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「そんな………馬鹿な」
wiki管理人は呆然と立ち尽くすしかできなかった。
何が起きたのか、分らなかった。
彼女の目の前には同じように地に立つ影の繋ぎ師の姿。
胴に大穴を開けた、死に損ないのヒーローの姿。
「……何故。何故、何故っ!!」
壊されることの無かったコントロールメタルが起動し、雀の涙程にだが、身体を回復しだす。
wiki管理人は勝った。
ラスボスとなり、最強の対主催を打ち破った。
だというのに心はちっとも喜んではくれなかった。
「何の……つもりですかっ!!」
納得がいかなかった。
彼女は全てを出し切って、その上で敗れた筈だった。
負けるのは悔しくないわけでは無かったが、それ以上に、長くくすぶっていた書き手魂を燃やしつくせて幸せだった。
「答えろ、答えなさい、影の繋ぎ師いっ!!」
繋ぎ師が、宙で身をよじり、あらぬ方向に右拳を打ち込んだのだ。
速度が全てを決めたあの局面でのタイムロスは、スペシウム光線を先に発射してしまうのに、十分すぎるものだった。
答えろといいつつも、wiki管理人にはわかっていた。
彼が、何故そのような行為に打って出たのかを。
繋ぎ師の傍らに腰を抜かし、恐怖に震える見覚えのある少女がいた。
K.K.
読み手の頭目であり、wiki管理人と共犯者でもある少女。
シークレットトレイルで亜空間に身を隠し、安全な所から高みの見物を洒落込んでいた少女は、今や無様に泣き腫らしつつ、砕けた何かの破片を集めていた。
フィードバックの実行ボタンだ。
感電により自身の存在意義を揺さぶられたK.K.は、wiki管理人が敗北する未来を読むと、
管理人の死によるオートフィードバックの開始を待たずして、ボタンを押そうとしてしまったのだ。
自分の存在には意味があると納得する為に。
傍観者であったことを躊躇することなくやめ、読み手としての誇りもかなぐり捨て、K.K.が持つ唯一物語に干渉できるそのボタンを。
結果、K.K.はその唯一すらも失った。
キングストーンの導きにより、寸前で気づいた影の繋ぎ師のアルレッキーノスとして放たれた次元を超えたライダーパンチによって。
数秒後にダイダルゲートの反応が途絶えたことも省みれば、K.K.の行動はあながち間違ったものでは無かった。
それでも、wiki管理人は許せなかった。
自身の最初で最後かも知れないと覚悟して挑んだ晴れ舞台の、結末がこのような形になってしまったことが。
繋ぎ師が自分との勝負を捨てたことが。
「ゲートを破壊したところで、成功率も、質も下がりますが、このゼストで直接経験をフィードバックさせることも不可能では無いのですよ!?
影の繋ぎ師、あなたはあそこで、殺しておくべきだった!! あなた以外の誰が、このロワを、私を、終わらせられるというのですか!!」
口に出して、wiki管理人は気づいた。
どうしてこんなにも母に置いて行かれた子どものように泣き叫んでいるのかを。
彼女は、欲しかったのだ。自分が満足できる、自分の最終回が。
書き手ロワ2nd。
企画しておきながらも、wiki管理人はこうもとんとん拍子で話が進むとは思っていなかった。
その思いがけぬハイペースさに、wiki管理人はふと思ってしまった。
書き手ロワ2ndはきちんと完結できるのではと。
書き手にとって完結は一つの大きな目標で、一度意識してしまえば、忘れることなどできなかった。
そして、その書き手ロワ完結への思いは、自身の物語の終わりにまで、wiki管理人の眼を向けてしまったのだ。
自分は、どこまで行っても書き手ロワ2ndwiki管理人だ。
ネコミミストや地球破壊爆弾といった、有から生み出された存在ではなく、このロワを推し進める為だけに、無から生み出された存在。
対主催を倒すなり、逃げるなりして、生き残っても、ロワが終われば、誰かに求められることは、もう、ない。
3rdがあっても、新たに書き手ロワ3rdwiki管理人が生み出されるだけだ。
それは、自らの物語を永久に終わらせられないことを、意味していた。
「これでは……道化です……滑稽なだけの……!」
読み手にボタンを渡したのも、この願望の現れだったのだ。
ロワ開催当時のwiki管理人としての目的を果たし、かつ、ロワを通して培われた自分自身の目的も達成しようと、
無意識のうちに両立できる道を選んだのだ。
そのせいで、どちらの機会も失いかけるとは、なんて、無様。
「貴女は、一つ、忘れている、wiki管理人」
かけられた言葉ににハッとなる。
声は、確かに死にかけの影の繋ぎ師の口から聞こえていた。
「忘れているから、こんなロワを、開催して、しまった」
「私が、私が何を忘れているというんです!」
ぽつぽつと語るスピードこそ遅いものの、死の淵に居る人間のものとは思えない力強い声に、不吉なモノを感じてしまう。
駄目だ、聞いたら戻れないと脳が叫ぶ。
これ以上、何に気付けというのだろうか?
全てはもう、遅いというのに。
「終わらせるよりも、俺達書き手にとって、いや、ロワ内のキャラにとっても、大切な、ことを」
「ありえません。パロロワ界で、ロワを完結させるよりも大切なことなんて!!」
動け、と。
脳が命じる。
再生も間に合っていない身とはいえ、死に損ないの一人や二人、トドメを指すくらいは造作もない。
造作も、ないのに。
腕も、足も、指一本さえ、1ミリも動いてはくれず、喚くことしかできなかった。
「あります、よ。終わらせるよりも、大切な、ことが。それは――」
「繋げる、こと、です」
「つな……げる……こと?」
「はい。完結は、その最果ての、一つの形に、過ぎません。大事なのは、繋げること。後と、先に、続くものが、あるということを、忘れないこと」
繋いでいけば、いつかは終わりは訪れる。
でも、それは、決して寂しいだけのものじゃなくて、心に何かを残してくれる。
ずっと、ずっと、ずっと。
書き手としての記憶を持つwiki管理人は知らないはずが無かった。
初めて投下した時。
ついた感想の一つ一つが嬉しくて。
もっと、もっと、書きたいと思った。
――書き手と読み手との繋がり
自分の作品の続きに予約が入った時、どきどきしながら布団に潜った。
――書き手と書き手の繋がり
好きなキャラクターが死んでしまって、けれども、その死に影響を受けたキャラが居て、彼や彼女が居なくなってしまったわけじゃないって感じられた。
――キャラと、キャラの繋がり
全部、全部、知っていたはずのことだった。
「あ……う……あ……」
「もう一度、言います。やめて下さい、wiki管理人。貴女のやり方では、繋がらない。貴女がやろうとしていることは、只の押し付け、丸投げ、です」
頼まれたわけでもなく、願われたわけでもなく。
説明すらせず収集した経験を送信するだけで、クレームは一切受け付けない。
それは、間違いなく一つの『完結』した行為ではあるけれど。
何の輝きもない、只の、ウイルスまみれの迷惑メール。
温かい交流も発生しなければ、進化を促すなんて論外だ。
「これだけの、力があるなら……。貴女は、集めた、みんなを、殺し合いじゃなく、交流させる、べき、だった」
難しく考える必要など無かったのだ。
書き手同士が集まって雑談するだけで、彼らは自身の腕に磨きをかけられた。
ある時はそれぞれの得意分野を話し合い、ある時は行き詰まりの打開の為に相談し、またある時は未把握のキャラについて詳しい人に聞く。
そんな、簡単な手段で、確実に書き手は更なる高みへと昇る力を得られる。
簡単な手段だからこそ、フィードバックを実行しても、現実の書き手達は命の危機に晒されはしない。
いっそロワとは全く関係ない只の雑談でさえ、心を豊かにし、ふとした閃きや、日常会話のネタを産むこともある。
wiki管理人は、致命的までに、その方法を、第一手を、間違えてしまった。
「wiki管理人という、役目に、縛られないで、下さい。それじゃあ、貴女は、幸せになれない」
自らを終わらせる必要は無いのだと、繋ぎ師から伸ばされた腕を、振り払う気力もなかった。
抱きしめてくる腕は暖かくて、腹の穴を通り吹きつける風の冷たさが悲しかった。
「どうか、お願い、します。人を、殺すのは、これで、最後に……して、くださ、い」
繋ぎ師の身体から力が抜け、崩れ落ちる。
思わず抱きかかえてしまった男の顔は、安らかなものだった。
繋ぎ師にはいるから。
後を継いでくれる頼もしい後輩達が。
死を超えて繋がっている、多くの仲間達が。
「誰でもない、自分だけの物語を、繋げて行って、くだ……さ……い」
青白い炎に包まれ、影の繋ぎ師の身体は灰となって腕の中を抜け落ちる。
「ねえ、読み手さん。私は、私達は、どうすればいいのでしょうね」
散々人の心を掻き乱しておいてあっけなく死んだ男の代わりに、ぶつぶつと遠くを見つめ何かを呟いている少女に問う。
新生から大分時間は経ってはいるものの、一向に現実世界と繋がる気配も無い。
現実世界との隔離用に温存していたエネルギーを、予定を繰り上げ使用した一撃は、不完全ながらも本来の目的をも達成したのかもしれない。
ゼストたる我が身が残っているのだから、直接現実世界の書き手と読み手達に念波を以てフィードバックすることは可能だ。
書き手達の経験は666の死と共にディスレブから解放された魂を取り込めば何とかなる。
けれども、それが正しいのか、本当にしたいことなのかが分らなくなってしまった。
分らない、分らない、分らない。
今のwiki管理人には分らないことばっかりで。
風に飛ばされ舞い上がっていく灰へと伸ばした手の意味もまたわからなかった。
&color(red){【影の繋ぎ師@ライダーロワ 死亡】}
【2日目 黎明】【新世界】
【書き手ロワ2ndwiki管理人@書き手ロワ2nd】
【状態】:HP1%、エネルギーすっからかん、再生中、エクシードゼスト(等身大)
【装備】:0号ガイバーユニット
【道具】:なし
【思考】
基本:現実世界へのフィードバックを実行する?
1:分らない、分らない、分らない
2:???
※エクシードゼスト化しました。
古今東西あらゆるロワに縁がある武器・技・能力が使えます。
が、書き手として参加したロワ(アニ2、GR2、GR1、ロボ、ksk、ラノオルタ、SRPG、書き手2nd)
以外の力は、完璧には使いこなせません。
※容姿はウルトラマンっぽく全身に黒いラインの入った稲田瑞穂顔の真聖久遠です
※エクシードゼスト化により、デビルラピュタガンダムはただのラピュタに戻りました。
※カラータイマーがガイバーのコントロール・メタルを兼ねています。
※このまま放っておくと、エネルギーは順調に回復し、再生速度も増加していきます。
【読み手(K.K.)@書き手ロワ2nd】
【状態】:健康、錯乱、動揺、恐怖
【装備】:核鉄『シークレットトレイル』@武装錬金、IMIデザートイーグル(8/10+1)@ギャルゲロワ1st
【道具】:IMIデザートイーグルの予備マガジン×5、???
【思考】:
基本:???
1:最後までロワの表の主催者としてロワの結末を見届ける?
2:自分の考察を信じて、wiki管理人との取引を履行する?
※あらゆる事象を読む事ができます(でも空気を読んでその時に応じて読んだり読まなかったりします)
事象外である思考・想いといった心に関することは読めません。
※自分の存在意義を揺さぶられる事態に連続で直面したため、精神に異常をきしたかもしれません。
能力の使用頻度への影響共に不明。お任せ。
【備考】
※ダイダルゲートが破壊されました。修復したとしても、集めていた経験は戻ってきません。
※ゲートに埋まっていたバルディッシュはチートイエローに撃ち抜かれ、消滅しました。
※ダイダルゲート守備軍は、ゲート破壊と共に沈黙しました。
※世界がまっさらな世界に新生されました。
今のところ宇宙すらないようで、ただ、黒い空と白い大地が広がっているだけです。
フォーグラーはこれといって目立った一切の影響を受けないまま、新世界へと転移したので、
内部の参加者達は、外の世界のごたごたに気づいていないかもしれません。お任せ。
※影の繋ぎ師の所持品は全て消滅しました。
※不完全ながら現実世界との隔離が行われました。
強引に解除することも、強化して完全なものにすることも、可能かもしれません。
|301:[[THE GREATEST BATTLE]]|投下順に読む|:[[]]|
|301:[[THE GREATEST BATTLE]]|時系列順に読む|:[[]]|
|301:[[THE GREATEST BATTLE]]|&color(red){影の繋ぎ師}|:[[]]|
|301:[[THE GREATEST BATTLE]]|wiki管理人|:[[]]|
|301:[[THE GREATEST BATTLE]]|読み手(K.K.)|:[[]]|
「そんな………馬鹿な」
wiki管理人は呆然と立ち尽くすしかできなかった。
何が起きたのか、分らなかった。
彼女の目の前には同じように地に立つ影の繋ぎ師の姿。
胴に大穴を開けた、死に損ないのヒーローの姿。
「……何故。何故、何故っ!!」
壊されることの無かったコントロールメタルが起動し、雀の涙程にだが、身体を回復しだす。
wiki管理人は勝った。
ラスボスとなり、最強の対主催を打ち破った。
だというのに心はちっとも喜んではくれなかった。
「何の……つもりですかっ!!」
納得がいかなかった。
彼女は全てを出し切って、その上で敗れた筈だった。
負けるのは悔しくないわけでは無かったが、それ以上に、長くくすぶっていた書き手魂を燃やしつくせて幸せだった。
「答えろ、答えなさい、影の繋ぎ師いっ!!」
繋ぎ師が、宙で身をよじり、あらぬ方向に右拳を打ち込んだのだ。
速度が全てを決めたあの局面でのタイムロスは、スペシウム光線を先に発射してしまうのに、十分すぎるものだった。
答えろといいつつも、wiki管理人にはわかっていた。
彼が、何故そのような行為に打って出たのかを。
繋ぎ師の傍らに腰を抜かし、恐怖に震える見覚えのある少女がいた。
K.K.
読み手の頭目であり、wiki管理人と共犯者でもある少女。
シークレットトレイルで亜空間に身を隠し、安全な所から高みの見物を洒落込んでいた少女は、今や無様に泣き腫らしつつ、砕けた何かの破片を集めていた。
フィードバックの実行ボタンだ。
感電により自身の存在意義を揺さぶられたK.K.は、wiki管理人が敗北する未来を読むと、
管理人の死によるオートフィードバックの開始を待たずして、ボタンを押そうとしてしまったのだ。
自分の存在には意味があると納得する為に。
傍観者であったことを躊躇することなくやめ、読み手としての誇りもかなぐり捨て、K.K.が持つ唯一物語に干渉できるそのボタンを。
結果、K.K.はその唯一すらも失った。
キングストーンの導きにより、寸前で気づいた影の繋ぎ師のアルレッキーノスとして放たれた次元を超えたライダーパンチによって。
数秒後にダイダルゲートの反応が途絶えたことも省みれば、K.K.の行動はあながち間違ったものでは無かった。
それでも、wiki管理人は許せなかった。
自身の最初で最後かも知れないと覚悟して挑んだ晴れ舞台の、結末がこのような形になってしまったことが。
繋ぎ師が自分との勝負を捨てたことが。
「ゲートを破壊したところで、成功率も、質も下がりますが、このゼストで直接経験をフィードバックさせることも不可能では無いのですよ!?
影の繋ぎ師、あなたはあそこで、殺しておくべきだった!! あなた以外の誰が、このロワを、私を、終わらせられるというのですか!!」
口に出して、wiki管理人は気づいた。
どうしてこんなにも母に置いて行かれた子どものように泣き叫んでいるのかを。
彼女は、欲しかったのだ。自分が満足できる、自分の最終回が。
書き手ロワ2nd。
企画しておきながらも、wiki管理人はこうもとんとん拍子で話が進むとは思っていなかった。
その思いがけぬハイペースさに、wiki管理人はふと思ってしまった。
書き手ロワ2ndはきちんと完結できるのではと。
書き手にとって完結は一つの大きな目標で、一度意識してしまえば、忘れることなどできなかった。
そして、その書き手ロワ完結への思いは、自身の物語の終わりにまで、wiki管理人の眼を向けてしまったのだ。
自分は、どこまで行っても書き手ロワ2ndwiki管理人だ。
ネコミミストや地球破壊爆弾といった、有から生み出された存在ではなく、このロワを推し進める為だけに、無から生み出された存在。
対主催を倒すなり、逃げるなりして、生き残っても、ロワが終われば、誰かに求められることは、もう、ない。
3rdがあっても、新たに書き手ロワ3rdwiki管理人が生み出されるだけだ。
それは、自らの物語を永久に終わらせられないことを、意味していた。
「これでは……道化です……滑稽なだけの……!」
読み手にボタンを渡したのも、この願望の現れだったのだ。
ロワ開催当時のwiki管理人としての目的を果たし、かつ、ロワを通して培われた自分自身の目的も達成しようと、
無意識のうちに両立できる道を選んだのだ。
そのせいで、どちらの機会も失いかけるとは、なんて、無様。
「貴女は、一つ、忘れている、wiki管理人」
かけられた言葉ににハッとなる。
声は、確かに死にかけの影の繋ぎ師の口から聞こえていた。
「忘れているから、こんなロワを、開催して、しまった」
「私が、私が何を忘れているというんです!」
ぽつぽつと語るスピードこそ遅いものの、死の淵に居る人間のものとは思えない力強い声に、不吉なモノを感じてしまう。
駄目だ、聞いたら戻れないと脳が叫ぶ。
これ以上、何に気付けというのだろうか?
全てはもう、遅いというのに。
「終わらせるよりも、俺達書き手にとって、いや、ロワ内のキャラにとっても、大切な、ことを」
「ありえません。パロロワ界で、ロワを完結させるよりも大切なことなんて!!」
動け、と。
脳が命じる。
再生も間に合っていない身とはいえ、死に損ないの一人や二人、トドメを指すくらいは造作もない。
造作も、ないのに。
腕も、足も、指一本さえ、1ミリも動いてはくれず、喚くことしかできなかった。
「あります、よ。終わらせるよりも、大切な、ことが。それは――」
「繋げる、こと、です」
「つな……げる……こと?」
「はい。完結は、その最果ての、一つの形に、過ぎません。大事なのは、繋げること。後と、先に、続くものが、あるということを、忘れないこと」
繋いでいけば、いつかは終わりは訪れる。
でも、それは、決して寂しいだけのものじゃなくて、心に何かを残してくれる。
ずっと、ずっと、ずっと。
書き手としての記憶を持つwiki管理人は知らないはずが無かった。
初めて投下した時。
ついた感想の一つ一つが嬉しくて。
もっと、もっと、書きたいと思った。
――書き手と読み手との繋がり
自分の作品の続きに予約が入った時、どきどきしながら布団に潜った。
――書き手と書き手の繋がり
好きなキャラクターが死んでしまって、けれども、その死に影響を受けたキャラが居て、彼や彼女が居なくなってしまったわけじゃないって感じられた。
――キャラと、キャラの繋がり
全部、全部、知っていたはずのことだった。
「あ……う……あ……」
「もう一度、言います。やめて下さい、wiki管理人。貴女のやり方では、繋がらない。貴女がやろうとしていることは、只の押し付け、丸投げ、です」
頼まれたわけでもなく、願われたわけでもなく。
説明すらせず収集した経験を送信するだけで、クレームは一切受け付けない。
それは、間違いなく一つの『完結』した行為ではあるけれど。
何の輝きもない、只の、ウイルスまみれの迷惑メール。
温かい交流も発生しなければ、進化を促すなんて論外だ。
「これだけの、力があるなら……。貴女は、集めた、みんなを、殺し合いじゃなく、交流させる、べき、だった」
難しく考える必要など無かったのだ。
書き手同士が集まって雑談するだけで、彼らは自身の腕に磨きをかけられた。
ある時はそれぞれの得意分野を話し合い、ある時は行き詰まりの打開の為に相談し、またある時は未把握のキャラについて詳しい人に聞く。
そんな、簡単な手段で、確実に書き手は更なる高みへと昇る力を得られる。
簡単な手段だからこそ、フィードバックを実行しても、現実の書き手達は命の危機に晒されはしない。
いっそロワとは全く関係ない只の雑談でさえ、心を豊かにし、ふとした閃きや、日常会話のネタを産むこともある。
wiki管理人は、致命的までに、その方法を、第一手を、間違えてしまった。
「wiki管理人という、役目に、縛られないで、下さい。それじゃあ、貴女は、幸せになれない」
自らを終わらせる必要は無いのだと、繋ぎ師から伸ばされた腕を、振り払う気力もなかった。
抱きしめてくる腕は暖かくて、腹の穴を通り吹きつける風の冷たさが悲しかった。
「どうか、お願い、します。人を、殺すのは、これで、最後に……して、くださ、い」
繋ぎ師の身体から力が抜け、崩れ落ちる。
思わず抱きかかえてしまった男の顔は、安らかなものだった。
繋ぎ師にはいるから。
後を継いでくれる頼もしい後輩達が。
死を超えて繋がっている、多くの仲間達が。
「誰でもない、自分だけの物語を、繋げて行って、くだ……さ……い」
青白い炎に包まれ、影の繋ぎ師の身体は灰となって腕の中を抜け落ちる。
「ねえ、読み手さん。私は、私達は、どうすればいいのでしょうね」
散々人の心を掻き乱しておいてあっけなく死んだ男の代わりに、ぶつぶつと遠くを見つめ何かを呟いている少女に問う。
新生から大分時間は経ってはいるものの、一向に現実世界と繋がる気配も無い。
現実世界との隔離用に温存していたエネルギーを、予定を繰り上げ使用した一撃は、不完全ながらも本来の目的をも達成したのかもしれない。
ゼストたる我が身が残っているのだから、直接現実世界の書き手と読み手達に念波を以てフィードバックすることは可能だ。
書き手達の経験は666の死と共にディスレブから解放された魂を取り込めば何とかなる。
けれども、それが正しいのか、本当にしたいことなのかが分らなくなってしまった。
分らない、分らない、分らない。
今のwiki管理人には分らないことばっかりで。
風に飛ばされ舞い上がっていく灰へと伸ばした手の意味もまたわからなかった。
&color(red){【影の繋ぎ師@ライダーロワ 死亡】}
【2日目 黎明】【新世界】
【書き手ロワ2ndwiki管理人@書き手ロワ2nd】
【状態】:HP1%、エネルギーすっからかん、再生中、エクシードゼスト(等身大)
【装備】:0号ガイバーユニット
【道具】:なし
【思考】
基本:現実世界へのフィードバックを実行する?
1:分らない、分らない、分らない
2:???
※エクシードゼスト化しました。
古今東西あらゆるロワに縁がある武器・技・能力が使えます。
が、書き手として参加したロワ(アニ2、GR2、GR1、ロボ、ksk、ラノオルタ、SRPG、書き手2nd)
以外の力は、完璧には使いこなせません。
※容姿はウルトラマンっぽく全身に黒いラインの入った稲田瑞穂顔の真聖久遠です
※エクシードゼスト化により、デビルラピュタガンダムはただのラピュタに戻りました。
※カラータイマーがガイバーのコントロール・メタルを兼ねています。
※このまま放っておくと、エネルギーは順調に回復し、再生速度も増加していきます。
【読み手(K.K.)@書き手ロワ2nd】
【状態】:健康、錯乱、動揺、恐怖
【装備】:核鉄『シークレットトレイル』@武装錬金、IMIデザートイーグル(8/10+1)@ギャルゲロワ1st
【道具】:IMIデザートイーグルの予備マガジン×5、???
【思考】:
基本:???
1:最後までロワの表の主催者としてロワの結末を見届ける?
2:自分の考察を信じて、wiki管理人との取引を履行する?
※あらゆる事象を読む事ができます(でも空気を読んでその時に応じて読んだり読まなかったりします)
事象外である思考・想いといった心に関することは読めません。
※自分の存在意義を揺さぶられる事態に連続で直面したため、精神に異常をきしたかもしれません。
能力の使用頻度への影響共に不明。お任せ。
【備考】
※ダイダルゲートが破壊されました。修復したとしても、集めていた経験は戻ってきません。
※ゲートに埋まっていたバルディッシュはチートイエローに撃ち抜かれ、消滅しました。
※ダイダルゲート守備軍は、ゲート破壊と共に沈黙しました。
※世界がまっさらな世界に新生されました。
今のところ宇宙すらないようで、ただ、黒い空と白い大地が広がっているだけです。
フォーグラーはこれといって目立った一切の影響を受けないまま、新世界へと転移したので、
内部の参加者達は、外の世界のごたごたに気づいていないかもしれません。お任せ。
※影の繋ぎ師の所持品は全て消滅しました。
※不完全ながら現実世界との隔離が行われました。
強引に解除することも、強化して完全なものにすることも、可能かもしれません。
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|301:[[THE GREATEST BATTLE]]|時系列順に読む|302:[[書き手ロワ大戦――Ragnarok]]|
|301:[[THE GREATEST BATTLE]]|&color(red){影の繋ぎ師}|:[[]]|
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