必死にその異常を否定しようとするが、それは無惨にも既に現象として確たる形を獲得していた。
その証拠として、既にお姉さまの身体に苦痛はなく、あるのは寧ろ
(き、気持ちよくなんて無いし。普通に全然気持ち悪いだけだし。あっ、あっああ……でも、でも…ッ!)
紛うことのない快楽が電気信号となって彼女の脳幹をとろけさせていく。
悪魔の囁きが聞こえ、自らを背徳的な気持ちにさせていく。
(もう、我慢できない……さ、触りたい。ちょ、ちょっとだけ、ちょっとだけ……)
まだ外には出ていない「それ」を触れば恐らくは凄まじい快楽が得られるだろうことはもう分かっている。
(でも、…駄目! それは、絶対に、駄目!!)
一度それにハマってしまえば、全てが終わってしまう。
エロゲーにおいてそのシチュエーションは大抵そういうものなのだ。
腰が砕けるかもしれない。舌を突きだして涎を垂らしまくりながら狗のように鳴くかもしれない。
あへあへ言うのはもう不可避だ。最悪の場合中毒になってしまうかもしれない。
あるいは……馬鹿とかそういう段階を踏み越えてらめぇ語しか言えないあのクマ耳少女が統べる世界の住人になってしまうかも。
(……それだけは決してさせない! 弄られるのはいいけど、弄ばれるのだけは許さない!!)
ありったけの理性をフル稼働させてお姉さまも青龍偃月刀を前に突き出す。
(でも、もう無理かも……もう、外に出ちゃう。出ちゃうよほぉ!!)

「いくぜええええ!!!! 奥義「破棄す百首」!!!」

熱血王子は絶対の自信を持って攻撃を発動させた。
既にお姉さまの支給品は確認されており、現在手持ちの武器は青龍偃月刀のみであることを熱血王子は把握している。
ましてや唯でえ防御回避もままならない攻撃である上に、当の相手は防御できるのかも怪しいほどにふらついている。
殺される要素もなければ負ける要素も無い。確実に殺せると確信すら抱けるほどの状況。
そういう時は進むに限る。下手に逡巡すれば原作でアカギにビビってツキを逃した鷲巣のようになりかねない。
体中から殺気を滾らせて、熱血王子は百連撃の一撃目を振り下ろした。

確かに、お姉さまの手札に破棄すべき全ての節を破る手は存在しない。
だが、お姉さまの与り知らぬ所で、お姉さまの中でにその札は生まれようとしていた。

熱血王子の視界にお姉さまのチャイナ服が下から迫り上がってくるのが見えた。
恐らくは膝蹴りだろうと熱血王子は辺りをつけ好機と笑う。苦し紛れに青龍偃月刀を囮としたのだろう。
下らない小細工を、とばかりに王子は膝であろうそのチャイナ服の盛り上がり目掛けて斬撃の軌道を変えた。
チャイナ服は容赦なく切断されその中の膝が無惨にも真っ二つに――ならなかった。
「な、なんだとぉ!! 馬鹿な、俺は確かに膝を……何?」
ありとあらゆる関節を確実に切断しきる奥義のはずが、何故か切断できない。
驚きを隠せない熱血王子だが、ゆっくりと得物を握る手から脳へ違和感が伝わる。手応えが軟骨にしては軟らかすぎる。

「………もう、ダメぇ…」

熱血王子の視線がお姉さまの下半身へ向かう。そこには、ちゃんと二本の足でしっかりと大地を踏みしめるお姉さまの美脚が。

「んんんなああああああっ……も、もぉっ…もぉっ……もぉっ………だ、ダメっ!」

あれ? じゃあ今このチャイナスリットを持ち上げてるのは?

「ダメぇっ! ダメなんですうううううううううっ!!! み、見ないでえええぇっ!!」

見ないでと言われてしまうと反射的に見てしまうのが人間のSAGAってもの。
熱血王子がスリットの突起をみると、なにやら先っちょが濡れておりますよ?
あー、これって、もしかしてあれか。そうか。
その事実に耐えきるためか、熱血王子は自分のキャラを一瞬忘れててしまう。
しかし、素になった思考はその状況を案外すんなり受け止めた。
これじゃあ、切れないわ。これで切れるの関節だけだもん。
「これ」に、海綿体に関節なんてあるわけ無いじゃん。あー、ネックブレイカーにしときゃよかった…っていうか、

「お前もしかしてふたな――――――――――――――――「らめぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!!」

熱血王子の声はお姉さまの最後の無花果の葉が破られる音によって掻き消される。
それと同時に彼の目は、チャイナ服の濡れた部分が破れた、正確には溶けていく様をみた。
それを皮切りに熱血王子の眼が最後に捉えたものは、真っ白い液体が自分目掛けて噴出される白い幻想だった。

※只今自主規制中です。しばらく音声だけでお楽しみ下さい。

――どびゅうううううううううううううっ! ぶびゅうううううううううううううう!
  ぶびゅうううううううううううううっ! どびゅっ! どびゅっ!
  どびゅうううううううううううううううううううううううううううううううううううっ!!
「あひっ! ひあっ! 嘘、なんで母乳がああああんっ!! ひょこからでるのおおお!?!?
 すご、ほ、しゅごい!! ダメ、ダメダメダメダメダメダメェェェェェ!!!!!!!」

※復旧しました。お見苦しいところ(作者の脳みそ的な意味で)を見せて申し訳ありません。

熱血王子が意識を取り戻した時、彼は自分に身体が思うように動かないことを知った。
一体何が起こったのだろうか分からないが、身体の前表面が万遍なく痛むように熱い。
唾を嚥下すると、妙に甘ったるい味がする。しかし、舌で口腔を舐め回すと表面の半分が爛れていることが分かった。
一体何が起こったのだろう…最後にみた白い[自主規制]はいったい……
いや、そんなことはどうでもいいか。熱血王子は心中で微かに笑った。
重要のなのは自分がまだ生きていると言うこと。ならば俺の仕事はただ二つ。復讐と殺戮のみ。
虎の子は[自主規制]に破られてしまったが、まだミニ八卦炉も何でも切れる剣もある。回復液を飲めばあっという間に戦闘再開だ。
時間さえ許せばまた仮面ライダーに変身できるだろう。だから、早く目を覚まさないと。もう夜じゃないか。
彼はようやくそこで気付いた。自分はもう目を覚ましているのに、世界が真っ暗闇であることを。
もう夜になってしまったのか? いや、まだ空気の温さがそれほど時間が経っていないことを教えている。
じゃあなぜこんな暗いんだ? なんで俺は起きてるのに起きあがれないんだ?

ああ、もう分かっている。もう、分かってしまっている。
それでも目を背けたかった。マーダーであるために、マーダーであり続けるために。
しかし動かずに焼け爛れジュクジュクとした痛みを送り続けている顔は、無惨にも事実を教えていた。
――もう、目が見えないのか。
肺の奥で澱のように溜まっていた空気が、ほうと吹き出るような小さい溜息だった。
おそらくあの白い[自主規制]はあらゆるものを溶かすことができるのだろう。既に眼球は溶けて割れてしまったのだ。
手が動かず、足も動かず、目も見えない。それでどうやってマーダーを続けられる。
俺は、最後の最後までサラマンダーなのか……


そう思った時、彼の頬に滴るものが落ちて染みる。痛みよりも温かさを感じた。
「ごめんなさい……ごめん、なさいッ……!!」
背中に掌の湿った感触があった。か細いながらも力強い腕の感触に自分がいま抱かれていることに気付く。
女のような声は慈愛に満ちて、ただただ男ことを案じているのだと分かった。
――お前は、こんな俺の為に泣いてくれるのか。今さっきまで殺し合っていた俺のことを。
どうしてこんなにもちっぽけでな俺を、哀れんでくれるというのか。
「だって、貴方も私と同じ書き手じゃない! 書き手が、書き手の為に手を取り合うのは当たり前でしょ!?」
男の思いが伝わったのか、お姉さまはただ自らの誠実だけで答えた。
「予約合戦のときは戦いましょう。フラグの立て合いで戦いましょう。キャラの解釈を文面で論じ合いましょう。
 私は戦うわ。一歩も下がらない。機会があれば、正々堂々パロロワで戦う……それもまたリレーなのよ」
それは、たった一つのシンプルな答え。悩み苦しんでも、私たちはこれからもリレーを続けていくのだから。
「だから……いっしょに、生きましょう。みんな生きて、帰るの。そして、また良い作品を書こう? ね?」
母乳よりも[自主規制]よりも真白い純粋な書き手への愛。
それこそがお姉さまが見いだした答えだった。
――俺は、俺は…
熱血王子の心が揺らぐ。この世界で初めて受けた嘘の一辺もない愛情は、彼の心を解し融かし癒すには十分だった。
俺が、この俺が、対主催になれるというのか。当然の疑問も、一瞬で散ってしまう。
お姉さまが心よりそれを信じている。それだけで彼がそれを信じるのにも足りる理由だった。
まだ、誰も殺していない今ならば、まだ間に合うかもしれない。この手は血で汚れていなくても、命で穢してはいない。
光の道を歩む資格が、俺にもあると信じてくれる人がいる。
ならば、迷う理由がどこにあろうか。この力を、この人の為に使えるのならばそれで十分だ。この傷を回復液で癒して――

「だから、諦めないで!! すぐに『回復アイテムを見つけて、治してあげる』から! それまで生きて!!」

え?
熱血王子のたった一文字の疑問文は至極当然だった。見つけて、治す。それは別に間違っていない。
だが、自分のサックの中に回復液が二本もあったのだ。例え気が動転していたとしても普通はまず相手のサックを探すはず。
それを見つけられないというのは、いくら何でもおかしすぎる。
だが、彼女に嘘は見られない。ということは、誰かが回復液を隠したとしか。
そこまで考えが回った時、熱血王子の心に声が響いた。


『イマサラ多数派ニ寝返ルナンテ、許サレル訳無イジャナイ?』


「……ひべう゛ぉ(逃げろ)!!!」
「!?」
熱血王子が何を言っているのか分からないままのお姉さまに、どん鈍い衝撃が走る。
何事か、と前を見てみると驚くべきことが二つあった。
一つは、自らに付いていた[自主規制]がぽろんと取れていたこと。
怖くて直視できなかったが、改めて見てみるとそれは一本の触手だった。
本来ならば、自分が[自主規制]になった訳じゃ無かったんだ! よかったよかったヤイサホーとでも喜ぶべき所だった。
しかし、もう一つの驚きに比べれば、それは些細なことに過ぎないと言わざるを得なかった。
既に日は殆ど落ちかけ、夜と昼の境界が近づきつつある。
どこから電気が通っているのか、ビルディング群には明かりがつき、彼らが戦っていた屋上にもライトがかかる。
しかし、人工の光で夜の闇を覆い切ることなど出来はしない。光があれば、何処かに影が出来る。

熱血王子とライトによって生まれたその影から小さな手がにゅうと出でて…熱血王子の足を掴んでいたのだ。
あまりにも小さく可愛らしいふにふにとした手だったことが、その異彩を際立たせている。
彼の右手が、お姉さまの腹腔をじゅぶりゅと貫いていたことすら瑣末になるほどの異様さだった。

お姉さまはその光景に目を見開いていた。
手は指を動かし足首を愛撫しているようにも見える。。
「だめだよ……それじゃまた少数派が更に多数派に圧倒されちゃうじゃない」
今度は熱血王子だけではなく、お姉さまもその声を聞いた。無邪気なのにどこまでも深い闇のような声を。
やがて状況を把握したのか、ぱっと手を離してどぶんと音を立てる手は影の沼へと帰っていく。
「がぶっ…あ、新手の、スタンド使い? だ…れ!? 隠れて、ないでぇ、出てきなさい!!」
お姉さまの怒声とほぼノータイムで声が別の方向から気配が浮かぶ。お姉さまが青龍偃月刀を片手にそちらを振り向く。
屋内と屋上を繋ぐ連絡扉……その影よりずるぅりと彼女は現れた。
ⅩⅢ機関のような暗黒のマントを靡かせて、黄昏の世界より宵闇の世界へと渡るように。

「ちがうよー? 時間が無いから自己紹介だけしておくね?」

現れた黒マントが熱血王子の下へ歩み寄りながら自らのマントを掴み、ストンと落とす。
「!? 貴女……」
お姉さまが驚くのも無理からぬことだった。目の前に現れたのは……まだ年端もいかぬ少女だったのだから。

「ニコニコロワから来ました。ジョーカーの一人、『愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました』です」

闇の帳より舞い降りた黒いセーラー服の少女……柊つかさは、とても恭しくお辞儀をした。
その暗黒の瞳から、全てを見透かすように。

「直ぐに帰りますから、覚えなくてもいいですけどね♪」

―――心せよ。君の前にも闇黒が現れよう。

236:残されたもの 投下順に読む 237:―――&Black Joker
236:残されたもの 時系列順に読む 237:―――&Black Joker
231:今ここにいる私 お姉さま 237:―――&Black Joker
231:今ここにいる私 熱血王子 237:―――&Black Joker
210:エロス頂上決戦開始 裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~ 237:―――&Black Joker
171:【書き手ロワ2nd】地図氏を暗殺しにいってみた 愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました 237:―――&Black Joker
171:【書き手ロワ2nd】地図氏を暗殺しにいってみた 人外アドベンチャー~OZbjG1JuJMのウォーゲーム~ 237:―――&Black Joker
210:エロス頂上決戦開始 ナナシ 237:―――&Black Joker
177:自重の意味を知るRPG 名無し 237:―――&Black Joker
177:自重の意味を知るRPG 七氏 237:―――&Black Joker
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