エロス頂上決戦。仕切りなおし。


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   *    *    *

「ルールを確認するよ。牌は同種の4牌のうち3つが透明な、鷲巣麻雀のものを使用。
 山を積まずに中央の穴からツモってくるのも同じ。盲牌防止に右手に手袋をするのも同じ。
 ただ、点のやり取りは普通の麻雀に従うものとする。差し馬とかご祝儀とかもなしだ。面倒だから。
 あとハコワレも無し。点数がマイナスになってもそのまま続行する」
「委細承知、条件了承。それより、ただ血をヌくだけじゃないわよね?!」
「それよりっ、脱衣はあるのか、脱衣は!? 麻雀と言ったら脱衣麻雀だろう!? おいっ!?」

いきなり横から現れ、ゲームの進行役となった速筆魔王。その2人にエロス2人組が必死にくらいつく。
彼女たちも必死だ。ただの麻雀ならエロスの頂点を(暫定的にでも)決めるのに相応しくない。
目を血走らせて迫る2人に、速筆魔王LXは飄々とした口調を崩さず説明を続ける。

「まあ、慌てないでくれ。もちろん、振り込んで点を失った者は、点棒の他に『体液』を失うことになる。
 鷲巣麻雀と違って、抜かれたものを戻すことは出来ない。まあこの辺はアカギの行動を再現してるかな」
「『体液』?」
「そう、『体液』。明言はあえて避けておくよ。僕も将軍のお説教喰らうのは勘弁だからね。
 特殊な採取器具が用意してあるから。詳しい説明は省くけど、抜かれ過ぎれば身が持たないだろうね。
 誰かが気絶したら、そこで終わり。気絶した人の『敗北』が確定することになる。
 これが、決着のパターンの1つ」

皆の視線が、麻雀卓の隣、4人分用意された奇妙な機械に向けられる。
原作の鷲巣麻雀では、アカギが命を賭け鷲巣が金を賭けるというアンバランスがあった。
しかしこの場では全ての参加者が同等。ゆえに全員が体液採取の危険と向き合うことになる。

「続いて、今エロ師匠が言った脱衣も当然入ってくる。
 こっちは、『誰かに満貫以上を振り込んでしまったら』振り込んだ者が1枚脱ぐことになる。
 これも、誰かが全裸にまで剥かれたら終了。その人の敗北だ」
「コスチュームはどうカウントするんだ? そっちのエロスの鐘は変身して服を作っているようだが……?」
「変身やバリアジャケットは、それだけで1枚のカウント。アクセサリーや靴、靴下などはカウント外だね」
「ということは……私はデザイア・ベルの変身コスチュームで1枚、元の姿に戻ってシーツで1枚。合計2枚ね」
「ふぅ……そういえば少し熱いな。少し脱いでおこう」
「!?」

エロスの鐘の煩悩寺の言葉に、エロ師匠はおもむろにセーラー服を脱ぎ捨てる。
上下2枚の下着姿……これで2人とも、着ているものの枚数は一緒。
要するに、彼女なりに「条件をフェアにしよう」という意図の現れか。
そんな彼女に目もくれず、速筆魔王は説明を続ける。

「あとは、あまり時間かけるのもなんだからね。東南戦の半荘勝負ですっぱり終わりだ。
 半荘終了まで勝負が長引いた場合、君たち2人の点数を比べて、下の方が負け。
 ……以上で説明終わり。質問はあるかな?」
「支払いの『体液』や脱衣を拒んだらどうなる?」
「それは拒めない。『闇のゲーム』の強制力で強制執行される。そこは誰にも逆らえない。
 ま、根性と体力があれば、ある程度『体液』を抜かれても耐えられるかもね。それも含めての勝負さ」
「最終的に勝負に負けた人は、どうなるのかしら?」
「負けた人は、ここまでに溜め込んだエロスの力、精気を失う。勝った者がそれを手に出来る。
 ついでに、機械で抜き取られた『体液』のエネルギーも、だ。
 君たちの間でエロスの優劣をつけるには、もってこいの方法だろう?」

速筆魔王の言葉に、エロ師匠とエロスの鐘の煩悩寺は、共に胸に手を当てる。
エロ師匠は、ダブル岸田さんから。エロスの鐘の煩悩寺は、変態っぽい男たち3名から。
それぞれ、エネルギーを吸い取りパワーアップを果たしている。
賭けるのは、まさにこのエネルギー。
確かに、これが一方に移れば決着はつく。それだけの差がつけば、先ほどのような拮抗状態にもならない。
勝負の方法に納得した2人は、そしてふと、大事なことに気付く。

「最後に聞きたいんだが……この固有結界の中には、3人しかいない。でも卓には4人分の席がある。
 これはどうするんだ?
 私の中のカズキでも座らせるつもりか? それとも、そこのチビメイドにでも?」
「あ、それを忘れてた。ここは『外』の観客に頼もう。なに、固有結界もまだ完全な状態じゃないしね。
 おーい、お前さんたち、誰か一緒に卓囲まない?」

「あ……じゃあ俺空気になりかけてるし、ここは自分g」
「任せろぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!! 勝負と聞いては血が滾るぜぇぇぇぇぇッ!!」
「…………え?」

かくして、仕切りなおしとなったエロス頂上決戦は再開され――

   *    *    *

東南戦 東場第一局 開始
 東家 大暴れ鉄槌       25000点 脱衣枚数:0  体液採取:-
 南家 エロ師匠         25000点 脱衣枚数:0  体液採取:-
 西家 速筆魔王LX       25000点 脱衣枚数:0  体液採取:-
 北家 エロスの鐘の煩悩寺  25000点 脱衣枚数:0  体液採取:-

蚊帳の外:蘇った現代の熱血怪人、ギャグ将軍

   *    *    *

「……俺たち、取り残されましたね」
「うむ。まあ、奴らが決着をつけたいというなら、やらせるがよかろう」
「俺たち、どうしましょう」
「そうだな……あやつらを置いていくわけにもいかぬし、どれほどの時間がかかるかも分からぬ。
 ここはひとつ……」
「ここはひとつ?」

「ゆっくりコーヒーでも飲みながら、観戦することとしよう」

   *    *    *

大暴れ鉄槌は、内心でほくそえんでいた。
彼が意気込んで4人目の参加者に名乗りを上げたのは、別に勝つためではない。
むしろ、負けるためだ。意識して負けるためだ。
熱血で知られる彼らしからぬ策略、その理由は。

(闇のゲームの強制力……こいつを利用すれば、この腐れ赤玉とも縁を切れる!)

今回の脱衣ルールにおいて、バリアジャケットは全部ひっくるめて1枚という扱い。
そして闇のゲームの強制力には、誰も逆らえないという。
ならば、このふざけたバリアジャケットを脱ぐこともできる!
一旦展開したら解除不可能、魔術も使えず防御力も無いに等しい、この悪い冗談でしかない装備を外せる!

(外しちまえばこっちのもんだ。もう二度と展開させねぇぞ。
 壊してもいいし、誰かに押し付けてもいい。何せ俺は、『デバイス殺し』だからな!)

ニヤリ、と笑いながら、鉄槌は雀卓の上を舐めるように見る。
わざと負けようと思えば、この鷲巣麻雀ほど楽ものはない。何せ、相手の待ちがほとんど見えるのだ。
原作漫画では「いかにその読み合いを掻い潜るか」がテーマの1つだったが、しかし。

(エロ師匠は見たところ東の刻子のみ……あれはチャンタにも行けるか? いや厳しいな。
 エロスの鐘は、どうやら筒子で混一の気配。これはテンパイ近いか。
 速筆魔王は何だありゃ、七対子狙いか? 透けてない牌でよく分からんな。
 満貫以上じゃねぇと脱げねぇし、さりとてあまり大量に体液抜かれてもキツいし……どうするか)

何せ自分の手作りを考えなくていいのだ。振り込もうと思えば誰にでも振り込める。
悩んだ末に、彼はちょうどリーチしたエロスの鐘に狙いを定める。
エロ師匠はどうも満貫に届きそうにない安手だし、速筆魔王の七対子はリーチしたものの待ちが分からない。

打牌、一筒――反応なし。外れ。
打牌、四筒――反応なし。外れ。

(畜生……あの黒牌、四筒かよ。じゃあ、これでどうだ!)

そして運命の打牌、九筒――

「ロン!」
「よっしゃぁッ! ……って、あれ?!」

狙い通りの宣言に一瞬小躍りしかけた鉄槌は、しかしそのまま凍りつく。
牌を倒したのは――エロスの鐘の煩悩寺ではなく。

「リーチ、七対子。ドラ無しで、裏ドラは……ちぇっ、無しか。乗れば満貫だったのにね。
 子の25符3飜で3200点ね」
「NOOOOOOOOッ!!」


東南戦 東場第一局終了時
 東家 大暴れ鉄槌      21800点 脱衣枚数:0 体液採取量:ちょびっと
 南家 エロ師匠        25000点 脱衣枚数:0 体液採取量:-
 西家 速筆魔王LX      29200点 脱衣枚数:0 体液採取量:-
 北家 エロスの鐘の煩悩寺 24000点 脱衣枚数:0 体液採取量:-

   *    *    *

「ところで、ギャグ将軍は何故麻雀に名乗りを上げなかったんで?」
「余は麻雀を知らん。ドンジャラでよければ、幼少の頃に家族と楽しんだものだが」
(ドンジャラって……おい待ていつの時代だ? いや今でもあるのか?)
「それに、あの脱衣ルールは外から見ている分には笑ってもいられるがな。
 余が脱ぐとなると『大変なこと』になる。できれば避けたいところなのだ」
(大変なこと……? って、その背中についたチャックは一体……ッ?!)

「……そこには触れるでないぞ。『大変なこと』になるからな。流石の余も責任が取れぬ」
(!?)
「くれぐれも、触れるでないぞ」

   *    *    *

東南戦、東場第四局。
エロスの鐘の煩悩寺は、焦っていた。
点差はまだ絶望するほどではない。そこに焦りは感じない。
現在の順位はトップが速筆魔王、二位が彼女自身。三位にエロ師匠で、振り込んでばかりの鉄槌が最下位。
その鉄槌が何故か満貫にも届かぬ安手ばかり払い、体液を抜かれる様は見てて滑稽だったが……
魔法妖女デザイア・ベルは、対面に座るエロ師匠に憎々しげな視線を向ける。
そこには、既にブラジャーを剥がれ、片手で胸元を隠すライバルの姿が――。

(エロい……あんなエロスな格好をできる奴が、憎いッ……!)

パンツ一丁、手ブラ状態で卓を囲む斗貴子。
その格好の時点で、エロスの求道者として一歩先を行かれてしまっている。
さらに『ラス1補正』でもかかっているのか、傍目に見ててもエロ師匠の引きがいい。
自らを追い込むことで運と補正を引き寄せる――その発想は無かった、と、煩悩寺は唇を噛む。

この鷲巣麻雀、本来は2人一組で仲間同士で通じあって戦うゲームだ。
でないと、通常の麻雀以上に手作りが難しく、ロクに上がることもできない。
けれど逆に言えば、「意識して振り込もう」と思えば振り込めるわけだ。鉄槌が繰り返しているように。
だから、あえて満貫に振込み、あえて1枚だけ脱いでみせるのはそう難しいことではない。だが……。

(だけど……私が対抗して同じ真似するわけにはいかないッ……!
 ここで変身を解いたら……私は「ただのティアナ・ランスター」でしかなくなってしまう……!)

脱衣ルールに仕掛けられていた遅効性の毒が、今頃になって効いてきていた。
エロ師匠のエロパワーに対し、デザイア・ベルに変身してようやく対抗できる彼女。
今ここで変身を解くわけにはいかない。そんなことをしたら一気に押し切られてしまう。
さりとて、このままズルズルと押されていくのもマズいわけで……!

「……ふっふっふ。エロスの鐘の、顔色が悪いぞ? 生理でも始まったか?」
「う、五月蝿いッ! 無駄口叩いてないで、さっさと進めなさい!」
「ふふふ。そう急かさないでくれよ、せっかちさん。……おや、悪いね。
 ツモだ。
 リー・ツモ・タンヤオ、ピンフ・ドラ1。5飜で満貫だな」

ツモ上がりだから脱衣も体液採取も無し、順位変動もなし。だが、これで残る点差はもう僅か。
明らかに風は不利な方向に吹き始めていた。

東南戦 東場第四局終了時
 東家 エロスの鐘の煩悩寺 26400点 脱衣枚数:0  体液採取量:-
 南家 大暴れ鉄槌      13400点 脱衣枚数:0  体液採取量:たっぷり
 西家 エロ師匠        26000点 脱衣枚数:1  体液採取量:ちょびっと
 北家 速筆魔王LX      34200点 脱衣枚数:0  体液採取量:-

   *    *    *

「それにしても、今回のルール……なんかひっかかる」
「ほう。熱血怪人とやら、麻雀に疎い余にも詳しく教えて欲しいものだ」
「いや、麻雀そのもののルールじゃなくて、勝利条件のことなんだが。
 始まる前に、いくつか終了条件が示されたよな?」
「うむ。確か……体液取られすぎて気絶したら負け、全部脱がされたら負け。
 それらの途中中断がなければ点差で比較、だったかの」
「そう、3つもある。3つも決着の条件が示されてる。そのせいか、つい思い出してしまって」
「何をかな?」
「『アカギ』の主人公・赤木しげるが登場する、『天』という麻雀漫画。
 正確には、その中で当の赤木が参加しなかった、ある戦いを――!」

「興味深い話だの。ところで、コーヒーのお代わりはいらぬか?」
「頂きます」

   *    *    *

東南戦 南場第四局開始時
 東家 エロスの鐘の煩悩寺 26400点 脱衣枚数:0  体液採取量:-
 南家 大暴れ鉄槌      -4000点 脱衣枚数:0  体液採取量:人類の記録に挑戦!レベル
 西家 エロ師匠        41400点 脱衣枚数:1  体液採取量:ちょびっと
 北家 速筆魔王LX      36200点 脱衣枚数:0  体液採取量:-

終局が、近づいていた。
トップは1枚脱いでから俄然調子が出てきたエロ師匠。僅かな差でそれを追う速筆魔王LX。
三位にエロスの鐘の煩悩寺が位置し、大暴れ鉄槌は既に点棒に借金を負っている。
ただし、第四局の親は煩悩寺。そして親が上がれば連荘できるわけで。
まだ、諦めるには早い局面。まだまだ逆転は可能な範囲内……
むしろ点差より、大暴れ鉄槌のコンディションの方が心配、と言うべきか。

「ぐっ……うぅうぅ……ま、まだまだぁ……!」

既に5回も振込み、息も絶え絶えといった様子の大暴れ鉄槌はそれでも強がりでしかない声を漏らす。
これだけ振り込んでいるのに満貫に届く手が1回も出ない、というのも凄い。
そして、それだけ体液を搾り取られているのに、未だ意識を保っているのも凄い。
普通なら、「もうやめて! 股間の鉄槌氏のライフはとっくにゼロよ!」といった所なのに。
無駄に熱血なせいで、変に持ちこたえてしまっている。

とはいえ、傍から見ればいつ倒れてもおかしくない状態なわけで――
エロスの鐘の煩悩寺としては、彼の気絶で中断・終了してしまうことが一番怖い。
彼の意識を繋ぎとめるべく、彼女は牌を自摸りながら彼に声をかける。

「そもそも貴方、何しにこの戦いの乗り込んだの? 私たちと違って、勝負する理由なんてないでしょ?」
「言っても分からねェだろうな……! 男には、死んでも挑まなきゃならねぇ戦いってものがある……!」

デザイア・ベルの質問に、大暴れ鉄槌は荒い息をつきながら答える。
理由は実のところ彼自身にも分からない。
「バリアジャケットを脱ぐ」という理由も、考えてみれば拘るべき所でもない。実害はほとんど無かったのだ。
にもかかわらず、目の前に罰ゲームつきのゲームがあり、自分も参加できる、と知り飛び込んでしまった。
そこで逃げたら、何か大事なものを失ってしまいそうな気がしたのだ。

彼自身は知る由もないが……それこそが、彼の内側に眠る「圭一の因子」のが抱える業だった。
部活で鍛えたゲーム勘。負けての罰ゲームさえも楽しみのうち。
そんな彼だからこそ、今ここで気絶するのは「もったいない」。是非とも最後まで決着を見届けたい。
彼を支えているのは、そんな一種の貧乏性だった。
気を抜けばすぐにでも気絶しそうな消耗の中、げっそりとこけた頬で、鉄槌は逆に質問を返す。

「それより、てめぇらこそ何のためにこんなことやってやがる……!
 エロ書き手だからって、戦う以外にも方法あるだろうによ……!」
「エロスの限りを尽くす。それが魔法妖女デザイア・ベルの存在意義だからよ。それ以上の理由は無用!」
「私は……それだけでもないな。私には、倒さねばならない相手がいる」

迷いなく言い切るエロスの鐘の煩悩寺。対して、エロ師匠の方は虚空を見上げて遠い目をして。
思わず興味をそそられる。思わず質問が口をついて出る。

「それって……誰だよ」
「もう1人の私。LSロワの『ボマー』だ」
「ッ!?」
「トリップを変えているので、知る者も少ないだろう。だが、あれは『私』だ。そして『私』と異なるモノだ。
 私は奴を倒さねばならない。奴を打倒し、私が奴に成らなければならない。
 本当は『エロ師匠』の方こそ優れた存在なのだと、証明しなければならない。
 だから、私は……」
「……あの馬鹿なら、死んだぞ。お前、放送聞いてなかったのか?」

   *    *    *

一際高いビルの屋上から、事態の推移を見守る人影があった。
無数の黒いリボンが、ひらひらと揺れる。

   *    *    *

「は……? しん……だ? まさ、か……」

グニャリ。
衝撃の事実に、エロ師匠の視界が歪む。呆けた声が零れる。
信じられない。意味が分からない。何を言っているのか、分からない。

「俺も一時期、奴と一緒にいたんだけどな。
 1人の可哀想な女の子を救おうと、奴は危険な賭けを打つため別行動を取った。
 それからどうなったかは俺たちも知らねぇ。……たぶん、そこでヘマを打ったんだろう。
 ったく、あの馬鹿野郎が」
「そん、な」

憎々しげな舌打ちは、下手な追悼の言葉よりずっと現実味があって。エロ師匠は麻雀卓の上で頭を抱える。
あのボマーが死んだ? 奴が、『エロ師匠』にとって容易に越えられぬ壁である『ボマー』が死んだ?
そんな。じゃあ。でも。ならば。どうして。
あまりのことに、考えがまとまらない。激しい混乱に陥る。

「あいつは言ってたぜ……『この殺し合いの責任の一端は、自分にもある』ってよ。
 だから『責任を取る』と。『らしくないかもしれないけど、責任を取る』と。
 ……で、おめぇはどうなんだ?! おめぇは何を考えてやがる!?
 あの馬鹿の半身だというお前は、『あの馬鹿を超える』以上の目的を持ってねぇのか!?
 責任感も目的意識も全部あの馬鹿に押し付けて、お前はただただエロ展を楽しんでるだけなのか!?」

大暴れ鉄槌の熱い言葉が、空っぽになった頭の中を駆け抜ける。
……目的。
目的がなくなってしまった。目標が失われてしまった。
『ボマー』は『エロ師匠』よりも広い視点でものを見ていたらしくて、けれど、その『ボマー』はもうここにいなくて。
それでは、一体これから『エロ師匠』は何を目的にして進めばいいのか。何をすればいいのか。
考えが纏まらない。思考が乱れる。世界がグルグルと回りだす。

「……どうしました? エロ師匠、貴女の番だよ? はやく進めてくれないかな?」
「あ、ああ……」

速筆魔王の言葉に促され、熱に浮かされたような面持ちのまま、牌を自摸る。
自摸ってきて初めて、自分の手が震えていることに気づく。
ここから何をすればいいんだろう。何を切ればいいんだろう。
いやそもそも、自分はここで麻雀なんてしていていいのか。他に何かやるべきことがあるんじゃないか。
全く麻雀に集中できないまま、気付いたら牌を捨てていて、そして、

「ロン。リーチ・三色・ドラ1、いや裏ドラも乗ってドラ2。満貫直撃。半荘終了だね」

そして。
速筆魔王LXが手元の牌を倒した時には、全てが終っていた。

   *    *    *

満貫の手に振り込んでしまったエロ師匠の身体から、最後の1枚の衣服が溶けて消える。
最終的な点数に気付いたエロスの鐘の煩悩寺が、呆然とした表情で椅子からずり落ちる。
戦いが終わり気の緩んだ大暴れ鉄槌が、全てを見届け満足げに気絶する。

ただ1人、速筆魔王LXだけが、相も変らぬ飄々とした笑顔でそこに立っている。

「さあ、闇のゲーム、最後の清算だ……結果は……」

東南戦 半荘終了
 東家 エロスの鐘の煩悩寺 26400点 脱衣枚数:0  体液採取量:-
 南家 大暴れ鉄槌      -4000点 脱衣枚数:0  体液採取量:人類の記録に挑戦!レベル(気絶)
 西家 エロ師匠        33400点 脱衣枚数:2(全裸)  体液採取量:ちょびっと
 北家 速筆魔王LX      44200点 脱衣枚数:0  体液採取量:-

条件1:体液採取による気絶 により 大暴れ鉄槌 敗北確定
条件2:脱衣ルールによる全裸 により エロ師匠 敗北確定
条件3:半荘終了時に女性2人の点差比較 により エロスの鐘の煩悩寺 敗北確定

「そんな! そんなのって……!」
「……ボマーが……ボマーが、死んだ……ブツブツ……」
「最初に言ったろう? 決着の条件は3つあると。そして、そこに優先順位はつけなかったはずだ。
 だから結果は、御覧の通り。僕の1人勝ちってわけ」

麻雀漫画『天』における、東西戦の最終戦。
あの時は2つあった勝利条件が同時に満たされ、引き分けになってしまった。そして延長戦にもつれ込んだ。
だが、今回は3つの「敗北条件」が全て同時に満たされ、相矛盾せず。
3人3様の形で、敗北が決する。

千年パズルと虎竹刀の力により、罰ゲームが強制執行される。
未だボマーの死のショック冷めやらぬエロ師匠から、濃密な霧のようなものが引き剥がされる。
未だ事態を信じきれぬエロスの鐘の煩悩時からも、同じく濃密な霧が引き剥がされる。
ついでに、大暴れ鉄槌から抜き取られた体液も、同じような霧と化して宙に浮いて。

それら3つが集まり、巨大な霧の球体と化し。
膨大なエネルギー持つ精気の塊を手に、彼は爽やかに、そして底意地悪く言い放った。

「僕もね、エロ展開はちょっとばかり嗜むんだ。紹介文でも、エロスの鐘の煩悩寺と並べられているよ。
 つまり――この僕もまた、この『エロス頂上決戦』の立派な参加者だったってことさ」


――エロス頂上決戦、ここに決着。

223:エロス頂上決戦、決着……?! 投下順に読む 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
223:エロス頂上決戦、決着……?! 時系列順に読む 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
223:エロス頂上決戦、決着……?! エロスの鐘の煩悩寺 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
223:エロス頂上決戦、決着……?! エロ師匠 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
223:エロス頂上決戦、決着……?! 大あばれ鉄槌 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
223:エロス頂上決戦、決着……?! ギャグ将軍 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
223:エロス頂上決戦、決着……?! 蘇った現代の熱血怪人 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
223:エロス頂上決戦、決着……?! 速筆魔王LX 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
223:エロス頂上決戦、決着……?! 派手好き地獄紳士666 223:エロス頂上決戦終幕――そして。
ツールボックス

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