蟹座氏の憂鬱Ⅱ


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「蟹座じゃない、蟹座じゃないもんね……!」

走る、走る、走る。
森を抜け、知らない場所まで行っても彼女は走る。
呪縛から逃れるように。
蟹座、という名前から逃れるために彼女は走り続ける。
名簿にも、住人にも、そして支給品からも蟹座氏定着していても、彼女は負けない諦めない。

(そうだ、ボクは蟹座じゃ……って、なんで一人称がボクになってるんだろ)

ふと、違和感に気づく。今までの蟹座氏の一人称はボクではない。
思えばこの身体になって変だった。
口調はだいぶ『蟹沢きぬ』というキャラから脱却しかけてはいるものの、一人称はどうやっても直せない。
身体能力もそうだし、そう……体の特徴。
例えば身長、例えば胸の大きさも……大きさも……

「……………………」

ペタペタ、触ってみる。
大して変わらない感覚、中学生とも思われかねない体つき。
思い出す、自分がギャルゲーをやっているときのことを。
シナリオは泣けて好きだが、必ずと言っていいほど大人なシーンがついてくる。
胸の大きいキャラを見ていて、自嘲気味に笑ってみたこともあった。なんという自虐プレイ。

「た、大差なくなんてない……大差なくなんてないもん、ね……」

ペタペタ。
ペタペタペタペタ。

「……くすん」

あっ、泣いた。
頑張れ、蟹座氏。気にしなくても需要はあるさ。

「うわあああああああああああんっ!!」


     ◇     ◇     ◇     ◇


「……おや、何故でしょう? 蟹座……いえ、TF氏の叫びが聴こえたような……?」

バトルマスターは市街を歩きながら、ふと空を見上げる。
魂の叫びが聞こえたというか、なんというか。
もしかしたらすぐ近くにいるのかも知れないが、回りを見渡しても蟹座氏の姿は確認できなかった。
距離的に考えれば聴こえるはずがないのだが、魂の叫びは心の中に響いてくるものかも知れない、多分。

「ふむ……」

The god of chaosに一撃をくれた後、学校から離脱してきた。
対主催ならば仲間を集めなければならない。そのためにも信頼できる人間を探さないと。
名簿を見る。
見て、あまりのカオスさに改めて眩暈がする。この名前で名乗って、まともに情報交換できるものか。
……ステルス鬼畜とか、名乗った瞬間に警戒されること請け合いだろう。彼も燃え展が多いのに。

「とにかく、私たちのロワの二大新人は信頼できるでしょう」

お姉さまと蟹座氏。
執筆したものは燃えの度合いが強く、悪を憎む心はきっとあるに違いない。
確かにロワは何が起こるか分からない。
もしかしたら意外な人物が殺し合いを肯定しているかも知れない。
お姉さまにしてもお気に入りの朝倉純一の欝死亡プロットを電撃的に没に落としているし、不安だ。

「でもまあ、信じてやるしかない……か」

前原圭一の影響が強い、のだろうか。
この性格はロワ向けとは言いがたいが、悪くない。むしろ対主催にはピッタリだ。
コインを弾く。
このコインは書き手たちによって弾かれ、多くの参加者の生死を左右したとされるが、果たして。

「そろそろ、第一回放送ですか。早いものですね」

もう一度、コインを弾く。
表なら自ロワの参加者は誰も死んでいない、裏なら誰かに犠牲者が出ている。
ちょっとした願掛けのような遊び心。
虚空に舞うコインを眺めながら、バトルマスターは今後の方針について考え始めた。


     ◇     ◇     ◇     ◇


同じ頃。
絶叫の後、走り回っていた蟹座氏はついに立ち止まる。

「…………蟹座じゃないんだってば」

遠い呟きが虚しいが、立ち止まったからには理由がある。
通常なら誰かに遭遇したからこその行動だ。
だが彼女が立ち止まった理由はまったく別の理由だった。
人に逢えない。
さっきからずっと走り回っていたが、まだ人に逢えない。

「まさか……これって……!」

蟹座氏は思い出す。
自ロワにおいて第一回放送で誰にも逢えずにいた参加者のことを。
フラグは立てられず。
誰にも出逢うことはできず。
故につけられた渾名を『空気王』……そう、白鐘沙羅と同じ状況に立たされていることに。

「……まずいって、それは」

毒吐きでの話題性の異常さを思い出す。
まさにネタの宝庫。
同格は本当に勘弁してください、と言ったところだが……本格的にフラグも立てていない。
フラグは重要だ。
ないキャラはズガンされても文句は言えない。

「……もうすぐ、第一回放送……」

名簿をもう一度見てみる。
もう分けが分からない。まさか自ロワの人間ですら渾名じゃ理解できない面々もいる。
ふと、バトルマスターのところに目が行った。

「……ししょー」

そう、弟子入りを一方的に宣言したのはいつだったかな、と蟹座氏は思う。
作品投票で宣戦布告して、それでも敗北したあと……チャットで再び宣告した。
逢いたい、と思う。
自ロワを支えた憧れの人に逢いたい、と心から思う。

「……逢える、かな」

自分が参戦するまでのキャラたちを思い出す。
元の世界で逢いたい、と思ってもほとんどが再会できないままに生涯を終えている。
九割がた、逢えないのだろう。
この世界はご都合主義という言葉はない。無常さが漂う殺戮の宴だ。
支給品を確認し、ようやく最後の支給品である鉈を見つけた。
ししょーの遺品、という設定だったか。巡るめく回って自分に支給されたのは中々に愉快だ、と思った。

「いや……逢うんだ、やってやる」

まずは仲間探しだ。
突然こんなところに連れてこられて殺し合いに乗る奴なんて一握りのはず。
支給品は自分向けの武器も出てきたし、他の支給品たちといえば……蟹座の黄金鎧、と。


「僕は富竹、フリーのカメラマンさ!(ポチッ!)」


『いやっほぉぉぉおおおう、蟹座のONiぃ様、最高ーーーーーっ!!!!!』


「うわあああああああああああんっ!! ぶち壊しだあああああああああっ!!!」


まずはあの時報支給品を始末しよう、鉈で。
心の中で決めた蟹座氏はとにかく走る。
ははははは、と富竹は走る。機関車は走る、三秒で捕まってボコボコに殴られ、デイパックの中に放り込まれた。

まだ、誰にも逢える気配はない。


【早朝】【C-5 市街】
【蟹座氏@ギャルゲロワ】
【状態】へこみ、Lv3
【装備】鉈
【道具】支給品一式、蟹座の黄金聖闘衣、最高ボタン、富竹時報
【思考・行動】
基本:仲間と共に主催者を倒す
0:ぶち壊しだあああああああああっ!!!
1:蟹座じゃない、蟹座じゃないもんね……蟹座じゃないんだってば!
2:バトルマスターを始めとした、自ロワの参加者を捜索する
※外見はつよきすの蟹沢きぬ(カニ)です
※最高ボタンには『いやっほぉぉぉおおおう、蟹座のONiぃ様、最高ーーーーーっ!!!!!』というハクオロの声が流れます。
  シークレットボイスにも何かあるかも?
※自分の心がキャラに影響されていることに気付きましたが、キャラに抵抗するため無駄な努力をしています


【早朝】【E-3 市街】
【バトルマスター@ギャルゲロワ】
【状態】冷静
【装備】不明(支給品は確認済)
【道具】支給品一式、コイン、名簿
【思考・行動】
基本:コインの表が出たので徹底的に抗う。
1:第一回放送を待つ
2:対主催として仲間を探し、殺し合いに乗った敵を倒す
※自分の心がキャラに影響されていることに気付きました

100:100話目だからって調子に乗って自分を書く。後悔?ないねッ! 投下順に読む 102:あなたと合体したアッーい
100:100話目だからって調子に乗って自分を書く。後悔?ないねッ! 時系列順に読む 102:あなたと合体したアッーい
085:蟹座氏の憂鬱 蟹座氏 111:類は友を呼ぶ
062:バトルマスター バトルマスター 136:暴走する力



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