I WANT TO,YOU WANT TO,THEY WANT TO


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『じゃあねー愛してるよー♪』
そんなふざけた言葉とともに第一回の放送は終わりを告げた。

その森の惨状を表すのに、戦場跡という言葉ほど相応しいものはないだろう。
地は割れ、草木は凍り、岩は焼かれ、幾万もの骸がその姿をさらす。
そこを戦場と言わずなんと言えばよいのだろう。
そしてその渦中にその女はいた。
この惨状の原因の片割れ、無明幻妖side.。
烈火の将の姿を持ち、それにふさわしい魂を持つ少女。
だが今の彼女を見て誰がその事実を想像しえようか。
つい先刻まで強い意志の刻まれていた顔からは色が失せ眼前の屍に等しいものと化していた。

その能面のような表情がわずかに、動いた。
(いやあさすが書き手ロワだねえ~、みんなどう行動するかわかっているじゃないかあ)
声がした。少年のようにも老婆のようにも聞こえる声だ。
だが森には少女以外に人の姿はない。
では、この声はどこから響いているのだろうか。
いや、そもそも本当にその声は音を伴っているのだろうか。
なぜならその声の主は女の胎内にいるのだから。

「……っ」
己が内から響く声に女は歯を噛みしめる。
24人、24人もの書き手の命がただの一日に満たない時間に奪われた。
いくら今彼女の内に潜む者が強者だとはいえ、一人で殺すにはあまりにも多すぎる人数。
つまり殺し合いにのった者がいるのだ、The god of chaos以外にも。

(も~しも~し、いい加減返事してくれないかなあ?)
「……くそっ」
そのことがたまらなく悔しくて悲しかった。
中には彼女とともに死線を書きぬけた書き手もいたのだ。

(ほら俺様今こんなだし~、U1補正で力の行使はできるけど自分じゃ動くこともままならないんだよね~。
ウルトが帰ってきてくれたら運んでもらえるんだけど。
途中で赤ちゃんでも見つけちゃったのかなあ、ベイビーフェチだしさあ)
「………くそっ」
けらけらと笑う男の声に苛立ちがさらに募る。

なのに自分は何をやっている?
ただ一人助けることなく、殺しあいにのった人間にその身を利用されている。

(まあ君が動かないところで誰かが近づいてきてくれたらなんら問題はないんだ
けどね。あっそうだ、赤ちゃんといえばLSでは一人出場してるんだっけ。
いや~やるね~、カオスだね~。いっそのことひまわりの姿で生まれてみるのもいいかもしんないね。ハクオロの仮面でも被ってさ。
ステルス誤解赤ちゃんマーダー。うん、すんごくカオスだね。あれ、でも誤解フラグ持ちな時点でステルスじゃないような。
それに僕たちのように自分の楽しみだけを目的にしているキャラをマーダーと一括りするのもおかしい話だよね。
もういっそ外道とかでいいんじゃないかな?あ、今俺様すんごい書き手らしくまじめに考えてるよ?)
「…………黙れ」
なんて、無様。
こんな姿を晒す位なら潔く死を選んだほうがマシではないか。
地に落ちた剣に手を伸ばす。
だがカオちゃんはそれほど甘い相手ではなかった。

(あ、そうだ。死のうとしても無駄だからね。そう簡単に死なせやしないし、最悪君が死んでも俺様は消滅しないし。
 なんせカオちゃんだからね。混沌とは『生』、混沌とは『死』。命を終わらせ生み出すもの。はは、すごいね、我ながら)

ただ一言。たったそれだけで人はこれほどの絶望感に苛まれるものなのだろうか。
ぎりりと、歯を食いしばる。
自分にもっと力があればしんでいった者たちを救うことができたかもしれないのだ。
我が身に巣食う怨敵ほどの力があれば。
沸々と怒りの炎が燃えていく。
その勢いは留まってくれない。
わかってる、それが八つ当たりに過ぎないのだということは。
それでも、彼女は叫ばずにいられなかった。

「……何を、やっている」
(ん?)
「それだけの力を持ちながら、貴様は何をやっている!」

混沌神。
ありとあらゆる展開を描き切り、いかなふざけた前ふりからもおもしろくつなげてみせた彼の器の大きさは、
もはや人の域を超え神の域にまで達し、その体も物質界から外れアストラル体へと昇華されていたのだ。
故に姿を変えることなど造作もなく、肉体を失っても死ぬことはない。

自らの身に胎児という形で融合されたからこそ、女は混沌神の力の強大さを理解した。
誰よりも、理解してしまった。
だからこそ悔しかった。


(どういうことだい?)
「私には受け入れがたいが、貴様は構成力・文章力・ストーリー性etc、私達書き手が望むほぼすべての力を兼ね備えている。
なのに貴様は何故カオスな話ばかり書き綴るのだ!」

もし混沌神がその力を対主催として振るっていれば。
多くの命を救えたのではないのだろうか。
もし混沌神がその力を過疎ロワで振るっていれば。
いくつものロワが消えずに済んだのではないだろうか。

だから彼女は最初気付かなかった。
それまで響いていたカオちゃんの声がぱたりとやんでいることを。

(何やら君は誤解をしているようだね?)
「なんだと?」
(何をやっているのかだって?決まってる。やりたいことをだ。俺様だけじゃない。パロロワ書き手はみんなそうさ。
ロワに参加している作品をキャラクターを愛しえいるからこそ、彼らの命を書き綴る。
ただ俺様は欲張りだっただけ。すべての可能性を捨てたくなかったから、その全てを含有していった結果カオスと化しただけさ)

何もカオスな話を書こうと思って書き手となったのではない、と。
ただ己が望むままに話を書き続けつなげ続けた結果、カオス作家という形に行き着いたにすぎないのだと。
人を小馬鹿にしたような口調でされど確固たる信念のもと答える彼は確かに一人の書き手だった。


その姿がやけに眩しく思えた。
そして思い出す、自らが初めてパロロワ作家になろうと思い立った日のことを。
あの時自分は何を考えていた?

「そうか、そうだったな」
自らの前に残された話にも自らのあとに続く者にも縛られずされど軽視せずただ今ある自らの全力を振り絞る。
「書き手とはそういうものだったな!!」
女は今度こそ剣を再び手に取った。
その眼に先ほどまで浮かべていた絶望はすでになく、ただ強い光のみを宿していた。
(やれやれ。やる気になってくれたのはいいけど忘れちゃったの?俺様は殺せない。君が死んでも意味がない。だめなお母さんだなあ)
無駄だ。もうその程度の事実になど屈しはしない。
それどころか嘲る声ににやりと笑みまで浮かべて見せたのだ。

「貴様こそ忘れているのではないか?――我らアニロワ1stの十八番が原作設定を持ち出すことだということを!」

(原作設定?まさか!)

混沌神の脳裏に浮かんだのは、一つのロワの決着を飾った剣の姿。
参加者の一人アセリア・ブルースピリットが振るい、文字通り神すら葬ったその剣は、
されど原作とは違う神剣が姿を変えたものだった。

「我が命の炎を以て、いでよ永遠神剣『世界』!」
故にその声にこたえるが如く纏っていた炎を散らし、一本の剣が女の腕にまとわりつく。
永遠神剣『世界』。
本来はどのルートを通ろうとも『求め』ではなく『誓い』が上りつめた筈の第二位永遠神剣が、
六本の蒼き羽剣を従え、今ここにその禍々しくも赤い刀身をさらす。

(ぐあああああ!?)
時を合わせるが如く胎内のThe god of chaosが悲鳴をあげる。
神剣の担い手である無明幻妖side.の体と同化していたが故に『世界』はカオちゃんからもマナを奪ったのだ、
アストラル体を強引にマナに変換し搾取するという形で。
自らの魂を削る痛みに耐えかねカオちゃんが声を荒げる。

(君はアニロワの書き手なんだろ!?他ロワの展開に頼るなんて誇りはないのかい!?)

もしもこの『世界』すらも原作設定だったのなら、The god of chaosもこうは慌てなかっただろう。
剣に吸収されると同時に神剣の意思を乗っ取れば生きながらえることも可能だったのだから。
だがギャルゲロワ版の不完全な『世界』は無茶な第二位化とその維持にマナを常に消費し続けている。

「あるさ。だが私はアニロワに所属する以前に一人の書き手だ。だからこそ他ロワであれ偉大な書き手に敬意を払う」
怪しい光を放ち続ける太刀を右手にまとった無明幻妖side.の体も同じく透けていた。
当然だ。魔力で構成されたヴォルケンリッターの体もまた『世界』にとっては高効率なエネルギー源なのだから。

だが、それがどうしたというのだ。
女は思い出す。

紅の鉄騎は主の思いと自らの仲間を守るため、死してなお反逆者の力となった。
最速の男は己が信念のため命を燃やし尽し、ついぞ倒れることはなかった。
烈火の将はただ最後まで主を想い、壮絶に散っていった。

ならば一度でも彼らの書き手であった自分がどうして臆していられよう。


既に自身の魔力は使い切りもはや目も耳も機能しない。
それでも足りない分は無理やり補う。
胎内のThe god of chaosという名のカートリッジをロードし尽して。

「それにクロスオーバーこそ我らの本望。
 混ざりに混ざっているという意味では貴様の大好きな混沌とも言えるだろ?」
剣に更に気合を注ぎ込む。
その裂帛の気合いに応えるが如く神剣が一つの形に姿を変える。
すなわち大弓へと!
そうこれから放つのも舞台は違えど大好きな人達を守るため光と消えた妖精の少女の一撃なのだ。
故に鉄槌の騎士の力となったこの弓につがえて撃つになんの遜色があろうか。

「さあ、楽しむがいい。なにせ私『達』の全力全開の一撃なのだからな!」
(や、やめろおおおおおおおおおおおお!!)
ただでさえ不安定な神剣での最大魔法の行使に、これだけの死亡フラグを重ねたのだ。
間違いなく二人ともその魂をエネルギーとして使い果たし、この世から完全に消滅することだろう。

それでも女は迷うことなく約束された終焉の呪文を紡ぎだす。

「集えマナよ……」

重く響く美しい声だった。
だが、それ以上に、命をかけようとしている人間の歌だとは信じられないほどに、穏やかな声だった。
光があふれ炎と化し、矢へと集う中、唄は続く。


「我に従い……」

混沌神が胎内から神剣魔法の発動を阻止しようと干渉し続けるが、
女の詠唱もマナの搾取も一向に止まらない。
そもそももはやマナを求めるのは神剣自身の意思であり、目覚めたが最後『世界』は術者ですらとめられまい。
さらには『世界』は姿を変えたとはいえ未だに無明幻妖side.の腕に融合したままだ。
いかに女に干渉したとこで剣が再びその手より落ちることもない。
混沌の神は知る、もはや消滅を防ぐ手立てはないということに。


「敵を爆炎で包み込め!」
無明幻妖side.が敵に向かって矢を引き絞る。
敵とはなにか。マーダー、疑心、主催、不運、否!
敵とは殺し合いを是とするこの世界そのもの!
だから、狙うは、唯一つ!

「抹殺のオオオオオオ」
矢が放たれ、光がほとばしる。
違う、もはや矢にかけていた右腕が消滅したのだ。
続いて左腕もマナの粒子と化す。
足などもはや光すら残さず霧消し切っていた。
それでも最後に残された頭部で女は天高く飛翔する矢に名前を与える。

「デットエンドオオ」
反逆の牙を心に持った男の言葉を借りて。
世界のありようすら覆す反撃の狼煙は、名前と共に形を得る。
そは鳳、名をシュツルムファルケンという!

「シューーーーーーーーート!!!」

オーラフォトンの爆炎を纏い鳳は飛ぶ。
屍の城を焼きその先にある天へと。
厚く群れなす雲を払い、青く輝く空を赤く染め、はるか高き天を貫き、
そして――









声が、した。
(愚かだね。無明幻妖side.。)
女は消えゆく意識を奮い立たせ、聞き逃さないよう耳を傾ける。


(完結した君たちアニロワと違い、まだD-5は終わっていない。
ここで俺様を倒したとしてもすぐに復活するよ。書き手ロワ3にも登場するかもしれない)
どうやら一時的なこととはいえ自分はこの強大な力を誇る相手を倒すことに成功したようだ。
その事実に安堵しつつ、残念ながら間違いなく本心である言葉を贈る。

「かまわない。いや、むしろ喜ばしいことだ。貴様を必要とする読み手は確かに沢山いるのだから。」
あの最後の瞬間、『世界』が真の力を発揮した一瞬を利用して、
The god of chaosが自らの残ったすべての力を使い外界に命の因子を逃がしたことには気がついていた。
あきらめなかった彼を称賛こそすれ、恨む言葉を自分は持ち合わせていない。

対してわずかに息をのむ気配がした。

(ふん、まあ結構楽しめたかな。ロボットに不条理にギャグにダークに鬱に。ガチホモができなかったのが未練だけど、
楽しみは次の機会に取っておくことにするよ。じゃあ少し休もうかな。次の混沌のために。次の次の混沌のために……。)

もはや声が胎内から響くことはない。
これでやっと心おきなく眠ることができる。
少し、疲れた。
夜まで寝て、また、深夜にでもSSを投下しよう。

私が望んだ物語が、誰かが望むものであることを、切に願って。





こうこうと、戦跡を癒すかのように、光が舞う。

地が割れ、草木が凍り、岩が焼かれたその森の中心には、一本の剣が刺さっていた。
光に照らされた担い手のいない剣はまるで墓標のようだった。


【無明幻妖side.@アニロワ1st 死亡】
【The god of chaos@葉鍵3 死亡?】
※カオちゃんが本ロワ内で復活することはありません。
※A-5に永遠神剣『誓い』と支給品一式(ランダムアイテム残り二つ)が落ちています。







その一撃は、確かに届いていた。
空間の壁すら越えた魂の一撃は、その威力を大きく落とし、されど確かに穴を穿ち、二つの場所を繋げた。
そのことに最初に気づくのは誰だろうか?読み手か、あるいはR-0109か、はたまたwiki管理人か、それとも……。



※A-5の上空に人間の頭一つ大の穴があきました。
 主催者たちの本拠地のどこかにつながっています。
 遠近法や雲により普通に歩いていたのでは地上から上空の穴に気づくのは困難です。
 空間を越えたからか、はたまたとんでもない場所につながったからなのか、
 主催者側も穴のことには気づいていません。

137:ある決闘の再現 投下順に読む 139:罪と罰~全てはフラグ・ビルドのために~
137:ある決闘の再現 時系列順に読む 139:罪と罰~全てはフラグ・ビルドのために~
117: 無明幻妖side.
117: The god of chaos




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