とりあえずこれからは卑屈っぽく見えないように『過疎ロワ』のことを高貴っぽく『カソリーヌ』って呼ぼう

「……先を越されたか」
彼、◆MJv.H0/MJQは死体を前に呟いていた。
数分前に聞こえた拡声器ボイス。
実際の所どうかは分からないが、少なくとも◆MJv.H0/MJQは呼び掛けの主の真意をこう解釈していた。

――――HEY!俺のことをモアルッキング!

これは恐らく魂の叫び。
過疎ロワ住人の自分には分かる。
彼は恐らく最期にせめて目立ちたかったのだろう。
それならば黒幕を名乗るという不可解な行動も納得できる。

「……それにしても酷いことを」
なのに現実はどうだ?
彼は戦闘の模様を、最期の台詞を拡声器に乗せることが出来ないままに殺されてしまった。
“言葉”を発することすら許さないなど、最も許せぬ悪である。

(……ごめんなさい、君の意思は僕が継ぎます。だから、君の二番煎じをすることを許して下さい)
形見である拡声器を手に取る。
すぐに死んでは元も子もない。
出来るだけ長い間、かつ広範囲に己をアピール出来る位置から皆に呼び掛けをせねばならない。
そう、私と彼は黒幕グループだから私を倒しにここまで来いというパロロワ史上最高に目立つ嘘を。


「◆MJv.H0/MJQ!◆MJv.H0/MJQじゃないか!」
その声に振り返ると、そこには第一話を執筆した古参書き手・◆ZhOaCEIpb2氏がいた。
わりと無茶なバトンをさらりと返す頼りになる男だ。
モッサリしたリーゼントが歩く度に縦揺れしている。
「ふ……さすが我らがAAAロワ最速の男だ!俺達の内の誰よりも早く着くだなんてやるじゃないか」
その背中に背負われているのは◆wKs3a28q6Q氏。
最近姿が見えなかった古参書き手だ。
こんな状況でまで休暇を取らなくてもいいと思うんですが。
◆ZhOaCEIpb2氏も◆ZhOaCEIpb2氏で「おんぶ」なんて無茶な要求飲むんじゃありません。

「……先輩。僕は拡声器を使って目立ってから死にたいと思っています。
 ですから、僕がこの後行う呼び掛けには応えなくて構いません。危ないですから」
それだけを告げ一礼をする。
すると、肩を掴まれた。
振り返るとそこには◆ZhOaCEIpb2氏の真顔があった。
「……俺達は、過疎ロワ書き手だ。目立とうとしてもろくなことがない。だから俺は目立ちたいと思ったことなどない。
 それでもお前は、過疎ロワの名を背負っているお前が、拡声器なんて人気アイテムを使うのか?」
「…………」
言わんとせんことはよくわかる。
確かに、過疎ロワが混ざっても惨めなだけかもしれない。
過疎ロワの自ロワ語りは宣伝臭のキツいウザいアピールなのかもしれない。
……だけど……
「僕は、書き手です。脚光を浴びなくていいなんて、そんなの嘘だ。
 本当は目立ちたい。光の中で生きていたい。もう白面の者みたいな妬むだけの人生は嫌なんです」
殴られることも覚悟して、そう言った。
この言葉に嘘はない。
最悪、袋叩きも覚悟していた。
……だが、自分より数話ばかり先輩の二人は、決して自分を咎めたりしなかった。
ただ、そうか、とだけ呟いた。



「……行かせていただきま「俺も行こう」
台詞の途中に割り込むな。
……じゃない。
今、この人はなんて……?
「お前の意見に全面賛成は出来ない……が、俺は同じロワの仲間であるお前の意思を尊重したい。お前がそうしたいなら、俺達も付き合うさ」
「俺も目立って死にたいしな!」
「先輩……」
二人は笑顔でそう言ってくれた。
それが嬉しくて駆け寄ったら◆ZhOaCEIpb2氏にぶん殴られた。
「……痛いんすけど……何かしましたか、僕」
「いや、さっき殴るタイミングを掴み損ねたからな。それよりさっさと移動をしよう。さっきのを聞いたマーダーがここに来て、派手な演説をする前に殺されたんじゃたまらんからな」



「残念だが、もう遅い」

「「「――――――――!?」」」

三人同時に振り返る。
そこには一人の中年男性が佇んでいた。
「誰だお前は!?」
「ハンバーグラー!?」
「みんな、逃げるぞ!」
「……一人ずつ喋るんだな」
怪しいおっさんにつっこまれ、三人が同時に口を閉じてしまう。
これは不味い。
空気を読みあって誰も喋らなくなるパターンだ。
ここは切り込み隊長の僕が口を開かねば……!

「貴方の目的はなんですか……?」

僕の頬を汗が伝う。
背後で◆ZhOaCEIpb2氏が構えたのが気配で分かった。
ついでに◆ZhOaCEIpb2氏の背中の◆wKs3a28q6Q氏が鼻をかんだのも音で分かった。そろそろ休息モード解除しろお前は。

「己の目的はひとつ――漫画ロワ住人様に笑って頂くことよ!」

デブ中年がニタリと笑う。
それだけで分かった。
……俺達じゃ、束になってもかなわないと。

「……◆wKs3a28q6Q、◆MJv.H0/MJQ、やるぞ」
視界に◆ZhOaCEIpb2氏の背中が映る。
◆ZhOaCEIpb2氏は歩みを止めることなくデブ中年へと近付いていく。
「ふ……あれをやるのか。よかろう!いくぜ!」
急にテンションをあげ、◆ZhOaCEIpb2氏の背中から飛び下りる◆wKs3a28q6Q氏。
「◆MJv.H0/MJQ、拡声器をしまえ!」
◆ZhOaCEIpb2氏のこの言葉で、作戦の全てを理解した。
過疎ロワを初期から支えるもの同士が使えるテレパシーの様なものかもしれない。
(そうだ……バトル描写の◆ZhOaCEIpb2氏に心理描写の◆wKs3a28q6Q氏、そして最速エースの僕が揃えば!
 全員の生存は見込めなくとも、拡声器フラグは……“AAAロワの存在感”だけは残せるかもしれないっ!)
そういう習性だからか、呑気に◆wKs3a28q6Q氏が所定の位置につくまでデブ中年は黙って見守っていてくれた。
その傲慢さからくる油断が足元を掬うことを思い知らせてやるッ!
過疎ロワの意地を思い知れッ!

「行くぞ、ミスターメタボリック! 我等“トライ三連星”の合体技を見るがいい!」
待て、初耳だぞその名称は。
ていうかやめませんか噛ませ臭がしますし。
『――行くぞ、◆MJv.H0/MJQ!』
◆ZhOaCEIpb2氏からのテレパシー。
ええい、この際名などどうでもいい!
最終的に――目立てばよかろうなのだぁーッ!
「「「チョット過疎りーむアタック!!」」」


説明しよう!
チョット過疎りーむアタックとは、AAAの象徴である三角をつくることで、三角形の内側に限り強力な嵐を起こすことが出来るのだ!

「……なるほど、面白い芸だ。だが、それがどうかしたのか?」
うっせーデブ。芸扱いしてんじゃねーよゲイ顔のくせに。
さすがにそろそろキレますぞオンドリャー。
「HAHAHA! 俺達の目的は目立つこと! すなわち“拡声器を持った者”がお前から逃げ切り無事長時間放送を果たすことだ!
 つまり……こうすることで1パーセントでも“勝率”をあげることだ!」
背中を降りた途端饒舌になった◆wKs3a28q6Q氏。
あんま喋るとまた休みたくなっちゃいますよ?

「へい!」「へい!」「ほー!」
三人同時に三角形内にデイパックを放り込む。
するとデイパックは嵐の中を高速で駆け回り――

「なるほど、さすがの己でもどれが拡声器とやらが入ったデイパックかはわからんな。面白い芸だ。読み手様がお笑い下さった時に名を教えておくくらいはしてやろう、貴様らの名は?」
「貴様に名乗る名なd「ピザの1号!」
おま……人がクールに決めようとしたのに……!
ていうかピザの自覚あるなら他人の背中で歩いてないで自力で歩けよ!
もうアンタにもつっこまないぞ!

「>>1からの2号!」
えぇぇぇーーッ!?
ちょ、◆ZhOaCEIpb2氏も名乗っちゃうわけ?
ま、待って下さいよ、僕そんなの聞いてな……
え、ちょ、何よその期待の眼差しは……!

「あ……えと、◆MJv.H0/MJQ……です、はい」
はい滑ったー!うん殺せ!そら殺せ!
どうせ僕は自己紹介も出来ませんよぉ~~だ!
「ふん……貴様らの芸もそろそろ飽きたな」
このタイミングで言うんじゃねぇよテラピッツァ。
お前に比べたら◆wKs3a28q6Q氏がスリムに見えるっつーの。
死ね。蜂蜜盗みに入ったウサギん家の穴にはまって救出されずに餓死して死ね。

「……散れッ!」
◆ZhOaCEIpb2氏が叫ぶと同時にデイパックが三角形から弾き出され三者の手に行き渡る。
拡声器はどれにあるのかこちらにもわからない。無論、奴にだって分からない。
これなら状態欄に記述されないし、拡声器の呪いは少しの間でも薄れてくれる。
あとは逃げるだけだ。
三人がバラバラの方向に。拡声器を持った者が逃げ切れることを願って。



【深夜】【D-4 ビル街】
【◆MJv.H0/MJQ@AAAロワ】
【状態】地味に健康
【装備】ない
【所持品】不明
【思考・行動】
1・目立つ!
2・そのためにもテラピッツァなデブ中年から逃げ切って拡声器!
【備考】ルックスは地味な好青年風ですが、地味なため比較できるキャラがいません

【>>1からの2号(◆ZhOaCEIpb2)@AAAロワ】
【状態】地味に健康
【装備】ない
【所持品】不明
【思考・行動】
1・目立つ!
2・そのためにもミスターメタボリックから逃げ切って拡声器!
【備考】ルックスはリーゼントなオールドヤンキー風ですが、顔が地味なため比較できるキャラがいません


【ピザの1号(◆wKs3a28q6Q)@AAAロワ】
【状態】地味に健康
【装備】ない
【所持品】不明
【思考・行動】
1・目立つ!
2・そのためにもハンバーグラーから逃げ切って拡声器!
【備考】ルックスは小太りな合コンとかで替歌歌って滑っちゃう青年風ですが、何となく地味なため比較できるキャラがいません

【共通備考】
三人は皆「ロワの中でAAA書き手が一人でも目立てば全員の勝利」という連帯感を持っています


楽しそうに口許を歪め、ドットーレはバラバラに逃げる三人を眺める。
誰一人武器を持たぬせいで、超スピードは出すことが出来ない。
それでは“武器を持たぬから荒らしではない者”――つまりは“読み手様”に己の“芸”を見せることが出来なくなるからな。
要するに一人も逃がさずに殺すには無駄のない動きが要求されるわけだ。

「くく……なかなか楽しませてくれるではないか、過疎ロワども」
いや……奴らもそこそこはやるようだ。
少なくとも死に体というわけではない。
進路を妨害する小石くらいには成り得る存在だ。
ならば、もう少し敬意を込めて呼ぶべきだろう。
彼らを己ら盛況ロワに近い存在として、死ぬまでの数瞬だけ親しみを込めて呼んでやるとしよう。

――書き手は礼儀正しくしろよ。

これも、敬愛する読み手様の御命令のひとつである。


「今まとめて地獄に送ってやるぞ――過っちゃん!」
読み手様の笑顔のためだけに造られた狂気の自動執筆人形が、書き手ロワで漫画ロワ読み手を沸かせるために、今、始動した――!

【深夜】【D-4 ビル街】
【ドットーレ@漫画ロワ】
【状態】健康(ただしコレステロール値を除く)
【装備】刃物付きの帽子
【所持品】不明
【思考・行動】
1・読み手様に喜んで頂くために書き手ロワでも殺人という名の“芸”を見せる
2・AAAロワの書き手三人を早急に虐殺


026:嫌すぎるこった 投下順に読む 028:渡る世間は鬼畜ばかり
026:嫌すぎるこった 時系列順に読む 028:渡る世間は鬼畜ばかり
◆MJv.H0/MJQ 088:支給品以外でも登場の仕方はある
>>1からの2号(◆ZhOaCEIpb2) 038:AAA(トライエース)は永遠に不滅です
ピザの1号(◆wKs3a28q6Q) 065:燃えよロワ
ドットーレ 038:AAA(トライエース)は永遠に不滅です



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最終更新:2008年01月28日 09:03
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