タチムカウ

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 フリクリ署長の胸で泣いていた地味子の耳に、その女の声は突然届いた。 「いやはや、これは予想外。私の同類でありながら恋愛フラグ持ちとは」  高くも低くも美しくも醜くもない、個性が無いことのみを特徴とする声だ。  ビクリと硬直して服にしがみついた地味子へ、フリクリ署長が言う。 「おや? どうかしましたか?」  不思議そうに首をかしげる彼を見上げ、地味子はますます混乱する。  いきなり第三者が現れたのだから、本来なら焦って当然の状況であるはず。 「ああ、そこの人は私を知覚できない。そういうことになっている」  さらに聞こえた女の声に、地味子は急いで振り向く。  金髪のツインテールが見えた。 「過疎ロワ書き手な上に空気の人である私は、大概の人にとって不可知の存在。  認識できるのは同郷の連中か、私の同類――活躍する可能性が低い者だけ」  透き通るように淡い笑みを浮かべて、異様に存在感の薄い何かがいた。 「そう、こんなことだってできる。空気さえあれば、私はそこに出現できる」  女の声は、フリクリ署長の背後から聞こえた。 「!?」  地味子が慌てて視線を向けた先には、奇怪な光景が待っていた。 「ん? がっ! ぐっ、ぐ!?」  色素の薄い細腕が、フリクリ署長の首を絞めている。  だが、どうして息ができないのか彼には理解できない。喉にかかった細腕を 掴むことすらせず、すぐ後ろにいる敵の姿を懸命に探している。 「や、やめ――!」  地味子が言い終える前に、フリクリ署長は白目を剥いて意識を失った。  彼の体に押し潰される地味子を金髪ツインテールが見下ろし、言う。 「『ただ死んではいないだけ』の生など、単なる生き地獄にすぎない。死んで  フラグを撒きなさい。放送で名を呼ばれれば、多くの人があなたを想う。  それこそがロワにおける『大活躍』。恋愛フラグという名の死亡フラグを、  今こそ完遂してみせて。大丈夫、シナリオは私が『書く』から」  空気の人がナイフを投げる。凶器は地面に突き立った。 「自殺して。そうすれば、そこの人は殺さない」  地味子はガタガタ震えながら立ち上がり、ビクビク怯えながらナイフを拾った。  涙で歪んだ地味子の視界が、フリクリ署長の姿を捉える。  遺言を告げるように、地味子は彼に語りかけた。 「ごめんね、せっかく助けてくれたのに……」  泣き笑いの表情は、決して綺麗ではない。鼻水だって垂れている。 「ボクは、また、生きることを諦めちゃったよ……」  しかし、その瞳には力強い光が宿っている。 「だって――」  ナイフを構えて、地味子は走り出した。  弱く遅く小さな刃の切っ先が、空気の人を狙っている。 「何もできないまま死ぬなんて、絶対にイヤなんだもん!」  戦力差は絶大だ。勝負にならない。犬死にして終わりだと地味子は思う。  狂い咲くように地味子は笑う。泣きながら、それでも笑うのをやめない。  そして―― 「これでいい」  空気の人は、ナイフを避けなかった。己を突き刺す地味子を抱きしめ、囁く。 「これであなたは、殺人者。存在感が、一気に増した。もう、私の同類じゃない。  己の存在意義を、証明しなさい。あなたがここにいることを、教えてやりなさい。  ……そう、これで、いいの」  愕然とする地味子に、空気の人は悪戯っぽく告げる。 「空気人間(エアーマン)を倒せるのは、葉鍵の迎撃(リーフシールド)だけなんだから」  空気の人は、空気の人であるがゆえに、空気を読む能力に長けている。  退場するべき時期も、果たすべき役目も、悲しいほどに読めてしまう。  森の中に、手を血で染めた地味子の慟哭が響き始めた。 &color(red){【◆Zp1p5F0JNw(空気の人)@AAAロワ】死亡} 【深夜】【C-9 森】 【地味子@葉鍵3】  【装備:なし】  【所持品:なし】  【状態:健康】  【思考・行動】  1:??? ※CLANNADの制服を着用 ※その他の設定は後続に任せます 【フリクリ署長@アニロワ1st】  【装備:不明】  【所持品:支給品一式、サングラス(クーガー仕様)】  【状態:健康】  【思考・行動】  0:気絶中 1:騎士道精神に準じて行動(要するにか弱い女性を助ける) ※容姿はサングラスをかけていること以外お任せ ※声もお任せ |050:[[書き手じゃないからといって安心できるほどバトロワは甘くないのだよ]]|投下順に読む|052:[[人は勝ち誇った時、すでにその戦いに負けている]]| |048:[[岸田バスターズ!Ex~エクスタシー~]]|時系列順に読む|053:[[名前で判断するのはお約束]]| |005:[[雫]]|地味子|095:[[前門の虎。後門の狼。そして……]]| |005:[[雫]]|フリクリ署長|095:[[前門の虎。後門の狼。そして……]]| |018:[[無題>無題(886)]]|&color(red){◆Zp1p5F0JNw}||
 フリクリ署長の胸で泣いていた地味子の耳に、その女の声は突然届いた。 「いやはや、これは予想外。私の同類でありながら恋愛フラグ持ちとは」  高くも低くも美しくも醜くもない、個性が無いことのみを特徴とする声だ。  ビクリと硬直して服にしがみついた地味子へ、フリクリ署長が言う。 「おや? どうかしましたか?」  不思議そうに首をかしげる彼を見上げ、地味子はますます混乱する。  いきなり第三者が現れたのだから、本来なら焦って当然の状況であるはず。 「ああ、そこの人は私を知覚できない。そういうことになっている」  さらに聞こえた女の声に、地味子は急いで振り向く。  金髪のツインテールが見えた。 「過疎ロワ書き手な上に空気の人である私は、大概の人にとって不可知の存在。  認識できるのは同郷の連中か、私の同類――活躍する可能性が低い者だけ」  透き通るように淡い笑みを浮かべて、異様に存在感の薄い何かがいた。 「そう、こんなことだってできる。空気さえあれば、私はそこに出現できる」  女の声は、フリクリ署長の背後から聞こえた。 「!?」  地味子が慌てて視線を向けた先には、奇怪な光景が待っていた。 「ん? がっ! ぐっ、ぐ!?」  色素の薄い細腕が、フリクリ署長の首を絞めている。  だが、どうして息ができないのか彼には理解できない。喉にかかった細腕を 掴むことすらせず、すぐ後ろにいる敵の姿を懸命に探している。 「や、やめ――!」  地味子が言い終える前に、フリクリ署長は白目を剥いて意識を失った。  彼の体に押し潰される地味子を金髪ツインテールが見下ろし、言う。 「『ただ死んではいないだけ』の生など、単なる生き地獄にすぎない。死んで  フラグを撒きなさい。放送で名を呼ばれれば、多くの人があなたを想う。  それこそがロワにおける『大活躍』。恋愛フラグという名の死亡フラグを、  今こそ完遂してみせて。大丈夫、シナリオは私が『書く』から」  空気の人がナイフを投げる。凶器は地面に突き立った。 「自殺して。そうすれば、そこの人は殺さない」  地味子はガタガタ震えながら立ち上がり、ビクビク怯えながらナイフを拾った。  涙で歪んだ地味子の視界が、フリクリ署長の姿を捉える。  遺言を告げるように、地味子は彼に語りかけた。 「ごめんね、せっかく助けてくれたのに……」  泣き笑いの表情は、決して綺麗ではない。鼻水だって垂れている。 「ボクは、また、生きることを諦めちゃったよ……」  しかし、その瞳には力強い光が宿っている。 「だって――」  ナイフを構えて、地味子は走り出した。  弱く遅く小さな刃の切っ先が、空気の人を狙っている。 「何もできないまま死ぬなんて、絶対にイヤなんだもん!」  戦力差は絶大だ。勝負にならない。犬死にして終わりだと地味子は思う。  狂い咲くように地味子は笑う。泣きながら、それでも笑うのをやめない。  そして―― 「これでいい」  空気の人は、ナイフを避けなかった。己を突き刺す地味子を抱きしめ、囁く。 「これであなたは、殺人者。存在感が、一気に増した。もう、私の同類じゃない。  己の存在意義を、証明しなさい。あなたがここにいることを、教えてやりなさい。  ……そう、これで、いいの」  愕然とする地味子に、空気の人は悪戯っぽく告げる。 「空気人間(エアーマン)を倒せるのは、葉鍵の迎撃(リーフシールド)だけなんだから」  空気の人は、空気の人であるがゆえに、空気を読む能力に長けている。  退場するべき時期も、果たすべき役目も、悲しいほどに読めてしまう。  森の中に、手を血で染めた地味子の慟哭が響き始めた。 &color(red){【◆Zp1p5F0JNw(空気の人)@AAAロワ】死亡} 【深夜】【C-9 森】 【地味子@葉鍵3】  【装備:なし】  【所持品:なし】  【状態:健康】  【思考・行動】  1:??? ※CLANNADの制服を着用 ※その他の設定は後続に任せます 【フリクリ署長@アニロワ1st】  【装備:不明】  【所持品:支給品一式、サングラス(クーガー仕様)】  【状態:健康】  【思考・行動】  0:気絶中 1:騎士道精神に準じて行動(要するにか弱い女性を助ける) ※容姿はサングラスをかけていること以外お任せ ※声もお任せ |050:[[書き手じゃないからといって安心できるほどバトロワは甘くないのだよ]]|投下順に読む|052:[[人は勝ち誇った時、すでにその戦いに負けている]]| |048:[[岸田バスターズ!Ex~エクスタシー~]]|時系列順に読む|053:[[名前で判断するのはお約束]]| |005:[[雫]]|地味子|095:[[前門の虎。後門の狼。そして……]]| |005:[[雫]]|フリクリ署長|095:[[前門の虎。後門の狼。そして……]]| |018:[[無題>無題(886)]]|&color(red){◆Zp1p5F0JNw}|| ----

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