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「対面」(2008/07/03 (木) 19:54:51) の最新版変更点
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「あははは、待っていてね、ししょー♪ 今すぐ殺してあげるよ♪」
やけに明るい声を出しながら病院へ向かう人影。
まるでどこかネジが外れたかのような雰囲気を醸し出す少女だ。
狂気……いや、侠気とも取れるそれは酷く禍々しかった。
周囲の空気が凍りつきそうな、それでいて全て燃やし尽くしそうな異様な気配。
666によって堕とされた蟹座氏は唯一つの目的のために歩みを進める。
「ししょー……許さないから……あははは、あははははははは♪」
蟹座氏は向かう。
自らがししょーと慕っていたはずのバトルマスターの元へ。
彼を殺して、写真を回収するために。
それが666によって仕組まれた事とも知らずに。
「ああ、でもちょっと疲れたなあ。少し休憩しよっと」
ししょーは強い。
殺すなら万全の状態で臨まなければいけない。
その考えから蟹座氏はデイパックから食べられるものを取り出した。
基本支給品に含まれるパンやおにぎり、そしてロッテリアのハンバーガーを全て平らげる。
なぜ基本支給品の食料にロッテリアのハンバーガーがあったのかは気にしなかった。
「ふー、休憩終了。さて、ししょー今殺しに行くからねー」
最後に飴玉を口に入れ、蟹座氏はバトルマスターがいると教えられた病院方面へ向かおうとしたのだが……
「あ、あれ、なんだか眠く……うぅ……し、ししょー……すぴー」
――私にできるのは飴玉を介してのこれが限界。後は蟹座氏ちゃん自身の問題ね。
誰もいない路上に眠りに付く蟹座氏。
この時ばかりは安息に包まれていた。
◆
「え、ここは?」
蟹座氏が目覚めてまず目に入ったのは奇妙な光景。
そこは広い広い、ただ広いだけの平原だった。
景色の色は白色、いや灰色だろうか。
印象としては寂寥を感じさせる。
「――そんな事より……」
そう今はそんな事より自分を騙したししょーに裁きを下す事が先決だ。
優しい顔をしてあんな下劣な事を指示していたなど信じたくなかったのに――
「許さない、許さな『あははは、せっかちだね♪』」
突然聞こえてくる自分以外の声。
それは目の前にいる少女からだった。
今の今まで蟹座氏は目の前に少女がいる事に全く気付いていなかった。
その少女には見覚えがあった。
「……蟹沢、きぬ?」
目の前の少女は自身もよく知るつよきすの蟹沢きぬの姿をしていた。
だが「蟹沢きぬ」と呼んだが、蟹座氏には目の前の人物の正体が「蟹沢きぬ」ではない事に薄々気づいていた。
自分の姿も蟹沢きぬなので鏡を見ているような印象を受けるが、その表現は言い得て妙である。
なぜなら――目の前の少女も「蟹座氏」なのであろうから。
『あははは、分かっているみたいだね。さすがはボク♪』
目の前のドッペルゲンガーが楽しそうにそう言ってくる。
まるで長年の知己に再会したかのように。
嬉しそうに、満足そうに、笑っていた。
『へー怒っているんだ。まあそれでもボクはいいよ♪』
自分の考えを見透かされているような不快感。
相手が自分だけにどうしようもない問題な気もするが。
とにかく目の前の「もう一人の蟹座氏」に苛立ちを覚える。
『別に用って程じゃないんだけどね。機会が巡ってきたから話すのもいいかなと思ってさ♪』
「ボクは用なんかないし、早くししょーの所へ行かなくちゃいけないから解放しろ!
どうせお前が何かしているんだろ!」
そうだ。
こんな所で油を売っている暇など全くない。
早くししょーを見つけて殺して写真を奪い返さなければならないのだから。
とにかく話が通じないなら実力行使か。
『あ、やる気? いいよ、自分同士だし勝負がつくとは思えないけど、やりたかったら相手するよ♪』
だが相手にも一理ある。
自分同士で戦っても優劣は付きにくい。
ならばどうするべきか。
『まあ今なら勝てそうだけど……』
「どういう意味だよ」
『お前ってさ、だらしないよね♪』
「は? どういう意味だよ」
見ず知らず――という表現が正しいのか不明だが――の奴にいきなり「だらしない」と言われて気分がいいはずない。
しかも自分のどこがだらしないというのかさっぱり分からない。
今もししょーに裁きを下すために必死に――
『はあー、だからだよ。そうやってすぐに踊らされる。もう少ししっかりしろよ』
「だからどういう意味だよ!」
『分からないならいいよ。ボクとしてはお前に失望するだけだしね♪』
「だから――」
『失ったものは戻らない。これは摂理だよね♪』
「……で、なに」
『人の話はよく聞いた方がいいよ、もう一人のボク♪』
いまいち釈然としない、というよりは頭が追い付いていない蟹座氏。
目の前の「もう一人の蟹座氏」が何を言おうとしているのかさっぱり理解不能だった。
『こちょこちょ』
「ふにゃ!?」
いきなり前触れもなしに脇と首をくすぐられた。
思わず声を上げてしまってなんだか恥ずかしくなってくる。
全く何を考えているのか分からない。
『リラックスしたらいいよ。で、何か大事な事忘れているんじゃないの?』
「へ? なにかあったけ?」
そこで目の前の奴は「はあ~」とか「やっぱりなあ~」とか「蟹だな」とかいうような表情で視線を送ってきた。
とりあえず真相は分からないが、すごくムカついた。
何が言いたいのか、はっきり言えと思った。
『託されたものあったんじゃないの? それなのに全部忘れてさ、自分ながら恥ずかしいよ』
「――っ!!」
その言葉は引き金だった。
蟹座氏の心の底に沈んでいたものを解き放つ引き金。
そこから湧き上がるのはいままでにかけられてきた言葉。
――そのままの……君が……好きなんだ、みんな……だから、決して憎まないでくれ。
――ああ、だから俺を信じろ!君を助けようとした、その男の死を無駄にするな!!
――大丈夫だ蟹座氏!! 私を信じろ!!
――何を勘違いしているのですか、蟹座氏。 蟹座氏の奮闘はこれからであろう。
――そうだ。自分に自信を持て。
――にゃはは、蟹座氏はバトルマスターの事が大切なんだよね。 だったら、その人の気持ちを分かってあげなきゃ。
――バトルマスターが何であんな行動をしたのか、よく考えてみてください。
――少なくとも私は君を救えた事に満足している。
――どうか私達の分まで、私達の想いの分まで、懸命に生きてね。
――蟹座氏さん、ここはご主人様が、抱きとめて、くれるところ、ですよ。
――大丈夫だよ、蟹座氏さん。もう命を粗末にしない。私はもがき続けながらも生きてゆきたいから。
――うー☆ファイトだよ、妹者ー☆(ぎゅー)
思い出されるのは最後に交わした言葉の数々――最後には覚えがなかったが。
自分の罪が、自分にかけられた想いが、蘇る。
でも……
「それでもししょーのした事は許せないよ……」
『なら話せばいいよ。話を聞いてから殺すか生かすか決めればいい。
ただ、安易に考える事をやめて逃げる事だけはやめておいた方がいいかな。
碌な事にならないからね♪』
蟹座氏は悩む。
それで本当にいいのだろうかと。
またししょーに騙されるのではないかという不安が大きくなる。
でも然して他に考えがある訳でもない。
目の前の「もう一人の蟹座氏」の言う事を聞くのもなんとなく気に入らない。
『ま、話して殺そうって思ったら殺したらいいんじゃないかな♪』
「……うん、そう……だね」
『うん、頑張ってね。ああ、症候群とかは一時的に抑えておくし、落ち着いて話すといいよ♪
じゃあ、いってらっしゃい♪』
目の前の「もう一人の蟹座氏」のその言葉を最後に蟹座氏の意識は薄れていった。
それはだんだんと身体にも及び、終には蟹座氏本人がこの世界から消えていった。
『ったく、症候群の宿主ならもっとしっかりしてほしいよ。
神剣の意思や驚きの黒さになんか負けかけやがって!
本当、ボクの宿主は何しているんだか♪』
そして唯一人残っていた「もう一人の蟹座氏」もいつしかその姿を消していた。
◆
「……ふやぁ!?」
目覚めると少し肌寒いと、これが蟹座氏の寝起きの感想だった。
路上で爆睡していたのだから、ある意味仕方ないと言えば仕方ない。
でもそのおかげでいままで蓄積していた疲労はすっかり解消された。
「……ぅう……なにか夢を見ていたような気がするけど、ぼんやりとしか思い出せない」
何か大切な事があったような気もするが、いくら考えてもどうにも思い出せなかった。
忘れてはいけない事だったような気もするのに……
「あれっ!?」
ふと視線を下に向けると、身につけている永遠神剣『誓い』に変化が生じているのが見て取れた。
通常なら片刃剣型のはずが、今は愛用の鉈と瓜二つの姿となっている。
使いやすくなって嬉しい限りだが、なぜそうなったかは理由が分からなかった。
よもや夢に出てきた「もう一人の蟹座氏」からの餞別とは、今の蟹座氏では思いつくはずなかった。
「――それよりも……ししょーに問い質さないと!」
あの写真をどういう理由で盗撮したのか。
本当にししょーが撮ったのか。
まあ、十中八九ししょーが仕組んだに違いないと思うが、念のために聞いておこう。
師弟の対面は刻一刻と近づいている。
【1日目 真夜中】【E-8 病院目前】
【蟹座氏@ギャルゲロワ】
【状態】:へこみLv8(黒さ補正で5+3、ししょーとの話が終わるまで落ち着いているようです)、『蟹座じゃないもん』覚醒、顎部に痒み、左手首に傷、
若干錯乱、首輪解除、驚きの黒さに汚染
【装備】:体操着(ブルマ)、鉈、ケリュケイオン@リリカルなのはStrikerS、永遠神剣『誓い』、蟹座の黄金聖闘衣、蟹座氏の写真×10
【道具】:支給品一式(食料全て消費)×5、最高ボタン、カードデッキ(シザース)@ライダーロワ、閃光弾、まふうじの杖、バッド・カニパニーの甲羅、
腕時計型麻酔銃(1/1)@漫画ロワ、ティーセット一式、麻酔銃の予備針×3、変化の杖、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃@トライガン、
対戦車地雷×2、リュート@からくりサーカス、ドラゴンオーブ@AAA
【思考】:
基本:ししょー……ひどいよ……
0:バトルマスターと話す。その後みんなを殺して写真を奪い返すか決める。
1:僕の記憶、どこかおかしい?
2:『あいつ』に逢ったら殺す。
3:ギャルゲロワの仲間とはできるなら会いたくない……けど。
4:敵とは戦う。ギャルゲロワ以外でいじめてくる人はみんな敵。
※容姿は蟹沢きぬ(カニ)@つよきすです。
※最高ボタンを押すと、『いやっほぉぉぉおおおう、蟹座のONiぃ様、最高ーーーーーっ!!!!!』という台詞が、
ハクオロの声で流れます。シークレットボイスにも何かあるかも?
※自分の心がキャラに影響されている事に気付きましたが、キャラに抵抗するため無駄な努力をしています。
※身体能力は本気を出せば倉成武ぐらいの力が出ます。通常はカニ。
※蟹見沢症候群について。
へこみのLvが5になった時、発祥します。発症した場合、自分を苛めたり辱めたりした者を優先的に殺します。
666の仕込みによってリミット天元突破。どうなるかわかりません。
基本的な症状は雛見沢症候群と同じです。発症中は蟹座氏のチャット状態の特徴により、語尾に♪がついたりします。
今はバトルマスターと話し終わるまでは落ち着いているようです。話し終わったらどうなるか分かりません。
※言霊『蟹座じゃないもん』に覚醒しました。
強い意志で蟹座である事を否定する事により、文字通り蟹に縁のあるアイテムから、『蟹座じゃないもん』つまり『蟹座じゃないもん(者、物)』の力を引き出せます。
ただし使いすぎると境界が……
※蟹座氏のバリアジャケット姿がどのようなものかは以降の書き手に任せます。
※なりきりが解けかけ、記憶に混乱が生じています。
※蟹座氏の写真の詳細は後の書き手にお任せします。
※死者スレ産の飴玉を舐めた事により何か影響が出るのかもしれません。
※永遠神剣『誓い』は蟹座氏の所持している鉈と瓜二つの姿に変化しました。
|274:[[混沌体験~感電はクールな能力がほしい~]]|投下順に読む|276:[[最終二部作1 孤高のスタンドプレイヤー]]|
|274:[[混沌体験~感電はクールな能力がほしい~]]|時系列順に読む|276:[[最終二部作1 孤高のスタンドプレイヤー]]|
|271:[[カウントダウンツ・ヘブン]]|蟹座氏|[[]]|
「あははは、待っていてね、ししょー♪ 今すぐ殺してあげるよ♪」
やけに明るい声を出しながら病院へ向かう人影。
まるでどこかネジが外れたかのような雰囲気を醸し出す少女だ。
狂気……いや、侠気とも取れるそれは酷く禍々しかった。
周囲の空気が凍りつきそうな、それでいて全て燃やし尽くしそうな異様な気配。
666によって堕とされた蟹座氏は唯一つの目的のために歩みを進める。
「ししょー……許さないから……あははは、あははははははは♪」
蟹座氏は向かう。
自らがししょーと慕っていたはずのバトルマスターの元へ。
彼を殺して、写真を回収するために。
それが666によって仕組まれた事とも知らずに。
「ああ、でもちょっと疲れたなあ。少し休憩しよっと」
ししょーは強い。
殺すなら万全の状態で臨まなければいけない。
その考えから蟹座氏はデイパックから食べられるものを取り出した。
基本支給品に含まれるパンやおにぎり、そしてロッテリアのハンバーガーを全て平らげる。
なぜ基本支給品の食料にロッテリアのハンバーガーがあったのかは気にしなかった。
「ふー、休憩終了。さて、ししょー今殺しに行くからねー」
最後に飴玉を口に入れ、蟹座氏はバトルマスターがいると教えられた病院方面へ向かおうとしたのだが……
「あ、あれ、なんだか眠く……うぅ……し、ししょー……すぴー」
――私にできるのは飴玉を介してのこれが限界。後は蟹座氏ちゃん自身の問題ね。
誰もいない路上に眠りに付く蟹座氏。
この時ばかりは安息に包まれていた。
◆
「え、ここは?」
蟹座氏が目覚めてまず目に入ったのは奇妙な光景。
そこは広い広い、ただ広いだけの平原だった。
景色の色は白色、いや灰色だろうか。
印象としては寂寥を感じさせる。
「――そんな事より……」
そう今はそんな事より自分を騙したししょーに裁きを下す事が先決だ。
優しい顔をしてあんな下劣な事を指示していたなど信じたくなかったのに――
「許さない、許さな『あははは、せっかちだね♪』」
突然聞こえてくる自分以外の声。
それは目の前にいる少女からだった。
今の今まで蟹座氏は目の前に少女がいる事に全く気付いていなかった。
その少女には見覚えがあった。
「……蟹沢、きぬ?」
目の前の少女は自身もよく知るつよきすの蟹沢きぬの姿をしていた。
だが「蟹沢きぬ」と呼んだが、蟹座氏には目の前の人物の正体が「蟹沢きぬ」ではない事に薄々気づいていた。
自分の姿も蟹沢きぬなので鏡を見ているような印象を受けるが、その表現は言い得て妙である。
なぜなら――目の前の少女も「蟹座氏」なのであろうから。
『あははは、分かっているみたいだね。さすがはボク♪』
目の前のドッペルゲンガーが楽しそうにそう言ってくる。
まるで長年の知己に再会したかのように。
嬉しそうに、満足そうに、笑っていた。
『へー怒っているんだ。まあそれでもボクはいいよ♪』
自分の考えを見透かされているような不快感。
相手が自分だけにどうしようもない問題な気もするが。
とにかく目の前の「もう一人の蟹座氏」に苛立ちを覚える。
『別に用って程じゃないんだけどね。機会が巡ってきたから話すのもいいかなと思ってさ♪』
「ボクは用なんかないし、早くししょーの所へ行かなくちゃいけないから解放しろ!
どうせお前が何かしているんだろ!」
そうだ。
こんな所で油を売っている暇など全くない。
早くししょーを見つけて殺して写真を奪い返さなければならないのだから。
とにかく話が通じないなら実力行使か。
『あ、やる気? いいよ、自分同士だし勝負がつくとは思えないけど、やりたかったら相手するよ♪』
だが相手にも一理ある。
自分同士で戦っても優劣は付きにくい。
ならばどうするべきか。
『まあ今なら勝てそうだけど……』
「どういう意味だよ」
『お前ってさ、だらしないよね♪』
「は? どういう意味だよ」
見ず知らず――という表現が正しいのか不明だが――の奴にいきなり「だらしない」と言われて気分がいいはずない。
しかも自分のどこがだらしないというのかさっぱり分からない。
今もししょーに裁きを下すために必死に――
『はあー、だからだよ。そうやってすぐに踊らされる。もう少ししっかりしろよ』
「だからどういう意味だよ!」
『分からないならいいよ。ボクとしてはお前に失望するだけだしね♪』
「だから――」
『失ったものは戻らない。これは摂理だよね♪』
「……で、なに」
『人の話はよく聞いた方がいいよ、もう一人のボク♪』
いまいち釈然としない、というよりは頭が追い付いていない蟹座氏。
目の前の「もう一人の蟹座氏」が何を言おうとしているのかさっぱり理解不能だった。
『こちょこちょ』
「ふにゃ!?」
いきなり前触れもなしに脇と首をくすぐられた。
思わず声を上げてしまってなんだか恥ずかしくなってくる。
全く何を考えているのか分からない。
『リラックスしたらいいよ。で、何か大事な事忘れているんじゃないの?』
「へ? なにかあったけ?」
そこで目の前の奴は「はあ~」とか「やっぱりなあ~」とか「蟹だな」とかいうような表情で視線を送ってきた。
とりあえず真相は分からないが、すごくムカついた。
何が言いたいのか、はっきり言えと思った。
『託されたものあったんじゃないの? それなのに全部忘れてさ、自分ながら恥ずかしいよ』
「――っ!!」
その言葉は引き金だった。
蟹座氏の心の底に沈んでいたものを解き放つ引き金。
そこから湧き上がるのはいままでにかけられてきた言葉。
――そのままの……君が……好きなんだ、みんな……だから、決して憎まないでくれ。
――ああ、だから俺を信じろ!君を助けようとした、その男の死を無駄にするな!!
――大丈夫だ蟹座氏!! 私を信じろ!!
――何を勘違いしているのですか、蟹座氏。 蟹座氏の奮闘はこれからであろう。
――そうだ。自分に自信を持て。
――にゃはは、蟹座氏はバトルマスターの事が大切なんだよね。 だったら、その人の気持ちを分かってあげなきゃ。
――バトルマスターが何であんな行動をしたのか、よく考えてみてください。
――少なくとも私は君を救えた事に満足している。
――どうか私達の分まで、私達の想いの分まで、懸命に生きてね。
――蟹座氏さん、ここはご主人様が、抱きとめて、くれるところ、ですよ。
――大丈夫だよ、蟹座氏さん。もう命を粗末にしない。私はもがき続けながらも生きてゆきたいから。
――うー☆ファイトだよ、妹者ー☆(ぎゅー)
思い出されるのは最後に交わした言葉の数々――最後には覚えがなかったが。
自分の罪が、自分にかけられた想いが、蘇る。
でも……
「それでもししょーのした事は許せないよ……」
『なら話せばいいよ。話を聞いてから殺すか生かすか決めればいい。
ただ、安易に考える事をやめて逃げる事だけはやめておいた方がいいかな。
碌な事にならないからね♪』
蟹座氏は悩む。
それで本当にいいのだろうかと。
またししょーに騙されるのではないかという不安が大きくなる。
でも然して他に考えがある訳でもない。
目の前の「もう一人の蟹座氏」の言う事を聞くのもなんとなく気に入らない。
『ま、話して殺そうって思ったら殺したらいいんじゃないかな♪』
「……うん、そう……だね」
『うん、頑張ってね。ああ、症候群とかは一時的に抑えておくし、落ち着いて話すといいよ♪
じゃあ、いってらっしゃい♪』
目の前の「もう一人の蟹座氏」のその言葉を最後に蟹座氏の意識は薄れていった。
それはだんだんと身体にも及び、終には蟹座氏本人がこの世界から消えていった。
『ったく、症候群の宿主ならもっとしっかりしてほしいよ。
神剣の意思や驚きの黒さになんか負けかけやがって!
本当、ボクの宿主は何しているんだか♪』
そして唯一人残っていた「もう一人の蟹座氏」もいつしかその姿を消していた。
◆
「……ふやぁ!?」
目覚めると少し肌寒いと、これが蟹座氏の寝起きの感想だった。
路上で爆睡していたのだから、ある意味仕方ないと言えば仕方ない。
でもそのおかげでいままで蓄積していた疲労はすっかり解消された。
「……ぅう……なにか夢を見ていたような気がするけど、ぼんやりとしか思い出せない」
何か大切な事があったような気もするが、いくら考えてもどうにも思い出せなかった。
忘れてはいけない事だったような気もするのに……
「あれっ!?」
ふと視線を下に向けると、身につけている永遠神剣『誓い』に変化が生じているのが見て取れた。
通常なら片刃剣型のはずが、今は愛用の鉈と瓜二つの姿となっている。
使いやすくなって嬉しい限りだが、なぜそうなったかは理由が分からなかった。
よもや夢に出てきた「もう一人の蟹座氏」からの餞別とは、今の蟹座氏では思いつくはずなかった。
「――それよりも……ししょーに問い質さないと!」
あの写真をどういう理由で盗撮したのか。
本当にししょーが撮ったのか。
まあ、十中八九ししょーが仕組んだに違いないと思うが、念のために聞いておこう。
師弟の対面は刻一刻と近づいている。
【1日目 真夜中】【E-8 病院目前】
【蟹座氏@ギャルゲロワ】
【状態】:へこみLv8(黒さ補正で5+3、ししょーとの話が終わるまで落ち着いているようです)、『蟹座じゃないもん』覚醒、顎部に痒み、左手首に傷、
若干錯乱、首輪解除、驚きの黒さに汚染
【装備】:体操着(ブルマ)、鉈、ケリュケイオン@リリカルなのはStrikerS、永遠神剣『誓い』、蟹座の黄金聖闘衣、蟹座氏の写真×10
【道具】:支給品一式(食料全て消費)×5、最高ボタン、カードデッキ(シザース)@ライダーロワ、閃光弾、まふうじの杖、バッド・カニパニーの甲羅、
腕時計型麻酔銃(1/1)@漫画ロワ、ティーセット一式、麻酔銃の予備針×3、変化の杖、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃@トライガン、
対戦車地雷×2、リュート@からくりサーカス、ドラゴンオーブ@AAA
【思考】:
基本:ししょー……ひどいよ……
0:バトルマスターと話す。その後みんなを殺して写真を奪い返すか決める。
1:僕の記憶、どこかおかしい?
2:『あいつ』に逢ったら殺す。
3:ギャルゲロワの仲間とはできるなら会いたくない……けど。
4:敵とは戦う。ギャルゲロワ以外でいじめてくる人はみんな敵。
※容姿は蟹沢きぬ(カニ)@つよきすです。
※最高ボタンを押すと、『いやっほぉぉぉおおおう、蟹座のONiぃ様、最高ーーーーーっ!!!!!』という台詞が、
ハクオロの声で流れます。シークレットボイスにも何かあるかも?
※自分の心がキャラに影響されている事に気付きましたが、キャラに抵抗するため無駄な努力をしています。
※身体能力は本気を出せば倉成武ぐらいの力が出ます。通常はカニ。
※蟹見沢症候群について。
へこみのLvが5になった時、発祥します。発症した場合、自分を苛めたり辱めたりした者を優先的に殺します。
666の仕込みによってリミット天元突破。どうなるかわかりません。
基本的な症状は雛見沢症候群と同じです。発症中は蟹座氏のチャット状態の特徴により、語尾に♪がついたりします。
今はバトルマスターと話し終わるまでは落ち着いているようです。話し終わったらどうなるか分かりません。
※言霊『蟹座じゃないもん』に覚醒しました。
強い意志で蟹座である事を否定する事により、文字通り蟹に縁のあるアイテムから、『蟹座じゃないもん』つまり『蟹座じゃないもん(者、物)』の力を引き出せます。
ただし使いすぎると境界が……
※蟹座氏のバリアジャケット姿がどのようなものかは以降の書き手に任せます。
※なりきりが解けかけ、記憶に混乱が生じています。
※蟹座氏の写真の詳細は後の書き手にお任せします。
※死者スレ産の飴玉を舐めた事により何か影響が出るのかもしれません。
※永遠神剣『誓い』は蟹座氏の所持している鉈と瓜二つの姿に変化しました。
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