黄昏、来まくって


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「――――――――――――――――――崩れた、か?」
ヘッドフォンをつけて目を瞑り、音楽を聴いていたwiki管理人は、ぼそりとそうつぶやいた。
ゆっくりとフォンを耳から外す。滲んだ汗が外気に曝されて耳の裏を冷やす。
wiki管理人は「究極の読み手」である。
投下されたSSはすぐさま彼女の目に入り、情報は総括され、本来点に過ぎない情報が面として複合される。
AとBの再会フラグktkr!と読み手が知っても参加者は何も知らないというアレだ。
故に、パロロワの中で確定した全ての現象はSSになってしまった時点で管理人の内的宇宙(=wiki)に包括されてしまう。
平たく言えば、wiki管理人は現時点までで起きたことを何でも知っているのだ。
『SSの中で起きたことをwiki管理人に知られない』というのは大いなる矛盾をはらんでいるが故あり得ない。
書き手は読み手に読まれるためにフラグを積み、展開を練り、物語を紡ぐからだ。
だからwiki管理人に隠し事などできない。完全な隠し事をしたければそれはwikiに掲載しない、ということと同義だ。

だが、wiki管理人には一つだけ見えないものがある。
たった一つの事象、それが『書き手の思惑』、それこそが展開の未来だ。
それだけはwiki管理人には読めない。書き手も読まれてはいけない。
理性的な読み手は展開予測をおおっぴろげにしないのだ。
読まれてしまえば、読んでしまえばいかな名作もその魅力をそいでしまう。

パロロワは原則、読み手の予想を裏切ってなんぼなのだから。

この構図は奇しくも現象を全て把握する主催と、筆談で必死に物事を隠す対主催に似ているとも言え無くない。
故に読み手でありながら主催である相反した属性を一心に宿す管理人は、現状について非常に甘い知覚しかできなかった。

「どうやら、対主催フラグが一手進んだようですね…………それがいったい何なのか、までは分かりかねますが」
読み手は指を折りながら二進法で数字を追っていく。マウスを持っていると片方の手が余るのだ。


三十二を折ったところでwiki管理人は止めた。
さてどうしたものか、と自らの頭の中で議論を進める。
放っておけばいい、というのが彼女の頭というスレッドの主流だった。
『対主催フラグが進んだ』という事実は、書き手ロワイアルの結果に興味のないwiki管理人にしてみれば至極どうでもいい。
まだ参加者の殺し合いは進んでいるし、かがみんというカードを切ったとはいえジョーカーは未だ機能している。
このまま対主催ルートに突入するもよし、やっぱり優勝エンドにいくもよし。実にどちらでもよかった。
むしろここで急に内部調査を行い、せっかくのフラグを潰すなどバカな手を打つわけにはいかない。
どんだけKYなのかと突っ込まれること請け合いだ。

さして勘案する必要もない。ここは静観するのがベターだ。

「ですが、かといって何も手を打たないというのも面白くないですね。
 結果には興味はありませんが、そこに至る過程が詰まらなくては仕方がない」
wiki管理人は顔をしかめる。

盗聴のできない首輪、無音、しかも数に限界のあるカメラ。最低限のことしかできない簡素なシステム。
意図してそうしたとはいえ、こちらの守備は限りなく手薄だ。
このまま対主催フラグを進めさせると、
いくら空気を読める猛者たちがあの会場内に犇めいているとはいえ半数生き残っているうちに対主催フラグが完成してしまうかもしれない。
それほどまでにロワという物語は蝋細工より脆い。
それでは駄目なのだ。駄目というより、面白くない。
せっかくの対主催バトルに突入しても興奮もへったくれもない。
ギガ○ンビよりも闇の○との戦いの方が派手になるのと、物語としてはともかくロワとしては悲しくなるようなものだ。
wiki管理人はすくっとたった。その洗練された動作には一点の揺るぎも油断もない。

「仕方ありません。攻め手が読めないのであればせめてディフェンスを固めましょう。湘北のベンチのように」
つける主のいなくなったフォンからは、グルメタルな曲調の音楽が流れていた。

「やった……やりやがったッ!!」
感電は自分が小さくガッツポーズを取るのを押さえきれなかった。
その方が無理だ、と笑みがこぼれる。
放送後、相変わらず微妙に「扇風機に喋っているかのような」音声になる感電ラジオの定期メンテを行っているときにその異変に気づいた。
この空間に微妙な亀裂が走っていることをチェックできたのだ。
音声が無いため詳細は判別しかねるがタイミング的に考えて、無明幻妖sideあたりだろう。
「くっそお……気に入ったぜ!今度家にきて姉貴をレバ剣で○uckしていい!!」
テンションあがりすぎてまた自分というラジオが落ちそうになる感電は必死に己を律し、指を走らせる。
(穴は開いた……が、まだ早すぎる! 対主催フラグが固まるまでには相当に時間が要るはず……それまでに読み手や管理人にみつかっちまったらアウトだ!!)
そう、まだ半数を切っていないこの段階でこの重要フラグは早いといわざるを得ない。
通常のロワならば、まだまだ読めないと形勢を見守るところだが、あらゆる意味でラディカルグッドなこのロワでも早すぎるのだ。
まだ優勝と対主催の天秤は揺れている……この段階では対主催フラグなんて結構折れる。俺なら折る。むしろ折っていい? あ、だめ?
修繕プログラムを応用させて、空いた穴を「ただの壁」に偽装する。これが完全に機能すればこちらからは俺以外にはこの穴を知覚できないはずだ。
そうすれば、このフラグの完全防御は完成する。
カツンカツン、カツン。
運命はそれほど甘くはない。とでも言いたげに、冷たい空気に足音が伝播した。
(ひたひたって足音じゃない……羽入の線は却下。まずいな……誰か来たか!!??)
表示を見る目に冷や汗が入った。
あと70%。つばを飲み込む音が自分を圧迫する。
カツンカツン
(早く、早く、早く!)
あと80%、耳鳴りのような音が自分を急き立てる。
カツンカツンカツンカツン
(ハリー!ハリー!ハリー!)
そういえばラドクリフ君のアゴの割れはさらに進んだのだろうか。
カツンカツンカツンカツンカツンカツン
あと90%。
(エドさん! 俺に力をおおおおおまおままま!!!!!!!)

…………カツン。

ドアが開き、読み手が入ってきた。
「悪い。邪魔だったか?
「うんにゃ、全然。どうした?」
感電は、爪を切りながら鷹揚に答えた。
「管理人サマから招集だとよ」
バキン、と嫌な音がした。深爪したところからつうと血が滴る。
「直接招集とは面妖だなあ。なんかあったか?」
「今の時間おまえが監視してたんだろ。おまえが知らないものを俺が知るかってんだ」
そりゃ全く、とあきれ顔を作る感電。その内心は無論穏やかではない。
「だな、じゃあ行きますか」
爪切りを仕舞い、よっこらせいのどっこいせと立ち上がる。
(糞……表示95%までしか粘れなかった……すまねえ)
誰ともなしに、心の中で感電は謝罪する。
最後の5%を粘っていては確実に間に合わなかった。それを弱さと笑うか、英断と誉れにするかはなんとも微妙な数字だ。
この数字が後でどれだけ響くか…………

「ううンッ」
その思考に沈んでいた感電に電流が走った。ある意味感電。
指ににゅるりとした触感、舌のざらつくような感覚、啜られることによる振動が、
指先から広がってもぞかしいようなこそばゆいような微電流の如きものを脳に送った。
その祷けかけた脳が辛うじて視覚野から情報を正確に入手する。
「ちょ、おま。や、やめ……読み、てぇぇぇッ」
感電の指にたっぷりと唾液を塗して啜る読み手は妙に熱っぽく、それでいて恍惚とも解釈できるような不可思議な表情だった。
あれか?この味は嘘をついている味だぜとか完全にガチホモルートか?
そういうのは会場の中でやれよマジおまらめえ気持ちよくなっちゃらめえええ!!!
「っぷはあ」
感電の下帯に粥の如きものがあふれそうになる寸前、読み手の舌は感電の指を離れた。
糸を引く唾液を腕で拭い、一言つぶやく。

「おまえ、いくら何でも血出過ぎ。もう0.5リットルは出てたぞ」

そういいながら、扉を潜っていく読み手の姿はもう見えない。
呆然とする感電の深爪から、もう血は流れていなかった。

書き手たちが会場に飛び立った最初の場所に、三人が集う。開始時の喧噪を失ったここは、ある意味にて一番静かな場所だった。
「俺たちを集めてどうしようってんだ? 何かあったのか?」
感電が明け透けな態度で単刀直入に切り込んだ。
「いえ、死者の数も28人、これで丁度三分の一になりました。そろそろフェイズを第二段階に移行してもいいように、と思いまして」
「第二段階? この超絶適当ロワにそんな計画的なものがあるとは知らなかったな」
読み手がおちょくるように言った。背中に意識を集中させて、同じように驚くことだけは無いようにと思う。
「いえ、タイミングとしてはこれから中盤戦ですしね。マーダーも対主催もそろそろ絞られてくるところです。
 中盤戦の壁……フラグを厳選する篩いに入ってくるでしょう」
感電はのどを鳴らすのを懸命にこらえ、隠し事をしていることを徹底的に隠した。
やはり、ロワの心臓に近いwiki管理人だ。いい勘をしているとほめたくなる。自分の行為に気づいていないと確信したら、だが。
中盤戦とは、文字通り中盤の戦いのことだ。
参加者が一通りスタンスを決めて、手持ちのフラグを整理して、いよいよ本線に乗り出してくる過渡期。
妙に人が集まって線を繋いでいく。この線の並べ方で終盤、ひいては物語の全体像が決まっていく重要なラインだ。

ここを超えられる参加者は少ない。
なぜなら中途半端にフラグを持っているが故に、誰もが『中盤の見せ場』という死に場所が作りやすいからだ。
そして終盤戦の複雑さ人の殺しにくさを考えると、ここで殺れるだけ殺っとくのが書き手の心理である。
孤城の主が死んだり、慢心王が裸になったり、圭一が決闘したり、やっぱりアーカード死んだり。

「そして、そろそろ主催の陣容を構築していく段階でもあります。こちらには運営用の人材しか置いていませんからね。
 もし対主催になった場合に突入されてもこちらは白旗を揚げるくらいしかできません」
wiki管理人はそういった後、つかつかと歩いて『何か』の中心にラジカセを置いた。
「で、そんなラジカセでどうするってんだ? 俺ら自慢じゃないが腕っ節は無いぞ」
読み手は両手でやれやれというモーションを作る。それが嘘か本当か、実に疑わしい。
wiki管理人は、そのきれいな曲線を引く顎をゆっくりと下げてうなずき、そして笑った。

「ええ、ですから『戦闘向きの人材を用意しましょう』。その為に彼らを残したのですから」

管理人がマスタングやヒィッツもかくやという指パッチンを鳴らす。ラジカセのスイッチが入った。


スイカ お寿司 カキ お団子に

  トマト ソフトクリーム バナナ 

    キャンディ ケーキ アイス オムライス

       カボチャ コーラ ぶどう おせんべい 桃


「こいつは……この曲は?」
感電が狼狽えながらも記憶を検索する。常にラジオのBGMとして妙に濃い選択をする感電はすぐにそれに思い至った。
「グ、グルメレース?」
読み手が感電の答えを引き継ぐ。一体何故グルメレースなのか。
その疑問に答えるようにして、ラジカセの周りに紅い線が走った。


  どんな食べ物も 残さず食べよ

   おいしい物は (あっあー) 世界にまだいっぱい

    どんな食べ物も 必ず食べよ 好き嫌いばかり しちゃいけないのさ

円をベースにして、ラジカセを起点にして、魔法陣は床に記されていく。
「サーヴァント召還の魔法陣? いや、微妙に違うが……まさか」
「そう、今から呼ぶのはサーヴァントのような影ではなく、本物です」
管理人がニィっと嗤った。


 誰よりも早く 走り抜けろ もたもたしてると 遅れちゃう

  おいしいものは 待ってくれない すぐに誰かの 口の中

   誰よりも早く 駆け抜けろ もたもたしてると なくなっちゃう

    目の前にあるのに 届かないなんて

「彼らにゆかりのある物で、彼らを召還するってのか? ってことは今から呼び出されるのは?」
あふれ出すパワーを前に腕を立てにして目を細める読み手。
魔方陣からあふれ出す光が八つに収束し始める。
「8……!? 一体何を出す気だ管理人!!」
叫ぶ感電の言葉を遮る様に、締めの歌詞が紡がれる。

   『食いしん坊の名がすたるでしょ!?』

一気に音階が変わった。今までのSFCぽい昔ながらの音声とは打って変って、荒々しいメタルの叫びが轟く。
「こ、こいつは……そういうことか、そういうことだったんだ!! AAAはもう出ているから!」
「どういうことだ読み手!?」
「俺たちは思い違いをしていた……全てはもっと根源的なことだった。こいつはグルメレースであると同時に、グルメタルだったんだ!!」
「グルメタル……はッ!?」
感電が唖然とする。こいつはまさか、一つの触媒で二つのロワを召還するつもりなのか。
「Exactly(その通り)! グルメレースが最近になってその存在を再び知らしめる切欠になったのは、二つの要因があります。
 一つはニコニコによるグルメレースMAD。そしてもう一つは、大乱闘スマッシュブラザーズによるアレンジです。編曲は、桜庭統」
感電は歯軋りした、この女、よりにもよってあの二つを呼ぶ気か!!
「グルメレースと桜庭でグルメタル回路を繋ぎ、彼らは現れる。たった数日の差でその舞台に立つことができなかった彼らを!!
 その無念を晴らせ! 天秤の壊し手よ!! 我等主催陣営のカードとして!!!」

その一言で、大広間は白に満たされた。


そして靄が晴れたその場所に、新たな八つの影が静かに立っていた。

なんだかんだで誰もが一度は躊躇う優勝エンドをぶち抜いて参加者全滅まで突き抜けた魔人の集団テイルズ『最凶の四人』。
YOKODUNAやガチホモと、カオスを除いて一番カオスな世界でロワを継続させる混沌の申し子達ニコロワ四天王『最狂の四人』。

全員が全員マントで姿を隠してはいるが、その邪悪なオーラは隠しようがない。
こいつらは本物なのか、何か制約を負っているのか、様々な疑念が感電と読み手の中で浮かんでは消えていく。
その圧倒的なKIのなかで感電は思った。


(お前ら、どうせマント脱いだら体型変わるんだろ…………)


ニコニコ動画バトルロワイアル及びテイルズオブバトルロワイアルから

◆qwglOGQwIk 『裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~』
◆0RbUzIT0To 『愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました』
◆OZbjG1JuJM 『人外アドベンチャー~OZbjG1JuJMのウォーゲーム~』
◆CMd1jz6iP2 『C.M.超展開はデフォなのか?』
HN「名無し」
HN「nanasinn」
HN「七氏」
HN「ナナシ」

が主催陣営として召還されました。詳細不明。

  • 感電の行った偽装工作で無明幻妖sideが空けた穴は「ほぼ」隠されました。
  • 読み手がどういうつもりで感電の血を舐めたのかはわかりません。むしろわかりたくないです。

141:悶え~蟹座の乙女のいけない秘密~ 投下順に読む 143:大乱戦!Vは大声で叫ぶ
141:悶え~蟹座の乙女のいけない秘密~ 時系列順に読む 143:大乱戦!Vは大声で叫ぶ
129:貴方だけに教えます 読み手 [[]]
129:貴方だけに教えます wiki管理人 260:貫き通すは『ギャグ』と『愛』
127:第一回放送 R-0109(感電) 196:第二回放送
裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~ 164:混ぜるな自然
愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました 171:【書き手ロワ2nd】地図氏を暗殺しにいってみた
人外アドベンチャー~OZbjG1JuJMのウォーゲーム~ 171:【書き手ロワ2nd】地図氏を暗殺しにいってみた
C.M.超展開はデフォなのか? 164:混ぜるな自然
名無し 177:自重の意味を知るRPG
nanasinn 173:名状しがたき名も無き者
七氏 177:自重の意味を知るRPG
ナナシ 165:氷の青年




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