蟹座氏の憂鬱

「コスプレじゃない・・・コスプレじゃないもんね・・・」
森の木陰で蟹座の黄金聖闘衣を着衣しようとする少女。
場内満場一致コールで美景扱いな蟹座氏だった。
とりあえず戦う術という意味でも、この衣は装備して自衛を図るべきなのだが。
一応、うら若き乙女な蟹座氏はせめて着替えるところを探すが、近場は森ばかりで。
「・・・うん、誰も見てない。見てないよね」
その言葉こそが覗きフラグなのだが、誰も突っ込まない。今はそうやって突っ込む人はいない。

衣擦れの音。
恥ずかしげな吐息。
着ている衣服を脱ぎ。
聖闘衣を着て・・・

「って、やっぱり着れるか、こんなのーーーーーー!!!!」
すぐに地面に叩きつけた。
ガシャンと音を立て、そしてデイパックの中に戻っていく。
高速で元の服に着替える。はあはあ、と荒い息をつきながら膝を抱えた。
「だって、だってさ・・・分かってるよ、このままじゃ、ってのは分かってるよ・・・だけどさぁ!」
シクシク、と嘆く。
森の中、静かに顔を埋めて自分の不運に涙する。

「これでコレ着たら、自分で蟹座氏って認めるようなもんじゃないかーーーーーっ!!!」

遅いのだが。
既に定着の仕方が異常なのだから。
僅か四日で定着し、しかもそれからの行動で数々の渾名をつけられた。
その種類は恐らく、あのお姉さまに勝るとも劣らない。
「・・・支給品、他の支給品」
デイバックを思いっきり開けてみる。

『僕は富竹、フリーの』
「フリーの時報はまたの機会に!!」

まったく何てことだ、と蟹座氏は溜息をついた。
ほとんど書いていたのが自分で登場させたのも自分だが、よりによって支給品として付いてくるとは。
どうせなら桑古木のほうがよかった。設定的に強そうだから。
まあでも、盾にはなるような気がする。きっと『時報はもう嫌だぁぁああっ!!!』とか言って消えていってくれるに違いない。
「あれ・・・? もしかして、まともな支給品が、ない?」
それは燃え展至上の蟹座氏にとっては致命傷に近い。
たとえ弱者でも意地があることを知らしめたい、それが蟹座氏クオリティだ。
だけどまともな支給品がないと、展開以前の問題になってしまう。
「だから・・・蟹座じゃ・・・ナレーター・・・」
もうボロボロだった。遠くどこかの誰かにツッコミを入れるぐらい。
一縷の望みを込めて最後の支給品。
取り出すとボタン出現。
あー、これってうちの文化だったっけねー、っと投げやりにボタンを押してみる。


『いやっほぉぉぉおおおう、蟹座のONiぃ様、最高ーーーーーっ!!!!!』


「うわぁあああああああぁぁあああんっ!!!!」
様々なものに絶望しながら蟹座氏は走る。
彼女の明日は果たして、どっちだ。


ちなみにだが。
彼女の渾名は『蟹座氏』『カニ座氏』『三代目うっかり侍』『蟹座のONiぃ様』『毘沙門天』などなど。
最後の支給品はチャット内で蟹座氏が狂化した際に用いられた、鉈(本人曰く、バトルマスターの形見)なのだが。
基本的に支給品は三つまで、という常識に囚われた彼女は、その存在にまだ気づかないようだ。

蟹座氏の憂鬱と苦悩はまだ続くようだった。


【深夜】【C-3 森】
【蟹座氏@ギャルゲロワ】
【状態】へこみ、Lv2
【装備】無し
【道具】支給品一式、蟹座の黄金聖闘衣、最高ボタン、富竹時報、鉈
【思考・行動】
基本:仲間と共に主催者を倒す
0:うわぁあああああああぁぁあああんっ!!!!
1:蟹座じゃない、蟹座じゃないもんね・・・蟹座じゃないんだってば!
※外見はつよきすの蟹沢きぬ(カニ)です
※最高ボタンには『いやっほぉぉぉおおおう、蟹座のONiぃ様、最高ーーーーーっ!!!!!』というハクオロの声が流れます。
  シークレットボイスにも何かあるかも?


084:月下の騎士の虎退治 投下順に読む 086:ゼットン
083:支給品次第で参加者のモチベが変わるのは必然である 時系列順に読む 090:吼える男
041:無題 蟹座氏 101:蟹座氏の憂鬱Ⅱ



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最終更新:2008年01月28日 09:29
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