Zero noize (+1)(後編)


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 ◆ ◆ ◆


「……で、俺達はどうする?」
「そら、逃げの一手やろ。逃げれば助かる言うてんねんから」
「そうだな。我達がやつらの戯けた遊戯に付き合う必要も理由も存在せんしな」

意思を確認すると、3人はそれぞれの足元に置いてあった荷物を手に取り大広間を後にした。
だが、非常階段の前で彼らの進む道は二手に別れる事となる。

「なんや? 上は違うぞ。向うんは下の非常口やろが」
「……貴様。それが死亡フラグと知っての行いか?」

一人、銀髪の男――激動のトウカリョウは屋上へと向う方の階段へと足を掛けていた。

「……解っている。
 だが、俺は見せたいんだ。2nd最初の書き手が1st最強の書き手と戦えるということを!
 俺……いや、俺達2ndの書き手の実力をあの時の、そして今のLX氏に見せたい。
 それが、俺を『激動のカワラザキ』と言うポジションに据えてくれた紹介者への酬いになると思うし、
 この会場の中で悪戦苦闘している同じロワの仲間達への励みになると思う……」

言い終わると、トウカリョウは一歩ずつ階段を登り始める。
相手は美形元帥。しかもるるるのルイズである。それは傍から見れば処刑台の階段を上るに等しく見えただろう。

「ええよ。アンタの力で過去の栄光の残りカスに引導渡してきたらええ」
「貴様が我らの先陣であることを我は誇りに思うぞ……激動のトウカリョウ」

激動のトウカリョウは、その大きな背中を見せたまま見送る二人に頷き返す。

「……ありがとう二人とも。
 もし、速筆魔王LX氏に会うことがあったらよろしく伝えてくれ……」

そう言い残すと、激動のトウカリョウは響く足音だけを残して二人の前から姿を消した。

 ◆ ◆ ◆


ダムダムと重い音を響かせ、黒色の猛獣がホテルの中をその巨体からは考えられぬ速さで疾る。
速い速いと言われるアニロワ1st書き手の中でも随一の速さを誇る男が、神行大保の速さで疾る。

「(待ってろよ地図氏。今から俺がお前をぶった切ってやるからな!)」

竜殺しを持ったガッツと吸血鬼アーカードとの闘い――それはそれは壮絶なものになるに違いない。
その予感に最速の男は興奮を高め凶相を顔に浮かべる。
そして、間もなくして最速の男はホテルのロビーへと到着した。しかし――、

「(……いない?)」

――天井より吊られた豪奢なシャンデリアに照らされ、真赤なビロードが敷かれたロビーに求める姿はなかった。

最速の男は2階の踊り場より身を乗り出し、ロビーを隈なく見渡すが目当ての吸血鬼はいない。
その代わりに、ロビーの中央にそこに似つかわしくない物が置いてあった。
1メートルほどの黒い円筒形の物質。それと解りやすいフォルムを持った、あの――、

「――地球破壊爆弾ッ!?」

最速の男は踊り場から飛び降りそれに近づく。それは紛れもなく地球破壊爆弾そのものだった。

「まさか奴が……置いていったのか?」

地球破壊爆弾に地球破壊爆弾が支給される――ありえない話ではない。恐ろしい話ではあるが。

ロビーの中央に鎮座している地球破壊爆弾へと、最速の男は慎重に近づく。
あの男がいないという事は、すでにタイマーは作動させた後なのだろうか……? だとすれば――。

「このまま爆発して終了したら、ある意味伝説のラストだな…………」


 ◆ ◆ ◆


「なんや、コゲ臭くあらへんか……?」
「うむ。確かに」

トウカリョウと別れて後、順調に非常口へと向っていた二人だが、出口ももうすぐという所で足が止まった。
周囲に漂う異臭。明らかに先程までより高くなった室温。考えられるのは――、

「――ッ!!」

――次の瞬間。通路の奥にあった一つの扉が撓み――爆発した。

「バックドラフトだ!」
「ブックやのうて、ほんまもんの方か!」

一瞬、灼熱の風が二人を押し戻す様に噴出し、その直後より開け放たれた扉より炎が溢れ出して来る。
それは偶然か、それとも放火魔の計算どおりなのか、見る見る間にホテル内を赤色で蹂躙し陥落せしめんとする。

「どこのロワの書き手や! 放火なんぞ傍迷惑なッ!」
「しかし上策だ。力を必要とせず、複数を巻き込み、しかも自身は安全地帯に逃れられる」

二人が状況を分析している間も炎の勢いは止まらない。策を考える間も無く炎の海は二人を取り囲む。

「……これが、十中八九のうちの一ちゅうやつか。ハ」

――退路は断たれた。

 ◆ ◆ ◆


「温かい、温かい」

ホテルの敷地内。屋外駐車場の端に放火魔の姿はあった。
その放火魔がくすんだ赤色のおさげ髪を揺らしながら、両手を燃え上がる建物へと向けて暖を取っているのには訳がある。
――彼女は全裸だからだ。
と言っても、別にただ暖を取るために放火したという訳でもない。

「はは。これだけでかい建物を燃やせば、いい目印になるだろうさ」

そう。夜風にお尻や胸などをあられもなく曝している彼女の目的は人集めだった。
どこからでも見える目印。それを立ててやれば、善い人悪い人合わせてどんどん人が集まってくるだろうと考えた。
逆に、実は中にもう仲間が集まっているなんてことはこれっぽちも考えなかった。
さらに彼らが自分のせいで窮地に立たされているとは全く想像もつかない。

「あーそれにしても、冷たい夜風は腰にくるねぇ……」

そう言いながら一仕事を終えた彼女は皮の弛んだ腰をトントンと叩く。
彼女の名前は『底上中の残月』。
面白い仕掛け。面白い作戦。面白いお話でみんなを驚かせるのが大好きな、全裸の肉感溢れる――、

――鷲鼻がチャーミングな老婆である。

 ◆ ◆ ◆


るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる――――――――――――――――――――。


るるるのルイズこと、美形元帥は上機嫌だ。 飛んでいたら『ホテル』を見つけることができたから。
『ホテル』を壊せば願いが叶う ―― そんなことをどこかで聞いた覚えがある。誰からかは忘れた。
でもいい。壊せばよいのだから。壊し方も覚えている。でもそれもどこで覚えたのかはわからない。
それもかまわない。何せ壊せばよいのだから。壊せば帰ってくるるるるるるる――のだ? 誰が?
大切な人だった気が――何が? 何をするんだっけ? そうだそうだ壊すんだ壊すんだ壊すんだ。
壊すんだ壊すんだ壊すんだ壊すんダ壊すン だ壊すんだこわすんだ壊すんだコワすンだ壊すンダ。
壊すんだんダ壊すン だ壊すん壊すんだコワ壊すんだ壊すんすンだ壊すンダ。だこわすんだだ壊す
んだ壊すんだコワすンだ壊すンダ。んだ壊すんだ壊すんすン だ壊すんだこわす壊すんだ壊すダ壊
すんだすんだすんだすんダすン 壊壊壊壊壊壊すンだ壊す壊すんだこわすんだんだコワすンだダ。


――――――――――るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる――――――――――?


なんだるう? 『ホテル』の上に誰かがいるるる……? 誰だっけ? 見たことあるけど誰だっけ?
願いが叶う方法を教えてくれた人? 違う? 壊し方を教えてくれた人? 違う。 アレ 誰だっけ? 
私の私の大切な人? サヰト? 違うなあ? 知っているけど違うなあ。アレほんとうに誰だろう?
解らないけど素敵だなあ。 どこの誰かは忘れたけれど素敵だなあ。 ワタシは願いを決めました。

『優勝したらあの素敵な人をアニロワ2ndに出してもらおう。それがとってもいいとおねがいします』

じゃあ、持って帰ろうそうしよう。たいせつなものはなくさないように。二度となくさないようにしよう。
最後のひとりになったなら、それをかかげてこういおう――『コレをアニロワ2ndに出しってって♪』


――――――――――――――――――――るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる♪


 ◆ ◆ ◆


「――聞いているのかッ!? 美形元帥!」

ホテルの上空に浮かぶ美形元帥の前に、同じ様に浮かぶ異形の存在があった。
体内に埋め込まれたテッククリスタルを発動し、テッカマンランサーと変身した激動のトウカリョウである。

「(……やはり、この状態では話が通じないか)」

るるるのルイズと化した美形元帥は、トウカリョウが屋上へと現れた時も。その後変身した後も変わらない。
ただ時々、「るる……」とその愛らしい唇から零すだけだ。思考や認識があるようには見えなかった。

「……止む終えん。あなたとは幾らか言葉を交わしたかったが――行きますッ!」

発した気迫と共にトウカリョウの身体が加速し、美形元帥へと迫る。
一瞬すらもない。気がつく間もなく、その巨体は彼女の直前に現れ、手にしたランスを大きく振るう。
それに、呆けて無防備だった美形元帥は胴体を両断され絶命するはずだった。が――。

起こったのは連続する爆音だった。

「(――速いッ!)」

美形元帥は元の場所から動いておらず、トウカリョウは屋上の一角。瓦礫の中にその巨体を埋めている。
あの一瞬以下の狭間。トウカリョウが振るうランスよりも、より速く美形元帥のグラーフアイゼンが振るわれた。
その結果だった。

「……だが、勝てるぞこの勝負!」

トウカリョウは何事もなかったかのように瓦礫の中から立ち上がり、鎚の一撃を受けた胸部装甲を撫ぜた。
テックセットによって体内より生み出された外骨格の鎧に、なんら損傷は見当たらない。
強力無比な破壊のデバイスの力もテッカマンの能力には及ばなかったのだ。

「テッカマンランスは見せしめ、つまりはオープニングよりの出展――故に未制限状態!
 美形元帥には悪いが、制限なしのテッカマンに勝てる存在などパロロワ界には存在しないッ!
 今、死者スレに送ってやるぞ――美形元帥ッ!」

再び突風と共にトウカリョウの姿が消え――次に轟音。すでに美形元帥の姿も消えている。そしてその後は、
何者もの姿もなく巨大な満月が見下ろすだけの夜空に、ただ鉄と鉄を打ち合せる様な音が木霊し続けるだけだった。

 ◆ ◆ ◆


「――糞ッ、危ねぇッ!」

地球破壊爆弾を手に取ろうとそれに近づいた最速の人だったが、既の所で『ソレ』に気付き身を翻した。
『ソレ』は鎮座したままだ。地球破壊爆弾のフリをした『ソレ』は。

「……正体を現せよ、化物」
「残念♪ 実に、実に惜しかった。あともーちょいだったネ」

真っ黒な爆弾の頭頂部からピョコンと何かが伸びると、『ソレ』は見る見る間に形を変え――、

『ジャジャーン!』

――泉こなた(〓ω〓.)の姿となった。

「なんなんだよソレは――地図氏!」

期待を外され、また意味不明な展開に最速に人はあからさまな不満を目の前の少女にぶつける。
だが、少女――地球破壊爆弾No.V-7の方は飄々としたものだ。

「何って……変身。私にとって姿かたちに意味はなんとか~ってヤツだよ。
 ねぇねぇ知ってる? 神行太保のDIE/SOULさん。
 私の方の元ネタのディック牧(地球ナンバー7)ってね、7つの超能力が使えるんだよ」

「本編未登場キャラのさらに元ネタの設定まで知らねぇよ……、このオタク」

「ま。だからさ、それにあやかって――」

「――7つの姿って訳かよ」

気の抜ける会話に最速の男の口から大きな溜息が漏れる。
だが、竜殺しの切先を地球破壊爆弾に向けると最速の男は再び気合を充填する。

「御託はいい。オタクもな――手前ぇのその姿には用はねぇから、さっさとアーカードになれ」
「やだプー」

ふざけた即答に最速の男の顔が真赤に染まる。

「……お~ま~え~な~」
「かがみんの真似してツンデレ風に言ってくれたら、言うこと聞いてあげるよ」

次に最速の男の口から発されたのは言葉ではなかった。それは遥かに原始的な怒りの表現――咆哮!

「らぁぁぁぁぁぁきぃぃぃぃぃぃ――――すたぁぁ~~~~ッ!」

鉄塊としか呼びようもない重厚で長大な剣が、驚異的な膂力で以って空気を割りアホ毛の少女に激突した。
そして、ガイ~~ン☆と平らな胸がその渾身の一撃を跳ね返す。

「貧乳は(防御)ステータス(あっぷぷーい☆)DA! 希少価値(レアスキル)なんだ!」
「このインチキ野郎~~~! なんでも許されると思うなよ――ッ!」

自由気ままを始めた地球破壊爆弾に、最速の人の顔色が赤からドス黒いものへと変わってゆく。
限界突破した怒りは燃えるような殺気を身体の表面から発せさせ、ロビーの中の空気を塗り替えてゆく。

「お、最速の人の本気が見られるのかな~?」
「例え五体全てを失おうと、手前ェはここから生かして返さねぇ……!」

ヒリつくような空気の感触に、(〓ω〓.)な表情の地球破壊爆弾の顔が一瞬孤城の主のそれを見せる。

「おkおk。見た目は変わっても中身は変わんないかんねー。本気だしてきな――『人間(ヒューマン)』!!」

まだ傷一つ無い血色の舞台に火薬の様な黒い気配を充満させ、狂戦士と吸血鬼の激突が始まった。



【黎明】【F-3 ホテルのロビー】
【神行太保のDIE/SOUL@アニロワ1st】
【状態】激怒
【装備】竜殺し@ベルセルク、ガッツの装備一式@ベルセルク
【道具】支給品一式、未定支給品×1(本人確認済み)
【思考】
 基本:ガッツVSアーカードを実現させ、死闘を繰り広げる
 1:さっさとアーカードの姿になりやがれゴラァ!
 ※容姿はガッツ@ベルセルクです。
 ※神行太保・戴宗の神行法(高速移動)が使えます。


【地球破壊爆弾No.V-7@アニロワ1st】
【状態】(〓ω〓.)、ダメージ(小)
【装備】なし
【道具】支給品一式、未定支給品×1(本人確認済み)
【思考】
 基本:闘争を愉しむ
 1:あっぷぷーい♪
 2:神行太保のDIE/SOULとの闘争を楽しむ
 ※変化する姿に7つのバリエーションがあるらしいです。
 【1:地球破壊爆弾】【2:アーカード】【3:長門有希】【4:泉こなた】
 【5:?不明?】【6:?不明?】【7:?不明?】
 ※基本的に中身はアーカードで、CVは平野綾です
 ※クーガーの早口台詞が言えます!

 ◆ ◆ ◆


並みの者には目に映すことすら適わない空中の超高速戦闘。
分厚い鉄の鐘を叩き付ける様な音が、繰り返し夜空に木霊して空気を激しく振るわせる。

この闘い。始まってより一度もトウカリョウは攻撃を成功させたことはない。響く音の正体は全て彼が打たれる音だ。
だが、50を超えるグラーフアイゼンの攻撃を受けても、まだ彼の装甲には一つの傷もついていなかった。

「――――――るるるるるるる!」

空に奇妙な呟きを残し、独楽の様に回る美形元帥が亜音速でトウカリョウに突っ込んでくる。
トウカリョウは限りなく高速の世界でタイミングを見計らい迎撃しようと目論むも――、

「――――る~! る! るる! るるるるるるる……!」

――彼女の存在そのものを表しているかの様な、単純でなお奇怪な軌道により失敗してしまう。
なすすべなく更に2つの打撃を貰ったトウカリョウだが、勝利の確信はより大きなものとなっていた。

「(……打ち付ける力が弱まっているのを感じる。次か、その次には捕れるはずだ)」

そして、再び孤を描いて急接近した美形元帥に対し、トウカリョウは武器を構えるのではなくあえてその身を差し出した。
一発の一際高い音が響き、今までとは違った形で二人は離れあう。

トウカリョウの手にランスはない。落としたのではなくあえて捨てた。
その代わりに身を曝し防御に徹することで、相手が受ける反動を大幅に増すことに成功したのである。
そして、その今までにない反動を受けた美形元帥は――鎚から片手を離しばんざいをする格好で宙に放り出されていた。

お互いに体勢を大きく崩した状態。だが僅かながら、予め事態を想定していたトウカリョウの復帰の方が速かった。
それは1秒の100分の1程度の極々僅かな差だったが、それは超高速戦闘においては致命的に長い時間だ。

「ボォルテッカ――――――――――――――――ッ!!」

魂の叫びと共に、テッカマンの身体に備え付けられた反物質放射器官が輝き、
そこから通常空間へと解放された粒子が反応爆発の波となって美形元帥を――飲み込んだ。


 ◆ ◆ ◆


「なんだい、なんだい。おっかないねぇ……!」

人の注目を集めるためにホテルに火をつけ、それを離れた場所で眺めていた婆さんこと残月であったが、
直後より起きた奇妙な出来事に、その太い肝を揺さぶられていた。

「なんだよ、この音は一体。どこかででっかい花火でも上げているのかい?」

どおん、どおんと大きな音が鳴るたびに、その空気の振動が婆さんの立つ地面にまで伝わってくる。
まるで大きな打ち上げ花火を観覧している時の様だが、実際には夜空は暗いままでどこにも花火は見えない。

「わわわっ! なんだい今度は!?」

その見えない花火の音が一際高く鳴ったと思ったら、今度は今まで見えなかった光が空を埋め尽くした。
あまりにも眩いその粒子の流れは、まるで空の上から天の川がそこまで降りて来たかと思うほどのものだ。
光が流れたのは一瞬ではあったが、何かないかと目を凝らしていただけに、貫かれた際の衝撃はかなりのものだった。

「あたたた……、目が……、目が見えやしないよ。このコンチクショウめ!」

不必要なまでに肉感たっぷりの全裸の婆さんが、目だけを隠して、ぶよぶよの尻やら胸やら、ここやらあそこやらを隠さず、
夜中の駐車場をフラフラと徘徊する様は、それはもう筆舌にし尽くしがたい程の不気味さなのだが、幸いなことにその時間は短かった。

「うー……畜生め。仕方がない、こんな薄気味悪いところは取り合えずおさらばだ!」

そしてこんな事を言うと、婆さんは自分が起こした騒動の後始末を何一つすることなく夜の街へと駆け出した。
200メートルを40秒で駆け抜けるという、妙齢の女性とは思えない驚異的な速度でどんどんホテルから離れてゆく。


でっかい身体に白い手足を元気よく振り、ついでに乳と尻と余った肉をブルブルと震わせながら夜の中を全力疾走する婆さん。

――どう見ても妖怪かその類にしか見えなかった。



【黎明】【F-3 市街地・ホテル周辺】
【底上中の残月@アニロワ2nd】
【状態】全裸、ちょっと目がチカチカする
【装備】なし
【道具】支給品一式、放火セット(燃料、松明、マッチ)、未定支給品×2(本人確認済み)
【思考】
 基本:対主催を集めて主催者を打倒する
 1:人を集めるのに手段は選ばないよ
 2:でも、おっかないのは御免だねぇ……
 ※容姿はドーラ@天空の城ラピュタです。
 ※全裸主義者なので服を着ることをいやがります。

 ◆ ◆ ◆


「いかに美形元帥と言えど、この至近距離から放たれたボルテッカからは逃れられないはず……」

ボルテッカ発射の瞬間。その時はまだ半ば体勢を崩していたはず。だから避けられるはずがない……。
仮に防御できたとしても、バリアジャケットの持つ防御力などでは、対消滅反応の前には紙一枚程の抵抗にもならないだろう。
そうトウカリョウは考え、自分に言い聞かせる。得も知れぬ不安を押し込めるため。

「…………終わったか」

反応爆発によって照らされた空が再び元の暗さを取り戻した時、そこに彼女の姿は確認できなかった。
美形元帥は木っ端微塵になって死んだ――そう彼が確信しようとした時、それは木っ端微塵に打ち砕かれた。

「………………………………………………………………るるる」

彼の真上。天蓋の頂上より、彼女の生存を証明するあの声が降りてきた。
彼女の速さは音速に達するゆえに、声が届くということはもうそれはすでに終わっていることを意味している。
次の瞬間の衝撃の前にトウカリョウができたのは後悔の―― 一念のみ。

「(……十分な距離はなかったはずなのに!)」

その思考が終わると同時に脳天に衝撃が走った――が、それは想像していたよりも遥かに弱いものだった。
何故? そう思い瞑っていた眼を開くと、そこにはパラパラと散り落ちる何かがある。

「(美形元帥?)」

彼の目の前からその直下へ、
耐久力を超えて四散したグラーフアイゼンと、魔力を失い重力に行き先を委ねるだけの美形元帥の姿があった。

高速戦闘をしていた時より遥かにゆっくりで、そしてまた印象としてもゆるやかに、なのに人を殺すには十分な落下速度で――


――美形元帥はホテルの屋上の上へと叩きつけられた。


果汁のたっぷりつまった果物を固い床に落とした様な音が、トウカリョウの耳に届き。
皮の破れたところから果汁が漏れるように、赤い何かが彼女から漏れるのを、トウカリョウはその目に映した。


 ◆ ◆ ◆


「(――こんな終わり方になってしまうとは)」

美形元帥が叩きつけられた屋上へと戻り、変身を解いたトウカリョウは釈然としない気持ちを胸に抱えていた。

確かに激動のトウカリョウは美形元帥に勝利した。
これがバトルロワイアルである以上、途中経過はどうにせよ生きていた者が勝者である。
運不運や、能力、支給品の性能差を議論することがどれだけ意味のないものなのかも知っている。
それは全て承知している。だが、理屈では解っていてもやはり釈然としない気持ちは心から払うことはできなかった。



「――……ガッ! ゥエ”ハッ! …………ハッ!」

不意に届いた異音に、トウカリョウは背を向けていた美形元帥の方へと振り向いた。

「……ど、……コ。…………ドこ? …………どコ?」

もう動くのはそこだけなのであろう。ふるふると弱々しく首を振り、血塗れの右腕で何かを探す様に床を叩いている。

「何コ? ……ド処? ……どコ、ド……こど処? ……何、?」

細く真っ赤な腕が床を叩くたびに、そこに広がった血がピチャパチャと音を立て、見る者の憐憫を誘う。
何処――ピチャ? 何処――パチャ? 何処――ピチャ? 何処――パチャ? 何処――ピチャ? 何処――パチャ?
……彼女が何を探しているのかは解らない。だがそれがもう得ることのできないものだろうという事は想像できる。

「(こんな事となってしまうとは……)」

――親鳥を失った生まれ立ての小鳥。
そういうものを見た時に感じるのに近い居た堪れなさを持ったトウカリョウは、その最期を看取るためにそこへと近づく。


一歩踏みしめる度に何かが浮かんできては消えていった。そして、不思議とバトルロワイアルを理解してゆく自分がいる。
そして、8歩目にして彼は彼女の元へと辿り着いき……そっと、その掌を取った。

「(――これがバトルロワイアルというものなのか)」

掌を取られたことが解ったのだろう。彼女が繰り返す今わの際の言葉がその意味を変化させる。

「……あっタ。……アっ、た。……あッ、……タ。……あった。……あ。……あ。……あ」

砕けてくしゃくしゃになった身体を抱き上げると、彼女は口に笑みを浮かべ白濁した眼からとめどない涙を流していた。
今までどんな夢つらいを見てきたのだろうか。そして、今はどんな幸せな夢を見ているのだろうか?
それは解らない。誰にも解らないだろう。多分、狂ってしまった彼女自身にも解らないはずだ。それは――、


――ガブリ。


「…………ェ? ………………? ………………………………」

激動のトウカリョウの意識は不意に暗転した。

 ◆ ◆ ◆


――――――――――――――――――――るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる。


やりました。わたしやりました。わたしついにやりました。みてくださいわたしついにやったんです。
みてください。みにきてください。どうかここまでみにきてください。 ほうらね、ここにあるでしょう?
すごいでしょう? がんばったんですよ? なかなかなかできなくて。ぜんぜんぜんぜんできなくて。
でも、とうとうとうとうできました。ほうら、ちゃんともってきたでしょう? わたしちゃんとできました。
いっしょうけんめいがんばりました。 いやなことやつらいこともあったけど、いっしょうけんめいに。
だれもみてないところでひっそりないたり。わんわんないたり。しくしくないたり。しましたけれどね。
できたんです。できたんです。わたしついにできたんです。さぁみてください。とうとうできたんです。
これでみんながほめてくれる。みんながわたしをよいことほめてくれる。 わあとてもたのしみです。


――――――――――――――――――――るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる。


さあささげましょう。さあどうぞうけとってください。これがわたしからのせいいっぱいのたからもの。
わたしはこれをかかげます。おそらにむけてかかげます。 そうすればきっとねがいはかなうもの。
だいすきなたからもの。 おひさまのひかりうけたらきらきらきらきらかがやいて わたしをみちびく。
あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ ――――。
あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ ――――。
あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ ――――。
あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ。あたらしいせかいへ ――――。
あたらしいせ ――――――――――――――――――――――――――――――――――。


――――――――――――――――――――るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる。


 ◆ ◆ ◆


その頂を包む黒の緞帳が開けてそこから何かが飛び出し、誰も気付いてないのにそのまま落ちた。
誰も聞いてないのにそれは大きな音を立てて、誰も見ていないのにそれはそこでバラバラになった。
誰も片付けないのに散り散りになったそれは、 不思議な事に頭だけが一つ多く 余っているらしくて。
誰もいなくて寂しい筈なのに、 おかしなことにその一つはとても可愛い笑顔を 浮かべていたんです。

【激動のトウカリョウ@アニロワ2nd】死亡
【美形元帥@アニロワ1st】死亡

 ※激動のトウカリョウの容姿はモロトフ@テッカマンブレードです。

 ◆ ◆ ◆


「仕方あらへんな……。幻夜さん、コレ持って行き」

通路の中は先程よりも遥かに火勢を増し、熱風が取り残された二人を舐りその頭上を黒煙が覆っている。
遠からずの内に二人が一酸化炭素中毒で死ぬか、焼死するのかは明白でだった。
そんな身体極まった中。二人の内の一人であるゲドーは自分の首輪を指し、それを持って行けと言う。

「オレにつきあって一緒に死ぬ必要はあらへんやろ? コレ持って自分だけで行きぃや」

滝のように流れる汗に顔は覆われている。だが、それでもその表情はあの飄々とした薄ら笑いのままだ。

「名前の通り魔法でも使うてこの状況を打破したいとこなんやけど、種も仕掛けも用意しとらんから」
「……貴様」
「ハハ。さすがにあの泣き虫みたいに自分で首を斬るんは無理やで。それもついでにお願いするわ。
 正直な話。この死に方が一番楽っぽいしなぁ……」

赤く揺らめく炎の色を跳ね返す黄金色の男――幻夜・フォン・ボーツスレーは押し黙っている。
確かに黄金の鎧に身を守られている自分一人ならば、この炎の中でも脱出は容易だった。
しかし、それでも此処に止まっていたのは、目の前の男が言うとおりに彼を救う策を考えるためだ。

「代わりにお願いを一個するで。
 首輪を取ったらな、状態表にはちゃんと『ゲドー・ザ・マジシャンの首輪』って書いとくんや。
 でもって、それ使って金色さんは脱出してくれ」

目の前の男はプロットを公開するように喋る。だが、それは…………。

「あんたやったらできる思うて言ってるんやけどなぁ。あかんか?」

黄金色の男が虚飾の魔術師を見る瞳に燃え上がらせるのは底知れない怒りだ。

「……『書き手』という者は、本当に救いがたい業の持ち主ぞ。アイツも貴様も……そして我も」

そんな怒りさえも彼は仮面の様な表情で受け流す。

「ハハ。言うなやそんなこと。どこまで行ってもどーしようもないことや。
 あ、も一つ願い事を思いついたわ。この火、点けた奴。そいつを見つけたら殺しといてくれ。
 これも、フラグ……の一つ、やな」

轟と音を立てて一気に火勢が強まる。最早建物自体がいつ崩れてもおかしくない。

「……ハァ。……あかんわ。もう、息も……あんまりでき、へん。
 ボーっとしとらんと、はよ……せぇや。男同士で心中とか、気持ち悪い……で?」

黄金色の男は、無言でデイバッグから漆黒の長剣を取り出し――仲間の命を絶つために構える。

「……おおきに。」
「礼には及ばん……これは我の義務だ」

「最後に、言うとくわ。……恨むなよ。読み手を、な。
 酷いこと言う時もあるかもしれん……し、こないな、けったいなことやらかすこともある……けど。
 どんな時でも、……恨むな。あれは、あかん。……辛いのは、自分だけやで。いーこと無しの損しっぱなし、や。
 それにな――

 ――大事なもんも、いっぱいもらったやろ?」

笑っている。自身の死の間際にして、それまで酷薄な笑みしか浮かべなかった男が笑っている。

「……貴様は、……貴様とい奴は!」
「なんや? ……めっちゃ、いい……書き手……か?」

黒い刃が赤い海を掻き一人の書き手の命を持っていった。

「――どうしようもなく、どこまでも『書き手』だったよ」


赤い世界を黄金色の男が駆ける。灼熱の地獄を抜け出し、より辛い業を背負う者が生きる煉獄へと。

その男もやはり――『書き手』だった。



【ゲドー・ザ・マジシャン@アニロワ2nd 死亡】死亡
 ※ゲドー・ザ・マジシャンの容姿はニコラス・D・ウルフウッド@トライガンです。



【黎明】【F-3 ホテルの非常出口付近】
【幻夜・フォン・ボーツスレー@アニロワ2nd】
【状態】健康
【装備】巳六@舞-HiME、黄金の鎧@Fate
【道具】支給品一式×2、未定支給品×1(本人確認済み)、未定支給品×3(未確認)
     ゲドー・ザ・マジシャンの首輪
【思考】
 基本:このバトロワの破壊。または脱出。
 1:協力者を探す
 2:首輪の解析
 3:放火魔を見つけたら殺す
 ※容姿はギルガメッシュ@Fateです。

 ◆ ◆ ◆


「んんん~~~~~ッ! いける! いけるぞぉぉぉぉッ! 茹でたメロンもぉ、また、格・別!
 熱されたことによーりぃぃ! 増した甘みは、ま・さ・に! な~ん~ご~く~パラダイスゥゥ~!
 おぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉ~~ッ! 感じるゾ! 南国の日差し! 真っ赤な太陽ぅをおお!
 暑い! 暑いぃ! 熱いぃぃぃぃぃ! トロピカルメロンが生み出す夏の固有空間はあああああッ!
 まるでイメージが具現化してぇ! 実際に肌に焼け付くようなヒリヒリ感がぁああぁぁぁぁぁああぁぁあ!
 ってええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――、


 ――なんで、燃えてんだよおぉぉ――――っ!」  



【黎明】【F-3 ホテル・炎上している大広間】
【ビクトリーム博士@アニロワ2nd】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ベリーメロン×27個(※いくらか火に当てられている)、未定支給品×1
【思考】
 基本:ビクトリーム
 1:ちくしょぉぉぉぉぉ――っ!
 2:広げたメロンを集めて逃げなくては!
 3:というかあいつらはどこにいったんだ?
 ※容姿はビクトリーム@金色のガッシュベル!!です。


077:Zero noise (+1)(前編) 投下順に読む 078:嵐を呼ぶカオス・リターンズ
077:Zero noise (+1)(前編) 時系列順に読む 078:嵐を呼ぶカオス・リターンズ
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