突然過ぎる覚醒だった、はずなのに


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「バトルロワイアル、か。書くにあたっては問題無いが、自分がやるのは厳しいな」
痛く苦しい経過に加えて、最後に待つのは地獄か死だろう?
などとクール、いやネクラに呟く、彼の名はナナシ。
テイルズロワの最終話、読む側の胸に痛くて苦しくて、死ぬほど鬱になる結末を書き切った男だ。
「だからといって、この格好は……」
ダウナーなため息を末尾に添えるナナシの姿は、案の定彼が引導を渡した青年、ヴェイグ=リュングベルのそれである。
せっかく外見が変わるなら自分がフラグ立てた魔法元少年とか、ネタにするにはうってつけだろうに。
いや――しかし、彼の姿であるのなら。
「絶・瞬鋭迅」
ぼそぼそと小さな勇者王ボイスとは裏腹に、彼の体を蒼い光が覆った。
目に見えてナナシの移動速度が速くなり、森の更に奥へと駆ける。
氷のフォルス。この青年がテイルズオブリバースで身に付けていた特殊能力だった。

「ヒトの強さを決めるのは、フォルスや武器なんかじゃなく心、だったか。……フォルスは心の力というくだりと、明らかに矛盾していたな」

そんなツッコミをこの姿で行う趣味の悪さを自嘲しながら、ナナシは支給品の剣を握る。
ロワ終盤で馴染みのひと振りになった、それはソーディアン・ディムロス。
コアレンズを破壊された状態のそれは言葉を発する事はないが、炎の力は残っているらしい。
そして、彼は跳んだ。

「風神剣――ゴールド・エクスペリエンス!」

氷と炎の生み出す気流に乗りながら、もうひとつの支給品であったスタンドDISCの力でディムロスを花に変える。
紅い花弁が炎を想起させるそれを、彼は着地した樹上で一瞥した。
似合わないと苦笑する顔には、ナナシ自身のものでは無いぎこちなさが滲んでいる。
「世にも珍しいティートレーイの花、か? いや、奴の能力より汎用性はあるな……」
末路がGERを受けたディアボロ状態だったキャラとしては複雑だが、ナナシは冷静に自分の力を分析していた。

彼の目的はただひとつ。
マーダーとして、より多くの書き手を惨殺する事。

いくら希望に向けたフラグを積もうが、フラグを立てる者自身が“-1”なら全ての札が裏返る。
その極地とも言える結末を、自分は書いた。
だが今の状況、書き手ロワそのものが、すでに“-1”の存在であるなら。
“-1”たる者たちが、この状況を打破する事も可能かもしれない。
それに、フラグを積む――物語を紡ぐ書き手達の力は決して侮って良いものではない。
だから他の書き手達と協力して、このふざけたゲームを破壊する。
そうも考えていた。
だが、その選択はこの状況が……あるいは彼の気性が許さなかった。

“何気に書き手ロワもマーダー足りないんだぜ”

誤爆スレで見かけた、このような文面のレス。
自分が最後に傍観者として閲覧した一文。
それを思い出して、青年は左手を顔にやる。
「書き手として、ロワ企画自体が間違っているなどとは、俺は思わない。
 ……だが、呼ばれたからには空気を読み……殺さなければならないと思う俺は、間違っているんだろうな」
情熱を込めて各々のロワを進行させる書き手達の思いなど、痛いほど分かっている。
だが、それでも。

「それでも俺は、……やらなければならないんだッ!」

それでも彼は、テイルズロワ随一の空気を読む書き手だった。
書き手が立てた鬱フラグと、読み手が期待した秘奥義フラグなどを活かして全滅エンド、という所業を成し遂げた男だった。
古参チャットにおいても、個性的な書き手達の間を取り持つポジションだったのだ。

だから。
マーダーが足りないと言うのなら。
自分はいち書き手として、その空気を読まなければならない。

沈黙の後、ナナシは一瞬だけ苦渋の表情を浮かべ、人の気配を探し始める。
その様子を視ていたのは、眠りから覚めた一人の男だった。
見ているのではない。
モニターのひとつから、観察しているのだ。
「気付かない、か。すげーわコレ」
R-0109は、ナナシの行動を驚嘆と憐憫のないまぜになった表情で眺めていた。

「主催介入は諸刃の剣。だが、介入された事に気付かれなければどうという事はない、ねぇ?」

そう。ナナシは単純な疑問さえ抱く事なく、森林地帯を北上していた。
テラカオスロワでもないのに、何故自分が途中参加などしているのか、と。

「あの“ピピピ電波”って響きはともかく、性能は本物だな。
ジョーカーってバレた時はまずいが、いいや。首輪もあるし」

テイルズロワにおいて参加者を操り、惨劇を織りなした一因であるアイテム、チャネリング。

それを“奴”がディムロスのコアに仕込んだ事を知る彼は、だからナナシを憐れむ。
チャネリングの発する電波は自動的に受動的に、装備した者を操る。
森に潜み、影を跳ぶナナシはその事実に気付く事はない。

「いや、気付かない方が幸せなんだけど、たぶん。
 ……しっかし名簿とダブった支給品、どうすっかなー」

R-0109は沸き起こった感情から思考を切り替えるべく、NEOGEOのコントローラーを握る。
そんな彼にも、知らない事はあった。

テイルズロワにおけるヴェイグの、マーダーと対主催を一往復半もさまよった優柔不断、あるいは人間らしさ。
そしてナナシが鬱展開だけでなく、暴走したヴェイグと対主催のバトル――彼が対主催の決意を固める事となった熱血ものを手掛けた事を。

……ピピピ電波が、途切れる事はあるのかどうか。
もしも電波の途切れた時、真実を知ったナナシはどうするのか。
覚醒の瞬間を思い出す事もなく、青年は花から戻した剣に心を沿わせていた。


【早朝】【C-1 森】
【ナナシ@テイルズロワ】
[状態]:やや疲労、迷い?
[装備]:チャネリング付きS・D@テイルズロワ、スタンドDISC(ゴールド・エクスペリエンス)@漫画ロワ
[道具]:荷物一式
[思考]
基本:場の空気を読み、ロワを進行させる
1:マーダーとなり、無差別に参加者を惨殺する。とりあえずは北へ向かう
2:対主催にも希望はあるかもしれないが……
[備考]外見、声はヴェイグ・リュングベル@テイルズオブリバース。
チャネリングに気付いていません。
※R-0109はナナシにチャネリングを取り付けた者を知っています。
また、細かな行動・思考まで統御出来るわけではないようです。
※剣を離せばピピピ電波の影響から逃れる事は可能ですが、チャネリングを破壊しない限りは一時的なものにしかなりません。




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