すれ違う二人+α++曖昧ネッケツ怪人

 森を抜けた、市街地のはずれ。
「ぶぅるあああああああああああああああ」
 咆哮。又もや殺し損ねた。
 ――我等《漫画ロワ書き手》は神《漫画ロワ》の代理人。神罰の地上代行者。
   我等の使命は、我が神《漫画ロワ》に逆らう愚者《他ロワ書き手》を、その肉の最後の一片までも絶滅すること。
 だと言うのに、なぜ、何故にあの男達はそれに逆らうのか?

「パンタローネ、愛の伝道師」
 それが、破戒者の名前。
 奴らは、同じ漫画ロワの書き手だというのに。
 それに加え、異教徒《他ロワ書き手》を庇うなどとは……その破戒、御しがたい。

「そうか、貴様らは……書き手だというのに、そうなのだな」 

 熱血怪人は、拳を握り、歯軋りをする。
 我が神の元にいながら、我が神に抵抗する。それはすなわち――
「抵抗者《プロテスタント》」

 ならば、どうする?

 ――決まっている。いいプロテスタントは、
「死んだプロテスタントだけだ」
 そう、殺すまでだ。
 先程は遅れをとったが、今度はそうも行かない。
 俺には、まだ、隠していた切り札があるのだから。
 この体のもう一人の主、その能力。
「ゲハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
 次は殺す、必ず殺す。奴らを、我が神に逆らう愚者を、殺す。


「…………………………さん!」
 なにやら、爆音と共に叫び声が聴こえる。
 これは、待ちに待った戦闘だろう。絶好の好機。
 ならば、ならば、横合いから殴りつける。
「征くぞ……フゥリィィィークゥゥス」
 言って、両足に力を込める。
 その目的地は中央より少し右外れに建つビル街d――、
 『中央』より少『し』右外れに『建』つビル街、『中央』……『し』……『建』、『センター』……『し』……『けん』、
「センター試験、よもやそこま――――ガッ」
 唐突な光と共に、蘇った熱血怪人の意識は途絶えた。



               ◇  ◆  ◇


 一方、ここはビル街。
 一人の男が叫び声をあげる。
「貴様は……ジャーク将軍! 罪もない猫を俺と戦わせ、それを観察しようなど……この俺が許さん!」
 怒りを高らかに、男はマイクを仕舞い、変わりに右手の銃を構える。
「破壊光弾ハードショット!」
 舞い上がる火花。光が三度、男の足元を穿つ。
「ぐううう……ッ!」
 金の男が呻る。ギャグ将軍の姿をしている、◆6/WWxs901だ。
 誤解フラグをばら撒こうと、参加者に変身した◆6/WWxs901(以下、◆6/)だったが、彼の目論見は見事に外れた。
 書き手ロワの反映を願った言葉が、影の繋ぎ師の耳に入ってしまったのだ。
 別に◆6/は誰に聞かせるつもりもなかった。ただ、変身して高性能になった影の繋ぎ師の耳が、勝手にキャッチ。
 それから、彼の姿を見た繋ぎ師は、叫ぶなり、ボルティックシューターを取り出してきて、今に至る。
 ちなみに、その間にちゃっかりボンボン系の書鬼は逃げ出してたりする。
「逃がさん!」
 影の繋ぎ師が更に光弾を放つ。今度はわき腹を掠め、彼方へ。
 制限からか(あるのかわからないが)、ハードショットは追尾性を失っていたのが幸いした。
 それにしても、拙い。このまま戦闘で撃たせていては書き手ロワの繁栄どころか、舞台を破滅させてしまう。
 かといって、後ろを見せれば、その瞬間に撃ち抜かれ、ジ?エンド。
「く……仕方がない」
 ◆6/は、覚悟を決めた。
 参加者を自らの手で葬る、その覚悟を。

「変身!」
『HENSHIN』
 電子音と共に、◆6/の姿が変わる。赤い装甲を纏った、仮面の戦士。
 カブトゼクターなしの過程を飛ばした変身。姿を自在に変え、その能力を操る――それが◆6/の特殊能力だった。
 ここで選択したのは、仮面ライダーカブト。ジャーク将軍のままでは、ロボライダーには勝てない。多分。きっと。
 だったら、目には目を、歯には歯を、ライダーにはライダーを、だ。
 時を自在に操る、この能力、このライダーに、ただのライダー勝てるはずがない。
 そう思って◆6/は仮面ライダーカブトに変身した。
 それがハイパーカブトでないのは一種の慢心からだろう。
「クロックアップ」
『Clock Up』
 そのまま間髪をいれず、影の繋ぎ師の元へ。そして頭部に一閃。その命を、刈り取る。
「なッ!」
 しかし、必殺の筈だった攻撃は、受け止められていた。掌握。そして、
「うぼァァァァ!」
 鳩尾に、一撃。
 手放され、◆6/はあまりの痛みに膝をついた。
「な……なぜだ」
 息も絶え絶えに問う◆6/に、影の繋ぎ師は簡潔に答える。

「創世王は異なった時間を生きている。だから、俺に時間攻撃は効かないッ!!」

 見誤った、そう思う頃には遅かった。

 ――いや、まだ遅くない。◆6/はジグマールに姿を変え、ワープで影の繋ぎ師の後ろへ。
 そして背後から、彼の首にある首輪へ衝撃波を加える。しかし、彼が見込んだ爆発は起きない。
 足りない、まだ足りないと、ワープで影の繋ぎ師を撹乱し、首輪に圧力を加える。
 だが、皹は入るものの、首輪は一向に壊れようとしない。

 まどろっこしい。◆6/は影の繋ぎ師――ビルの上空へとワープする。そして、


「『恋符』マスタースパーク!!」
 支給品のミニ八卦炉をもって、ビルごと影の繋ぎ師を蒸発させた。

【影の繋ぎ師@ライダーロワ】蒸発

               ◇  ◆  ◇ 

「う……ここは」
 目を開けて、ゆっくりと頭を起こす。それから、あたりに目を向ける。
 ぐらぐらゆれる頭を押さえて、熱血怪人はありのまま自分に起こった状況を反芻する。
 そして、結論付けた。自分は、法王庁に洗脳されていたと。

 自分は、熱血書き手といわれている。
 しかし元来自分は、どちらかと言うと鬱展の方が好きなのだ。
 ヅラと灰原がDIOに無残に殺されたのも好きだし、しんのすけ豚をばらしてしまった話も好きだ。
 なのはが親友の前で喉を喰いちぎられて死んだのには滾ったし、デビルマスタングが友人をブチ殺したなんてのはもうたまらない。
 一般人のはずの明日夢が、パーティメンバーを毒殺した話など心が躍った。
 強力マーダーがノロウィルスで倒れる話も好きだ。
 阿部さんが男で勃起できなくなったなんてのは、死後にもて遊ばれるカズキ並みに絶頂の極みだ。
 沙羅さんがまったく活躍できないなんて話は……いや、活躍できないのは普通だから、鬱でも何でもないか。
 兎に角、自分は真正面から戦って死ぬ話より、戦闘も含めて、対主催者が無残に殺されていく話の方を好んでいるのだ。
 ただ、だからと言って熱血が嫌いなワケでもなく――実際とても好きだ。
 そうなのだが、それよりも他人の書く鬱話のほうが好物なのだ。
 しかし自分は、それら全てと同じくらい――対主催が活躍する話も愛しているのだ。

 そんな自分が、『易々と』他人をブチ殺そうとするとは、洗脳されている以外にありえないのだ。
 しかし自分は鬱な心と、熱く戦う心を蘇らせた。愛と平和と自由を望む正義の心で。

 などと思い込む熱血怪人。
 しかしてその実態は、センター試験の無残な結果で鬱になったことと、
 頭に撃ち込まれたハードショットの所為で頭脳が麻痺しただけなのだが、熱血怪人は知る由もない。

「おのれ法王庁……俺を洗脳して、あまつさえ悪の手先として使おうとするなど、許さん!」
 それどころか熱く滾り、強い怒りに燃えていた。
 その思いを胸に左の拳をぎゅっと握りしめ、右の掌に万感の思いを乗せる。

「ライダー……」
 斜め上に突き出した右手で頭上に円を描きつつ、逆の手を右上に突き出す。
「変身ッ!」
 腰に現れたベルトが、はじめと真逆のポーズを光で包む。
「トウッ!」

 ハイジャンプの後、殺し合いの地に降り立ったその姿は、飛蝗――仮面ライダー一号そのものだった。


               ◇  ◆  ◇


「はあ、はあ、はあ…………」
 肩を大きく上下し、◆6/は地上へと降り立った。
 先程の砲撃で、影の書き手のいたビルを中心にクレーターが出来上がっていた。
 少し派手にやりすぎた。クレーターの中は、溶岩のように赤熱していた。
 しかし、これはやりすぎだっただろうか?
 ――いや、ここまでしなければ自分はやられていた。

 そこまで至らしめた影の繋ぎ師への恐怖に、◆6/は今更ながら膝を折った。
 影の繋ぎ師との戦いで、多くの力を使ってしまった。
 恐らく変身能力は使えても、変身した相手の能力はもうきっと使えまい。
 だが別にいい。今自分は生き残った。
 変身能力だけでも書き手ロワを盛り上げるには十分だ。
 ◆6/は衰弱した体で書き手ロワの繁栄を願い、神に感謝した。生き残れてよかった、と。
 しかし、現実は非情である。
 確かに消し飛ばしたはずのクレーターから、奴は立ち上がってきたのだから。

「俺は炎の王子! 炎の力は……俺のエネルギーだ!」


【影の繋ぎ師@ライダーロワ】 生存確認


 そう吼える影の繋ぎ師の右手が、黄金に輝く。
 マズイ、逃げなければ。そう思っても、腰に力は入らない。
 死にたくない。自分はまだ、書き手ロワを盛り上げていない。
 この世に未練があるのと同様に、この場に未練でもあるかの様に体はこの場から退こうとしない。
 腰が抜けて、逃げられない。
「嫌だ、し、死にたくない!」
 そう悲鳴をあげる◆6/の髪は、いつの間にか海草のようなウェービーヘアーになっていた。
「貴様が生きることは、この俺が許さん!」
 怒りを露に、影の繋ぎ師は◆6/目掛けて拳を振り下ろそうとして――

「待て!!!!」

 闖入者の言葉に拳を止めた。


【早朝】【D‐6 ビルの跡地】
【影の繋ぎ師@ライダーロワ】
【装備】:サタンサーベル@ライダーロワ、シャドーセイバー@ライダーロワ
【道具】:カラオケマイク@現実
【所持品】:支給品一式
【状態】:健康。クライシス帝国と熱血怪人への激しい怒り。ロボライダーに変身中。
【思考?行動】
基本:殺し合いには乗らない
1:ぶ っ ち ぎ る ぜ
2:まさか……先輩?
3:目の前のクライシス帝国の手下を倒す
4:先程のクライシス帝国の手下を倒す
【備考】
※変身体はシャドームーンです
※いきなりロボライダーに変身可能になりました。ぶっちぎりです。
※首輪に皹が入っていますが、ぶっちぎりです。

【蘇った現代の熱血怪人@漫画ロワ】
【装備】:バヨネット×2
【道具】:なし
【所持品】:支給品一式
【状態】:仮面ライダー一号に変身中
【思考?行動】
基本:打倒、主催!
1:目の前のワカメを保護する。
2:他ロワ書き手(異教徒)と一般人(化け物)は鏖・・・・・・なのか?
3:どこかで鬱展開にもって行きたい

※イスカリオテの制服@ヘルシングに身を包んでいます。顔や髪型までアンデルセンではありません
※声はアンデルセン、髪型は本郷猛、顔は村雨良です
※法王庁に洗脳されていたと思い込んでいます
※頭部に衝撃が加わることで、また元に戻るかもしれません

【◆6/WWxs901@カオスロワ】
【状態】ワカメ、精神疲労大
【装備】ダイナマイトたくさんとライター、ミニ八卦炉@LSロワ
【道具】支給品一式、他にもなんかあるかも
【思考?行動】
基本:参加者に変身して色んな奴の誤解フラグをばら撒く
1:何やってるライダー! は、早く僕を助けろ!
2:書き手ロワの繁栄に尽くす。
※変身能力があり、誰にでも変身できます
※主催者によってジョーカーとして召喚されたっぽい。
※精神疲労が大きい為、能力を使う能力は使えません

【共通備考】
※D-6にクレーターが出来ました


               ◇  ◆  ◇


 そんなカオスなクレーターから一キロほど離れたビルの中。
 ボンボン系の書鬼は、奇妙な寝相で夢の中にいた。

【早朝】【D-5 どこかのビル】
【ボンボン系の書鬼@アニロワ2nd】
【装備】:内臓火器(ミサイル)。なんでも切れる剣@サイボーグクロちゃん
【道具】:なし
【所持品】支給品一式(未確認)
【状態】:健康。
【思考?状態】
1:zzz………………。
2:おいらを巻き込むな。
3:なんだったんだ? あいつら。



106:すごく……誤解です 投下順に読む 108:意外!それは紙切れ!
105:新しい朝が来た、対主催の朝だ 時系列順に読む 109:学校屋上戦争
087:噛み合わない二人+α 影の繋ぎ師 120:私のかがみ様、ツンデレのかがみ様
086:ゼットン 蘇った現代の熱血怪人 120:私のかがみ様、ツンデレのかがみ様
087:噛み合わない二人+α ◆6/WWxs901 120:私のかがみ様、ツンデレのかがみ様
087:噛み合わない二人+α ボンボン系の書鬼 132:MURDER PRINCESS



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最終更新:2013年01月11日 17:56
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